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ヒトノ帝国編
第82話 亜種と経験石
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「ウギィッ……ギッギッギッ!!」
「……笑っている?」
「気を付けろレイナ君、こいつは普通のゴブリンとは違う!!上位種よりもさらに厄介な「亜種」だ!!」
リルは氷装剣を構えると亜種と向き直り、他の二人も余裕はないのか武器を構えたまま緊張した様子で見つめる。ただのゴブリンやホブゴブリン程度ならば彼女達もこれほどまでに緊張はしないが、亜種の場合は話は別であり、最初にリルが駆け出す。
「はああっ!!」
「ギギィッ!!」
氷結化した長剣を振り翳すリルに対してゴブリンの亜種は右腕を突き出す。まさか腕で彼女の剣を受け止める気なのかとレイナは驚いたが、刃を受ける瞬間にゴブリンの筋肉が凝縮化し、あろうことか鋼鉄でさえも切り裂くリルの刃を弾く。
「くっ!?」
「リル様の剣が通じない!?そんな馬鹿なっ……!!」
「気を付けて、こいつは「硬化」を使えるみたい」
「……硬化?」
「ギィアアアアッ!!」
攻撃を防いだゴブリンの右腕は皮一枚程度しか切れておらず、リルを振り払うとゴブリンはチイとネコミンの元へ向かい、両手を広げてラリアットのように繰り出す。反射的にチイもネコミンも頭を下げて回避に成功する。
「くっ……この程度、当たると思ってるのか!!」
「っ……!?違う、こいつの狙いは私達じゃない!!」
「ウギィッ!!」
だが、ゴブリンは二人を素通りするとレイナの元へ向かう。3人はそれを見て慌てて駆けつけようとするが、ゴブリンは既に拳を振り翳し、レイナに向けて放つ。
「ギィアッ!!」
「うわぁっ!?」
「レイナ君!!」
「まずい、逃げろっ!!」
「レイナ……!!」
攻撃を仕掛けてくるゴブリンに対してレイナは咄嗟に回避するが、ゴブリンは4人の中で最もレイナが狙いやすい相手だと判断したのか執拗に攻撃を仕掛ける。それに対してレイナは身を躱す事に集中し、まともに攻撃を受けたらまずいと直感が告げていた。
ゴブリンの攻撃を回避しながらレイナはカバンの中に腕を突っ込み、アスカロンかフラガラッハを取り出そうとした。リルの刃は喰らわなかったが、聖剣ならばゴブリンにも通用する可能性が高く、武器を取り出して反撃に繰り出そうとする。しかし、それを見越してかあるいは偶然か、ゴブリンはカバンに手を伸ばそうとしたレイナの隙を突いて蹴り飛ばす。
「ウギィイイッ!!」
「ぐふっ!?」
『レイナ!?』
蹴り飛ばされたレイナはまるで巨人に蹴りつけられたかのように吹き飛び、近くの建物の残骸に叩きつけられる。それを見たリル達はすぐに彼の元へ向かおうとしたが、ゴブリンがそれを遮った。
「ウギィイイイッ……!!」
「こいつ……調子に乗るなっ!!」
「待て、チイ!!無暗に仕掛けるなっ!!」
「……許さない」
レイナを吹き飛ばしたゴブリンに対してチイは頭に血が上り、ネコミンも杖を握り締めて近付こうとした。それを見たリルは慌てて二人を引き留めようとしたが、建物の残骸からレイナが何事もなかったように起き上がる。
「いてててっ……死ぬかと思った」
「ギィアッ!?」
「レイナ君!?無事だったのか!?」
「あ、はい」
残骸を払い除けながら腹部を抑えたレイナが姿を現し、その姿を見てリル達は安心する。一方でゴブリンの方は内臓が破裂するほどの勢いで蹴りつけたはずなのに普通に起き上がって来たレイナに驚愕の表情を浮かべ、レイナの方は埃を振り払いながらゴブリンに視線を向けた。
レベルが20も上昇し、更にレイナには「金剛」という防御力を4倍にまで上昇する技能が存在した。それが幸いしてゴブリンの攻撃を受けても致命傷には至らず、せいぜいお腹に軽い痣が出来た程度の損傷で済んだ。しかし、蹴りつけられて痛かったのは事実であり、レイナは解析を発動してゴブリンのステータス画面を開く。
―――レッドゴブリン―――
種族:ゴブリン(亜種)
性別:雄
状態:興奮
特徴:筋力に特化したゴブリンの亜種。筋肉を凝縮させて防御力を高める「硬化」の能力を扱える
―――――――――――――
視界に表示された画面を確認してレイナは目の前のゴブリンが「レッドゴブリン」と呼ばれる魔物だと知り、亜種と表示されているので普通のホブゴブリンよりも異なる進化を果たした魔物だと判断した。だが、いくら相手が特別な個体であろうと詳細画面さえ開いてしまえばレイナの文字変換の能力で倒す事は容易だった。
「この場合はどうなるのかな……」
「ギィアッ!?」
ゴブリンの詳細画面の「状態」の項目を「興奮」から「即死」に書き換えた瞬間、ゴブリンは目を見開くとその場で胸元を抑えて倒れ込み、泡を吹いて死亡してしまう。その様子を見てリル達は呆気に取られるが、レイナは文字通りに「即死」した事を確認して頷く。
どうやら具体的な死に方を書き込むとその通りに死亡するらしく、普通に「死亡」と書き込むよりは死に至るまでの時間が圧倒的に短い事を知った。
「……笑っている?」
「気を付けろレイナ君、こいつは普通のゴブリンとは違う!!上位種よりもさらに厄介な「亜種」だ!!」
リルは氷装剣を構えると亜種と向き直り、他の二人も余裕はないのか武器を構えたまま緊張した様子で見つめる。ただのゴブリンやホブゴブリン程度ならば彼女達もこれほどまでに緊張はしないが、亜種の場合は話は別であり、最初にリルが駆け出す。
「はああっ!!」
「ギギィッ!!」
氷結化した長剣を振り翳すリルに対してゴブリンの亜種は右腕を突き出す。まさか腕で彼女の剣を受け止める気なのかとレイナは驚いたが、刃を受ける瞬間にゴブリンの筋肉が凝縮化し、あろうことか鋼鉄でさえも切り裂くリルの刃を弾く。
「くっ!?」
「リル様の剣が通じない!?そんな馬鹿なっ……!!」
「気を付けて、こいつは「硬化」を使えるみたい」
「……硬化?」
「ギィアアアアッ!!」
攻撃を防いだゴブリンの右腕は皮一枚程度しか切れておらず、リルを振り払うとゴブリンはチイとネコミンの元へ向かい、両手を広げてラリアットのように繰り出す。反射的にチイもネコミンも頭を下げて回避に成功する。
「くっ……この程度、当たると思ってるのか!!」
「っ……!?違う、こいつの狙いは私達じゃない!!」
「ウギィッ!!」
だが、ゴブリンは二人を素通りするとレイナの元へ向かう。3人はそれを見て慌てて駆けつけようとするが、ゴブリンは既に拳を振り翳し、レイナに向けて放つ。
「ギィアッ!!」
「うわぁっ!?」
「レイナ君!!」
「まずい、逃げろっ!!」
「レイナ……!!」
攻撃を仕掛けてくるゴブリンに対してレイナは咄嗟に回避するが、ゴブリンは4人の中で最もレイナが狙いやすい相手だと判断したのか執拗に攻撃を仕掛ける。それに対してレイナは身を躱す事に集中し、まともに攻撃を受けたらまずいと直感が告げていた。
ゴブリンの攻撃を回避しながらレイナはカバンの中に腕を突っ込み、アスカロンかフラガラッハを取り出そうとした。リルの刃は喰らわなかったが、聖剣ならばゴブリンにも通用する可能性が高く、武器を取り出して反撃に繰り出そうとする。しかし、それを見越してかあるいは偶然か、ゴブリンはカバンに手を伸ばそうとしたレイナの隙を突いて蹴り飛ばす。
「ウギィイイッ!!」
「ぐふっ!?」
『レイナ!?』
蹴り飛ばされたレイナはまるで巨人に蹴りつけられたかのように吹き飛び、近くの建物の残骸に叩きつけられる。それを見たリル達はすぐに彼の元へ向かおうとしたが、ゴブリンがそれを遮った。
「ウギィイイイッ……!!」
「こいつ……調子に乗るなっ!!」
「待て、チイ!!無暗に仕掛けるなっ!!」
「……許さない」
レイナを吹き飛ばしたゴブリンに対してチイは頭に血が上り、ネコミンも杖を握り締めて近付こうとした。それを見たリルは慌てて二人を引き留めようとしたが、建物の残骸からレイナが何事もなかったように起き上がる。
「いてててっ……死ぬかと思った」
「ギィアッ!?」
「レイナ君!?無事だったのか!?」
「あ、はい」
残骸を払い除けながら腹部を抑えたレイナが姿を現し、その姿を見てリル達は安心する。一方でゴブリンの方は内臓が破裂するほどの勢いで蹴りつけたはずなのに普通に起き上がって来たレイナに驚愕の表情を浮かべ、レイナの方は埃を振り払いながらゴブリンに視線を向けた。
レベルが20も上昇し、更にレイナには「金剛」という防御力を4倍にまで上昇する技能が存在した。それが幸いしてゴブリンの攻撃を受けても致命傷には至らず、せいぜいお腹に軽い痣が出来た程度の損傷で済んだ。しかし、蹴りつけられて痛かったのは事実であり、レイナは解析を発動してゴブリンのステータス画面を開く。
―――レッドゴブリン―――
種族:ゴブリン(亜種)
性別:雄
状態:興奮
特徴:筋力に特化したゴブリンの亜種。筋肉を凝縮させて防御力を高める「硬化」の能力を扱える
―――――――――――――
視界に表示された画面を確認してレイナは目の前のゴブリンが「レッドゴブリン」と呼ばれる魔物だと知り、亜種と表示されているので普通のホブゴブリンよりも異なる進化を果たした魔物だと判断した。だが、いくら相手が特別な個体であろうと詳細画面さえ開いてしまえばレイナの文字変換の能力で倒す事は容易だった。
「この場合はどうなるのかな……」
「ギィアッ!?」
ゴブリンの詳細画面の「状態」の項目を「興奮」から「即死」に書き換えた瞬間、ゴブリンは目を見開くとその場で胸元を抑えて倒れ込み、泡を吹いて死亡してしまう。その様子を見てリル達は呆気に取られるが、レイナは文字通りに「即死」した事を確認して頷く。
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