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獣人王国編
第193話 新たな聖剣の所有者
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「ど、どういう事だ!?所持者を変更など……そんな事まで出来るのか?」
「ま、待ってくれ。なら、この聖剣はもうレア君の物じゃないのか?」
「そうなりますね……あ、じゃあハンゾウさんに渡します」
「拙者に!?いや、急に渡されても……」
「ハンゾウが聖剣の所有者……という事は女騎士から女勇者に進化した」
「きゅろっ?」
「ぷるぷるっ(なんてこったい)」
「はいはい、落ち着いてください皆さん」
あっさりと聖剣を渡そうとするレアにハンゾウは戸惑う中、ここでリリスが全員を落ち着かせるために掌を叩くと、まずは本当に聖剣の力を扱えるのかをハンゾウに試させた。
「ハンゾウ、まずはその聖剣を確かめてください。聖剣としての機能が扱えるのならば武器として使用しても拒絶反応は怒らないはずですから」
「そういわれても……も、もしも拒絶反応が起きた場合はどうするのでござる?」
「その時はネコミンさんに直してもらってください。ほら、金平糖をあげるからやっちゃってください」
「しょうがないでござるな……」
「え、金平糖で従うの?」
「ハンゾウの好物、大抵の事は金平糖をあげればしてくれる」
リリスの言葉にハンゾウはレアからフラガラッハを受け取ると、まずは触れた段階では拒絶反応が起きなかった事に安心する。ちなみにこの拒絶反応というのは聖剣の場合、所有者の許可なく他の者が触れようとした場合、あるいは武器として使おうとした時は拒絶反応と呼ばれる現象が起きる。
かつてレアは聖剣を魔物に奪われそうになった時、魔物は柄に触れた瞬間に炎が身体に纏わりついて焼き尽くされてしまう。聖剣の場合は所有者以外の人物が悪意を抱いて触れようとするとこの拒絶反応を引き起こし、下手をしたら死にかねない事態に陥る。ちなみに過去にリルもフラガラッハを使おうとして両手に火傷を負った事もあり、その傷は回復魔法でも完全に治る事は出来なかった。
「ううっ……本当に大丈夫でござるか?」
「大丈夫ですって、伝承では身体を炎に焼き尽くされる場合もあるそうですけど……」
「何故、それを今言うのでござるか!?全然大丈夫ではないではござらんか!!」
「いいからさっさと振ってくださいよ。ほら、ひっとふり、ひっとふり♪」
「そんな宴会の時に一気飲みさせる友達みたいなノリで言わないで欲しいでござる!!」
「あの、別に無理に使う必要はないかと……」
怯えた様子で聖剣を使おうとしないハンゾウを見てレアは助け舟を出そうとするが、彼女は首を振ってしっかりと聖剣を握り締める。
「い、いや……これも金平糖のため!!拙者はやるでござる!!」
「金平糖のために命を賭けるんですか!?どれだけ金平糖が好きなんですか!!」
「せいやぁっ!!」
レアの制止を振り切ると、ハンゾウは気合の雄たけびと共にフラガラッハを振り下ろす。その結果、彼女の前に存在した長机が切り裂かれ、見事に真っ二つに切り裂かれた机が床に倒れ込む。その様子を見たレア達は呆気に取られるが、一方でハンゾウの方はフラガラッハを見て唖然とした。
彼女は間違いなくフラガラッハを武器として使用したにも関わらず、拒絶反応が引き起こされる様子はない。それどころかハンゾウはフラガラッハを持ち上げると、その場で何度か聖剣を空振りするが、何も起きない。
「お、おおっ……こ、これは凄いでござる。最初は分からなかったでござるが、この剣を持っているとまるで力が湧いてくるような気がするでござる」
「恐らく、それが攻撃力3倍増の効果ですね。ですけど、まさかこれほどの切れ味を誇るとは……」
「というか、机が切れちゃったよ……どうしよう、これ俺のために用意してくれた机ですよね」
「まあ、そこは私が上手く誤魔化しておくさ……それにしてもまさかあの聖剣をハンゾウが扱うとは……」
ハンゾウは聖剣を手にしたまま立ち尽くし、他の者達も動揺を隠せない。しかし、所有者の名前を変更する事を提案したリリスはここである疑問を抱く。
「でも、気になる事があるとすればこれは本当にハンゾウだけが聖剣を扱えるんですかね?」
「え?どういう意味?」
「いえ、あくまでもレアさんの行動は所有者の名前を変更させだけですよね?その結果としてハンゾウは聖剣を扱えるようになったんですけど、もしも他にハンゾウと同じ名前の人が使ったらどうなるかと思って……」
『あっ……』
リリスの言葉に他の者達もその考えは思いつかず、他に「ハンゾウ」という名前の人物が聖剣に触れた場合はどうなるのか分からなかった。通常、所有者が同名の人間が居たとしても普通ならば本来の所有者以外には扱えない。だが、今回の場合は本来の所有者であるレアが所有者名を「ハンゾウ」と変化させたため、この場合はレアが知り合った「ハンゾウ」だけが扱えるのか、あるいはハンゾウという名前の人だけが扱えるのかは定かではない。
「ま、待ってくれ。なら、この聖剣はもうレア君の物じゃないのか?」
「そうなりますね……あ、じゃあハンゾウさんに渡します」
「拙者に!?いや、急に渡されても……」
「ハンゾウが聖剣の所有者……という事は女騎士から女勇者に進化した」
「きゅろっ?」
「ぷるぷるっ(なんてこったい)」
「はいはい、落ち着いてください皆さん」
あっさりと聖剣を渡そうとするレアにハンゾウは戸惑う中、ここでリリスが全員を落ち着かせるために掌を叩くと、まずは本当に聖剣の力を扱えるのかをハンゾウに試させた。
「ハンゾウ、まずはその聖剣を確かめてください。聖剣としての機能が扱えるのならば武器として使用しても拒絶反応は怒らないはずですから」
「そういわれても……も、もしも拒絶反応が起きた場合はどうするのでござる?」
「その時はネコミンさんに直してもらってください。ほら、金平糖をあげるからやっちゃってください」
「しょうがないでござるな……」
「え、金平糖で従うの?」
「ハンゾウの好物、大抵の事は金平糖をあげればしてくれる」
リリスの言葉にハンゾウはレアからフラガラッハを受け取ると、まずは触れた段階では拒絶反応が起きなかった事に安心する。ちなみにこの拒絶反応というのは聖剣の場合、所有者の許可なく他の者が触れようとした場合、あるいは武器として使おうとした時は拒絶反応と呼ばれる現象が起きる。
かつてレアは聖剣を魔物に奪われそうになった時、魔物は柄に触れた瞬間に炎が身体に纏わりついて焼き尽くされてしまう。聖剣の場合は所有者以外の人物が悪意を抱いて触れようとするとこの拒絶反応を引き起こし、下手をしたら死にかねない事態に陥る。ちなみに過去にリルもフラガラッハを使おうとして両手に火傷を負った事もあり、その傷は回復魔法でも完全に治る事は出来なかった。
「ううっ……本当に大丈夫でござるか?」
「大丈夫ですって、伝承では身体を炎に焼き尽くされる場合もあるそうですけど……」
「何故、それを今言うのでござるか!?全然大丈夫ではないではござらんか!!」
「いいからさっさと振ってくださいよ。ほら、ひっとふり、ひっとふり♪」
「そんな宴会の時に一気飲みさせる友達みたいなノリで言わないで欲しいでござる!!」
「あの、別に無理に使う必要はないかと……」
怯えた様子で聖剣を使おうとしないハンゾウを見てレアは助け舟を出そうとするが、彼女は首を振ってしっかりと聖剣を握り締める。
「い、いや……これも金平糖のため!!拙者はやるでござる!!」
「金平糖のために命を賭けるんですか!?どれだけ金平糖が好きなんですか!!」
「せいやぁっ!!」
レアの制止を振り切ると、ハンゾウは気合の雄たけびと共にフラガラッハを振り下ろす。その結果、彼女の前に存在した長机が切り裂かれ、見事に真っ二つに切り裂かれた机が床に倒れ込む。その様子を見たレア達は呆気に取られるが、一方でハンゾウの方はフラガラッハを見て唖然とした。
彼女は間違いなくフラガラッハを武器として使用したにも関わらず、拒絶反応が引き起こされる様子はない。それどころかハンゾウはフラガラッハを持ち上げると、その場で何度か聖剣を空振りするが、何も起きない。
「お、おおっ……こ、これは凄いでござる。最初は分からなかったでござるが、この剣を持っているとまるで力が湧いてくるような気がするでござる」
「恐らく、それが攻撃力3倍増の効果ですね。ですけど、まさかこれほどの切れ味を誇るとは……」
「というか、机が切れちゃったよ……どうしよう、これ俺のために用意してくれた机ですよね」
「まあ、そこは私が上手く誤魔化しておくさ……それにしてもまさかあの聖剣をハンゾウが扱うとは……」
ハンゾウは聖剣を手にしたまま立ち尽くし、他の者達も動揺を隠せない。しかし、所有者の名前を変更する事を提案したリリスはここである疑問を抱く。
「でも、気になる事があるとすればこれは本当にハンゾウだけが聖剣を扱えるんですかね?」
「え?どういう意味?」
「いえ、あくまでもレアさんの行動は所有者の名前を変更させだけですよね?その結果としてハンゾウは聖剣を扱えるようになったんですけど、もしも他にハンゾウと同じ名前の人が使ったらどうなるかと思って……」
『あっ……』
リリスの言葉に他の者達もその考えは思いつかず、他に「ハンゾウ」という名前の人物が聖剣に触れた場合はどうなるのか分からなかった。通常、所有者が同名の人間が居たとしても普通ならば本来の所有者以外には扱えない。だが、今回の場合は本来の所有者であるレアが所有者名を「ハンゾウ」と変化させたため、この場合はレアが知り合った「ハンゾウ」だけが扱えるのか、あるいはハンゾウという名前の人だけが扱えるのかは定かではない。
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