174 / 367
獣人王国編
第172話 リルの帰還
しおりを挟む
王都の城門に辿り着くと、最初に出迎えたのは見張りの兵士達であり、彼等は縛られたケマイヌを引き連れるリルの姿を見て驚愕した。なにしろ一か月先に戻ってくるはずの王女が何故か弟の側近のケマイヌを縛り付けて戻って来たのだから当然の話である。
「り、リルル王女様!?お戻りになられたのですか!?」
「リルル様だ!!リルル様が帰ってこられたぞ!!」
「何だと!?」
「うろたえるな!!すぐに城門を開いて通してくれ!!」
リルルが帰還した事に城壁の兵士達は慌てふためくが、彼女が一喝すると慌てて兵士達は城門を開き、中へと招き入れる。そしてリルたちが城下町に入ると、民衆も彼女が戻って来た事に気付いて驚愕した。
「お、おい!!あれはリルル王女様じゃないか!?」
「そうよ!!間違いないわ、あの凛々しい顔立ちは間違いなくリルル王女様よ!!」
「もうお戻りになられたのか!!」
「キャー!!リル様ぁっ!!」
民衆の間でもリルは人気が高いらしく、彼女の姿を見た者達が騒ぎ立てる。そんな彼等に対してリルは手を振りながら引き連れてきた兵士達を中に入れると、まずは縄で縛りつけたケマイヌを民衆の前に晒す。
「皆、聞いてくれ!!この男の事は知っているだろう、そう我が弟の部下であるケマイヌだ!!」
「ケマイヌ?」
「あ、こいつ見たことがあるぞ!!いつもガオ王子様の傍にいる奴だ!!」
「どうして捕まってるんだ?」
ケマイヌを差し出したリルに対して民衆は戸惑うが、彼女はケマイヌの悪行を縄を掴んで彼を捕縛した理由を大声で告げた。
「この男は私の命を狙い、しかもその罪をここにいる彼等に擦り付けようとした!!これは絶対に許されない事であり、今から私はこの男を国王陛下に突き出す!!」
「なんだって!?」
「リルル様の命を!?」
「なんてやろうだ!!このクズめ!!」
「ガオ王子の配下がどうしてそんな事を……」
縄で縛られたケマイヌに民衆は視線を向け、中には憎々し気な表情を浮かべる物も少なくはない。それだけリルが人気という事らしく、石を投げつけてくる一般人もいた。
本来ならばケマイヌはこの時点で怯えて震え上がっただろうが、レイナの魅了の能力のお陰で素直に従順に従い、黙ったままリルに従う。その光景を見て他の者達は不気味に思い、石を投げるのを止める。
「り、リルル王女様!!これはいったい何の騒ぎですか!?」
「おお、警備隊長か。丁度良かった、この男は罪を犯した。私はこの男を連れて城へと戻るぞ」
街道から大勢の兵士を引き連れた初老の兵士が現れると、彼は縄で縛りつけられたケマイヌに気付き、顔色を変えた。その反応を見てレイナは疑問を抱くと、警備隊長と呼ばれた男は険しい表情で立ち塞がった。
「王女様、これはどういう事ですか?どうしてケマイヌ殿にこんな仕打ちを……」
「ほう、そうか。なるほど、お前もガオの傘下の人間だったか」
「なっ!?い、いったい何の話しですかな?」
「惚けるな!!お前がこの男に協力してこの街の人間の中で借金に困る者達を情報を伝えたんだろう?」
「なななっ!?何を言っているのですか!?」
リルのかまかけに警備隊長は明らかに動揺し、その反応を見てレイナ達も納得した。この城下町の警備を任されている立場の人間ならば借金で困る人間の素性を知っていてもおかしくはなく、その情報をケマイヌに流したのだろう。
ケマイヌは借金で困る者達に兵士になるように話を持ち掛け、リル王女の暗殺のための準備を整える。そう考えるとこの警備隊長の男もリルの暗殺に加担したといえるため、チイは険しい表情を浮かべて怒鳴りつけた。
「警備隊長!!この男は罪を犯した、いまからその罪を国王陛下の前で自白させる!!言っておくが、貴様がもしもこの男に加担していたというのならば容赦はしないぞ!!」
「な、何だと!?ふざけるな、この小娘……!!」
「私の配下によくもそんな口が利けるな。仮にも彼女は私の側近だぞ、立場を弁えろ!!」
「ひいっ!?も、申し訳ございません……!!」
リルが一喝すると警備隊長の男はその場で土下座をして謝罪するが、その様子をリルが連れて来た兵士達は憎々し気に睨みつける。彼らとしても自分の情報をケマイヌに流した男に対して良い感情を抱くはずがない。念のためにレイナはケマイヌに事情を問う。
「ケマイヌ、正直に答えて。この男から本当に情報を貰ったの?」
「はい!!その通りでございます!!この男は金と引き換えにこ奴等の素性を教えてくれました!!」
「なっ!?何を言っているのだケマイヌ殿!!」
あっさりと情報を流した事を暴露したケマイヌに対して警備隊長は信じられない表情を抱くが、レイナの虜になったケマイヌは危機として質問に答える。
※投稿時間を間違えて本日の夜に更新する分を先に投稿してました(´;ω;`)
「り、リルル王女様!?お戻りになられたのですか!?」
「リルル様だ!!リルル様が帰ってこられたぞ!!」
「何だと!?」
「うろたえるな!!すぐに城門を開いて通してくれ!!」
リルルが帰還した事に城壁の兵士達は慌てふためくが、彼女が一喝すると慌てて兵士達は城門を開き、中へと招き入れる。そしてリルたちが城下町に入ると、民衆も彼女が戻って来た事に気付いて驚愕した。
「お、おい!!あれはリルル王女様じゃないか!?」
「そうよ!!間違いないわ、あの凛々しい顔立ちは間違いなくリルル王女様よ!!」
「もうお戻りになられたのか!!」
「キャー!!リル様ぁっ!!」
民衆の間でもリルは人気が高いらしく、彼女の姿を見た者達が騒ぎ立てる。そんな彼等に対してリルは手を振りながら引き連れてきた兵士達を中に入れると、まずは縄で縛りつけたケマイヌを民衆の前に晒す。
「皆、聞いてくれ!!この男の事は知っているだろう、そう我が弟の部下であるケマイヌだ!!」
「ケマイヌ?」
「あ、こいつ見たことがあるぞ!!いつもガオ王子様の傍にいる奴だ!!」
「どうして捕まってるんだ?」
ケマイヌを差し出したリルに対して民衆は戸惑うが、彼女はケマイヌの悪行を縄を掴んで彼を捕縛した理由を大声で告げた。
「この男は私の命を狙い、しかもその罪をここにいる彼等に擦り付けようとした!!これは絶対に許されない事であり、今から私はこの男を国王陛下に突き出す!!」
「なんだって!?」
「リルル様の命を!?」
「なんてやろうだ!!このクズめ!!」
「ガオ王子の配下がどうしてそんな事を……」
縄で縛られたケマイヌに民衆は視線を向け、中には憎々し気な表情を浮かべる物も少なくはない。それだけリルが人気という事らしく、石を投げつけてくる一般人もいた。
本来ならばケマイヌはこの時点で怯えて震え上がっただろうが、レイナの魅了の能力のお陰で素直に従順に従い、黙ったままリルに従う。その光景を見て他の者達は不気味に思い、石を投げるのを止める。
「り、リルル王女様!!これはいったい何の騒ぎですか!?」
「おお、警備隊長か。丁度良かった、この男は罪を犯した。私はこの男を連れて城へと戻るぞ」
街道から大勢の兵士を引き連れた初老の兵士が現れると、彼は縄で縛りつけられたケマイヌに気付き、顔色を変えた。その反応を見てレイナは疑問を抱くと、警備隊長と呼ばれた男は険しい表情で立ち塞がった。
「王女様、これはどういう事ですか?どうしてケマイヌ殿にこんな仕打ちを……」
「ほう、そうか。なるほど、お前もガオの傘下の人間だったか」
「なっ!?い、いったい何の話しですかな?」
「惚けるな!!お前がこの男に協力してこの街の人間の中で借金に困る者達を情報を伝えたんだろう?」
「なななっ!?何を言っているのですか!?」
リルのかまかけに警備隊長は明らかに動揺し、その反応を見てレイナ達も納得した。この城下町の警備を任されている立場の人間ならば借金で困る人間の素性を知っていてもおかしくはなく、その情報をケマイヌに流したのだろう。
ケマイヌは借金で困る者達に兵士になるように話を持ち掛け、リル王女の暗殺のための準備を整える。そう考えるとこの警備隊長の男もリルの暗殺に加担したといえるため、チイは険しい表情を浮かべて怒鳴りつけた。
「警備隊長!!この男は罪を犯した、いまからその罪を国王陛下の前で自白させる!!言っておくが、貴様がもしもこの男に加担していたというのならば容赦はしないぞ!!」
「な、何だと!?ふざけるな、この小娘……!!」
「私の配下によくもそんな口が利けるな。仮にも彼女は私の側近だぞ、立場を弁えろ!!」
「ひいっ!?も、申し訳ございません……!!」
リルが一喝すると警備隊長の男はその場で土下座をして謝罪するが、その様子をリルが連れて来た兵士達は憎々し気に睨みつける。彼らとしても自分の情報をケマイヌに流した男に対して良い感情を抱くはずがない。念のためにレイナはケマイヌに事情を問う。
「ケマイヌ、正直に答えて。この男から本当に情報を貰ったの?」
「はい!!その通りでございます!!この男は金と引き換えにこ奴等の素性を教えてくれました!!」
「なっ!?何を言っているのだケマイヌ殿!!」
あっさりと情報を流した事を暴露したケマイヌに対して警備隊長は信じられない表情を抱くが、レイナの虜になったケマイヌは危機として質問に答える。
※投稿時間を間違えて本日の夜に更新する分を先に投稿してました(´;ω;`)
0
お気に入りに追加
975
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる