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獣人王国編
第142話 解析能力の真骨頂
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「アガァッ……」
「……完全に気絶しているな。ホブゴブリンといっても不意を突けばこの程度か」
「流石はリル様!!」
「チイ、声が大きい……怪しまれる前に早く調べた方が良い」
「じゃあ、ちょっと調べてみますね。クロミン、見張りをお願い」
「ぷるぷるっ(了解)」
暗闇では体色的な意味合いで見つかりにくいクロミンが見張り役を行い、その間にレイナは解析を発動させる。生きているのであれば意識を失っていようが解析の能力を発動すれば詳細画面が表示されるため、視界に表示された画面を確認してレイナは考察を行う。
―――ホブ・ゴブリン―――
種族:ゴブリン(上位種)
性別:雄
状態:気絶
特徴:元々は帝国地方のゴブリンだったが、進化を経て知性を身に着けた
――――――――――――
(こいつ、帝国地方から来たゴブリンだったのか……どうしてこんな場所にいるんだ?)
詳細画面に表示された文字を見てレイナは疑問を抱くと、その問いかけに答えるように詳細画面が更新され、新しい文章が表示された。
―――――――――――
特徴:元々は帝国地方から訪れたゴブリンだが、ある時に奴隷商人に捕まり、見世物として連れ出されそうになった所をアルドラという名の吸血鬼に救われる
―――――――――――
アルドラの名前が出た事にレイナは驚き、更に文章が表示されてホブゴブリンがこの地に訪れるまでの経緯を知る。
―――――――――――
特徴:元々は帝国地方から訪れたゴブリンだが、ある時に奴隷商人に捕まり、見世物として連れ出されそうになった所をアルドラという名の吸血鬼に救われる。その後、アルドラに配下として加わり、他のゴブリンと共に彼女に従って行動した結果、進化を経てホブゴブリンへと化す。
ホブゴブリンに進化後もアルドラの指示に従い、彼女を主人として忠誠を誓う。1年前にアルドラの指示を受けてケモノ王国に住処を築き、街に訪れる旅人や兵士を襲撃して武器を集め、訓練を行う
―――――――――――
画面に表示された文字を見てレイナはアルドラの指示で彼等がこの場所で暮らし、武器や防具を集め、人間のように訓練を行っている事を知る。一方でこれ以上の情報は持ち合わせていないのか詳細画面が更新される様子はなく、仕方なくレイナは画面を閉じて説明を行う。
「……どうやら調べた限りだと、こいつらを率いていたのは街で俺達が倒したアルドラという吸血鬼のようです」
「吸血鬼!?あの無駄乳女が……」
「チイ、ちゃっかり妬みが混じってる」
「あの吸血鬼がホブゴブリンを従えていた……そしてこの村に建てられた旗、魔王軍と無関係とは思えないな」
「あの女も魔王軍だと名乗ってましたしね……ですが、魔王軍の正体はウサンが裏で糸を引いた組織ではなかったのでしょうか?どうしてケモノ王国に魔王軍が……」
「調べた限りだと最低でも1年ぐらい前からこの場所に住み着いてるようです」
「魔王軍が活発的に行動を始めたのは数年前……という事は帝国だけではなく、ケモノ王国にもウサンは魔王軍を送り込んでいたというのか?」
この村を救うホブゴブリンが魔王軍を自称していたアルドラの配下だと判明した以上、魔王軍とは無関係とは思えない。だが、帝国以外の国で魔王軍が活発的な行動を取ったという話は聞いた事がなく、リル達は訝しむ。
だが、ここで考えたところで答えは判明せず、まずはこの村に巣食うホブゴブリンをどうするべきか考える必要があった。正体を知った以上は放置出来ないが、たった4人だけで数十匹は存在するホブゴブリンを殲滅するのは難しい。
「リル様、どうしますか?ここから街まで戻り、兵士を呼び寄せて攻め寄せますか?」
「いや、既に私達はこの村に入るためにホブゴブリンとファングを2匹も殺している。ここで退けば他のホブゴブリン共も怪しく思い、警戒態勢を強めるだろう。それにホブゴブリンは普通のゴブリンよりも手強い、腕利きの冒険者でも油断ならない敵だ」
「なら、クロミンに暴れて貰う?」
「まあ、それが一番手っ取り早いとは思うが……それでも魔王軍と関係を持つ以上は1匹も逃す事は出来ない。逃げられないように策を打つ必要があるな」
「策、ですか?」
「まずは村の外に出ないように逃げ道を封じる、その次にホブゴブリンを殲滅させる……そのためには真っ先に高台で見張りを行うホブゴブリンをどうにかする必要があるな」
「あの高台の……」
レイナは高台が存在する方向に視線を向け、遠視を発動させて確認を行う。眠たそうな表情を浮かべた数匹ホブゴブリンが村の外の様子だけを伺い、未だにレイナ達が侵入した事は気付いていない。
この村は周囲を木柵で囲まれているが、あちこちが寂れているせいで柵の方も壊れている箇所が多く、簡単に出入りできた。なのでクロミンを黒竜に変化させて襲いかかってもホブゴブリン達がバラバラになって逃げ出せば森の中に紛れて逃げられてしまう可能性もある。だからこそリルは高台に存在するホブゴブリンを先に始末し、ある方法で村の中のホブゴブリンを呼び寄せる必要があるという。
「……完全に気絶しているな。ホブゴブリンといっても不意を突けばこの程度か」
「流石はリル様!!」
「チイ、声が大きい……怪しまれる前に早く調べた方が良い」
「じゃあ、ちょっと調べてみますね。クロミン、見張りをお願い」
「ぷるぷるっ(了解)」
暗闇では体色的な意味合いで見つかりにくいクロミンが見張り役を行い、その間にレイナは解析を発動させる。生きているのであれば意識を失っていようが解析の能力を発動すれば詳細画面が表示されるため、視界に表示された画面を確認してレイナは考察を行う。
―――ホブ・ゴブリン―――
種族:ゴブリン(上位種)
性別:雄
状態:気絶
特徴:元々は帝国地方のゴブリンだったが、進化を経て知性を身に着けた
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(こいつ、帝国地方から来たゴブリンだったのか……どうしてこんな場所にいるんだ?)
詳細画面に表示された文字を見てレイナは疑問を抱くと、その問いかけに答えるように詳細画面が更新され、新しい文章が表示された。
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特徴:元々は帝国地方から訪れたゴブリンだが、ある時に奴隷商人に捕まり、見世物として連れ出されそうになった所をアルドラという名の吸血鬼に救われる
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アルドラの名前が出た事にレイナは驚き、更に文章が表示されてホブゴブリンがこの地に訪れるまでの経緯を知る。
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特徴:元々は帝国地方から訪れたゴブリンだが、ある時に奴隷商人に捕まり、見世物として連れ出されそうになった所をアルドラという名の吸血鬼に救われる。その後、アルドラに配下として加わり、他のゴブリンと共に彼女に従って行動した結果、進化を経てホブゴブリンへと化す。
ホブゴブリンに進化後もアルドラの指示に従い、彼女を主人として忠誠を誓う。1年前にアルドラの指示を受けてケモノ王国に住処を築き、街に訪れる旅人や兵士を襲撃して武器を集め、訓練を行う
―――――――――――
画面に表示された文字を見てレイナはアルドラの指示で彼等がこの場所で暮らし、武器や防具を集め、人間のように訓練を行っている事を知る。一方でこれ以上の情報は持ち合わせていないのか詳細画面が更新される様子はなく、仕方なくレイナは画面を閉じて説明を行う。
「……どうやら調べた限りだと、こいつらを率いていたのは街で俺達が倒したアルドラという吸血鬼のようです」
「吸血鬼!?あの無駄乳女が……」
「チイ、ちゃっかり妬みが混じってる」
「あの吸血鬼がホブゴブリンを従えていた……そしてこの村に建てられた旗、魔王軍と無関係とは思えないな」
「あの女も魔王軍だと名乗ってましたしね……ですが、魔王軍の正体はウサンが裏で糸を引いた組織ではなかったのでしょうか?どうしてケモノ王国に魔王軍が……」
「調べた限りだと最低でも1年ぐらい前からこの場所に住み着いてるようです」
「魔王軍が活発的に行動を始めたのは数年前……という事は帝国だけではなく、ケモノ王国にもウサンは魔王軍を送り込んでいたというのか?」
この村を救うホブゴブリンが魔王軍を自称していたアルドラの配下だと判明した以上、魔王軍とは無関係とは思えない。だが、帝国以外の国で魔王軍が活発的な行動を取ったという話は聞いた事がなく、リル達は訝しむ。
だが、ここで考えたところで答えは判明せず、まずはこの村に巣食うホブゴブリンをどうするべきか考える必要があった。正体を知った以上は放置出来ないが、たった4人だけで数十匹は存在するホブゴブリンを殲滅するのは難しい。
「リル様、どうしますか?ここから街まで戻り、兵士を呼び寄せて攻め寄せますか?」
「いや、既に私達はこの村に入るためにホブゴブリンとファングを2匹も殺している。ここで退けば他のホブゴブリン共も怪しく思い、警戒態勢を強めるだろう。それにホブゴブリンは普通のゴブリンよりも手強い、腕利きの冒険者でも油断ならない敵だ」
「なら、クロミンに暴れて貰う?」
「まあ、それが一番手っ取り早いとは思うが……それでも魔王軍と関係を持つ以上は1匹も逃す事は出来ない。逃げられないように策を打つ必要があるな」
「策、ですか?」
「まずは村の外に出ないように逃げ道を封じる、その次にホブゴブリンを殲滅させる……そのためには真っ先に高台で見張りを行うホブゴブリンをどうにかする必要があるな」
「あの高台の……」
レイナは高台が存在する方向に視線を向け、遠視を発動させて確認を行う。眠たそうな表情を浮かべた数匹ホブゴブリンが村の外の様子だけを伺い、未だにレイナ達が侵入した事は気付いていない。
この村は周囲を木柵で囲まれているが、あちこちが寂れているせいで柵の方も壊れている箇所が多く、簡単に出入りできた。なのでクロミンを黒竜に変化させて襲いかかってもホブゴブリン達がバラバラになって逃げ出せば森の中に紛れて逃げられてしまう可能性もある。だからこそリルは高台に存在するホブゴブリンを先に始末し、ある方法で村の中のホブゴブリンを呼び寄せる必要があるという。
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