解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
175 / 367
獣人王国編

第173話 警備隊長の捕縛

しおりを挟む
「この人はこんな事言ってるけど、本当にこの人から貰ったの?」
「間違いありません!!私がこの男を呼び寄せ、金を渡してこの街の人間の中で借金に困る者達の情報を調べさせて報告するように命じましたから!!」
「き、貴様!!私を裏切るつもりか!?」
「ほう……それが面白い事を聞いた。警備兵!!この男をひっとらえろ!!」
「えっ……た、隊長をですか?」
「リルルの言う事が聞けないの?」


警備隊長の傍にいた兵士達はリルの命令に戸惑うが、ネコミンが王女の言葉に従えないのかを問うと、兵士達は慌てて警備隊長を拘束した。


「警備隊長!!申し訳ありません!!」
「なっ!?辞めんか貴様等!?私を誰だと思っている!?」
「大人しくしろ!!これ以上に抵抗すれば罪が重くなるだけだぞ!!」
「ひいっ!?」


警備隊長の男は必死に抵抗しようとするが、リルが一喝すると震えあがり、あっさりと縄で縛りつけられる。そしてケマイヌと共に並んで連れて行かれ、残された警備兵にリルは命令を与える。


「引き続き、業務に戻れ。しばらくの間はお前達の隊長は戻ってこないと考えろ」
『はっ!!』
「お、おのれ貴様等……」
「いいから早く行ってください。後がつかえているので……」


ケマイヌと共に警備隊長は縛られた状態で前を歩き、あまりの屈辱に頬を真っ赤に紅潮させるが、その様子を見ていた民衆は囁く。


「うわぁっ……あの警備隊長、リルル王女様の命を狙ったみたいね」
「なんて奴だ、あんなのが街を守る警備隊の隊長なのか?」
「俺は前々からあの男が怪しいと思っていたんだ。やっぱり、ろくでもない奴だったぜ」


民衆の話し声が聞こえてきたのか警備隊長の男は身体を震わせ、血走った目を彼等に向けるが、ケマイヌの方は平然とした態度を崩さない。そんな彼を見て警備隊長は違和感を抱く。


「ケマイヌ殿、いったい何を考えている?ガオ王子を裏切るような真似をして……ま、まさかリルル王女に寝返るつもりか?」
「……王女?そんな事はどうでもいいのだ。私はあの方に褒美を頂けるのであれば何でもするぞ」
「あの方だと?いったい何の話を……」
「おい、黙って歩け!!ひそひそと話すな!!」


チイが叱りつけるとケマイヌと警備隊長は慌てて急ぎ足になり、王城へと向かう。その様子を多くの民衆が目撃し、いったい何が起きているのかとリル達の後に大勢の一般人が続く。

王城へ辿り着く頃には兵士だけではなく、大量の一般人も同行しており、王城の城門の前に数百人の獣人が集まっていた。リルが城門に辿り着くと、早速兵士達に命じた。


「城門を開け!!」
「り、リルル王女様!?」
「どうしてお戻りに……」
「いいから開けといっている!!」


兵士達は戻って来たリルの姿を見て驚くが、相手が王女である事で逆らう事が出来ず、すぐに城門を開く。そして城内にリルは入り込むと、同行した一般人たちに声を掛ける。


「見送り、ご苦労!!だが、ここから先は私達に任せてくれ。この二人の悪事を国王陛下の前で自白させる!!それがこの国平和に繋がると私は信じている!!」
『おおっ!!』


リルの言葉に民衆は歓声を上げ、彼等と別れてリル達は城内へと入り込む。その際にレイナはリルに話しかけた。


「あの、本当にこの恰好のままで来ちゃったんですけど大丈夫なんですか?」
「大丈夫、私を信じてくれ。それと君に頼みたい事があるんだが……」


ケマイヌと警備隊長を国王陛下に合わせる前にリルはレイナに何事かを伝えると、レイナは彼女の言葉に驚くが、すぐに行動を開始した――





――それからしばらくすると、大勢の兵士を引き連れて入り込んできたリルの元に慌てて城内の兵士が駆けつけ、家臣たちも出迎える。急遽、戻って来たリルを見て彼等は戸惑いを隠せず、本来の予定ではリルは一か月後に戻ってくるはずだった。しかしも使者として同行させた物も連れてこずに戻って来たので彼等が戸惑うのも当たり前だった。

まずはリルを呼び出したのは国王であり、彼は玉座の間に彼女を呼び出す。この際にリルはケマイヌと警備隊長を引き連れ、自分の護衛であるチイとネコミン、そしてレイナも同行させる。後は兵士の代表として一番の年配者を連れて行くと、玉座の間にて遂に黒おうと対面する。


「リルルよ!!お主はいったい何を考えておる!!外の騒ぎは何だ!?」
「国王陛下、まずは落ち着いて私の話を聞いてください」
「これが落ち着いていられるか!!」
「ま、まあまあ……陛下落ち着いてください」
「まずはリル様の話を聞きましょう」


玉座の間に辿り着いて早々、リルは玉座に座る中年男性に怒鳴りつけられた。この男性こそがリルの養父にして彼女の弟のガオの実父でもある「ガル・ウォン」だった。国王である彼は戻ってきて早々に騒ぎを引き起こしたリルに大して怒り心頭だったが、彼女が連れて来たケマイヌと警備隊長、そして見慣れぬ女性(レイナ)と兵士を見て不思議に思う。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...