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獣人王国編
第134話 血液操作
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「どうかしたのレイナ?」
「あ、いや……なんか何時の間にか、血液操作とかいう能力を覚えていて」
「血液操作?それは確か吸血鬼が扱う能力では……なるほど、恐らくアルドラという女を倒したときに覚えたんだろう」
「そういえば前に子供の吸血鬼を倒したときも魅了を覚えたような……そういえば魔人族は倒す事で固有能力を覚えられたりできるんでしたっけ?」
「ああ、確実に覚えるという訳ではないが、確かに魔人族を倒して新しい能力を覚える事はあると聞いている」
レイナは魔人族である吸血鬼を2人も倒した事で固有能力が増えたが、その前に倒した魔人族のミノタウロスからは能力は得ていない。運が良かったのか、それとも相性があるのかは分からないが、レナは覚えた能力を確認する事にした。
(血液操作か……増幅というのは文字通りに血液の量を増やすのか。これなら貧血の心配はないかも。でも、増幅し過ぎると血液が体内で破裂して大変そうな事になりそうだな)
吸血鬼は正確に言えば血液を吸うのではなく、生気を吸い上げる存在だとレイナは聞いていたが、覚えた固有能力の文面を見る限りでは血液も操るという点で「吸血鬼」という名前は相応しいように感じられた。
(凝固は多分、血液を固めるんだな。斬られた時に血液が紛失しないように傷口の血液を固めて失血を免れたりできるのかな?)
血液の凝固という言葉が気になったレイナは試しにフラガラッハを抜き取り、覚悟を決めて指先を聖剣の刃に近付ける。レイナの行動に他の者達は驚くが、指先を軽く切り裂くとレイナは痛みに耐えながらも意識を集中させ、指先に滲んだ血液を固める事が出来るのかを試す。
「……おおっ、本当に固まった」
「何をしたんだ?」
「いえ、血液を固まらせる事が出来るらしいので固めてみました」
「おおっ……本当に固まってる」
指先に滲んだ血液は完全に固まり、かさぶたのように傷口に張り付いているのでこれ以上の出血は防がれた。但し、あくまでも傷口を固めた血液で抑えているだけにしか過ぎず、治療されてわけではないのでこの状態だと自然治癒する事は無いだろう。それでも今後の戦闘ではかなり役立ちそうな能力だった。
血液を固める事が出来ればどれほどの深手を負おうと傷口の血液を固める事で出血を防ぎ、出血多量による死亡は免れる。また、血液を増幅させる事も出来るので失った血液も作り出す事が出来る。最後にレナが気になったのは「変質化」という文章だった。
(この変質化というのはよく分からないな……血液を別の物に変質させるのか?でも、変質させるといってもいったい何に……)
血液の増幅と凝固は役立ちそうではあるが、最後の変質化という文章に関してはレナは使い方すらも想像できず、試しに能力を発動させようとするが何も起きない。能力が扱えるとしてもレナ本人がそれがどのような能力なのかを把握していなければ発動できない事もあるらしく、仕方なく今は諦めようとした時、御者を勤めていたチイが声を上げる。
「り、リル様!!大変です!!」
「どうした?使者の馬車を見つけたのか?」
「それが……」
チイの言葉に全員が馬車の前方に視線を向けると、そこには横転した馬車と横たわる人間と馬の死体が存在した。それを目撃したレイナ達は目を見開き、即座に全員が馬車を降りて様子を伺う。
「全員、警戒態勢!!周囲を注意しろ!!」
「はいっ!!」
「「ウォンッ!!」」
「ぷるぷるっ!!」
レイナ達は周囲を警戒しながらも馬車に近付くと、間違いなくレイナ達が宿泊していた街から放たれた警備兵の使者で間違いはなかった。いったい何が起きたのかと倒れている馬車に近付くと、すぐにネコミンが異変を感じとる。
「うっ……」
「どうしたのネコミン!?」
「強い獣臭がする……」
「獣臭だと……という事は魔物の仕業か?」
馬車には強い獣臭が残っているらしく、レイナ達でさえも近付くと感じ取れる程に酷い臭いがした。まずは倒れている馬の様子を調べると、頭部には食い千切られたような後が残っており、胴体にも噛み傷が存在した。
傷跡の具合を確認すると狼と思われる牙が1本だけ突き刺さっており、襲った時に恐らくは抜け落ちた牙だと思われた。リル達は牙の大きさと形状と色合いを見て普通の狼ではなく、恐らくはシロやクロのような魔獣の仕業だと考えられた。
「リル様、この牙の大きさと色を見るに恐らくファングの仕業だと思われます」
「ファング?」
「白狼種や黒狼種とは異なる狼型の魔獣だ。世界中に存在する特に珍しくもない狼型の魔獣だが……」
「じゃあ、そのファングに襲われたんですかね?」
「いや、待ってくれ。死体の様子がおかしい」
馬の様子を見て襲いかかったのはファングと呼ばれる魔物かと思われたが、チイが馬車を操作していた兵士の死体を指差す。そこにはなぜか鎧と服を剥ぎ取られた状態の兵士の死体が横たわっており、馬車の中にいたと思われる他の兵士達も裸同然の姿で地面に倒れていた。
「あ、いや……なんか何時の間にか、血液操作とかいう能力を覚えていて」
「血液操作?それは確か吸血鬼が扱う能力では……なるほど、恐らくアルドラという女を倒したときに覚えたんだろう」
「そういえば前に子供の吸血鬼を倒したときも魅了を覚えたような……そういえば魔人族は倒す事で固有能力を覚えられたりできるんでしたっけ?」
「ああ、確実に覚えるという訳ではないが、確かに魔人族を倒して新しい能力を覚える事はあると聞いている」
レイナは魔人族である吸血鬼を2人も倒した事で固有能力が増えたが、その前に倒した魔人族のミノタウロスからは能力は得ていない。運が良かったのか、それとも相性があるのかは分からないが、レナは覚えた能力を確認する事にした。
(血液操作か……増幅というのは文字通りに血液の量を増やすのか。これなら貧血の心配はないかも。でも、増幅し過ぎると血液が体内で破裂して大変そうな事になりそうだな)
吸血鬼は正確に言えば血液を吸うのではなく、生気を吸い上げる存在だとレイナは聞いていたが、覚えた固有能力の文面を見る限りでは血液も操るという点で「吸血鬼」という名前は相応しいように感じられた。
(凝固は多分、血液を固めるんだな。斬られた時に血液が紛失しないように傷口の血液を固めて失血を免れたりできるのかな?)
血液の凝固という言葉が気になったレイナは試しにフラガラッハを抜き取り、覚悟を決めて指先を聖剣の刃に近付ける。レイナの行動に他の者達は驚くが、指先を軽く切り裂くとレイナは痛みに耐えながらも意識を集中させ、指先に滲んだ血液を固める事が出来るのかを試す。
「……おおっ、本当に固まった」
「何をしたんだ?」
「いえ、血液を固まらせる事が出来るらしいので固めてみました」
「おおっ……本当に固まってる」
指先に滲んだ血液は完全に固まり、かさぶたのように傷口に張り付いているのでこれ以上の出血は防がれた。但し、あくまでも傷口を固めた血液で抑えているだけにしか過ぎず、治療されてわけではないのでこの状態だと自然治癒する事は無いだろう。それでも今後の戦闘ではかなり役立ちそうな能力だった。
血液を固める事が出来ればどれほどの深手を負おうと傷口の血液を固める事で出血を防ぎ、出血多量による死亡は免れる。また、血液を増幅させる事も出来るので失った血液も作り出す事が出来る。最後にレナが気になったのは「変質化」という文章だった。
(この変質化というのはよく分からないな……血液を別の物に変質させるのか?でも、変質させるといってもいったい何に……)
血液の増幅と凝固は役立ちそうではあるが、最後の変質化という文章に関してはレナは使い方すらも想像できず、試しに能力を発動させようとするが何も起きない。能力が扱えるとしてもレナ本人がそれがどのような能力なのかを把握していなければ発動できない事もあるらしく、仕方なく今は諦めようとした時、御者を勤めていたチイが声を上げる。
「り、リル様!!大変です!!」
「どうした?使者の馬車を見つけたのか?」
「それが……」
チイの言葉に全員が馬車の前方に視線を向けると、そこには横転した馬車と横たわる人間と馬の死体が存在した。それを目撃したレイナ達は目を見開き、即座に全員が馬車を降りて様子を伺う。
「全員、警戒態勢!!周囲を注意しろ!!」
「はいっ!!」
「「ウォンッ!!」」
「ぷるぷるっ!!」
レイナ達は周囲を警戒しながらも馬車に近付くと、間違いなくレイナ達が宿泊していた街から放たれた警備兵の使者で間違いはなかった。いったい何が起きたのかと倒れている馬車に近付くと、すぐにネコミンが異変を感じとる。
「うっ……」
「どうしたのネコミン!?」
「強い獣臭がする……」
「獣臭だと……という事は魔物の仕業か?」
馬車には強い獣臭が残っているらしく、レイナ達でさえも近付くと感じ取れる程に酷い臭いがした。まずは倒れている馬の様子を調べると、頭部には食い千切られたような後が残っており、胴体にも噛み傷が存在した。
傷跡の具合を確認すると狼と思われる牙が1本だけ突き刺さっており、襲った時に恐らくは抜け落ちた牙だと思われた。リル達は牙の大きさと形状と色合いを見て普通の狼ではなく、恐らくはシロやクロのような魔獣の仕業だと考えられた。
「リル様、この牙の大きさと色を見るに恐らくファングの仕業だと思われます」
「ファング?」
「白狼種や黒狼種とは異なる狼型の魔獣だ。世界中に存在する特に珍しくもない狼型の魔獣だが……」
「じゃあ、そのファングに襲われたんですかね?」
「いや、待ってくれ。死体の様子がおかしい」
馬の様子を見て襲いかかったのはファングと呼ばれる魔物かと思われたが、チイが馬車を操作していた兵士の死体を指差す。そこにはなぜか鎧と服を剥ぎ取られた状態の兵士の死体が横たわっており、馬車の中にいたと思われる他の兵士達も裸同然の姿で地面に倒れていた。
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