解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

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獣人王国編

第174話 国王との謁見

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「……ところでリルルよ、その者達はいったいどうしたのだ?そこにいるのは確か……ケマイヌといったな?それに城下町の警備隊の隊長までどうして縄で縛りつけられているのだ?」
「この者達が結託し、私の命を狙いました。だからこのように拘束して陛下の前に連れてきました」
「な、何じゃとっ!?」
「リルル王女様の御命を!?」
「そんな馬鹿なっ!?」


リルの報告に国王は反射的に立ち上がり、大臣たちは驚愕の声を上げるが、自分の言った事を証明するためにリルはレイナに頷く。レイナは仕方がないとばかりに二人に近付くと、肩に手を置く。


「二人とも、今から質問された事は嘘偽りなく答えてね」
『はい!!』
「な、なんじゃ……どうしたというのだその二人は?」


レイナが語り掛けると二人は声を揃えて返事を行い、その様子を見た国王は戸惑う。実は事前にレイナは警備隊長の方にも「魅了」を発動させ、自分の「僕」にした。相手が異性であるならばレイナの魅了に逆らう事は出来ず、先ほどまで抵抗していた警備隊長さえも素直に従う。

国王はケマイヌと警備隊長の様子を見て不審に思うが、すぐにリルは連れて来た兵士も隣に呼び寄せ、レイナをチイとネコミンの元へ下がらせる。そして事情を説明した。



――リルは自分が王都へ帰還する途中、王都周辺の警戒していたケマイヌと彼の率いる兵士達に襲われた事、その兵士達の正体がガオ王子の率いる黒狼騎士団ではなく、王都の警備隊長を利用して借金に困った人間達を半ば無理やりに兵士にして連れていた事を話す。

当初は国王も大臣も信じられなかったが、拘束してきた二人があっさりと自白を行い、ケマイヌに至ってはガオ王子の指示でやった事も告げる。その報告を聞いて国王は愕然とした。


「ば、馬鹿な……つまり、貴様はガオの命令を受けてリルルの命を狙ったというのか!?」
「はい、その通りでございま……」
「おのれ!!この不届き者め!!ガオがそのようなことをするはずがない、仮にも姉であるリルルを殺そうとしただと!?ふざけおって、今すぐにこ奴を処刑せよ!!」
「お、お待ちください国王様!!御怒りはご最もですが、その話が真実ならばこの男は証人として生かしておかなければ……」
「何を言うか!?貴様もガオがリルルの命を狙ったと言い張るつもりか!!そんな事はあり得ん、今すぐにその男を殺すのだ!!」
「陛下!!」
「ぬうっ……な、なんだリルルよ?」


怒りに我を忘れてケマイヌを処刑しようとする国王に大してリルルは怒鳴りつけると、我に戻ったのか国王は慌ててリルルに向き直る。


「陛下、まずは落ち着いてください。残念ながらこの男の申す事は真実です、ここにいる兵士の彼はケマイヌから直々に命令を受けた者です」
「は、はい……私は確かにケマイヌ様がガオ王子の命令を受け、リルル王女の命を狙ったと言ったのを聞いていました」
「その話……真か?」
「間違いありません!!私も、私の他にも大勢の者達が確かに耳にしました!!」
「なんと……では、本当にガオはリルルの命を狙ったというのか」


自分の息子が義理とはいえ、姉であるリルルを狙ったという事実に国王は愕然とするが、それを否定しようにもガオの側近であるケマイヌと、彼に協力した警備隊長の自白によって真実である事は誰の目から見ても明らかだった。

大切に育てた息子がよりにもよって血の繋がっていないとはいえ、家族であるリルルを殺そうとした事実に国王は項垂れる。しかし、ここで国王はある疑問を抱く。


「話は分かった、だがリルルよ。どうしてお主はこんなにも早く戻って来たのだ?それに供として同行させた他の者達は何処へおるのだ?」
「私達は与えられた任務通り、ヒトノ帝国の近況を調べるために帝都へ滞在していました。その途中で魔王軍と呼ばれる組織の情報を掴む事にも成功しました」
「おおっ、そうであったか。だが、それならば何故にここまで早く戻る事が出来た?」
「……私達はある人物の協力を得て、牙路を通り抜け、牙山を越えて戻ってきました」
「牙路!?それに牙山だと!?」
「そんな馬鹿なっ……牙竜とサンドワームの生息圏ではないですか!!」
「リルルよ!!こんな時に冗談を言うのではない!!」


牙路と牙山を通過したという言葉に玉座の間に存在する者達は驚き、国王さえも彼女の言葉は信じられなかった。牙路には凶悪な牙竜の生息圏であり、牙山に関しても竜種と同等の危険性を持つサンドワームの住処である。普通に考えれば万の軍勢を引き連れようとどちらも通り抜ける事は出来ないが、ここでリルは焦りもせずに堂々と答える。


「陛下、私達は帝都にて召喚された「勇者」の一人と接触し、協力を取り次げました。そして彼の力を借りて牙路と牙山を通過してこの王都へ短期間で戻る事が出来たのです!!」
「何だと!?という事はヒトノ帝国が本当に勇者召喚に成功したというのか!?」
「はい、ヒトノ帝国は4人の勇者を召喚しました。その内の1人に私達は接触し、そしてこの国へ連れて帰る事に成功しました」
「なんとっ!?」
「勇者を連れ帰った!?」


リルの言葉を聞いて国王も大臣も興奮を抑えきれずに立ち上がるが、一方でレイナの方は不安を抱く。まさかこの状況でリルが自分の事を勇者として紹介するつもりかと焦るが、ちゃんと彼女もレイナの事を考えていた。
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