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獣人王国編
第201話 レアVSライオネル
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「勇者殿、本当にいいのか?このライオネルという男は間違いなく、武力という点ではこの国に並ぶ人間はおらん。それでも本気で戦うのか?」
「はい、問題ありません」
「ふん、威勢は良いな……よし、では外へ来い!!勇者とやらの実力、確かめさせてもらうぞ!!」
レアの言葉を聞いてライオネルは意気揚々と玉座の間を後にすると、レアもそれに続く。慌てて他の者達も後に続き、その様子を国王はため息を吐いて見送る――
――場所は王城内に存在する兵士の訓練場として利用されている広間へと移動すると、レアとライオネルが勝負するという話を聞きつけて多くの人間が集まっていた。この場に集まったのは殆どが将軍か大臣であり、その中にはリルの姿も存在した。
「父上、レア殿とライオネル将軍を戦わせるというのは本当ですか?」
「おお、リルか……いや、余は止めたのだが二人ともやる気のようでな。それにライオネルと戦う事を望んだのは勇者殿だ。余を責めるのは間違いだぞ」
「別に責めているわけではありませんが……」
「仕方ないですよ。レアさんも勇者としての実力を見せない限り、勇者として迎え入れるわけにもいきませんからね」
「しかし、レア殿は戦技も魔法も使えないのでは……」
「そんな物が使えなくても、補って余りある能力を持っているんという事ですよ」
勇者が戦うと聞いて城内の多くの人間が興味を抱き、職務を放棄して駆けつけてきた人間の中にはハンゾウやリリスの姿もあった。ネコミンは朝に弱いので眠っており、チイは真面目に仕事をしているのでこの場にはいない。正確に言えばレアが戦うと聞いてもどちらも微塵の心配はしておらず、ライオネルに彼が負けるとは思っていなかた。
既に二人は戦闘の準備を行い、ライオネルは鎧を脱いで軽装になると、両手に鍵爪を装着した。名工に作り出させた魔法金属製の鍵爪であり、岩程度ならば切り裂く切れ味を誇る。一方でレアの方はフラガラッハとエクスカリバーよりも知名度は低く、同時に外見の詳細が他の聖剣と違って細部までは知られていないアスカロンを背中に背負っていた。最もこちらの聖剣は殺傷能力が高すぎるので試合で使うつもりはないが。
「ふん、準備は出来たか?勇者殿?」
「ちょっと待ってください……はい、問題ありません」
「よし、では始めるぞ!!最初の攻撃は貴様に譲ってやる!!」
ライオネルは両腕を開くと、敢えてレアに攻撃を促す。その光景を見てレアの能力を知っているリルは噴き出しそうになってしまうが、何とかそれに耐えてレアに声援を送る。
「くくっ……れ、レア君!!君の勇者の力を見せつけてやれ!!」
「はあ……分かりました」
「ふん、どんな攻撃だろうとこの俺の肉体には通じんぞ!!」
ライオネルは自信ありげに腕を広げてレアの攻撃を待ち構えると、そんな彼に対してレアは「解析」を発動させた。
(解析……さて、どうしようかな?)
視界に表示された詳細画面を確認してレアは思い悩み、正直に言えばライオネルに勝つだけならば割と簡単な話だった。状態の項目の「健康」を別の文字に変えたり、あるいはレベルを上げるか下げる事でライオネルの肉体に成長痛か脱力感を与える事も出来る。
だが、今回の勝負は勇者としての実力を見せるための重要な試合である。そのためには大衆に派手に勝つ方が印象が良く、ここは敢えてレアはライオネルの希望通りに彼に攻撃を仕掛ける事にした。
(よし、これだ!!)
レアは左手の指先を詳細画面に近づけると、右の拳を構えてライオネルに狙いを定める。その行為に見学していた者達はまさか剣を抜かずにライオネルと戦うつもりなのかと目を見張るが、リルは彼等の様子を面白そうに見つめる。
(よく見ているといい……これが勇者の、いやレア君の力だ!!)
リルの考えが伝わったのかは分からないが、レアはライオネルに向けて動き出すと詳細画面の彼の状態の項目に指先を伸ばし、文字変換を発動させた。そして今回書き換えたのは「健康」から「腰痛」へと変化させると、画面が更新された瞬間にライオネルは苦痛の表情を浮かべた。
「ぐおおおおっ!?」
「はああああっ!!」
『おおっ!?』
ライオネルが激痛によって悲鳴を上げたが、傍から見る人間は接近するレアに対して威嚇の咆哮をしたようにしか見えない。しかし、彼が苦しんでいる事を見抜いたレアは拳を握り締めると、ここで固有能力の「硬化」を発動させる。
ケモノ王国へ訪れる前、ゴブリンの亜種を倒した際に手に入れた「硬化」の戦技は筋肉を圧縮する事で皮膚を硬くする戦技だが、レアの場合は拳を固めて発動を行う。更にレアは技能で「握力」を覚えており、この能力は握力を極限にまで高める効果を持つ。
「おらぁっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」
腰痛を引き起こしたライオネルの腹部に目掛けてレアは懐に飛び込むと、強烈な一撃をライオネルの肉体に放つ。その威力はすさまじく、ライオネルの身体に衝撃が走った。
「はい、問題ありません」
「ふん、威勢は良いな……よし、では外へ来い!!勇者とやらの実力、確かめさせてもらうぞ!!」
レアの言葉を聞いてライオネルは意気揚々と玉座の間を後にすると、レアもそれに続く。慌てて他の者達も後に続き、その様子を国王はため息を吐いて見送る――
――場所は王城内に存在する兵士の訓練場として利用されている広間へと移動すると、レアとライオネルが勝負するという話を聞きつけて多くの人間が集まっていた。この場に集まったのは殆どが将軍か大臣であり、その中にはリルの姿も存在した。
「父上、レア殿とライオネル将軍を戦わせるというのは本当ですか?」
「おお、リルか……いや、余は止めたのだが二人ともやる気のようでな。それにライオネルと戦う事を望んだのは勇者殿だ。余を責めるのは間違いだぞ」
「別に責めているわけではありませんが……」
「仕方ないですよ。レアさんも勇者としての実力を見せない限り、勇者として迎え入れるわけにもいきませんからね」
「しかし、レア殿は戦技も魔法も使えないのでは……」
「そんな物が使えなくても、補って余りある能力を持っているんという事ですよ」
勇者が戦うと聞いて城内の多くの人間が興味を抱き、職務を放棄して駆けつけてきた人間の中にはハンゾウやリリスの姿もあった。ネコミンは朝に弱いので眠っており、チイは真面目に仕事をしているのでこの場にはいない。正確に言えばレアが戦うと聞いてもどちらも微塵の心配はしておらず、ライオネルに彼が負けるとは思っていなかた。
既に二人は戦闘の準備を行い、ライオネルは鎧を脱いで軽装になると、両手に鍵爪を装着した。名工に作り出させた魔法金属製の鍵爪であり、岩程度ならば切り裂く切れ味を誇る。一方でレアの方はフラガラッハとエクスカリバーよりも知名度は低く、同時に外見の詳細が他の聖剣と違って細部までは知られていないアスカロンを背中に背負っていた。最もこちらの聖剣は殺傷能力が高すぎるので試合で使うつもりはないが。
「ふん、準備は出来たか?勇者殿?」
「ちょっと待ってください……はい、問題ありません」
「よし、では始めるぞ!!最初の攻撃は貴様に譲ってやる!!」
ライオネルは両腕を開くと、敢えてレアに攻撃を促す。その光景を見てレアの能力を知っているリルは噴き出しそうになってしまうが、何とかそれに耐えてレアに声援を送る。
「くくっ……れ、レア君!!君の勇者の力を見せつけてやれ!!」
「はあ……分かりました」
「ふん、どんな攻撃だろうとこの俺の肉体には通じんぞ!!」
ライオネルは自信ありげに腕を広げてレアの攻撃を待ち構えると、そんな彼に対してレアは「解析」を発動させた。
(解析……さて、どうしようかな?)
視界に表示された詳細画面を確認してレアは思い悩み、正直に言えばライオネルに勝つだけならば割と簡単な話だった。状態の項目の「健康」を別の文字に変えたり、あるいはレベルを上げるか下げる事でライオネルの肉体に成長痛か脱力感を与える事も出来る。
だが、今回の勝負は勇者としての実力を見せるための重要な試合である。そのためには大衆に派手に勝つ方が印象が良く、ここは敢えてレアはライオネルの希望通りに彼に攻撃を仕掛ける事にした。
(よし、これだ!!)
レアは左手の指先を詳細画面に近づけると、右の拳を構えてライオネルに狙いを定める。その行為に見学していた者達はまさか剣を抜かずにライオネルと戦うつもりなのかと目を見張るが、リルは彼等の様子を面白そうに見つめる。
(よく見ているといい……これが勇者の、いやレア君の力だ!!)
リルの考えが伝わったのかは分からないが、レアはライオネルに向けて動き出すと詳細画面の彼の状態の項目に指先を伸ばし、文字変換を発動させた。そして今回書き換えたのは「健康」から「腰痛」へと変化させると、画面が更新された瞬間にライオネルは苦痛の表情を浮かべた。
「ぐおおおおっ!?」
「はああああっ!!」
『おおっ!?』
ライオネルが激痛によって悲鳴を上げたが、傍から見る人間は接近するレアに対して威嚇の咆哮をしたようにしか見えない。しかし、彼が苦しんでいる事を見抜いたレアは拳を握り締めると、ここで固有能力の「硬化」を発動させる。
ケモノ王国へ訪れる前、ゴブリンの亜種を倒した際に手に入れた「硬化」の戦技は筋肉を圧縮する事で皮膚を硬くする戦技だが、レアの場合は拳を固めて発動を行う。更にレアは技能で「握力」を覚えており、この能力は握力を極限にまで高める効果を持つ。
「おらぁっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」
腰痛を引き起こしたライオネルの腹部に目掛けてレアは懐に飛び込むと、強烈な一撃をライオネルの肉体に放つ。その威力はすさまじく、ライオネルの身体に衝撃が走った。
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