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獣人王国編
第133話 使者の追跡
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「実は手紙を書いた時、レイナ君の事を女性だと書いてしまったんだ。ずっとその姿で一緒に過ごしていたから男性である事を忘れていた!!」
「ええっ!?」
「リル様、それはかなりまずいのでは!?」
「どうまずいの?」
連れ帰った勇者の性別を間違えただけならば特に大きな問題とは思えず、別に国王に謁見したときに訂正すればいいのではないかと思われるが、そんな単純な話ではないという。
「これはまずい、非常にまずい!!私達は事前に送り返した使者に調査報告書を渡してある。その文章には召喚された勇者は3名が男性、女性が1名と書いている。つまり、私の手紙を受け取れば父はレイナ君の事を女性の勇者だと勘違いするだろう」
「それがどうまずいんですか?」
「いいかい?本物の女性の勇者は帝国に残っている、恐らく今後は帝国も勇者を公の場に出して活躍するだろう。そうなった場合、このケモノ王国にも情報が届くはずだ。その場合、どうして一人しか存在しない女性の勇者が二人もいるんだと誰もが疑問を抱く。そうなった場合は必然的にどちらかが偽物だと疑われるだろう……下手をしたら私達が偽物の人間を勇者と仕立て上げ、連れて帰って来たと疑われるかもしれない!!」
「えええっ!?」
「で、ですけどリル様……レイナの能力の事を明かせば問題ないのではないでしょうか?」
仮にレイナが勇者の偽物だと疑われても、レイナが文字変換の能力を使用して見せつければ誰もが彼女の事を勇者だと信じるだろう。しかし、それは同時にレイナの能力を大勢の人間に明かす事になってしまう。
「いや、それは出来ない。レイナ君の能力を無暗に他の人間に晒す事は危険だ。間違いなく、レイナ君の能力が知られれば多くの人間がそれを利用しようとするだろう……それだけは何としても避けなければならない」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
「ともかく、今の私達はすぐに先に送った使者を追いかける必要がある!!何としても手紙を回収して書き直さなければならない!!こうしている暇はない、今すぐに出発使用!!」
「は、はい!!」
レイナ達はリルの言葉に従い、休む暇もなく宿屋を飛び出すと街の住民が用意してくれた馬車に乗り込み、チイが御者を勤めてシロとクロを走らせた――
――使者が出発してから大分時間は経過しているが、シロとクロの脚力ならばすぐに追いつけるだろうとリルは予測していた。普通の馬よりもずっと足が速く、体力もある二匹なら馬車を引いても普通の馬よりも早く走れる。魔除けの石もあるので途中で魔物に襲われる事もなく、安全に先に進むことが出来た。
ちなみに魔除けの石はスライムには全く効果はないらしく、クロミンは魔除けの石をサーカスのピエロのように大玉代わりに乗り込み、揺れる馬車の中で上手くバランスを取って遊んでいた。
「ぷるぷるっ♪」
「クロミンは魔除けの石が全然平気なんですね」
「ああ、スライムは魔法に対して完全な耐性を持っているからな。仮に砲撃魔導士が至近距離で魔法を喰らわせても傷一つ負わないだろう」
「え!?そんなに凄い能力を持ってるんですか?」
「そうだ。魔法その物がスライムには効かない、逆に言えば攻撃魔法以外の魔法、つまりは聖属性の回復魔法や支援魔法に関しても効果は得られないから気を付けろ」
「ぷるっくりんっ(そうだったのか)」
「それとアンデッドにも魔除けの石は効かない。でも、魔法は普通に通用する」
「へえっ……初めて知った」
「まあ、異世界から来たのだから知らなくても仕方ない事だが、レイナ君もそこら辺の常識は学んでおいた方が良いね」
「はい、勉強します……」
クロミンは魔除けの石が放つ魔力の波動を一切受け付けず、楽しそうに身体を弾ませる。その様子を見ながら癒されながらも、レイナはこの際に自分のステータス画面を確認していた。
(そういえば吸血鬼になった女の子と、あのアルドラとかいう奴と、アンデッドを倒したからレベルは上がったのかな?)
ケモノ王国に入ってからはレイナは普通の魔物とは交戦していないが、ここまでの道中で吸血鬼2人とアンデッドを数百体を倒している。聖剣の力に頼ったので今回は危機を乗り越える事が出来たが、この際にレベルが上がっていたのならば更に新しい技能を覚えておくことにした。
―――ステータス―――
称号:解析の勇者
性別:女性
年齢:15才
状態:健康
レベル:28
SP:77
―――――――――――
(あ、やった。レベルが8も上がってる!!結構倒したからな……これで新しい技能を覚えられるや)
レベル25を超えた事で制限がなくなり、また新しい技能を覚えられるようになったレイナは次は何を覚えようかとすると、固有能力の項目に新しい能力が追加されている事に気付く。
―――――――――――
固有能力
・解析――あらゆる物体の詳細を画面として表示する。生物の場合はステータスとして表示される
・瞬動術――神速と跳躍を組み合わせた高速移動術
・硬化――筋肉を凝縮させ、身体の一部の防御力を上昇
・魅了――異性を引き寄せ、自分の虜へとさせる
・血液操作――血液を自在に操り、増幅や凝固、他にも変質化させる事が出来る
―――――――――――
最後の項目に「血液操作」という能力が追加されている事に気付いたレイナは疑問を抱き、文章を見てよく分からない内容だった。
「ええっ!?」
「リル様、それはかなりまずいのでは!?」
「どうまずいの?」
連れ帰った勇者の性別を間違えただけならば特に大きな問題とは思えず、別に国王に謁見したときに訂正すればいいのではないかと思われるが、そんな単純な話ではないという。
「これはまずい、非常にまずい!!私達は事前に送り返した使者に調査報告書を渡してある。その文章には召喚された勇者は3名が男性、女性が1名と書いている。つまり、私の手紙を受け取れば父はレイナ君の事を女性の勇者だと勘違いするだろう」
「それがどうまずいんですか?」
「いいかい?本物の女性の勇者は帝国に残っている、恐らく今後は帝国も勇者を公の場に出して活躍するだろう。そうなった場合、このケモノ王国にも情報が届くはずだ。その場合、どうして一人しか存在しない女性の勇者が二人もいるんだと誰もが疑問を抱く。そうなった場合は必然的にどちらかが偽物だと疑われるだろう……下手をしたら私達が偽物の人間を勇者と仕立て上げ、連れて帰って来たと疑われるかもしれない!!」
「えええっ!?」
「で、ですけどリル様……レイナの能力の事を明かせば問題ないのではないでしょうか?」
仮にレイナが勇者の偽物だと疑われても、レイナが文字変換の能力を使用して見せつければ誰もが彼女の事を勇者だと信じるだろう。しかし、それは同時にレイナの能力を大勢の人間に明かす事になってしまう。
「いや、それは出来ない。レイナ君の能力を無暗に他の人間に晒す事は危険だ。間違いなく、レイナ君の能力が知られれば多くの人間がそれを利用しようとするだろう……それだけは何としても避けなければならない」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
「ともかく、今の私達はすぐに先に送った使者を追いかける必要がある!!何としても手紙を回収して書き直さなければならない!!こうしている暇はない、今すぐに出発使用!!」
「は、はい!!」
レイナ達はリルの言葉に従い、休む暇もなく宿屋を飛び出すと街の住民が用意してくれた馬車に乗り込み、チイが御者を勤めてシロとクロを走らせた――
――使者が出発してから大分時間は経過しているが、シロとクロの脚力ならばすぐに追いつけるだろうとリルは予測していた。普通の馬よりもずっと足が速く、体力もある二匹なら馬車を引いても普通の馬よりも早く走れる。魔除けの石もあるので途中で魔物に襲われる事もなく、安全に先に進むことが出来た。
ちなみに魔除けの石はスライムには全く効果はないらしく、クロミンは魔除けの石をサーカスのピエロのように大玉代わりに乗り込み、揺れる馬車の中で上手くバランスを取って遊んでいた。
「ぷるぷるっ♪」
「クロミンは魔除けの石が全然平気なんですね」
「ああ、スライムは魔法に対して完全な耐性を持っているからな。仮に砲撃魔導士が至近距離で魔法を喰らわせても傷一つ負わないだろう」
「え!?そんなに凄い能力を持ってるんですか?」
「そうだ。魔法その物がスライムには効かない、逆に言えば攻撃魔法以外の魔法、つまりは聖属性の回復魔法や支援魔法に関しても効果は得られないから気を付けろ」
「ぷるっくりんっ(そうだったのか)」
「それとアンデッドにも魔除けの石は効かない。でも、魔法は普通に通用する」
「へえっ……初めて知った」
「まあ、異世界から来たのだから知らなくても仕方ない事だが、レイナ君もそこら辺の常識は学んでおいた方が良いね」
「はい、勉強します……」
クロミンは魔除けの石が放つ魔力の波動を一切受け付けず、楽しそうに身体を弾ませる。その様子を見ながら癒されながらも、レイナはこの際に自分のステータス画面を確認していた。
(そういえば吸血鬼になった女の子と、あのアルドラとかいう奴と、アンデッドを倒したからレベルは上がったのかな?)
ケモノ王国に入ってからはレイナは普通の魔物とは交戦していないが、ここまでの道中で吸血鬼2人とアンデッドを数百体を倒している。聖剣の力に頼ったので今回は危機を乗り越える事が出来たが、この際にレベルが上がっていたのならば更に新しい技能を覚えておくことにした。
―――ステータス―――
称号:解析の勇者
性別:女性
年齢:15才
状態:健康
レベル:28
SP:77
―――――――――――
(あ、やった。レベルが8も上がってる!!結構倒したからな……これで新しい技能を覚えられるや)
レベル25を超えた事で制限がなくなり、また新しい技能を覚えられるようになったレイナは次は何を覚えようかとすると、固有能力の項目に新しい能力が追加されている事に気付く。
―――――――――――
固有能力
・解析――あらゆる物体の詳細を画面として表示する。生物の場合はステータスとして表示される
・瞬動術――神速と跳躍を組み合わせた高速移動術
・硬化――筋肉を凝縮させ、身体の一部の防御力を上昇
・魅了――異性を引き寄せ、自分の虜へとさせる
・血液操作――血液を自在に操り、増幅や凝固、他にも変質化させる事が出来る
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最後の項目に「血液操作」という能力が追加されている事に気付いたレイナは疑問を抱き、文章を見てよく分からない内容だった。
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