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獣人王国編
第244話 キングボアとの激戦
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「だああっ!!」
「フガァッ!?」
鞄からレアは「エクスカリバー」を引き抜くのと同時に鞘から刃を抜き放ち、エクスカリバーの能力を発動させて「光の刃」を生み出す。刀身から放たれた光の白刃はキングボアの顔面に衝突し、視界を奪う。
予想外の反撃によってキングボアは勢いを弱め、そのまま軌道が大きく逸れてしまい、見当違いの咆哮へと駆け出す。その様子を見てレアは仕留めたかと思ったが、すぐにキングボアは立ちどまると頭を横に振り、瞼を何度も見開きしながらレアを睨みつけた。
「フガッ……フガァッ……!!」
「え、効いてない……!?」
「レア、聖属性の魔法は攻撃威力が低い……というよりも殆どない」
アンデッドや吸血鬼のアルドラに対しては絶大な効果を発揮したエクスカリバーではあるが、キングボアの場合は顔面に光刃を叩きつけたにも関わらずに致命傷どころか損傷を与えた様子はなかった。
傷跡も与えられず、せいぜい強い光で数秒だけ視界を奪われたに過ぎなかったキングボアはさらに怒りを煽る結果となる。
「フガァアアアッ!!」
「くっ……解析!!」
奥の手として使用したエクスカリバーさえも受け付けないキングボアに対し、解析の能力を発動してキングボアの詳細画面を開く。
―――――キングボア―――――
種族:キングボア(ボア最上位種)
性別:雄
状態:憤怒
特徴:長年の間、大量の栄養と魔力を摂取した事で異常発達した個体。通常種のボアよりも怒りやすく、敵とみなした存在は決して逃さない
―――――――――――――――
視界に表示された詳細画面を確認してレアは舌打ちし、予想通りというべきかとんでもない情報が記されていた。レアが相手にしているのはボアの中でも「最上位種」らしく、文面から想像する通りにボア種の中でも最も強い存在なのだろう。
キングボアの能力を確認したレアは文字変換を使用し、まずは状態の項目を変化する事にした。だが、緊迫した状況で二文字だけとはいえ文字を書き換えるのは難しく、もう一度だけキングボアの注意を反らさなければならない。
「このぉっ!!」
「フガァッ!?」
エクスカリバーを左手で振り払うと光刃が放たれ、キングボアの額に的中する。結果として衝撃を受けたようにキングボアの動きが一瞬止まるが、あくまでも一瞬だけでキングボアは再び突進を開始した。
「フゴォオオオッ!!」
「やっぱり駄目か……くそっ!!」
「レア、私に任せて」
光刃ではキングボアに損傷を与える事は出来ず、両目に当てなければ目晦ましにもならない。このままでは衝突は避けられないと思ったレアだが、ネコミンが彼の前に出て両手のネイルリングを装着した状態で駆け出す。
「ネコミン!?駄目だ、逃げろっ!!」
「大丈夫……にゃっ!!」
キングボアに目掛けて自ら突っ込んだネコミンにレアは慌てて逃げるように促すが、ネコミンは恐れを抱かずにキングボアの正面から突っ込み、そのままスライディングの要領で身体をキングボアの下に潜り込む。
「フガァッ!?」
「にゃああっ!!」
「うわっ!?」
キングボアの体長が大きすぎた事が幸いし、地面に限りなく身体を伏せる事でキングボアの身体を潜り抜けたネコミンは両腕を伸ばすと、装着していたネイルリングを放つ。その結果、彼女の手元から放たれた鎖がキングボアの後ろ脚に絡みつき、足元に違和感を覚えたキングボアは転んでしまう。
「フガァアアッ……!?」
「レア、今の内に!!」
「ありがとうネコミン!!」
後ろ脚に絡みついた鎖のせいでキングボアは立ちどまってしまい、その隙にレアは詳細画面に手を伸ばすと、状態の項目を別の文字へと変換させる。ここで色々と考えた結果、レアはある文字を書き込む。
――今までレアは状態の項目を書き換える時は「健康」や「麻痺」という文字を書き込む事が多かった。だが、今回の場合は前者は当然だが使えず、校舎の文字も書き込むには時間が掛かる。そのために「麻痺」という文字以外に書きやすく、更にキングボアを倒せる可能性がある文字を書き込んだ。
文字を書き込むとレアはキングボアに視線を向け、いったいどうなるのかを確認する。そして画面が更新された瞬間、キングボアは目を見開いて身体を一瞬激しく震わせた。
「ッ――――!?」
声にもならない悲鳴が響き渡り、キングボアの巨体が地面に倒れ込む。その様子を確認したネコミンは唖然とした表情を浮かべ、一方でレアの方は額の汗を拭う。
「上手くいった……ふうっ、良かった」
「レア……何したの?」
完全に動かなくなったボアを見てネコミンは戸惑いの表情を浮かべると、そんな彼女にレアはどう説明すればいいのか悩み、やがて素直に答える事にした。
「……状態の項目を「即死」に変えただけだよ」
「即、死?」
「うん……成功して良かった」
キングボアの詳細画面は更新された瞬間に自動的に消え去り、残されたのは唐突に命を奪われたキングボアの亡骸だけだった――
「フガァッ!?」
鞄からレアは「エクスカリバー」を引き抜くのと同時に鞘から刃を抜き放ち、エクスカリバーの能力を発動させて「光の刃」を生み出す。刀身から放たれた光の白刃はキングボアの顔面に衝突し、視界を奪う。
予想外の反撃によってキングボアは勢いを弱め、そのまま軌道が大きく逸れてしまい、見当違いの咆哮へと駆け出す。その様子を見てレアは仕留めたかと思ったが、すぐにキングボアは立ちどまると頭を横に振り、瞼を何度も見開きしながらレアを睨みつけた。
「フガッ……フガァッ……!!」
「え、効いてない……!?」
「レア、聖属性の魔法は攻撃威力が低い……というよりも殆どない」
アンデッドや吸血鬼のアルドラに対しては絶大な効果を発揮したエクスカリバーではあるが、キングボアの場合は顔面に光刃を叩きつけたにも関わらずに致命傷どころか損傷を与えた様子はなかった。
傷跡も与えられず、せいぜい強い光で数秒だけ視界を奪われたに過ぎなかったキングボアはさらに怒りを煽る結果となる。
「フガァアアアッ!!」
「くっ……解析!!」
奥の手として使用したエクスカリバーさえも受け付けないキングボアに対し、解析の能力を発動してキングボアの詳細画面を開く。
―――――キングボア―――――
種族:キングボア(ボア最上位種)
性別:雄
状態:憤怒
特徴:長年の間、大量の栄養と魔力を摂取した事で異常発達した個体。通常種のボアよりも怒りやすく、敵とみなした存在は決して逃さない
―――――――――――――――
視界に表示された詳細画面を確認してレアは舌打ちし、予想通りというべきかとんでもない情報が記されていた。レアが相手にしているのはボアの中でも「最上位種」らしく、文面から想像する通りにボア種の中でも最も強い存在なのだろう。
キングボアの能力を確認したレアは文字変換を使用し、まずは状態の項目を変化する事にした。だが、緊迫した状況で二文字だけとはいえ文字を書き換えるのは難しく、もう一度だけキングボアの注意を反らさなければならない。
「このぉっ!!」
「フガァッ!?」
エクスカリバーを左手で振り払うと光刃が放たれ、キングボアの額に的中する。結果として衝撃を受けたようにキングボアの動きが一瞬止まるが、あくまでも一瞬だけでキングボアは再び突進を開始した。
「フゴォオオオッ!!」
「やっぱり駄目か……くそっ!!」
「レア、私に任せて」
光刃ではキングボアに損傷を与える事は出来ず、両目に当てなければ目晦ましにもならない。このままでは衝突は避けられないと思ったレアだが、ネコミンが彼の前に出て両手のネイルリングを装着した状態で駆け出す。
「ネコミン!?駄目だ、逃げろっ!!」
「大丈夫……にゃっ!!」
キングボアに目掛けて自ら突っ込んだネコミンにレアは慌てて逃げるように促すが、ネコミンは恐れを抱かずにキングボアの正面から突っ込み、そのままスライディングの要領で身体をキングボアの下に潜り込む。
「フガァッ!?」
「にゃああっ!!」
「うわっ!?」
キングボアの体長が大きすぎた事が幸いし、地面に限りなく身体を伏せる事でキングボアの身体を潜り抜けたネコミンは両腕を伸ばすと、装着していたネイルリングを放つ。その結果、彼女の手元から放たれた鎖がキングボアの後ろ脚に絡みつき、足元に違和感を覚えたキングボアは転んでしまう。
「フガァアアッ……!?」
「レア、今の内に!!」
「ありがとうネコミン!!」
後ろ脚に絡みついた鎖のせいでキングボアは立ちどまってしまい、その隙にレアは詳細画面に手を伸ばすと、状態の項目を別の文字へと変換させる。ここで色々と考えた結果、レアはある文字を書き込む。
――今までレアは状態の項目を書き換える時は「健康」や「麻痺」という文字を書き込む事が多かった。だが、今回の場合は前者は当然だが使えず、校舎の文字も書き込むには時間が掛かる。そのために「麻痺」という文字以外に書きやすく、更にキングボアを倒せる可能性がある文字を書き込んだ。
文字を書き込むとレアはキングボアに視線を向け、いったいどうなるのかを確認する。そして画面が更新された瞬間、キングボアは目を見開いて身体を一瞬激しく震わせた。
「ッ――――!?」
声にもならない悲鳴が響き渡り、キングボアの巨体が地面に倒れ込む。その様子を確認したネコミンは唖然とした表情を浮かべ、一方でレアの方は額の汗を拭う。
「上手くいった……ふうっ、良かった」
「レア……何したの?」
完全に動かなくなったボアを見てネコミンは戸惑いの表情を浮かべると、そんな彼女にレアはどう説明すればいいのか悩み、やがて素直に答える事にした。
「……状態の項目を「即死」に変えただけだよ」
「即、死?」
「うん……成功して良かった」
キングボアの詳細画面は更新された瞬間に自動的に消え去り、残されたのは唐突に命を奪われたキングボアの亡骸だけだった――
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