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獣人王国編
第183話 影武者成功
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「ちっ……退け!!」
「ふん、この腰抜け共め!!私が怖いか!?」
「奴の言う事に耳を貸すな!!」
逃げ去っていく追跡者達にチイは怒鳴りつけるが、彼等は即座にその場を退避する。その様子を見たチイは内心では安堵し、流石にサンとクロミンを抱えた状態で戦闘に入るとまずかった。
危機を脱する事が出来たチイはネコミンの身を案じるが、彼女にはシロが傍にいるので大丈夫だと思いこみ、すぐに王城へと向かう。後で合流する手筈のレアが先に向かっているはずであり、サンとクロミンを抱えた状態でチイは王城へと向かう。
「行くぞ二人とも、しっかりと掴まれ!!」
「きゅろろっ♪」
「ぷるんっ♪」
チイはサンとクロミンを背負った状態で跳躍し、地上を走るクロの背中へと降り立つ。クロはチイを抱えると一目散に駆け出し、まずは合流地点へと向かう――
――その一方、街道にてフードで全身を覆い隠したレアの姿があった。隠密の技能を発動削いて存在感を消し去り、他の者に怪しまれないように気を付けながら道を歩く。
本来は暗殺者のみが習得できる「隠密」の技能はレアが覚えた能力の中でも使い勝手が良く、これを使用すれば透明人間になったかの如く他の人間から存在を認識されにくい。しかも今回は獣人族の嗅覚でも悟られないように「消臭石」と呼ばれている魔石も用意していた。
(この石が臭いを吸収するから気付かれる事はないと言ってたけど、確かに今の所は誰も俺の存在に気付いていなさそうだな)
レアは消臭石と呼ばれる魔石をペンダントのようにぶら下げ、自分の身体の臭いを完全に殺していた。かつて隠密を発動させた時にレアはネコミンの嗅覚で存在を気付かれた事があるが、今の状態ならば彼女の嗅覚でも気付かれる事はない。
チイとネコミンが先行し、その後にレアが城下町に入るという作戦はリルが立てた。3人で行動を行うとギャンが何か仕掛けてくる可能性があるため、彼女は三手に分かれて行動した方が良いと判断した。
(よし、この調子なら問題なく王城に辿り着けそうだな……他の皆も無事だといいけど)
王城にて3人と3匹と合流する約束をしていたレアは早足で向かうと、その途中でレアは「気配感知」の技能が唐突に発動する。街道を移動する途中、レアはまるでミノタウロスのように強い気配を持つ存在を感じ取った。
(何だっ……!?)
道を歩く途中、前方の方角から感じ取った強烈な気配にレアは前方に視線を向けると、そこには異様な気配を纏う大男が歩いていた。身長は180センチ、体重は100キロを超えると思われる男性が前方の方角から歩き、その威圧感にレアは圧倒される。
今まで色々な人間と出会ったレアだが、視界に現れた大男の雰囲気だけで只者ではないと悟り、恐らくだが冒険者だと思われた。大男の方はレアに対して特に関心も抱いた様子は見せず、そのまま横切っていく。
「…………」
「っ……!?」
大男が自分の横を通った瞬間にレアはまるで獅子が目の前に通り過ぎた兎になった気分に陥り、後姿を見送る。何者なのかは分からないが、ただ一つだけ言える事はリル達を上回る武人である事は間違いない。
(凄いな、前に会った帝都のギルドマスターやキニクさんよりも強そうだ……)
レアは急ぎ足でその場を離れるが、頭の中では先ほど横切った男性の事が忘れられず、いったい何者なのかと疑問を抱く――
――その一方で大男の方も不意に立ち止まり、後方へと振り返る。先ほど、何か妙な感覚に襲われたのだが、振り返っても特に気になる物はない。気のせいかと思ったが、妙に気になった大男は街道の様子を調べる。
(……あいつか)
そして大男は消臭石と隠密の技能でほぼ完ぺきに存在感を消しているはずのレアの姿を捕えた。他の通行人は全くレアの存在に気付いてはいないが、大男は僅かな違和感を見逃さずにレアの存在を捉えた。
(何者だ?)
人気の多い街道にて存在感を限りなく消し、歩いていく人物の姿を見て大男は気にかかるが、すぐに自分には関係ない事だと判断してその場を立ち去る。別に何者であろうと大男は自分に関わらないのであればどうでもよかった。
(…………)
しかし、何故か大男はレアの存在が妙に気にかかり、その後姿が見えなくなるまで見送ってしまう――
「ふん、この腰抜け共め!!私が怖いか!?」
「奴の言う事に耳を貸すな!!」
逃げ去っていく追跡者達にチイは怒鳴りつけるが、彼等は即座にその場を退避する。その様子を見たチイは内心では安堵し、流石にサンとクロミンを抱えた状態で戦闘に入るとまずかった。
危機を脱する事が出来たチイはネコミンの身を案じるが、彼女にはシロが傍にいるので大丈夫だと思いこみ、すぐに王城へと向かう。後で合流する手筈のレアが先に向かっているはずであり、サンとクロミンを抱えた状態でチイは王城へと向かう。
「行くぞ二人とも、しっかりと掴まれ!!」
「きゅろろっ♪」
「ぷるんっ♪」
チイはサンとクロミンを背負った状態で跳躍し、地上を走るクロの背中へと降り立つ。クロはチイを抱えると一目散に駆け出し、まずは合流地点へと向かう――
――その一方、街道にてフードで全身を覆い隠したレアの姿があった。隠密の技能を発動削いて存在感を消し去り、他の者に怪しまれないように気を付けながら道を歩く。
本来は暗殺者のみが習得できる「隠密」の技能はレアが覚えた能力の中でも使い勝手が良く、これを使用すれば透明人間になったかの如く他の人間から存在を認識されにくい。しかも今回は獣人族の嗅覚でも悟られないように「消臭石」と呼ばれている魔石も用意していた。
(この石が臭いを吸収するから気付かれる事はないと言ってたけど、確かに今の所は誰も俺の存在に気付いていなさそうだな)
レアは消臭石と呼ばれる魔石をペンダントのようにぶら下げ、自分の身体の臭いを完全に殺していた。かつて隠密を発動させた時にレアはネコミンの嗅覚で存在を気付かれた事があるが、今の状態ならば彼女の嗅覚でも気付かれる事はない。
チイとネコミンが先行し、その後にレアが城下町に入るという作戦はリルが立てた。3人で行動を行うとギャンが何か仕掛けてくる可能性があるため、彼女は三手に分かれて行動した方が良いと判断した。
(よし、この調子なら問題なく王城に辿り着けそうだな……他の皆も無事だといいけど)
王城にて3人と3匹と合流する約束をしていたレアは早足で向かうと、その途中でレアは「気配感知」の技能が唐突に発動する。街道を移動する途中、レアはまるでミノタウロスのように強い気配を持つ存在を感じ取った。
(何だっ……!?)
道を歩く途中、前方の方角から感じ取った強烈な気配にレアは前方に視線を向けると、そこには異様な気配を纏う大男が歩いていた。身長は180センチ、体重は100キロを超えると思われる男性が前方の方角から歩き、その威圧感にレアは圧倒される。
今まで色々な人間と出会ったレアだが、視界に現れた大男の雰囲気だけで只者ではないと悟り、恐らくだが冒険者だと思われた。大男の方はレアに対して特に関心も抱いた様子は見せず、そのまま横切っていく。
「…………」
「っ……!?」
大男が自分の横を通った瞬間にレアはまるで獅子が目の前に通り過ぎた兎になった気分に陥り、後姿を見送る。何者なのかは分からないが、ただ一つだけ言える事はリル達を上回る武人である事は間違いない。
(凄いな、前に会った帝都のギルドマスターやキニクさんよりも強そうだ……)
レアは急ぎ足でその場を離れるが、頭の中では先ほど横切った男性の事が忘れられず、いったい何者なのかと疑問を抱く――
――その一方で大男の方も不意に立ち止まり、後方へと振り返る。先ほど、何か妙な感覚に襲われたのだが、振り返っても特に気になる物はない。気のせいかと思ったが、妙に気になった大男は街道の様子を調べる。
(……あいつか)
そして大男は消臭石と隠密の技能でほぼ完ぺきに存在感を消しているはずのレアの姿を捕えた。他の通行人は全くレアの存在に気付いてはいないが、大男は僅かな違和感を見逃さずにレアの存在を捉えた。
(何者だ?)
人気の多い街道にて存在感を限りなく消し、歩いていく人物の姿を見て大男は気にかかるが、すぐに自分には関係ない事だと判断してその場を立ち去る。別に何者であろうと大男は自分に関わらないのであればどうでもよかった。
(…………)
しかし、何故か大男はレアの存在が妙に気にかかり、その後姿が見えなくなるまで見送ってしまう――
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