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獣人王国編
第171話 ケモノ王国の兵士の質
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――翌日、日が明けると早速リルは兵士達に装備を帰して王都へ向かう事にした。彼等はもうガオ王子に従うつもりはなく、借金に関してもリルがどうにかするという約束を信じて彼女に付き従う。
捕縛したケマイヌに関してはわざとらしく縄で縛り上げ、戦闘を歩かせる。これによって彼は罪人のように扱われるが、本人は毅然とした態度のまま前を歩く。その様子を見ていてチイは疑問を抱く。
「この男、昨日と比べて随分と落ち着いているな……レイナ、何かしたのか?」
「え?いや、出発前に言う事を聞いたら褒めてくれるかと言われたから、ちゃんとリルさんの言う通りに従ったら頭を撫でると約束したけど」
「頭を撫でるって……まるで子供みたいだな」
「でも、ちゃんという事を従ってる……よっぽどレイナに頭を撫でて欲しいみたい」
レイナの言葉を聞いてチイは呆れてしまうが、当のケマイヌ本人はレイナに褒められたいがために素直に従う。昨日の彼の態度を見ていただけにレイナは「魅了」の能力の恐ろしさを思い知らされる。
吸血鬼が扱う魅了は相手を虜にするだけではなく、自分の僕のように従わせる能力であるため、レイナが傍に存在する限りはケマイヌは彼女に従うだろう。問題があるとすれば魅了は異性にしか効かず、女性時のレイナでしか男性に魅了の効果を施す事ができない。そのせいで未だに男に戻らずにレイナは行動を共にしていた。
「あの、リルさん……このままだと、俺はどうなるですか?勇者が男であると知られている以上、この恰好のままで会うのはまずいんじゃ……」
「大丈夫だ、私を信じてくれ。悪いようにはしないし、君の事はちゃんと説明するさ」
「ならいいんですけど……」
レイナはこのまま自分が国王に紹介された場合、女性の勇者と間違われるのではないかと不安を抱く。しかし、リルも事前に策は用意しているらしく、一先ずは王都へ向かう。
「よし、見えてきたぞ。あれがケモノ王国の王都だ」
「あそこが……王都ですか」
リルの言葉にレイナは前方に視線を向けると、そこにはヒトノ帝国よりは規模は小さいが、確かに「王都」という言葉に相応しい立派な城壁に囲まれた都市が存在した。リルによれば人口は10万人、城を守る兵士は3万人も存在するという。
ヒトノ帝国と比べれば民衆や兵士の数はかなり少ないように思えるが、ケモノ王国の兵士達は精強で有名のため、これまでにヒトノ帝国との戦争では数の不利を覆して勝利した事も多い。
王都の兵士達の平均レベルは20を軽く超え、これはヒトノ帝国の兵士よりもレベルが高い。しかも人間と獣人族では身体能力に差があるため、質に関してはケモノ王国の兵士は世界でも優秀といえる。
「あ、そういえば今まで聞いてなかったんですけど、リルさん達のレベルはどれくらいですか?」
「ん?そういえば言ってなかったか?私は27、チイは21、ネコミンは15だ」
「えっと、年齢の話ですか?」
「失礼なっ!!私達は全員10代だ!!」
「ご、ごめんなさい……でも、ネコミンが20なのはちょっと意外だな」
「魔術師としては平均レベル、戦闘職と違って魔法職の人間はレベルが上がりにくい」
王女であはるが仮にも騎士団を率いるリルのレベルは「27」副団長のチイは「21」そして魔術師であるネコミンは「15」という言葉にレナは意外に思う。今まで何度か3人を解析してステータスを確認した事はあったが、あまりレベルに関しては注目してなかったので改めて不思議に思う。
「リルさんはもっと高いと思ってましたけど……」
「基本的にレベルは20を超えた辺りから上がりにくくなる。それに私達の場合は諜報任務が多い、必然的に魔物と戦う機会が少ないんだ」
「そういうお前のレベルはいくつだ?確か、この世界に召喚されたばかりだといっていたな……」
「俺は30ですね」
「30!?それは驚いたな……召喚された勇者はレベルの上昇速度が高いと聞いていたが、こんな短期間でそこまで上げていたのか」
「まあ、色々とありまして……」
レイナがレベルを答えるとリル達は驚くが、レイナの場合は勇者としての素質の他に「フラガラッハ」の「経験値増量」の恩恵と、技能の「経験値倍加」「必要経験値削減」の効果もあってレベルの上昇率が異常に高い。恐らくは他に召喚された勇者達よりも現時点ではレベルが高いのは間違いないだろう。
(そういえば……他の皆はどうしてるのかな?)
ここにきてレイナはヒトノ帝国に残してきてしまった勇者達の事を思い出し、彼等がどのように過ごしているのかを心配する。状況的に仕方なかったとはいえ、事情も伝えずにこの国を去ってしまったレイナは他の勇者達の身を案じる――
捕縛したケマイヌに関してはわざとらしく縄で縛り上げ、戦闘を歩かせる。これによって彼は罪人のように扱われるが、本人は毅然とした態度のまま前を歩く。その様子を見ていてチイは疑問を抱く。
「この男、昨日と比べて随分と落ち着いているな……レイナ、何かしたのか?」
「え?いや、出発前に言う事を聞いたら褒めてくれるかと言われたから、ちゃんとリルさんの言う通りに従ったら頭を撫でると約束したけど」
「頭を撫でるって……まるで子供みたいだな」
「でも、ちゃんという事を従ってる……よっぽどレイナに頭を撫でて欲しいみたい」
レイナの言葉を聞いてチイは呆れてしまうが、当のケマイヌ本人はレイナに褒められたいがために素直に従う。昨日の彼の態度を見ていただけにレイナは「魅了」の能力の恐ろしさを思い知らされる。
吸血鬼が扱う魅了は相手を虜にするだけではなく、自分の僕のように従わせる能力であるため、レイナが傍に存在する限りはケマイヌは彼女に従うだろう。問題があるとすれば魅了は異性にしか効かず、女性時のレイナでしか男性に魅了の効果を施す事ができない。そのせいで未だに男に戻らずにレイナは行動を共にしていた。
「あの、リルさん……このままだと、俺はどうなるですか?勇者が男であると知られている以上、この恰好のままで会うのはまずいんじゃ……」
「大丈夫だ、私を信じてくれ。悪いようにはしないし、君の事はちゃんと説明するさ」
「ならいいんですけど……」
レイナはこのまま自分が国王に紹介された場合、女性の勇者と間違われるのではないかと不安を抱く。しかし、リルも事前に策は用意しているらしく、一先ずは王都へ向かう。
「よし、見えてきたぞ。あれがケモノ王国の王都だ」
「あそこが……王都ですか」
リルの言葉にレイナは前方に視線を向けると、そこにはヒトノ帝国よりは規模は小さいが、確かに「王都」という言葉に相応しい立派な城壁に囲まれた都市が存在した。リルによれば人口は10万人、城を守る兵士は3万人も存在するという。
ヒトノ帝国と比べれば民衆や兵士の数はかなり少ないように思えるが、ケモノ王国の兵士達は精強で有名のため、これまでにヒトノ帝国との戦争では数の不利を覆して勝利した事も多い。
王都の兵士達の平均レベルは20を軽く超え、これはヒトノ帝国の兵士よりもレベルが高い。しかも人間と獣人族では身体能力に差があるため、質に関してはケモノ王国の兵士は世界でも優秀といえる。
「あ、そういえば今まで聞いてなかったんですけど、リルさん達のレベルはどれくらいですか?」
「ん?そういえば言ってなかったか?私は27、チイは21、ネコミンは15だ」
「えっと、年齢の話ですか?」
「失礼なっ!!私達は全員10代だ!!」
「ご、ごめんなさい……でも、ネコミンが20なのはちょっと意外だな」
「魔術師としては平均レベル、戦闘職と違って魔法職の人間はレベルが上がりにくい」
王女であはるが仮にも騎士団を率いるリルのレベルは「27」副団長のチイは「21」そして魔術師であるネコミンは「15」という言葉にレナは意外に思う。今まで何度か3人を解析してステータスを確認した事はあったが、あまりレベルに関しては注目してなかったので改めて不思議に思う。
「リルさんはもっと高いと思ってましたけど……」
「基本的にレベルは20を超えた辺りから上がりにくくなる。それに私達の場合は諜報任務が多い、必然的に魔物と戦う機会が少ないんだ」
「そういうお前のレベルはいくつだ?確か、この世界に召喚されたばかりだといっていたな……」
「俺は30ですね」
「30!?それは驚いたな……召喚された勇者はレベルの上昇速度が高いと聞いていたが、こんな短期間でそこまで上げていたのか」
「まあ、色々とありまして……」
レイナがレベルを答えるとリル達は驚くが、レイナの場合は勇者としての素質の他に「フラガラッハ」の「経験値増量」の恩恵と、技能の「経験値倍加」「必要経験値削減」の効果もあってレベルの上昇率が異常に高い。恐らくは他に召喚された勇者達よりも現時点ではレベルが高いのは間違いないだろう。
(そういえば……他の皆はどうしてるのかな?)
ここにきてレイナはヒトノ帝国に残してきてしまった勇者達の事を思い出し、彼等がどのように過ごしているのかを心配する。状況的に仕方なかったとはいえ、事情も伝えずにこの国を去ってしまったレイナは他の勇者達の身を案じる――
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