解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
198 / 367
獣人王国編

第196話 国王の狙い

しおりを挟む
「滋養強壮の効果が強い料理だと何か問題があるのでござるか?別に身体に悪い影響を与えるとは思えないでござるが……」
「ふっ……これだからハンゾウは子供」
「何をっ!?ネコミン殿だって拙者とそう変わらないではないでござるか!!」
「こら、声を抑えろ……聞き耳を立てられていたらどうする?」


人間よりも聴覚が鋭い獣人族ならば扉越しに部屋の中の様子を音で知られる可能性もあり、出来る限り声を抑えてレア達は話し合う。この状況で使用人の中でも若く、容姿が整った女性達を向かわせ、更に食事が滋養強壮の高い料理を用意する辺り、国王の目的が伺えた。


「大方、レアさんに滋養強壮の効果がたっぷりの料理を食べさせた後、女性使用人達に世話をさせてあわよくばレアさんの方から女性使用人に手を出させようとしたんでしょうね。さっきの人達の服装も見てました?露出が多い恰好をしてたでしょう?」
「そういえばそうだったような……でも、どうしてそんな事を」
「恐らく、肉体関係を築いた相手がいればこの国からレアさんが離れがたい状況を作り出します。それにもしもレアさんの子供が授かれば国にとっても大きな利益になりますからね。昔から勇者の子孫は優秀な方ばかりですから……」
「子供を利益って……なんか、嫌な言い方だな」
「まあ、今の言い方は私が悪かったですね。ですけど、国王が勇者であるレアさんを歓迎するように見せかけてこの国から離れさせないようにしているのは事実です」
「むうっ……という事はレアがここにいる間は女の人にもてもて?」
「う~ん……こんな形でもてもてと言われても嬉しくないな」


勇者という存在を引き留めるため、配下とはいえ女性使用人を送り込んできた国王のやり方にレアは眉を顰めるが、国王としては国の利益のために勇者であるレアはどうしても国に留めておきたいのだろう。方法はともかく、他の国に渡したくないという気持ちはリル達も同じである。

だが、今後も城にいる間は女性使用人に誘惑されたり、あるいは食事に精力剤のような効果を持つ料理を用意され続けるのはレアの精神的にも辛い。そこでリリスは早急に手を打った方が良いと考え、リルに顔を向けた。


「王女さん、こうなる事はもう予測してたんでしょう?ここへ来る前にもう良い方法を考えてるんじゃないですか?」
「ふっ……お見通しだったか。流石は軍師だ」
「リル様、何か思いついたのですか?」


リルの意味深な表情に良案があるのかと全員が顔を向けると、リルは頷いて部屋の中の面子を振り返る。そこにはリルが集めた美少女たちが勢ぞろいしており、彼女達を利用してリルはとんでもない作戦を語る――





――その日の夜、国王の命令によって深夜を迎えた時刻に王城内でも綺麗どころの女性の使用人が集まり、中にはわざわざ城下町から呼び寄せた娼婦も存在した。彼女達はレアの部屋の前に集まり、誰が最初に入るのかを話し合う。


「ここに勇者様がいらっしゃるわ……それで、まずは最初にお相手するのは誰かしら?」
「その前に聞きたい事があるのだけど……本当に勇者様と関係を結んで子供が出来たら手厚く出迎えてくれるのよね?」
「国王様が直々に言ってくださったのよ。もしも勇者様と子供が出来た物は貴族に取り立てるとね……それに勇者様の顔立ちを見たでしょう?ちょっと女っぽいけど、中々綺麗な顔をしてたわ」
「ええ、お姉さんもそそられるわ……年齢も若いし、一番の食べごろね」


この場に集まった女性達は国王に命令され、強制的に集められたわけではなく、自分達の意思で訪れてきた者達ばかりである。レアは顔立ちは女性のようだが、逆に言えば綺麗な顔をしており、しかも年齢が若いという点もあって年下好きの女性からは人気が高かった。

相手は勇者というだけもあり、国王も彼との子供が出来た女性は貴族にして迎え入れると約束してくれた。千載一遇の好機に数多くの女性が希望するが、その中でも綺麗所の5名を集めて彼女達をレアの使用人として送り込んだのだ。


「さて、それじゃあ誰が最初に入る?あの料理を食べたのならきっと今頃は眠れずにベッドの中で悶えているはずよ」
「ふふっ……もしかしたら我慢出来ずにもう自分で致してるかもしれないわね」
「それは駄目よ!!そんな事をしたら無駄な体力を使っちゃうじゃない!!」
「落ち着きなさいよ、こうなったら全員で行くのはどうかしら?これだけの面子なら、きっと勇者様の好みの人もいるはずよ」
「それもそうね、じゃあ中に……ん?ちょっと待って、何か声が聞こえない?」


女性の一人が鍵を用意して開けようとすると、中の方から声が聞こえ、聞き耳を立てる。すると何故かレアではなく、複数人の女性の声も聞こえてきた。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

処理中です...