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獣人王国編
第241話 レアとネコミン
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第二階層の「荒野」へと辿り着いたレアとネコミンはしばらくの間は歩き、とりあえずは転移台が設置されている祭壇を探すが、残念ながら近くには存在しないのか見当たらない。
「祭壇はこの近くにはなさそうだな……最悪、岩山を登って上から確認してみる?」
「私はともかく、レアは登れるの?」
「握力なら自信はあるけど……やっぱり無理かな」
荒野にそびえ立つ無数の岩山には人間が登るための山道は存在せず、周囲が眼外絶壁なので登るには苦労しそうだった。人間よりも身軽で魔爪術も扱えるネコミンならば岩山を登りきる事が出来るかもしれないが、崖登りの経験などないレアでは難しそうだった。
以前に「牙山」と呼ばれる高山に訪れた時はレアは山を貫通する程の大きさの「トンネル」を文字変換で作り出した事はあるが、今回の場合はその方法も利用できない。だが、岩山の頂上からならば周囲を見渡して祭壇を発見する事も出来る可能性もあり、どうにか方法はないのかを考える。
(駄目元で二文字の道具で「階段」とかに変化させてみるか?でも、その場合はどうなるんだろう……やっぱり岩山の周りに螺旋階段みたいなのが出来上がるのかな?)
鞄の中を漁りながらレアは使えそうな道具を探し出し、岩山の頂上に辿り着ける方法を探そうとするが、ここでネコミンが引き留めた。
「レア、頂上までわざわざ登らなくても辺りを見渡せる高さの場所まで登ればいい」
「あ、そっか……言われてみればそうだよね」
「私が登ってくるからレアはここで待って周囲を警戒して欲しい。何かあったらすぐに教えて」
「え、登るって……ネコミン!?」
ネコミンはレアの返事を聞く前に両手にネイルリングを装着すると、助走を付けて駆け出し、勢いよく跳躍を行う。その結果、彼女は10メートル近くも跳躍を行うと壁に張り付き、両手に魔爪術を発動して壁に食い込ませる。
「にゃにゃにゃっ」
「おおっ、凄い!?」
魔力で構成した爪を岩壁に突き刺しながらネコミンは崖を登り始め、その姿はロッククライミングというよりも木登りを行う猫を想像させる動きだった。瞬く間にネコミンは30メートル程度の高さにまで登ると、ここである事に気付いた様に恥ずかしそうにスカートを抑えた。
「あっ……レアにスカートを見られる。いやんっ」
「いや、見てないから……ちょっと猫さんパンツが見えただけだから!!」
「やっぱり見てた」
今更ながらに自分が制服姿だと思い出したネコミンは恥ずかしそうにスカートを抑えるが、そんな彼女にレアは慌てて目線を反らす。その様子を見てネコミンは少し恥ずかしそうな表情を浮かべながらも高所から辺りを見渡すと、ある物を発見した様に目を見開く。
「あっ……まずい」
「ネコミン!!どうかしたの!?」
「駄目、大声を出したら……後ろっ!!」
「えっ!?」
レアがネコミンの異変に声を掛けると、彼女は地上のレアに危険を知らせ、背後を振り返るように促す。そんな彼女の反応にレアは驚いて振り返ると、そこには土煙を巻き上げながら接近する巨大な猪の姿が存在した。
「プゴォッ!!」
「猪……ボアか!!」
巨大な猪が接近している事に気付いたレアは敵の正体を「ボア」と呼ばれる魔獣だと見抜き、撃退するためにアスカロンとフラガラッハを引き抜く。ボアは外の世界でもこの数日の間に何度か相対した敵のため、恐れずに冷静に対処しようとしたが、ここで接近してくるボアの異様な大きさに気付く。
最初は遠近法で近くまで迫っていると思われたボアだが、それは遠近法による錯覚だと気づき、徐々にレアの瞳のボアが巨大化を果たして接近してくる。正確に言えばあまりの巨体に遠目から見ても自分の側に存在するように感じられたが、それは誤りでとんでもない大きさのボアがレアに迫っている事が発覚する。
「プゴォオオオオッ!!」
「な、何だこいつ……でかっ!?」
「キングボア!!逃げて、レア!!」
岩壁に張り付いたネコミンが注意を行うと、レアは地上のボアの何倍もの大きさを誇る巨大猪を前にして慌てて逃げ出す。だが、巨体でありながら速度も素早く、逃走を開始したレアに向けてボアは進路変更を行いながら追跡を開始した。
「フガァアアアッ……!!」
「なんだこいつ……大きすぎだろ!?」
ネコミンが「キングボア」と呼んだ巨大猪は全長は最低でも30メートルは超え、今まで何処に隠れていたのかと疑問を抱くほどに巨大な生物だった。通常のボアでもせいぜい4、5メートル、大きい個体だとしても6、7メートルしか存在しない。それだけでも普通の猪の何倍も大きいのだが、キングボアの場合は桁が違う。
レアが覚えている「神速」は文字変換の改竄も加えられて自分の速度を限界まで上昇させる技能だが、キングボアの方がレアよりも移動速度が速く、だんだんと距離を詰められていく。その速度はシロやクロを上回り、このままでは圧倒的な質量によって押し潰されるか、槍のようにとがった牙に突き刺されるか、あるいは鼻頭で吹き飛ばされるしかないだろう。
(最悪な選択肢しかないな!!)
追いつかれれば自分は確実に死ぬと予感したレアは必死に思考を働かせ、生き延びる手段を探す。
「祭壇はこの近くにはなさそうだな……最悪、岩山を登って上から確認してみる?」
「私はともかく、レアは登れるの?」
「握力なら自信はあるけど……やっぱり無理かな」
荒野にそびえ立つ無数の岩山には人間が登るための山道は存在せず、周囲が眼外絶壁なので登るには苦労しそうだった。人間よりも身軽で魔爪術も扱えるネコミンならば岩山を登りきる事が出来るかもしれないが、崖登りの経験などないレアでは難しそうだった。
以前に「牙山」と呼ばれる高山に訪れた時はレアは山を貫通する程の大きさの「トンネル」を文字変換で作り出した事はあるが、今回の場合はその方法も利用できない。だが、岩山の頂上からならば周囲を見渡して祭壇を発見する事も出来る可能性もあり、どうにか方法はないのかを考える。
(駄目元で二文字の道具で「階段」とかに変化させてみるか?でも、その場合はどうなるんだろう……やっぱり岩山の周りに螺旋階段みたいなのが出来上がるのかな?)
鞄の中を漁りながらレアは使えそうな道具を探し出し、岩山の頂上に辿り着ける方法を探そうとするが、ここでネコミンが引き留めた。
「レア、頂上までわざわざ登らなくても辺りを見渡せる高さの場所まで登ればいい」
「あ、そっか……言われてみればそうだよね」
「私が登ってくるからレアはここで待って周囲を警戒して欲しい。何かあったらすぐに教えて」
「え、登るって……ネコミン!?」
ネコミンはレアの返事を聞く前に両手にネイルリングを装着すると、助走を付けて駆け出し、勢いよく跳躍を行う。その結果、彼女は10メートル近くも跳躍を行うと壁に張り付き、両手に魔爪術を発動して壁に食い込ませる。
「にゃにゃにゃっ」
「おおっ、凄い!?」
魔力で構成した爪を岩壁に突き刺しながらネコミンは崖を登り始め、その姿はロッククライミングというよりも木登りを行う猫を想像させる動きだった。瞬く間にネコミンは30メートル程度の高さにまで登ると、ここである事に気付いた様に恥ずかしそうにスカートを抑えた。
「あっ……レアにスカートを見られる。いやんっ」
「いや、見てないから……ちょっと猫さんパンツが見えただけだから!!」
「やっぱり見てた」
今更ながらに自分が制服姿だと思い出したネコミンは恥ずかしそうにスカートを抑えるが、そんな彼女にレアは慌てて目線を反らす。その様子を見てネコミンは少し恥ずかしそうな表情を浮かべながらも高所から辺りを見渡すと、ある物を発見した様に目を見開く。
「あっ……まずい」
「ネコミン!!どうかしたの!?」
「駄目、大声を出したら……後ろっ!!」
「えっ!?」
レアがネコミンの異変に声を掛けると、彼女は地上のレアに危険を知らせ、背後を振り返るように促す。そんな彼女の反応にレアは驚いて振り返ると、そこには土煙を巻き上げながら接近する巨大な猪の姿が存在した。
「プゴォッ!!」
「猪……ボアか!!」
巨大な猪が接近している事に気付いたレアは敵の正体を「ボア」と呼ばれる魔獣だと見抜き、撃退するためにアスカロンとフラガラッハを引き抜く。ボアは外の世界でもこの数日の間に何度か相対した敵のため、恐れずに冷静に対処しようとしたが、ここで接近してくるボアの異様な大きさに気付く。
最初は遠近法で近くまで迫っていると思われたボアだが、それは遠近法による錯覚だと気づき、徐々にレアの瞳のボアが巨大化を果たして接近してくる。正確に言えばあまりの巨体に遠目から見ても自分の側に存在するように感じられたが、それは誤りでとんでもない大きさのボアがレアに迫っている事が発覚する。
「プゴォオオオオッ!!」
「な、何だこいつ……でかっ!?」
「キングボア!!逃げて、レア!!」
岩壁に張り付いたネコミンが注意を行うと、レアは地上のボアの何倍もの大きさを誇る巨大猪を前にして慌てて逃げ出す。だが、巨体でありながら速度も素早く、逃走を開始したレアに向けてボアは進路変更を行いながら追跡を開始した。
「フガァアアアッ……!!」
「なんだこいつ……大きすぎだろ!?」
ネコミンが「キングボア」と呼んだ巨大猪は全長は最低でも30メートルは超え、今まで何処に隠れていたのかと疑問を抱くほどに巨大な生物だった。通常のボアでもせいぜい4、5メートル、大きい個体だとしても6、7メートルしか存在しない。それだけでも普通の猪の何倍も大きいのだが、キングボアの場合は桁が違う。
レアが覚えている「神速」は文字変換の改竄も加えられて自分の速度を限界まで上昇させる技能だが、キングボアの方がレアよりも移動速度が速く、だんだんと距離を詰められていく。その速度はシロやクロを上回り、このままでは圧倒的な質量によって押し潰されるか、槍のようにとがった牙に突き刺されるか、あるいは鼻頭で吹き飛ばされるしかないだろう。
(最悪な選択肢しかないな!!)
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