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獣人王国編
第243話 キングボアの復讐
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(あれは……間違いない、祭壇だ!!)
遠視と観察眼の技能を発動させたレアの視界に数百メートルほど離れた場所に存在する祭壇を発見した。幸いな事に祭壇は地上に存在したらしく、岩山の頂上などという意地悪な場所に設置されていたらどうしようかとレアは不安を抱いていたが、無事に地上に存在した事に安堵する。
「やった!!祭壇があったよネコミン!!」
「本当?」
地上へと着地したレアはネコミンに祭壇が存在する場所を知らせ、早速その場所へ移動しようとした。だが、その際にレアは足首に痛みが走り、その場に膝を付く。
「あいたぁっ!?な、何だ……!?」
「どうしたの?」
「急に足首が痛くなって……ちょっと見てくれる?」
「分かった……靴を脱いで」
ネコミンに足の痛みを訴えたレアは彼女の指示通りに靴を脱いで調べて貰うと、ネコミンはレアの両足の足首が晴れている事に気付き、放置すれば危険な状態だと知る。
「足が腫れてる……さっき、走った時や思い切り飛び上がった時に無理をしたせいだと思う」
「えっ……瞬動術を発動したせいでこうなったの?でも、今まではこんな事はなかったのに……」
「固有能力の中には身体に大きな負担を与える力もある。だから使用するときは使い処を誤らないようにしないと大変な事になる……待ってて、すぐに治す」
レアは瞬動術を発動したせいで足首が腫れたというネコミンの言葉に驚くが、冷静に考えれば前と比べて瞬動術の性能が格段に上昇しており、逆に言えばその分だけ身体の負担が増したのかもしれない。
飛距離や移動速度が上昇した分、レアの肉体にかかる負担の方も増しているらしく、ネコミンの治療を受けながらレアは瞬動術の危険性を思い知る。今回はネコミンが傍にいてくれたからよかったが、もしも足首を痛めて動けなくなった所を魔物に襲われた大変な事になっただろう。
(固有能力といっても万能じゃないんだな……今度からは気を付けないと)
ネコミンの忠告を聞き入れてレアは改めて固有能力の危険性を思い知り、治療を終えた後にネコミンにお礼を言う。
「ありがとうネコミン……もう大丈夫だよ」
「腫れは引いたけど、あんまり無茶はしない方が良い。しばらくの間は歩いた方が……!?」
「え、どうしたの?」
ネコミンは会話の途中で目を見開き、その様子を見てレアは驚くが、彼女は鼻を引く付かせて瓦礫の山へと視線を向ける。その彼女の行動にレアは不思議に思って振り返ると、瓦礫の中から血塗れのキングボアが現れようとしていた。
――フゴォオオオッ……!!
大量の瓦礫を払いのけながらキングボアは再び姿を現し、全身の毛を逆立たせてレア達を睨みつけた。かなりの負傷を負ったようだが、まだ死んではいなかったらしく、瓦礫の破片を振り払いながら突進の体勢を取った。
まだキングボアが生きていた事にレアは驚き、ネコミンはすぐに逃げる準備を行う。キングボアは血走った目をレアに向けると、身体を振って血を振り払い、再び突撃する。
「フガァアアアッ……!!」
「まだ生きてたのか……!?」
「走って!!」
レアは生き延びていたキングボアに動揺するが、ネコミンはそんなレアの腕を引いて駆け出す。だが、治療を終えたばかりの足は上手く言う事が聞かず、レアはネコミンに引っ張られるように走る事しか出来ない。
「くっ……あいつ、しつこすぎない!?」
「いいから走って!!」
余裕がないネコミンはレアに黙って走るように促し、キングボアから逃れようとする。だが、キングボアの方は負傷しながらも移動速度は殆ど落ちておらず、徐々にレア達との距離を詰めていく。このままでは二人とも蹴散らされてしまうのは目に見えており、レアはどうするべきか考えた。
(まずい、この足だと「瞬動術」は発揮できない……さっきのように岩山にぶつけて逃げるのは無理だ。それにネコミンを連れた状態で逃げるなんて……)
治したばかりの足はまだ感覚が痺れて上手く走れず、瞬動術は使える状態ではない。そもそもネコミンが傍に居る状態ではレアは逃げる事に集中できず、このままでは追いつかれてしまう。
キングボアに追いつかれる前に手を打たないとまずいのは理解しているが、この状況を打破する方法などすぐには思いつかず、どんどんと距離が縮まる。だが、迫りくるキングボアを見てレアはいい加減にしつこく思い、怒りを抱く。
(どうせ逃げられないのなら……戦ってやる!!)
レアは自分の腕を掴むネコミンの腕を引き剥がすと、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返るが、一方でレアの方はキングボアと振り返って正面から迎え撃つ準備を行う。そして彼が最初に思いついた手は聖剣であり、今まで鞄の中に納めていたある聖剣を引き抜く。
遠視と観察眼の技能を発動させたレアの視界に数百メートルほど離れた場所に存在する祭壇を発見した。幸いな事に祭壇は地上に存在したらしく、岩山の頂上などという意地悪な場所に設置されていたらどうしようかとレアは不安を抱いていたが、無事に地上に存在した事に安堵する。
「やった!!祭壇があったよネコミン!!」
「本当?」
地上へと着地したレアはネコミンに祭壇が存在する場所を知らせ、早速その場所へ移動しようとした。だが、その際にレアは足首に痛みが走り、その場に膝を付く。
「あいたぁっ!?な、何だ……!?」
「どうしたの?」
「急に足首が痛くなって……ちょっと見てくれる?」
「分かった……靴を脱いで」
ネコミンに足の痛みを訴えたレアは彼女の指示通りに靴を脱いで調べて貰うと、ネコミンはレアの両足の足首が晴れている事に気付き、放置すれば危険な状態だと知る。
「足が腫れてる……さっき、走った時や思い切り飛び上がった時に無理をしたせいだと思う」
「えっ……瞬動術を発動したせいでこうなったの?でも、今まではこんな事はなかったのに……」
「固有能力の中には身体に大きな負担を与える力もある。だから使用するときは使い処を誤らないようにしないと大変な事になる……待ってて、すぐに治す」
レアは瞬動術を発動したせいで足首が腫れたというネコミンの言葉に驚くが、冷静に考えれば前と比べて瞬動術の性能が格段に上昇しており、逆に言えばその分だけ身体の負担が増したのかもしれない。
飛距離や移動速度が上昇した分、レアの肉体にかかる負担の方も増しているらしく、ネコミンの治療を受けながらレアは瞬動術の危険性を思い知る。今回はネコミンが傍にいてくれたからよかったが、もしも足首を痛めて動けなくなった所を魔物に襲われた大変な事になっただろう。
(固有能力といっても万能じゃないんだな……今度からは気を付けないと)
ネコミンの忠告を聞き入れてレアは改めて固有能力の危険性を思い知り、治療を終えた後にネコミンにお礼を言う。
「ありがとうネコミン……もう大丈夫だよ」
「腫れは引いたけど、あんまり無茶はしない方が良い。しばらくの間は歩いた方が……!?」
「え、どうしたの?」
ネコミンは会話の途中で目を見開き、その様子を見てレアは驚くが、彼女は鼻を引く付かせて瓦礫の山へと視線を向ける。その彼女の行動にレアは不思議に思って振り返ると、瓦礫の中から血塗れのキングボアが現れようとしていた。
――フゴォオオオッ……!!
大量の瓦礫を払いのけながらキングボアは再び姿を現し、全身の毛を逆立たせてレア達を睨みつけた。かなりの負傷を負ったようだが、まだ死んではいなかったらしく、瓦礫の破片を振り払いながら突進の体勢を取った。
まだキングボアが生きていた事にレアは驚き、ネコミンはすぐに逃げる準備を行う。キングボアは血走った目をレアに向けると、身体を振って血を振り払い、再び突撃する。
「フガァアアアッ……!!」
「まだ生きてたのか……!?」
「走って!!」
レアは生き延びていたキングボアに動揺するが、ネコミンはそんなレアの腕を引いて駆け出す。だが、治療を終えたばかりの足は上手く言う事が聞かず、レアはネコミンに引っ張られるように走る事しか出来ない。
「くっ……あいつ、しつこすぎない!?」
「いいから走って!!」
余裕がないネコミンはレアに黙って走るように促し、キングボアから逃れようとする。だが、キングボアの方は負傷しながらも移動速度は殆ど落ちておらず、徐々にレア達との距離を詰めていく。このままでは二人とも蹴散らされてしまうのは目に見えており、レアはどうするべきか考えた。
(まずい、この足だと「瞬動術」は発揮できない……さっきのように岩山にぶつけて逃げるのは無理だ。それにネコミンを連れた状態で逃げるなんて……)
治したばかりの足はまだ感覚が痺れて上手く走れず、瞬動術は使える状態ではない。そもそもネコミンが傍に居る状態ではレアは逃げる事に集中できず、このままでは追いつかれてしまう。
キングボアに追いつかれる前に手を打たないとまずいのは理解しているが、この状況を打破する方法などすぐには思いつかず、どんどんと距離が縮まる。だが、迫りくるキングボアを見てレアはいい加減にしつこく思い、怒りを抱く。
(どうせ逃げられないのなら……戦ってやる!!)
レアは自分の腕を掴むネコミンの腕を引き剥がすと、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返るが、一方でレアの方はキングボアと振り返って正面から迎え撃つ準備を行う。そして彼が最初に思いついた手は聖剣であり、今まで鞄の中に納めていたある聖剣を引き抜く。
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