解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
114 / 367
獣人王国編

第114話 アンデッド

しおりを挟む
『アアアアッ……!!』
「うわっ!?」
「くっ……長く持ちそうにないな」


アンデッドの大群がキャンピングカーの周囲を群がり、車体が激しく揺らされる。車の上に乗っているシロとクロも振り落とされないか心配する暇もなく、レア達はどのように対処するのかを考える。

恐らくは村の住民だと思われるアンデッドたちは完全にキャンピングカーを取り囲み、今から車を動かそうとしても突破する事は難しいだろう。映画やゲームではあるまいし、大勢の人間に囲まれた状態で車を出してもタイヤがアンデッドに乗り上げて横転するのは目に見えていた。


「リル様、ここは強行突破しかありません!!入口の奴等を蹴散らし、シロとクロに乗り込んで逃げましょう」
「……それしか方法はないか」
「ちょっと待ってください、それなら二階の窓を使いましょう」
「その方が良いと思う。


レア達が乗り込んでいるキャンピングカーには二階に窓が存在するため、窓から車体の上に移動する方が早い。急いでリル達は二階に移動しようとすると、フロントガラスを破壊してアンデッドが乗り込んできた。


「アアアッ!!」
「うわっ!?」
「ちっ、もう来たか……早く登れ!!ここは私が……」
「いや、待て!!レア君、君のフラガラッハなら対処出来るはずだ!!」
「リル!?」


最後尾のチイがアンデッドと戦おうとしたが、リルはレアにフラガラッハを使用して戦うように促す。先ほどの彼女達の話によるとアンデッドを倒すには聖属性の魔法か、あるいは聖属性の魔力を宿した武器でなければならない。

当然、魔法が扱えないレアにアンデッドに対抗する事は出来ない。しかし、彼が所有しているフラガラッハは伝説の勇者が使用していた聖剣の複製品である。先ほどの戦闘でフラガラッハに切り裂かれたアンデッドの様子を見てリルは確信した。


「恐らく、聖剣には聖属性の魔力を宿されているはずだ!!だからフラガラッハならアンデッドを倒す事が出来るかもしれない!!」
「なるほど……分かりました!!」


フラガラッハが扱えるのは現状ではレアだけである以上、アンデッドと戦うのに適したのはレアしかいない。社内に乗り込んできたアンデッドに対してレアはフラガラッハを振り翳す。


「はああっ!!」
「ぎゃあっ!?」
「あぎぃっ!?」
「うぎゃっ!?」


フラガラッハに斬りつけられたアンデッドは悲鳴を上げ、フラガラッハに切り裂かれた箇所から徐々に身体が崩れ始め、やがて灰と化して消えてしまう。どうやらリルの予想が的中したらしく、フラガラッハならばアンデッドに対抗する事が出来た。

しかし、いくらアンデッドの対抗手段があったとしても次々と乗り込んでくるアンデッドをレア一人で抑える事は出来ず、ある程度の数を倒すとレアも二階へ移動する。既にリル達は窓を開けて車体の上に移動したらしく、窓の外からリルが手を伸ばす。


「レア君、掴まれっ!!」
「はい!!」
『うぎぃいいいっ!!』


階段からアンデッドが登ってくる前にレアはリルの腕を掴み、そのまま車体の上に持ち上げられる。リルのレベルは30を超えているため、人間一人など持ち上げる事は容易く、軽々とレアを引き上げると無事を祝う。


「よくやってくれた。君がいてくれてよかった」
「いえ……それよりもどうしたらいいんですか?」
「完全に囲まれてる……これを抜けるのは難しい」
「な、何だこの数は……!?」
「ぷるるんっ……」
「「グルルルッ……!!」」


キャンピングカーの周囲には無数のアンデッドが群がり、その数は100人を超えていた。しかも次々と地中から新手のアンデッドが出現する光景を見てレア達は冷や汗を流す。

この村の人間達だと思われたが、それにしては妙に数が多すぎる気がした。村の建物の数を考慮しても村人はせいぜい50人程度だと思われたが、既にキャンピングカーの周囲には100を超えるアンデッドが群がり、車体を揺らす。


「これだけの数のアンデッド……恐らく、この村だけではなく他の村の人間も交じっているだろう」
「どうしてこれほどの大量のアンデッドが急に……まさか、死霊使いですか!?」
「分からない……だが、アンデッドが作り出せるのは死霊使いか、あるいは……!?」
「リルさん?」


リルは会話の途中で何かに気付いた様に目を見開き、そしてチイの肩を掴む。唐突に掴まれたチイは戸惑うが、リルは彼女の服の中に手を伸ばす。


「え、ちょと……リル様!?急に何を……あ、やぁんっ」
「ハンカチだ!!ハンカチは何処だ!?」
「ちょ、リルさん!?落ち着いて……」
「ハンカチならチイのポケットに入ってる」
「ここか!!」


唐突にチイの服の中に手を入れてまさぐりはじめたリルにレア達は驚くが、当の彼女は別にふざけているわけではなく、チイが所有していたハンカチを取り出す。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...