解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

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獣人王国編

第189話 処罰

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「こ、国王様っ……私は、儂は!!貴方を王にしたのですぞ!?その儂を閉じ込めるというのか!?」
「……お前には感謝している。だが、だからといって余はお前を自由にさせ過ぎたようだ」
「くぅっ……どうか、どうかご慈悲を!!」
「やかましい!!貴様は……もう貴様は宰相ではない!!全ての身分を剥ぎ、平民に落とす!!」
「国王様!?」


自分から宰相の座を奪うという言葉にギャンは目を見開くが、国王はそれ以上は何も言わずに黙って階段を登る。他の者達もそれに続き、最後にレアは振り返ると、一言だけ告げた。


「あんたの負けだよ……元宰相」
「き、貴様ぁあああっ!!」


レアの一言を聞いてギャンは鉄格子にしがみつくが、哀れな視線を向けた後にレアは階段を上がった――





――その後の出来事は色々とあり、まずは玉座の間にて王都内の大臣と将軍が呼び出され、レアの紹介を行う。今回の所は拷問を受けたり、長い旅路で疲れているであろうレアの事を気遣って自己紹介だけを行うと王都の一室に案内される。

帝都でレアに用意された物置部屋と違い、王女であるリルの部屋と同等ぐらいの豪華で大きな部屋が用意されていた。レアは部屋に案内された後、しばらくは休んでいるとサンとクロミンを引き連れたリル達が訪れた。


『勇者殿、入ってもいいかい?』
「どうぞ、それと勇者は止めてください……」
「では遠慮なく」
「きゅろろ~」
「ぷるるんっ」


リルに抱えられたサンとクロミンが片手(クロミンの場合は耳のような触手)を上げ、彼女から離れるとレアの元へ駆けつける。レアはソファに座っていたので二人を抱き上げると、自分の膝の上に乗せた。

部屋の中に続いてリル、チイ、ネコミンも入ると最後に入って来たネコミンは扉に鍵を掛け、改めてレアと向かい合うように座る。そして、今回の出来事についてリルが謝罪を行う。


「……すまなかった、まさか君があんな目に遭わされるとは思わなかった」
「いえ、いいんですよ。正直、こっちも油断してました」
「それでも謝らせてくれ……君に危険な役目を押し付け過ぎた」



――ギャンを嵌める策を思いついたのはリルであり、彼女はレアがレイナ(女)の状態の時に男装させ、勇者として城内に迎え入れようとした。どうして男に戻らずに男装させたかというと、ギャンを嵌めるために女の姿の方が何かと都合が良かったからである。



作戦としては勇者を出迎えると大々的に宣言を行い、その後にチイとネコミンにレイナを連れて勇者の迎えに向かわせる。この際に尾行もついていたのでギャンは逐一報告を受けていただろう。

そして街中でギャンの放った刺客が襲いかかった時、既にサンとクロミンがレイナと入れ替わり、追跡者を振り切って城内へと辿り着いた。この時に刺客を襲わせたのはギャンとしても本物の勇者という存在を連れてこられた厄介だと判断したのだろう。

しかし、城内に入って来た勇者の正体が男装したレイナだと見抜いたギャンは、彼は強制的にレイナを連れて行き、拷問を仕掛けてレイナから情報を得ようとした。もしも本当の勇者だったとすれば大問題だったろうが、相手が男装したレイナであるならば本物の勇者であるはずがないと確信していた。

リルは勇者が「男性」だと宣言しており、彼は鋭い観察能力を持っているので玉座の間でレイナの顔を見た時にちゃんと顔は覚えていた。だが、彼の誤算はレイナが自由に性別を変化出来る事と、異性のみを「魅了」する力を持っている事を知らなかった。



だが、一方でレイナの方も予期せぬ事態に陥ったのは事実だった。リルの作戦では彼女はレイナの姿で城内に戻ればギャンが接触すると確信していたが、まさかいきなり拷問を仕掛けるとは思わなかった。しかも魅了の能力は相手に直接触れない限りは大きな効果を発揮できず、兵士に抑えつけられていたレイナはギャンを魅了で操る事が出来ず、拷問を受ける。

この際に保険としてギャンを解析したときに開いていた「詳細画面」に関してだが、実は鞭を受けた時にあまりの激痛に精神がかき乱され、画面が強制的に閉じられるという事態に陥った。これは本当にレイナにとっても予想外の出来事であり、兵士達が抑えつけられた時に彼等を事前に「魅了」して自分の虜にしていなければ色々とまずかった。

結果的にはレイナは助かったが、鞭で打たれた際に怪我を負う。最もその光景を目にした事で国王もギャンの本性に気付くことが出来たのだが、リルとしてはレイナを危険な目に遭わせた事に負い目を感じていた。



「本当にすまない、もっと早く私達が駆けつけて居れば……」
「いえ、いいんですよ。それよりもよく国王様を連れ出す事ができましたね。謹慎されていたのに……」
「ああ、そこはこの二人の手腕のお陰だ」
「り、リル様……」
「大変だった」


リルはチイとネコミンの肩を掴み、どのような方法で国王を説得したのかを話す。
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