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獣人王国編
第188話 国王の判断
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「わ、私は城内にて怪しい人物を発見し、その男を捕まえてここへ閉じ込めたのです!!確かに正体を確かめために些か乱暴に扱ったのは事実ですが……」
「苦しい言い訳だな、だがそれは通じないぞ。この二人に見覚えはあるだろう?」
「お、お前達はっ!?」
リルが自分達の後ろに存在する二人の兵士を呼び寄せると、彼等の顔を見たギャンは目を見開く。それはチイに命じられ、城内の案内役を任された門番の兵士達だった。彼等はギャンの前に出ると、リルに質問される。
「チイ、お前はこの二人に勇者殿を先に城内へ案内するように命じた。それは確かだな?」
「はい!!確かに私はこの二人に命じました!!」
「それは本当なのか?」
「は、はい……我々はチイ副団長から命令を受け、勇者様の案内役を行いました!!」
「ですがその途中、ギャン宰相が現れて自分が勇者殿を案内すると言われ、元の仕事に戻るように命じられました!!」
「き、貴様等……!!」
「ギャン、お主は勇者殿だと知っておきながらこのような場所に閉じ込め、そればかりは痛めつけていたというのか!?」
レアの背中の傷跡、兵士の証言を受けて国王はギャンの言い訳が嘘で会った事を見抜くと、激しい怒りを抱く。いくら教育係として昔から面倒を見てくれたギャンと言えども今回の件ばかりは許すわけにはいかなかった。
仮にも他国から連れ帰って来た勇者をぞんざいに扱い、しかも自分に対して虚偽の報告を行ったギャンに国王は許す事が出来ない。それでもギャンは必死に彼の膝に縋りついて許しを請う。
「お許しください国王様、私が間違っておりました!!ですが、どうか話だけでも……」
「ええい、今更貴様の言葉など信じられん!!お前達、この者を牢に放り込め!!」
「えっ!?ギャン宰相をですか?」
「そうだ!!いう事を聞かなければお主達も同罪とみなして牢に入れるぞ!!」
「陛下、これは王女の罠です!!私は嵌められたのです!!どうか信じてください!!」
「やかましい!!しばらくの間はその牢屋で大人しくしておれ!!」
国王は兵士に命じてギャンを牢に閉じ込めるように命じると、彼の側近の兵士は我に返ったように慌ててギャンを牢の中に閉じ込める。最後までギャンはわめきたてたが、状況的に考えても彼の無実は証明されるはずがない。
その一方で事の始終を見ていたレアは安堵するが、ここで痛みを覚えて顔をしかめる。だが、国王達の前で文字変換の能力を使って傷の治療が出来ないため、しばらくの間は我慢するしかないかと思われた時、ここでリルが声を掛ける。
「ネコミン、まずは勇者殿の背中を治してくれ」
「うん、レア……じゃなくて勇者様、背中を見せて?」
「え?あ、うん……」
言われるがままにレアは背中を見せると、ネコミンは両手を構えて意識を集中させるように瞼を閉じる。数秒後、彼女の手のひらに青白い光が放たれると、レアの背中に異変が生じた。
「にゃああっ……」
「ほわぁっ!?」
背中の傷跡にネコミンの両手から放たれる光が照らされた瞬間、鞭で打たれた傷が徐々に治り始め、十数秒後には完全に傷跡は消え去ってしまう。自分の背中の痛みが消えた事にレアは驚き、ここでネコミンが「治癒魔導士」である事を思い出す。
(これがこの世界の回復魔法なのか……驚いたな)
嘘のように痛みが引いて元通りになった背中にレアは戸惑う一方、ネコミンの方は額に汗を流し、一仕事を終えたようにやり切った表情を浮かべる。
「ふうっ……久々だったから時間が掛かった。でも、これでもう大丈夫」
「あ、ありがとうネコミン……」
「勇者殿、この度の件は真にすまなかった……まさか、我が臣下がこのような凶行に走るとは、許して欲しい」
傷が治ったのを確認すると、国王がその場でレアの腕を掴んで頭を下げ、本当に申し訳なそうな表情を浮かべる。リルからは気弱な性格だと聞いていたが、間違いを犯した家臣の不始末を率先して謝る態度にレアは意外に思う。
「いえ、もう大丈夫ですから……でも、まさか城に来て早々にこんな目に遭うとは思いませんでした」
「本当にすまない……まさか我が国の宰相がこんな男だっとは、全ての責任はこの男に宰相という重要なくらいを任せていた余の責任である。どうか、お許し下さい」
国王の謝罪に対してレアは少しだけ嫌味を告げると、国王はレアの腕を離して深々と頭を下げた。その様子をみた他の大臣たちが慌てふためく。
「こ、国王様!!頭をお上げください!!」
「そうですぞ、いくら相手が勇者だからといって、国王様がみだりに頭を下げては威信に関わります!!」
「愚か者共がっ!!そんな見栄や外聞を気にしている場合か!?我が国の家臣が間違いを起こしたのだ、ならば王である余が謝罪するのが道理であろう!!」
家臣達の言葉を聞いて国王は怒鳴りつけると、その国王の姿を見てリルも意外に思ったらしく、国王の対応に感心した表情を浮かべる。気弱でギャンに利用されるだけの国王だと思っていたが、配下の間違いに対して王である自分が謝罪して責任を取る行為は素直に感心した。
「苦しい言い訳だな、だがそれは通じないぞ。この二人に見覚えはあるだろう?」
「お、お前達はっ!?」
リルが自分達の後ろに存在する二人の兵士を呼び寄せると、彼等の顔を見たギャンは目を見開く。それはチイに命じられ、城内の案内役を任された門番の兵士達だった。彼等はギャンの前に出ると、リルに質問される。
「チイ、お前はこの二人に勇者殿を先に城内へ案内するように命じた。それは確かだな?」
「はい!!確かに私はこの二人に命じました!!」
「それは本当なのか?」
「は、はい……我々はチイ副団長から命令を受け、勇者様の案内役を行いました!!」
「ですがその途中、ギャン宰相が現れて自分が勇者殿を案内すると言われ、元の仕事に戻るように命じられました!!」
「き、貴様等……!!」
「ギャン、お主は勇者殿だと知っておきながらこのような場所に閉じ込め、そればかりは痛めつけていたというのか!?」
レアの背中の傷跡、兵士の証言を受けて国王はギャンの言い訳が嘘で会った事を見抜くと、激しい怒りを抱く。いくら教育係として昔から面倒を見てくれたギャンと言えども今回の件ばかりは許すわけにはいかなかった。
仮にも他国から連れ帰って来た勇者をぞんざいに扱い、しかも自分に対して虚偽の報告を行ったギャンに国王は許す事が出来ない。それでもギャンは必死に彼の膝に縋りついて許しを請う。
「お許しください国王様、私が間違っておりました!!ですが、どうか話だけでも……」
「ええい、今更貴様の言葉など信じられん!!お前達、この者を牢に放り込め!!」
「えっ!?ギャン宰相をですか?」
「そうだ!!いう事を聞かなければお主達も同罪とみなして牢に入れるぞ!!」
「陛下、これは王女の罠です!!私は嵌められたのです!!どうか信じてください!!」
「やかましい!!しばらくの間はその牢屋で大人しくしておれ!!」
国王は兵士に命じてギャンを牢に閉じ込めるように命じると、彼の側近の兵士は我に返ったように慌ててギャンを牢の中に閉じ込める。最後までギャンはわめきたてたが、状況的に考えても彼の無実は証明されるはずがない。
その一方で事の始終を見ていたレアは安堵するが、ここで痛みを覚えて顔をしかめる。だが、国王達の前で文字変換の能力を使って傷の治療が出来ないため、しばらくの間は我慢するしかないかと思われた時、ここでリルが声を掛ける。
「ネコミン、まずは勇者殿の背中を治してくれ」
「うん、レア……じゃなくて勇者様、背中を見せて?」
「え?あ、うん……」
言われるがままにレアは背中を見せると、ネコミンは両手を構えて意識を集中させるように瞼を閉じる。数秒後、彼女の手のひらに青白い光が放たれると、レアの背中に異変が生じた。
「にゃああっ……」
「ほわぁっ!?」
背中の傷跡にネコミンの両手から放たれる光が照らされた瞬間、鞭で打たれた傷が徐々に治り始め、十数秒後には完全に傷跡は消え去ってしまう。自分の背中の痛みが消えた事にレアは驚き、ここでネコミンが「治癒魔導士」である事を思い出す。
(これがこの世界の回復魔法なのか……驚いたな)
嘘のように痛みが引いて元通りになった背中にレアは戸惑う一方、ネコミンの方は額に汗を流し、一仕事を終えたようにやり切った表情を浮かべる。
「ふうっ……久々だったから時間が掛かった。でも、これでもう大丈夫」
「あ、ありがとうネコミン……」
「勇者殿、この度の件は真にすまなかった……まさか、我が臣下がこのような凶行に走るとは、許して欲しい」
傷が治ったのを確認すると、国王がその場でレアの腕を掴んで頭を下げ、本当に申し訳なそうな表情を浮かべる。リルからは気弱な性格だと聞いていたが、間違いを犯した家臣の不始末を率先して謝る態度にレアは意外に思う。
「いえ、もう大丈夫ですから……でも、まさか城に来て早々にこんな目に遭うとは思いませんでした」
「本当にすまない……まさか我が国の宰相がこんな男だっとは、全ての責任はこの男に宰相という重要なくらいを任せていた余の責任である。どうか、お許し下さい」
国王の謝罪に対してレアは少しだけ嫌味を告げると、国王はレアの腕を離して深々と頭を下げた。その様子をみた他の大臣たちが慌てふためく。
「こ、国王様!!頭をお上げください!!」
「そうですぞ、いくら相手が勇者だからといって、国王様がみだりに頭を下げては威信に関わります!!」
「愚か者共がっ!!そんな見栄や外聞を気にしている場合か!?我が国の家臣が間違いを起こしたのだ、ならば王である余が謝罪するのが道理であろう!!」
家臣達の言葉を聞いて国王は怒鳴りつけると、その国王の姿を見てリルも意外に思ったらしく、国王の対応に感心した表情を浮かべる。気弱でギャンに利用されるだけの国王だと思っていたが、配下の間違いに対して王である自分が謝罪して責任を取る行為は素直に感心した。
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