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獣人王国編
第185話 レアとギャン
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「待て、そこにいるのはどなたですかな?」
「こ、これはギャン宰相!?どうしてここに……」
「謹慎を言い渡されていたのでは……」
廊下を歩く途中、数名の兵士を引き連れたギャンが姿を現すと見張りの兵士達は戸惑うが、彼は案内役の兵士達に冷たく言い放つ。
「そんな事はどうでもよい、それよりもその御方は何者なのかと聞いておるのだ。見た所、人間のようだが……」
「は、はい……この御方はチイ副団長が連れて来た勇者殿です!!」
「ほう、やはりか……始めまして、ケモノ王国の宰相を勤めるギャンと申す」
「……霧崎レアです」
ギャンは兵士からレアの正体を聞き出すと、頭を下げて自己紹介を行う。そんな彼に対してレアも一応は頭を下げて挨拶を行うと、ここでギャンは周囲を見渡して迎えに行ったチイとネコミンがいない事に疑問を抱く。
「……あの小娘たち、いや白狼騎士団の隊員達はどうした?どうして勇者殿だけをお前たちが案内しておる?」
「そ、それがチイ副団長は王女様の元へ報告に向かい、ネコミン殿は浮浪児を見つけたとの事で保護するために離れられました」
「では、あの二人は今は王女様の元へいるのか?」
「はい、我々は早急に勇者殿を国王様の元まで案内するように言われて……」
「なるほど……ならばお前達は下がれ、儂が直々に国王様の元まで勇者殿を案内しよう」
「え?しかし、我々は……」
「宰相である儂の言う事が聞けんのか?」
「ひっ!?も、申し訳ございません!!では、勇者殿……我々はここで失礼します!!」
案内役を買って出たギャンは無理やりに兵士二人を下がらせると、残されたレアはギャンと向き合う。彼を見てレアはリルの作戦通りに現れた事に安堵する一方、緊張気味にギャンと向かい合う。
(この人がリルさんの政敵か……解析!!)
レアはギャンと向かい合うと解析の能力を発動させ、まずはギャンの詳細画面を開いて確認を行う。
―――ギャン・ワン―――
種族:獣人族
職業:商人
性別:男性
年齢:71
状態:健康
レベル:12
特徴:ケモノ王国の宰相を勤め、若かりし頃は大商人として名を馳せていた。ガオ・ウォンと協力関係を結び、現国王のガル・ウォンと王女であるリル・ウォンを殺害してガオに国王の座を継がせようと企む。但し、真の目的は自分が王位に就く事であり、いずれはガオも殺す事を計画している
――――――――――――
(うわぁっ……ここまで物騒な説明文が特徴の項目に記載されているのは初めてだよ)
解析を発動してギャンの能力と性格を見抜くと、レアはリルの言っていた通りにろくでもない男だと断定する。しかし、急に黙り込んで自分を見つめてくるレアに対してギャンは不審に思って尋ねた。
「……私の顔に何かついてますか?」
「いえ……なんでもないです」
「そうですか、では立ち話もなんなので国王様の元まで案内しよう」
ギャンはレアの返事を聞いて特に怪しむ事はなく、そのまま何事もなかったように自分に付いてくるように促す。この際に彼は兵士に目配せを行い、さり気無く連れて来た側近の兵士達をレアの背後へと移動させた。
「どうぞ、こちらです勇者殿」
「迷わないように我々が案内します」
「……どうも」
兵士達に取り囲まれたレアは逃げることが出来ず、仕方なくギャンの後ろに付いていく。用心のために視界に開いたギャンの詳細画面は閉じず、視界の端に移動させて彼の後に続くと、ここでギャンが玉座の間が存在する方角へは向かっていない事を知る。
(あれ?こっちの道は……そうか、国王の所まで案内するつもりはないんだな)
玉座の間が存在する場所はレアも「レイナ」としての姿で確認しており、ギャンが全く別の通路を歩いている事に勘付くと、彼は周囲を見渡す。先ほどまでは使用人や兵士の姿がちらほらと見えていたが、今現在はレア達以外に人の姿はなく、やがて行き止まりに辿り着く。
「ふん、ここまでくればいいだろう……捕まえろっ!!」
『はっ!!』
「うわっ!?」
ギャンが立ち止まって命令を与えると、兵士4人がレアを抑えつける。流石に4人がかりでしかも人間よりも身体能力が高い兵士達が相手ではレアも分が悪く、抵抗できずに床に抑えつけられてしまう。
その様子を見ていたギャンは笑みを浮かべると、床に押し付けられたレアの顔を覗き込み、鼻を鳴らす。
「ふん、小娘め……それで上手く化けたつもりか!?貴様はあの時、王女が引き連れてきた女であろう!!」
「……バレちゃった?」
レアはギャンの言葉を聞いて笑みを浮かべると、その態度がギャンは気に喰わず、彼はレアの身に着けている学生服に手を伸ばすと胸元のボタンを引きちぎった。その結果、服の中で「サラシ」を撒いて無理やりに抑えつけていた女性の乳房が露わとなり、ここでレアは「女性」の肉体のまま男性用の学生服に着替えていたことが発覚してしまう。
「こ、これはギャン宰相!?どうしてここに……」
「謹慎を言い渡されていたのでは……」
廊下を歩く途中、数名の兵士を引き連れたギャンが姿を現すと見張りの兵士達は戸惑うが、彼は案内役の兵士達に冷たく言い放つ。
「そんな事はどうでもよい、それよりもその御方は何者なのかと聞いておるのだ。見た所、人間のようだが……」
「は、はい……この御方はチイ副団長が連れて来た勇者殿です!!」
「ほう、やはりか……始めまして、ケモノ王国の宰相を勤めるギャンと申す」
「……霧崎レアです」
ギャンは兵士からレアの正体を聞き出すと、頭を下げて自己紹介を行う。そんな彼に対してレアも一応は頭を下げて挨拶を行うと、ここでギャンは周囲を見渡して迎えに行ったチイとネコミンがいない事に疑問を抱く。
「……あの小娘たち、いや白狼騎士団の隊員達はどうした?どうして勇者殿だけをお前たちが案内しておる?」
「そ、それがチイ副団長は王女様の元へ報告に向かい、ネコミン殿は浮浪児を見つけたとの事で保護するために離れられました」
「では、あの二人は今は王女様の元へいるのか?」
「はい、我々は早急に勇者殿を国王様の元まで案内するように言われて……」
「なるほど……ならばお前達は下がれ、儂が直々に国王様の元まで勇者殿を案内しよう」
「え?しかし、我々は……」
「宰相である儂の言う事が聞けんのか?」
「ひっ!?も、申し訳ございません!!では、勇者殿……我々はここで失礼します!!」
案内役を買って出たギャンは無理やりに兵士二人を下がらせると、残されたレアはギャンと向き合う。彼を見てレアはリルの作戦通りに現れた事に安堵する一方、緊張気味にギャンと向かい合う。
(この人がリルさんの政敵か……解析!!)
レアはギャンと向かい合うと解析の能力を発動させ、まずはギャンの詳細画面を開いて確認を行う。
―――ギャン・ワン―――
種族:獣人族
職業:商人
性別:男性
年齢:71
状態:健康
レベル:12
特徴:ケモノ王国の宰相を勤め、若かりし頃は大商人として名を馳せていた。ガオ・ウォンと協力関係を結び、現国王のガル・ウォンと王女であるリル・ウォンを殺害してガオに国王の座を継がせようと企む。但し、真の目的は自分が王位に就く事であり、いずれはガオも殺す事を計画している
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(うわぁっ……ここまで物騒な説明文が特徴の項目に記載されているのは初めてだよ)
解析を発動してギャンの能力と性格を見抜くと、レアはリルの言っていた通りにろくでもない男だと断定する。しかし、急に黙り込んで自分を見つめてくるレアに対してギャンは不審に思って尋ねた。
「……私の顔に何かついてますか?」
「いえ……なんでもないです」
「そうですか、では立ち話もなんなので国王様の元まで案内しよう」
ギャンはレアの返事を聞いて特に怪しむ事はなく、そのまま何事もなかったように自分に付いてくるように促す。この際に彼は兵士に目配せを行い、さり気無く連れて来た側近の兵士達をレアの背後へと移動させた。
「どうぞ、こちらです勇者殿」
「迷わないように我々が案内します」
「……どうも」
兵士達に取り囲まれたレアは逃げることが出来ず、仕方なくギャンの後ろに付いていく。用心のために視界に開いたギャンの詳細画面は閉じず、視界の端に移動させて彼の後に続くと、ここでギャンが玉座の間が存在する方角へは向かっていない事を知る。
(あれ?こっちの道は……そうか、国王の所まで案内するつもりはないんだな)
玉座の間が存在する場所はレアも「レイナ」としての姿で確認しており、ギャンが全く別の通路を歩いている事に勘付くと、彼は周囲を見渡す。先ほどまでは使用人や兵士の姿がちらほらと見えていたが、今現在はレア達以外に人の姿はなく、やがて行き止まりに辿り着く。
「ふん、ここまでくればいいだろう……捕まえろっ!!」
『はっ!!』
「うわっ!?」
ギャンが立ち止まって命令を与えると、兵士4人がレアを抑えつける。流石に4人がかりでしかも人間よりも身体能力が高い兵士達が相手ではレアも分が悪く、抵抗できずに床に抑えつけられてしまう。
その様子を見ていたギャンは笑みを浮かべると、床に押し付けられたレアの顔を覗き込み、鼻を鳴らす。
「ふん、小娘め……それで上手く化けたつもりか!?貴様はあの時、王女が引き連れてきた女であろう!!」
「……バレちゃった?」
レアはギャンの言葉を聞いて笑みを浮かべると、その態度がギャンは気に喰わず、彼はレアの身に着けている学生服に手を伸ばすと胸元のボタンを引きちぎった。その結果、服の中で「サラシ」を撒いて無理やりに抑えつけていた女性の乳房が露わとなり、ここでレアは「女性」の肉体のまま男性用の学生服に着替えていたことが発覚してしまう。
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