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ヒトノ帝国編
第110話 スライム
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「あの……魔物の中で比較的に大人しくて、他の人達に見られても驚かれず、できれば四文字の魔物とかいませんか?」
「はっ?」
「また、急に変な事を聞いてくるね……しかし、四文字の魔物か」
「う~ん……」
レイナの唐突な質問にリル達は呆気に取られるが、すぐにネコミンが考え込むように猫耳をぱたぱたと動かし、何かを思いついたのか猫耳をピンと立てて答える。
「それならスライムがいい」
「スライム?」
「そうだな、確かにその条件ならスライムがぴったりだな」
「ああ、人に危害を与えず、普段は川辺で大人しく過ごす魔物だよ。ペットとしても人気な魔物だから人に恐れられる事はないはずだ」
「なるほど……スライムですか。ちなみに亜種とか居ます?」
「たまに色違いのスライムがいるから、それが亜種だと思う。でも、スライムはどんな色をしても大人しいから問題ない」
この世界にはスライムも実在するらしく、レイナは見た事がないのでどんな外見なのかは分からないが、話を聞く限りでは怖い生物ではないらしい。
(スライムというのが種族名なのか、それとも名前なのか気になるけど……試してみるか)
黒竜の詳細画面に表示された「下位竜種(亜種)」という文字に視線を向け、指先を向けて「下位竜種」を「スライム」と変換させる。種族を変化させた場合、どうなるのか気になったレイナは黒竜に視線を向けると、画面が更新された瞬間に黒竜が光り輝く。
『ガアアッ……!?』
「な、何だ!?」
「何をしたんだレイナ!?」
「これは……」
眠っていた黒竜が光り輝く光景を見てリル達は慌てふためき、レイナも駄目元で行った文字変換が成功した事に動揺する。やがて光が収まると、黒竜の巨体が消え去り、代わりに草原の上には黒色の小さな生物が存在した。
「ぷるるんっ!!」
「うわっ!?な、何だこれ!?」
「こ、これは……スライムだ!!スライムで間違いないぞ!!」
「……可愛い」
「黒色のスライム……まさか、これが黒竜なのか?」
レイナの足元に身体は30センチほどの大きさで黒色に染まった球体状の生物が誕生し、頭の部分には「耳」を想像させる二つの触覚が生えていた。黒竜だと思われるスライムはレイナの足元へすり寄り、小動物のようにつぶらな瞳を向けてくる。
「ぷるぷるっ……」
「か、可愛い……けど、お前本当に黒竜なのか?」
「ぷるんっ?」
スライムは抱き上げられると不思議そうな表情を浮かべ、人間の言葉も理解できるのかレイナに対して「遊んで」とばかりに身体を震わせる。感触はゼリーのように柔らかくひんやりしており、それでいながら弾力感も感じられた。
リル達はレイナに甘えるスライムを見て唖然とするが、スライムをじっと見つめていたネコミンが恐る恐る指先を伸ばしてスライムに触れる。スライムはくすぐったそうに目元を緩め、ネコミンはそれを見て危険が無いと悟ると頭を撫で始める。
「……この子、本当にかわいい」
「ぷるぷるっ♪」
「性格まで変わったのかな……何にしろ、これなら連れて行っても問題ないかな」
「い、いったい何が何だが……」
「はあっ……全く、改めてレイナ君の飛んでもなさが思い知らされるね」
先ほどまで獰猛で危険な黒竜が可愛らしいスライムに変わり果てた事にチイは戸惑い、リルは呆れてしまう。しかし、この姿ならば確かに村や街に連れて行っても問題はなく、ペットとして同行させても怪しまれる事は無い。
シロとクロも唐突に現れたスライムに興味深そうに近づき、表面を舌で舐めやる。するとスライムも頭に生えている触覚を伸ばして2匹の鼻頭に触れる。
「ウォンッ♪」
「クゥ~ンッ」
「ぷるるんっ」
「おおっ……もうシロとクロと打ちとけた。普通のスライムは2匹を見ると怯えるのに……この子、肝っ玉が大きい」
「それはまあ……元々が元々だからね」
いくら可愛らしい外見に変化しようと、スライムの正体が黒竜である事に変わりはなく、スライムはレナから離れるとシロとクロの背中の上を飛び回り、すぐに打ち解けてしまう。黒竜の状態の時はシロもクロも警戒心を露わにしていたが、今現在のスライムなら恐れを抱く必要性もない。
これで移動の際にまた新しいペットが増えた事になり、いざという時はレイナの文字変換の能力で元の姿に戻して戦わさせれば心強い仲間が出来た。この際にレイナはスライムでは味気ないので名前を付ける事にした。
「よし、スライムの名前を付けよう。何がいいかな?」
「一般的に有名な名前はスラミン」
「瞳がつぶらな事からヒトミンと呼ばれる事もあるらしいが……」
「それでは味気ないな。ふむ……身体の色から取って、クロミンというのはどうだろうか?」
「ぷるるるるんっ♪」
リルのクロミンという名前が気に入ったのか、スライムは身体を弾ませて喜びを表現する。黒竜改めスライムのクロミンを仲間に加えたレイナ達はこれで安心して王都へ向けて出発する事が出来た――
「はっ?」
「また、急に変な事を聞いてくるね……しかし、四文字の魔物か」
「う~ん……」
レイナの唐突な質問にリル達は呆気に取られるが、すぐにネコミンが考え込むように猫耳をぱたぱたと動かし、何かを思いついたのか猫耳をピンと立てて答える。
「それならスライムがいい」
「スライム?」
「そうだな、確かにその条件ならスライムがぴったりだな」
「ああ、人に危害を与えず、普段は川辺で大人しく過ごす魔物だよ。ペットとしても人気な魔物だから人に恐れられる事はないはずだ」
「なるほど……スライムですか。ちなみに亜種とか居ます?」
「たまに色違いのスライムがいるから、それが亜種だと思う。でも、スライムはどんな色をしても大人しいから問題ない」
この世界にはスライムも実在するらしく、レイナは見た事がないのでどんな外見なのかは分からないが、話を聞く限りでは怖い生物ではないらしい。
(スライムというのが種族名なのか、それとも名前なのか気になるけど……試してみるか)
黒竜の詳細画面に表示された「下位竜種(亜種)」という文字に視線を向け、指先を向けて「下位竜種」を「スライム」と変換させる。種族を変化させた場合、どうなるのか気になったレイナは黒竜に視線を向けると、画面が更新された瞬間に黒竜が光り輝く。
『ガアアッ……!?』
「な、何だ!?」
「何をしたんだレイナ!?」
「これは……」
眠っていた黒竜が光り輝く光景を見てリル達は慌てふためき、レイナも駄目元で行った文字変換が成功した事に動揺する。やがて光が収まると、黒竜の巨体が消え去り、代わりに草原の上には黒色の小さな生物が存在した。
「ぷるるんっ!!」
「うわっ!?な、何だこれ!?」
「こ、これは……スライムだ!!スライムで間違いないぞ!!」
「……可愛い」
「黒色のスライム……まさか、これが黒竜なのか?」
レイナの足元に身体は30センチほどの大きさで黒色に染まった球体状の生物が誕生し、頭の部分には「耳」を想像させる二つの触覚が生えていた。黒竜だと思われるスライムはレイナの足元へすり寄り、小動物のようにつぶらな瞳を向けてくる。
「ぷるぷるっ……」
「か、可愛い……けど、お前本当に黒竜なのか?」
「ぷるんっ?」
スライムは抱き上げられると不思議そうな表情を浮かべ、人間の言葉も理解できるのかレイナに対して「遊んで」とばかりに身体を震わせる。感触はゼリーのように柔らかくひんやりしており、それでいながら弾力感も感じられた。
リル達はレイナに甘えるスライムを見て唖然とするが、スライムをじっと見つめていたネコミンが恐る恐る指先を伸ばしてスライムに触れる。スライムはくすぐったそうに目元を緩め、ネコミンはそれを見て危険が無いと悟ると頭を撫で始める。
「……この子、本当にかわいい」
「ぷるぷるっ♪」
「性格まで変わったのかな……何にしろ、これなら連れて行っても問題ないかな」
「い、いったい何が何だが……」
「はあっ……全く、改めてレイナ君の飛んでもなさが思い知らされるね」
先ほどまで獰猛で危険な黒竜が可愛らしいスライムに変わり果てた事にチイは戸惑い、リルは呆れてしまう。しかし、この姿ならば確かに村や街に連れて行っても問題はなく、ペットとして同行させても怪しまれる事は無い。
シロとクロも唐突に現れたスライムに興味深そうに近づき、表面を舌で舐めやる。するとスライムも頭に生えている触覚を伸ばして2匹の鼻頭に触れる。
「ウォンッ♪」
「クゥ~ンッ」
「ぷるるんっ」
「おおっ……もうシロとクロと打ちとけた。普通のスライムは2匹を見ると怯えるのに……この子、肝っ玉が大きい」
「それはまあ……元々が元々だからね」
いくら可愛らしい外見に変化しようと、スライムの正体が黒竜である事に変わりはなく、スライムはレナから離れるとシロとクロの背中の上を飛び回り、すぐに打ち解けてしまう。黒竜の状態の時はシロもクロも警戒心を露わにしていたが、今現在のスライムなら恐れを抱く必要性もない。
これで移動の際にまた新しいペットが増えた事になり、いざという時はレイナの文字変換の能力で元の姿に戻して戦わさせれば心強い仲間が出来た。この際にレイナはスライムでは味気ないので名前を付ける事にした。
「よし、スライムの名前を付けよう。何がいいかな?」
「一般的に有名な名前はスラミン」
「瞳がつぶらな事からヒトミンと呼ばれる事もあるらしいが……」
「それでは味気ないな。ふむ……身体の色から取って、クロミンというのはどうだろうか?」
「ぷるるるるんっ♪」
リルのクロミンという名前が気に入ったのか、スライムは身体を弾ませて喜びを表現する。黒竜改めスライムのクロミンを仲間に加えたレイナ達はこれで安心して王都へ向けて出発する事が出来た――
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