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獣人王国編
第197話 女たらし勇者
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『やん、駄目ぇっ……』
『や、止めろぉっ……こんな事、駄目だぁっ……』
扉越しに聞こえてきた声は勇者であるレアと、他に数名の女性の声が聞こえてきた。女性使用人達は疑問を抱いて扉に耳を押し当てると、中から聞こえてくる声に聞き覚えがあった。
「ねえ、これってもしかしてリル王女様に仕えている騎士団の人達の声じゃないの?」
「そんなまさか……あの娘達は女好きのリル様が連れて来た娘達よ?それがどうして……」
「というよりもこの喘ぎ声……まさか、抜け駆けされたんじゃないの?」
『えっ!?』
娼婦の女性は少し興奮気味に扉に耳を押し当て、他の者達も慌てて中の様子を探るために聞き耳を立てると、今度はレアの声も聞こえてきた。
『二人とも、そんな事を言う割には嫌がってるようには見えないよ』
『あん、そこはふにふにしないで……』
『くっ……だ、駄目だ。そこだけは、リル様にも許してないのに……』
『ほらほら、こうやって摩るだけでも気持ちいんでしょ?』
『にゃうっ……き、気持ちいい』
『ああっ……き、きちゃう』
聞こえてくるチイとネコミンの声は妙に色気を感じさせ、悶えるような声を上げていた。ここまで聞き耳を立てていた女性使用人達は頬を赤く染め、可愛い顔をしながら二人を攻め立てていると思われるレアに胸を高鳴らせる。
「あ、あの勇者様……意外と積極的なのね。ちょっと意外だわ……」
「いいわ、お姉さん的には年下に責められるのは大好きよ……でも、まさか白狼騎士団の女の子に手を出すなんてやるわね」
「ま、まずいんじゃないの?リル様にこの事を知られたら……」
「と、ともかくもう少し様子を伺いましょう」
女性使用人達は仕事半分、興味半分で聞き耳を立てていると、今度は3人以外の気配も存在し、新しい声が加わった。
『あん、そ、そこは駄目でござる……』
『くっ、ころぉっ……(棒読み)』
『いや、リリスさん……それ違うと思う』
今度聞こえてきたのは城内に勤務しているはずの「ハンゾウ」と「リリス」の声も加わり、ここで女性使用人達も驚きのあまりに壁際から離れてしまう。まさかチイとネコミンだけではなく、ハンゾウとリリスにまで手を出していたのかと動揺する。
「ど、どうしてあの二人まで……まさか、4人も同時に相手をしているの!?」
「け、獣だわ……この中にいるのは勇者様じゃない、勇者の皮を被った獣よ!!」
「うふふっ……流石に弧の様子だと中に入るのは無理そうね。お邪魔になっちゃう……」
「そ、そうね……とりあえず、この事は国王様に報告するべきかしら?」
「……どんな風に報告すればいいのよ?」
――女性使用人達は中に入れる様子ではないと悟り、仕方なく引き返す事にした。その様子を柱の陰から伺っていた「リル」は確認すると、誰もいなくなった部屋の前に移動して扉を開く。
「作戦は上手くいった。皆、名演技だったよ」
「うりうりっ……皆、ここが弱いんでしょ」
「やあっ……尻尾を虐めちゃ駄目ぇっ」
「み、耳をも弄るなぁっ……」
「あうっ……そこは恥ずかしいでござる」
「いや、駄目ぇっ……私にエロい事をするんでしょ。エロ本みたいに(棒読み)」
「きゅろろっ?」
「ぷるぷるっ……」
リルが扉を開くと、そこにはネコミンの尻尾を掴み、チイの獣耳に息を吹きかけ、ハンゾウの猫耳を弄るレアの姿が存在した。リリスだけは3人から離れて台本を棒読みしており、その様子を見てリルは自分が思いついた作戦なのだが、少し呆れた表情を浮かべる。
「全く、まさかここまで上手くいくとは……だが、これで彼女達がレア君と私の騎士団の隊員たちが関係を結んでいると勘違いしてくれるだろう。そうなればもう陛下も迂闊に手を出せないはずだ」
「あの、これで本当に上手くいくんですか?」
「問題はないさ。この城の誰かが君と関係を持てば陛下も君がケモノ王国から抜け出す事はないと思うだろう。それに一人で既に数名の女子を手籠めにしたという噂が流れれば君の事を狙う女性も減るだろう。この国では王族以外は基本的に一夫一妻制だからね、女たらしは嫌われるんだよ」
「それはそれで問題があると思うんですけど……」
「まあ、そればかりは我慢してくれ。それともレア君は勇者としてもてはやされたいかい?」
「う~ん……そういわれるとあんまり嬉しくはないですね」
レアは今更勇者として崇められても反応に困り、正直に言えば今まで通りにリル達と行動を共にする方が気が休まる。そう考えれば今回の作戦はどうしても必要な事であり、女たらしという噂が広がればレアに近付く女性は一気に減るだろう。
逆に言えば悪名が広がればレアを疎む存在も現れるだろうが、仮にも勇者であるレアがぞんざいに扱われる事は無い。ヒトノ帝国の時とは違い、レアは王女であるリルを味方にしている以上は他の者達に侮られる事はなく、国王もギャンの一件でレアに対して負い目を感じている。そう考えれば今後の事を考えてリルの騎士団の女性達と関係を持っていると周囲に思わせておくほうが何かと都合が良かった。
『や、止めろぉっ……こんな事、駄目だぁっ……』
扉越しに聞こえてきた声は勇者であるレアと、他に数名の女性の声が聞こえてきた。女性使用人達は疑問を抱いて扉に耳を押し当てると、中から聞こえてくる声に聞き覚えがあった。
「ねえ、これってもしかしてリル王女様に仕えている騎士団の人達の声じゃないの?」
「そんなまさか……あの娘達は女好きのリル様が連れて来た娘達よ?それがどうして……」
「というよりもこの喘ぎ声……まさか、抜け駆けされたんじゃないの?」
『えっ!?』
娼婦の女性は少し興奮気味に扉に耳を押し当て、他の者達も慌てて中の様子を探るために聞き耳を立てると、今度はレアの声も聞こえてきた。
『二人とも、そんな事を言う割には嫌がってるようには見えないよ』
『あん、そこはふにふにしないで……』
『くっ……だ、駄目だ。そこだけは、リル様にも許してないのに……』
『ほらほら、こうやって摩るだけでも気持ちいんでしょ?』
『にゃうっ……き、気持ちいい』
『ああっ……き、きちゃう』
聞こえてくるチイとネコミンの声は妙に色気を感じさせ、悶えるような声を上げていた。ここまで聞き耳を立てていた女性使用人達は頬を赤く染め、可愛い顔をしながら二人を攻め立てていると思われるレアに胸を高鳴らせる。
「あ、あの勇者様……意外と積極的なのね。ちょっと意外だわ……」
「いいわ、お姉さん的には年下に責められるのは大好きよ……でも、まさか白狼騎士団の女の子に手を出すなんてやるわね」
「ま、まずいんじゃないの?リル様にこの事を知られたら……」
「と、ともかくもう少し様子を伺いましょう」
女性使用人達は仕事半分、興味半分で聞き耳を立てていると、今度は3人以外の気配も存在し、新しい声が加わった。
『あん、そ、そこは駄目でござる……』
『くっ、ころぉっ……(棒読み)』
『いや、リリスさん……それ違うと思う』
今度聞こえてきたのは城内に勤務しているはずの「ハンゾウ」と「リリス」の声も加わり、ここで女性使用人達も驚きのあまりに壁際から離れてしまう。まさかチイとネコミンだけではなく、ハンゾウとリリスにまで手を出していたのかと動揺する。
「ど、どうしてあの二人まで……まさか、4人も同時に相手をしているの!?」
「け、獣だわ……この中にいるのは勇者様じゃない、勇者の皮を被った獣よ!!」
「うふふっ……流石に弧の様子だと中に入るのは無理そうね。お邪魔になっちゃう……」
「そ、そうね……とりあえず、この事は国王様に報告するべきかしら?」
「……どんな風に報告すればいいのよ?」
――女性使用人達は中に入れる様子ではないと悟り、仕方なく引き返す事にした。その様子を柱の陰から伺っていた「リル」は確認すると、誰もいなくなった部屋の前に移動して扉を開く。
「作戦は上手くいった。皆、名演技だったよ」
「うりうりっ……皆、ここが弱いんでしょ」
「やあっ……尻尾を虐めちゃ駄目ぇっ」
「み、耳をも弄るなぁっ……」
「あうっ……そこは恥ずかしいでござる」
「いや、駄目ぇっ……私にエロい事をするんでしょ。エロ本みたいに(棒読み)」
「きゅろろっ?」
「ぷるぷるっ……」
リルが扉を開くと、そこにはネコミンの尻尾を掴み、チイの獣耳に息を吹きかけ、ハンゾウの猫耳を弄るレアの姿が存在した。リリスだけは3人から離れて台本を棒読みしており、その様子を見てリルは自分が思いついた作戦なのだが、少し呆れた表情を浮かべる。
「全く、まさかここまで上手くいくとは……だが、これで彼女達がレア君と私の騎士団の隊員たちが関係を結んでいると勘違いしてくれるだろう。そうなればもう陛下も迂闊に手を出せないはずだ」
「あの、これで本当に上手くいくんですか?」
「問題はないさ。この城の誰かが君と関係を持てば陛下も君がケモノ王国から抜け出す事はないと思うだろう。それに一人で既に数名の女子を手籠めにしたという噂が流れれば君の事を狙う女性も減るだろう。この国では王族以外は基本的に一夫一妻制だからね、女たらしは嫌われるんだよ」
「それはそれで問題があると思うんですけど……」
「まあ、そればかりは我慢してくれ。それともレア君は勇者としてもてはやされたいかい?」
「う~ん……そういわれるとあんまり嬉しくはないですね」
レアは今更勇者として崇められても反応に困り、正直に言えば今まで通りにリル達と行動を共にする方が気が休まる。そう考えれば今回の作戦はどうしても必要な事であり、女たらしという噂が広がればレアに近付く女性は一気に減るだろう。
逆に言えば悪名が広がればレアを疎む存在も現れるだろうが、仮にも勇者であるレアがぞんざいに扱われる事は無い。ヒトノ帝国の時とは違い、レアは王女であるリルを味方にしている以上は他の者達に侮られる事はなく、国王もギャンの一件でレアに対して負い目を感じている。そう考えれば今後の事を考えてリルの騎士団の女性達と関係を持っていると周囲に思わせておくほうが何かと都合が良かった。
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