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ヒトノ帝国編
第95話 森を抜けたその先は……
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――ミノタウロスを撃破したレイナ達は夜が明ける前に遂に森を抜け出す事に成功し、帝国の国境付近へと辿り着く。疲れた身体で国境を乗り越える事は不可能だと判断したリルは森を抜け出した後、近くの街の宿屋で過ごす事にした。
街に入る前に当然だが全員は変装を行い、チイに至っては男装まで行う。リルは貴族のよう恰好に着替え、ネコミンは護衛役の女剣士、最後にレイナは年齢を変更して今度は「10才」の少女へと変身して街の中に入り込む。
「う~……服がぶかぶかで動きにくい」
「ははは、今度からは子供用の服も常備しないといけないな」
「レイナ、可愛い……抱き着いてもいい?」
「……本当に可愛いな、お前」
宿屋の一室にてレイナは小さくなった身体に溜息を吐くが、他の者達からはこちらの姿は好評らしく、ネコミンに至っては勝手に抱き着いて頭を撫でてくる。その際に彼女の柔らかな乳房が後頭部に押し付けられて反応に困るのだが、肉体が女の子のせいか興奮はしない。
今更ながらにレイナは何時まで自分が女性の恰好でいなければならないのかと疑問を抱き、まさかこのままずっと女性として過ごさなければならないのかと不安を抱く。だが、そんなレイナの不安を読み取ったようにリルが応える。
「もうしばらくの間は我慢してくれ、この国さえ抜けることが出来れば安全だ。そうなれば元の姿にも戻れるだろう」
「ああ、そういえばレイナは男だと言っていたな……私達は見た事は無いが、どんな感じですか?」
「気になる」
「そうだな……私の見立てでは外見はあまり変わらないな。正直、最初に会った時も女の子かと思った」
「ええっ……」
男性の時の姿でもモデルをやっている母親似の顔立ちだったので、実際の所はレイナは男性時と女性時で変化があるとすれば顔立ちはあまり変わっていない。だから帝城からの脱出時にレイナが性別だけを変えていたとしても顔立ちが似ているという理由で正体が見抜かれた恐れもある。用心のために年齢も変更していた事が幸いした。
「さて……キタノ山脈までもう少しだ。だが、その前に私達は「ト城」を突破しなければならない。この城は山脈の出入口に存在する以上、警備を抜けなければならない」
「前の時もこの城を抜け出して国へ引き返したんですか?」
「ああ、だがそのせいで恐らく警備は前回よりも強化されているだろう。それに時期も悪い、今の時期は牙竜が最も活発的に行動する時期に入るからな、帝国もそれを警戒してキタノ山脈地方の城の兵士を増員させている」
「牙竜……」
キタノ山脈を抜ける以外にケモノ王国へ辿り着くには牙竜が住処としている地域を抜ける方法があるが、牙竜は過去に数万人の兵士を殺したという実例が存在し、こちらの方法は危険が大きすぎる。なので兵士が増員されて通常時よりも警戒態勢が高まっている城を強行突破する必要があるらしいが、ここでレイナは「魔除けの石」の事を思い出す。
「あの、前に魔除けの石というのを教えてくれましたよね?力の弱い魔物を寄せ付けない特殊な魔石だとか……」
「ん?ああ、そういえばそうだな。それがどうかしたか?」
「少し気になってたんですけど、魔除けの石はどの程度の効果があるんですか?」
「そうだな……ゴブリンや一角兎、それとスライム程度の魔物ならば寄せ付けない程度の効果はある」
魔除けの石は魔物を寄せ付けない特殊な魔力の「波動」を生み出す代物らしく、この石の傍には力が弱いと認識されている魔物は近づく事すら出来ない。だが、ある程度の力を誇る魔物の場合は別であり、それに特別な訓練を行えば力の弱い魔物でも魔除けの石の効果を無視する事が出来るという。
「魔除けの石があるからといって絶対に安全とは限らない。例えば人間に飼育されている魔物は魔除けの石の耐性を身に着けるように生まれた時から魔除けの石の傍で生活を行う。長い時間をかけて魔除けの石が放つ波動になれる事が出来れば力の弱い魔物でも「魔除け」の効果を受けないぞ」
「実際に私達が飼っているシロとクロも、幼少期に訓練をしたお陰で魔除けの石の効果は全く受け付けない。それに大迷宮の魔物も魔除けの石の効果は受け付けないよ。原理は不明だが、大迷宮自体が普通の魔物が住みつけない仕組みになっているらしいからね」
「へえ……そうなんですか」
「レイナ、魔除けの石が欲しいの?」
唐突に魔除けの石を話題に出したレイナにネコミンは不思議そうに訪ねると、彼女の言葉にレイナは考え込む。もしかしたらだが「ト城」を凶行突破せず、キタノ山脈さえも素通りしてケモノ王国へ辿り着く方法があるかもしれない事を伝える。
「その……俺の能力で魔除けの石の効果を最大限に強化させれば牙竜も寄せ付けない事が出来るんじゃないかと思って」
「何だって……!?」
レイナの言葉にリル達が愕然とした表情を浮かべ、本当にそんな事が可能なのかと動揺する。だが、今までに見せつけられたレイナの力の事を思い返し、レイナならば魔除けの石の強化も行えるのではないかと思う。
街に入る前に当然だが全員は変装を行い、チイに至っては男装まで行う。リルは貴族のよう恰好に着替え、ネコミンは護衛役の女剣士、最後にレイナは年齢を変更して今度は「10才」の少女へと変身して街の中に入り込む。
「う~……服がぶかぶかで動きにくい」
「ははは、今度からは子供用の服も常備しないといけないな」
「レイナ、可愛い……抱き着いてもいい?」
「……本当に可愛いな、お前」
宿屋の一室にてレイナは小さくなった身体に溜息を吐くが、他の者達からはこちらの姿は好評らしく、ネコミンに至っては勝手に抱き着いて頭を撫でてくる。その際に彼女の柔らかな乳房が後頭部に押し付けられて反応に困るのだが、肉体が女の子のせいか興奮はしない。
今更ながらにレイナは何時まで自分が女性の恰好でいなければならないのかと疑問を抱き、まさかこのままずっと女性として過ごさなければならないのかと不安を抱く。だが、そんなレイナの不安を読み取ったようにリルが応える。
「もうしばらくの間は我慢してくれ、この国さえ抜けることが出来れば安全だ。そうなれば元の姿にも戻れるだろう」
「ああ、そういえばレイナは男だと言っていたな……私達は見た事は無いが、どんな感じですか?」
「気になる」
「そうだな……私の見立てでは外見はあまり変わらないな。正直、最初に会った時も女の子かと思った」
「ええっ……」
男性の時の姿でもモデルをやっている母親似の顔立ちだったので、実際の所はレイナは男性時と女性時で変化があるとすれば顔立ちはあまり変わっていない。だから帝城からの脱出時にレイナが性別だけを変えていたとしても顔立ちが似ているという理由で正体が見抜かれた恐れもある。用心のために年齢も変更していた事が幸いした。
「さて……キタノ山脈までもう少しだ。だが、その前に私達は「ト城」を突破しなければならない。この城は山脈の出入口に存在する以上、警備を抜けなければならない」
「前の時もこの城を抜け出して国へ引き返したんですか?」
「ああ、だがそのせいで恐らく警備は前回よりも強化されているだろう。それに時期も悪い、今の時期は牙竜が最も活発的に行動する時期に入るからな、帝国もそれを警戒してキタノ山脈地方の城の兵士を増員させている」
「牙竜……」
キタノ山脈を抜ける以外にケモノ王国へ辿り着くには牙竜が住処としている地域を抜ける方法があるが、牙竜は過去に数万人の兵士を殺したという実例が存在し、こちらの方法は危険が大きすぎる。なので兵士が増員されて通常時よりも警戒態勢が高まっている城を強行突破する必要があるらしいが、ここでレイナは「魔除けの石」の事を思い出す。
「あの、前に魔除けの石というのを教えてくれましたよね?力の弱い魔物を寄せ付けない特殊な魔石だとか……」
「ん?ああ、そういえばそうだな。それがどうかしたか?」
「少し気になってたんですけど、魔除けの石はどの程度の効果があるんですか?」
「そうだな……ゴブリンや一角兎、それとスライム程度の魔物ならば寄せ付けない程度の効果はある」
魔除けの石は魔物を寄せ付けない特殊な魔力の「波動」を生み出す代物らしく、この石の傍には力が弱いと認識されている魔物は近づく事すら出来ない。だが、ある程度の力を誇る魔物の場合は別であり、それに特別な訓練を行えば力の弱い魔物でも魔除けの石の効果を無視する事が出来るという。
「魔除けの石があるからといって絶対に安全とは限らない。例えば人間に飼育されている魔物は魔除けの石の耐性を身に着けるように生まれた時から魔除けの石の傍で生活を行う。長い時間をかけて魔除けの石が放つ波動になれる事が出来れば力の弱い魔物でも「魔除け」の効果を受けないぞ」
「実際に私達が飼っているシロとクロも、幼少期に訓練をしたお陰で魔除けの石の効果は全く受け付けない。それに大迷宮の魔物も魔除けの石の効果は受け付けないよ。原理は不明だが、大迷宮自体が普通の魔物が住みつけない仕組みになっているらしいからね」
「へえ……そうなんですか」
「レイナ、魔除けの石が欲しいの?」
唐突に魔除けの石を話題に出したレイナにネコミンは不思議そうに訪ねると、彼女の言葉にレイナは考え込む。もしかしたらだが「ト城」を凶行突破せず、キタノ山脈さえも素通りしてケモノ王国へ辿り着く方法があるかもしれない事を伝える。
「その……俺の能力で魔除けの石の効果を最大限に強化させれば牙竜も寄せ付けない事が出来るんじゃないかと思って」
「何だって……!?」
レイナの言葉にリル達が愕然とした表情を浮かべ、本当にそんな事が可能なのかと動揺する。だが、今までに見せつけられたレイナの力の事を思い返し、レイナならば魔除けの石の強化も行えるのではないかと思う。
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