229 / 367
獣人王国編
第227話 謎の夜襲
しおりを挟む(この強化を別の文字に変換するとなると……上昇、倍加、増加、増強……増大とかがいいかな?)
色々と考えた結果、レイナは「強化」の文字を分かりやすい文字へと変換させる。その結果、詳細画面が更新されて文面には「魔法効果増大」という能力に変化した魔法腕輪が出来上がった。
「はい、どうぞ」
「……見た目は変わらないんですね。魔除けの石の時は大きくなったとか聞いてましたけど、こっちは変わりはないんですね」
「でも、触れただけで力が湧いてくる感じがするような……気がしないでもない」
「うん、今回のは上手く強化出来たか分からないしね。とりあえず、確認してみてくれる?」
魔法腕輪を受け取ったリリスとネコミンは不思議そうに覗き込み、特に外見には変化はない。試しに彼女達は魔法腕輪を装着して魔法を発動させようとするが、ここである問題に気付く。
「試してと言われても……私達の回復魔法は誰かが怪我を負った状態でないと魔法を発動しても効果を確かめられないんですけど」
「あ、そっか……どうしよう、なら俺が腕を斬って二人に直してもらうとか?」
「それはちょっと……」
「効果を確かめるためだけに腕を斬るって……サイコパスですか」
「うん、自分で言ってて流石にやばいかなとは思った」
レイナの発言にネコミンとリリスは呆れてしまうが、このままでは魔法腕輪の効果を確認する術はなく、どうするべきか悩んでいると見張り役を任されているはずのハンゾウが慌てた様子で中に入って来た。
「大変でござる!!皆、すぐに外へ!!」
「え、どうしたんですか?」
「きゅろっ……?」
「ぷるぷる……?」
慌てて入って来たハンゾウにレイナ達は驚き、サンとクロミンは目を覚ますと、彼女は背中に背負っていたフラガラッハを引き抜いて焦った表情を浮かべていた。
「夜襲でござる!!何者かは分からないでござるが、唐突に陣内のあちこちで火の手が回っているでござる!!」
「夜襲!?」
「陣内で火事が起きたんですか!?」
「とにかく早く外へっ!!」
ハンゾウに促されるままにレイナ達は飛び出すと、彼女の言う通りに白狼騎士団が設営した陣のあちこちで火の手が回っていた。騎士達は慌てて水で消火作業を急ぎ、魔法を使える人間は風属性や水属性の魔法で火事を抑えようとしていた。
いったい何が起きているのかは不明だが、火事の方は陣の全体に広がろうとしており、このままでは大勢の被害者が生まれてしまう勢いだった。いったい何がどうなってこの状況に陥ったのか理解出来ないレイナだが、すぐに自分の力でどうにか出来ないのかを考える。
(何が起きてるんだ……!?いや、今はそれよりも火事を何とかしないと……そうだ、あの手を使うか!!)
火事を抑えるためにレイナは上空を見上げ、自分の鞄の中から二文字の道具を探し、そして家の鍵を取り出す。前に大迷宮にて自分の自宅を作り出した際、何かの際に役立つかと思って鞄の中に入れていた道具を取り出す。
(これを使って……上手くいけよ!!)
解析と文字変換の能力を同時に発動させてレイナは鍵の詳細画面を開き、名前を変更する。今回は時間との勝負なので成功するかどうかは深く考えず、文字を打ち込む際に用心して念じながら鍵を上空へと投げ飛ばした。
(火事が収まる程度の量だけ降ってくれ!!)
レイナが詳細画面に書き込んだ文字は「雨」であり、そのまま鍵は空中へと投げ出されて光り輝いた瞬間、徐々に雨雲へと変化を果たして白狼騎士団の陣内の上空へと広がる。騎士達は唐突に上空へ広がった黒雲に戸惑うが、やがて大量の雫が零れ落ちてきた。
「今から……降るよ!!」
「えっ!?ちょ、なんかその台詞危ない気が……ぶわっ!?」
「にゃうっ!?」
「きゅろっ!?」
「ぬあっ!?」
「ぷるぷるっ♪」
雨雲から大量の雨が降り注ぎ、陣内に燃え上がる炎が雨によって徐々に縮小化すると、やがて完全に消え去るまで時間は掛からなかった。唐突に振り出した大量の雨に騎士達は驚くが、結果的には雨のお陰で火事は収まり、時間的には数分程度ではあるが滝のように降り注いだ雨によって火事は収まる。
レイナ達はずぶぬれになってしまったが、一先ずは火事は収まり、騎士達に関しても被害は最小限で済んだ。雨が収まるころには騎士達も落ち着きを取り戻し、やがて団長であるリルの指示の元に騎士達は集められた。
「全員、無事か!!怪我をした人間がいるならすぐに治療させろ!!被害の状況を報告しろ!!」
「負傷者はこちらに集まれ!!回復薬を余分に所持している者も集まってくれ!!」
リルとチイが団員たちに指示を与えると、すぐに火事の負傷者は集められ、どうやら思っていた以上に負傷者は多かった。十数名の男女が火傷を負い、中には逃げ遅れたのか左半身が焼け焦げた騎士も存在した。そんな彼等にネコミンとリリスがレイナから受け取った魔法腕輪を装着して治療を試みる。
色々と考えた結果、レイナは「強化」の文字を分かりやすい文字へと変換させる。その結果、詳細画面が更新されて文面には「魔法効果増大」という能力に変化した魔法腕輪が出来上がった。
「はい、どうぞ」
「……見た目は変わらないんですね。魔除けの石の時は大きくなったとか聞いてましたけど、こっちは変わりはないんですね」
「でも、触れただけで力が湧いてくる感じがするような……気がしないでもない」
「うん、今回のは上手く強化出来たか分からないしね。とりあえず、確認してみてくれる?」
魔法腕輪を受け取ったリリスとネコミンは不思議そうに覗き込み、特に外見には変化はない。試しに彼女達は魔法腕輪を装着して魔法を発動させようとするが、ここである問題に気付く。
「試してと言われても……私達の回復魔法は誰かが怪我を負った状態でないと魔法を発動しても効果を確かめられないんですけど」
「あ、そっか……どうしよう、なら俺が腕を斬って二人に直してもらうとか?」
「それはちょっと……」
「効果を確かめるためだけに腕を斬るって……サイコパスですか」
「うん、自分で言ってて流石にやばいかなとは思った」
レイナの発言にネコミンとリリスは呆れてしまうが、このままでは魔法腕輪の効果を確認する術はなく、どうするべきか悩んでいると見張り役を任されているはずのハンゾウが慌てた様子で中に入って来た。
「大変でござる!!皆、すぐに外へ!!」
「え、どうしたんですか?」
「きゅろっ……?」
「ぷるぷる……?」
慌てて入って来たハンゾウにレイナ達は驚き、サンとクロミンは目を覚ますと、彼女は背中に背負っていたフラガラッハを引き抜いて焦った表情を浮かべていた。
「夜襲でござる!!何者かは分からないでござるが、唐突に陣内のあちこちで火の手が回っているでござる!!」
「夜襲!?」
「陣内で火事が起きたんですか!?」
「とにかく早く外へっ!!」
ハンゾウに促されるままにレイナ達は飛び出すと、彼女の言う通りに白狼騎士団が設営した陣のあちこちで火の手が回っていた。騎士達は慌てて水で消火作業を急ぎ、魔法を使える人間は風属性や水属性の魔法で火事を抑えようとしていた。
いったい何が起きているのかは不明だが、火事の方は陣の全体に広がろうとしており、このままでは大勢の被害者が生まれてしまう勢いだった。いったい何がどうなってこの状況に陥ったのか理解出来ないレイナだが、すぐに自分の力でどうにか出来ないのかを考える。
(何が起きてるんだ……!?いや、今はそれよりも火事を何とかしないと……そうだ、あの手を使うか!!)
火事を抑えるためにレイナは上空を見上げ、自分の鞄の中から二文字の道具を探し、そして家の鍵を取り出す。前に大迷宮にて自分の自宅を作り出した際、何かの際に役立つかと思って鞄の中に入れていた道具を取り出す。
(これを使って……上手くいけよ!!)
解析と文字変換の能力を同時に発動させてレイナは鍵の詳細画面を開き、名前を変更する。今回は時間との勝負なので成功するかどうかは深く考えず、文字を打ち込む際に用心して念じながら鍵を上空へと投げ飛ばした。
(火事が収まる程度の量だけ降ってくれ!!)
レイナが詳細画面に書き込んだ文字は「雨」であり、そのまま鍵は空中へと投げ出されて光り輝いた瞬間、徐々に雨雲へと変化を果たして白狼騎士団の陣内の上空へと広がる。騎士達は唐突に上空へ広がった黒雲に戸惑うが、やがて大量の雫が零れ落ちてきた。
「今から……降るよ!!」
「えっ!?ちょ、なんかその台詞危ない気が……ぶわっ!?」
「にゃうっ!?」
「きゅろっ!?」
「ぬあっ!?」
「ぷるぷるっ♪」
雨雲から大量の雨が降り注ぎ、陣内に燃え上がる炎が雨によって徐々に縮小化すると、やがて完全に消え去るまで時間は掛からなかった。唐突に振り出した大量の雨に騎士達は驚くが、結果的には雨のお陰で火事は収まり、時間的には数分程度ではあるが滝のように降り注いだ雨によって火事は収まる。
レイナ達はずぶぬれになってしまったが、一先ずは火事は収まり、騎士達に関しても被害は最小限で済んだ。雨が収まるころには騎士達も落ち着きを取り戻し、やがて団長であるリルの指示の元に騎士達は集められた。
「全員、無事か!!怪我をした人間がいるならすぐに治療させろ!!被害の状況を報告しろ!!」
「負傷者はこちらに集まれ!!回復薬を余分に所持している者も集まってくれ!!」
リルとチイが団員たちに指示を与えると、すぐに火事の負傷者は集められ、どうやら思っていた以上に負傷者は多かった。十数名の男女が火傷を負い、中には逃げ遅れたのか左半身が焼け焦げた騎士も存在した。そんな彼等にネコミンとリリスがレイナから受け取った魔法腕輪を装着して治療を試みる。
0
お気に入りに追加
974
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる