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城下町編
第78話 牙竜の住処
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「勇者の世界の乗物に頼れない以上、我々は山脈を超える必要がある……となると、国境をどうやって突破するのかが重要になるな」
「船とかで山脈を迂回して移動する事は出来ないんですか?」
「いや、それは無理だ。海路の方は陸上よりも警備が厳しい、だから我々は陸路からケモノ王国へ向かうしかない」
リルによると山脈を迂回せずにケモノ王国へ移動する方法は存在せず、まずはどのような手段で国境を潜り抜けるのかを模索する。地図を確認しながら4人は考え込むと、レイナはここである事に気付く。
「あれ?ここの部分、簡単に通り抜けられそうじゃないですか?」
ケモノ王国とヒトノ帝国の間は険しい山脈で遮られているとリルは説明したが、山脈は大陸の端までは届いておらず、山脈を迂回してケモノ王国へ辿り着ける路も存在した。どうしてここを通らないのかとレイナは疑問を抱くと、リルは難しい表情を抱いて説明を行う。
「確かに地図上ではここを通ればケモノ王国へ最短へ辿り着けるだろう、だが私達は山脈を超えて移動する方がずっと安全だ」
「どうしてですか?山脈を超える方がきつそうに思えるんですけど……」
「この付近は「牙竜」と呼ばれる魔物の住処だ。だからこそ誰も通り抜ける事は出来ない……かつて、ヒトノ帝国がケモノ王国に進行するために万の軍勢を送り込んだ事があるが、牙竜の支配圏に入ったせいで大きな被害を受けて王国へ攻め入る前に退却した事もある。生存者は数百名足らず、その内の半数は重傷を負った状態でだ」
「えっ……」
チイの説明にレイナは呆気に取られ、万の軍勢でさえも通り抜ける事が出来なかったという話に動揺を隠せず、リルは地図上に指先で円を描き、牙竜の住処を示す。
「この路を利用する場合は牙竜の支配圏に入ってしまう。牙竜は竜種の中でも非常に獰猛で、しかも人間の味を好む。だから牙竜の住処の近くには村は存在しない。それでいながら年に数回の割合で牙竜は住処を離れて人里が存在する地域まで移動を行い、ケモノ王国やヒトノ帝国の領民に被害を与えている。正に「害獣」だ」
「牙竜の討伐のために何度か軍隊が贈られた事はあったが、全て失敗に終わっている。牙竜は基本的には群れでは行動しないが、危険に陥ると仲間を呼ぶ習性を持つ。そのせいでこの数十年の間に討伐された牙竜は数体しか存在せず、一方で人族や獣人族の被害者は何百倍も生まれている」
「私が住んでいた村も牙竜のせいで滅びた……」
「そ、そうなんですか……」
牙竜の説明を行うリル達の表情は険しく、あのネコミンでさえも牙竜の単語を耳にしただけで不機嫌そうな表情を浮かべ、レイナは不味い事を聞いてしまったのかと思う。だが、事情を知らないレイナをリル達は責める事はせず、ともかく牙竜の住処がある限りはこちらの路を通ることが出来ない事を教える。
「私達は無難に山脈を超える方法を探そう。だが、国境に辿り着くまでにまだ何日もかかる。今は身体を休ませる事に集中しよう」
「そうですね……あの、昨日も気になったんですけど、野宿している間に魔物に襲われたりとかしませんか?」
「シロとクロが傍に居る限りはこの地方の魔物は滅多に襲ってこないさ、それに獣人族は感覚が鋭い。仮に私達を狙おうとする存在が現れてもすぐに察知する事が出来る。だから安心して休んでいい」
「「ウォンッ!!」」
自分達に任せろとばかりにシロとクロは鳴き声を上げ、そんな2匹の頭を撫でながらレイナは休憩の間にステータス画面を開いて確認した。
―――ステータス―――
称号:解析の勇者
性別:女性
年齢:15才
状態:健康
レベル:20
SP:69
―――――――――――
技能
・翻訳――あらゆる文字・言語を翻訳できる
・縄抜け――縄や鎖で身体を拘束された状態のみに使用可能。関節を外し、拘束から抜け出す
・暗視――暗闇の中でも周囲の光景を把握できる
・気配遮断――完全に気配を消し去る
・無音歩行――徒歩での移動の際、足音を鳴らさない
・隠密――存在感を消し去り、他物の目から見えにくくなる
・気配感知――他の人間の気配を敏感に感じ取り、位置を特定できる(半径30メートル)
・魔力感知――魔力を持つ生物の位置を特定する(半径100メートル)
・握力――握力を最大限に強化させる
・跳躍――跳躍力が強化される
・剛力――攻撃力が4倍加
・金剛――防御力が4倍加
・神速――速度が4倍加
・経験値倍加――入手する経験値が倍増
・必要経験値削減――レベルアップに必要な経験値を30%減少
・魔法耐性上昇――レベルアップ時の魔法耐性の上昇率が高まる
・地図製作――自分がこれまで歩いた場所を記憶し、地図の画面を表示させる。気配感知や魔力感知を組み合わせると、画面上にマーカーが表示されて自分以外の生物の位置を把握可能
・命中――投擲、弓矢、銃などの武器の使用時の命中力の向上
・連射――弓矢、銃などの武器の連射速度の向上
・自然回復――肉体の治癒力を強化させ、回復力を高める
―――――――――――
固有能力
・解析――あらゆる物体の詳細を画面として表示する。生物の場合はステータスとして表示される
・瞬動術――神速と跳躍を組み合わせた高速移動術
―――――――――――
文字の加護
・文字変換――あらゆる文字を変換できる。1日に変換可能な文字数は10文字のみ、条件は以下の通り
1.文章として成立しない場合は文字の変換は不可能
2.文字の追加や削除は不可能
3.アラビア数字を他の文字や漢数字に変換する事も不可能
4.ステータスの改竄は出来ます
5.文字変換の能力に関する条件の変更は不可能
―――――――――――
改めて自分のステータスの確認を行うとレイナは最初に召喚された頃と比べると随分と技能も覚えている事に気付き、同時にレベルが20に上昇している事を知る。どうやら大迷宮で最後に倒したガーゴイルの経験値が入った事で何時の間にかレベルが上がっていたらしく、これでSPを消費して新しい技能が覚えられた。
「船とかで山脈を迂回して移動する事は出来ないんですか?」
「いや、それは無理だ。海路の方は陸上よりも警備が厳しい、だから我々は陸路からケモノ王国へ向かうしかない」
リルによると山脈を迂回せずにケモノ王国へ移動する方法は存在せず、まずはどのような手段で国境を潜り抜けるのかを模索する。地図を確認しながら4人は考え込むと、レイナはここである事に気付く。
「あれ?ここの部分、簡単に通り抜けられそうじゃないですか?」
ケモノ王国とヒトノ帝国の間は険しい山脈で遮られているとリルは説明したが、山脈は大陸の端までは届いておらず、山脈を迂回してケモノ王国へ辿り着ける路も存在した。どうしてここを通らないのかとレイナは疑問を抱くと、リルは難しい表情を抱いて説明を行う。
「確かに地図上ではここを通ればケモノ王国へ最短へ辿り着けるだろう、だが私達は山脈を超えて移動する方がずっと安全だ」
「どうしてですか?山脈を超える方がきつそうに思えるんですけど……」
「この付近は「牙竜」と呼ばれる魔物の住処だ。だからこそ誰も通り抜ける事は出来ない……かつて、ヒトノ帝国がケモノ王国に進行するために万の軍勢を送り込んだ事があるが、牙竜の支配圏に入ったせいで大きな被害を受けて王国へ攻め入る前に退却した事もある。生存者は数百名足らず、その内の半数は重傷を負った状態でだ」
「えっ……」
チイの説明にレイナは呆気に取られ、万の軍勢でさえも通り抜ける事が出来なかったという話に動揺を隠せず、リルは地図上に指先で円を描き、牙竜の住処を示す。
「この路を利用する場合は牙竜の支配圏に入ってしまう。牙竜は竜種の中でも非常に獰猛で、しかも人間の味を好む。だから牙竜の住処の近くには村は存在しない。それでいながら年に数回の割合で牙竜は住処を離れて人里が存在する地域まで移動を行い、ケモノ王国やヒトノ帝国の領民に被害を与えている。正に「害獣」だ」
「牙竜の討伐のために何度か軍隊が贈られた事はあったが、全て失敗に終わっている。牙竜は基本的には群れでは行動しないが、危険に陥ると仲間を呼ぶ習性を持つ。そのせいでこの数十年の間に討伐された牙竜は数体しか存在せず、一方で人族や獣人族の被害者は何百倍も生まれている」
「私が住んでいた村も牙竜のせいで滅びた……」
「そ、そうなんですか……」
牙竜の説明を行うリル達の表情は険しく、あのネコミンでさえも牙竜の単語を耳にしただけで不機嫌そうな表情を浮かべ、レイナは不味い事を聞いてしまったのかと思う。だが、事情を知らないレイナをリル達は責める事はせず、ともかく牙竜の住処がある限りはこちらの路を通ることが出来ない事を教える。
「私達は無難に山脈を超える方法を探そう。だが、国境に辿り着くまでにまだ何日もかかる。今は身体を休ませる事に集中しよう」
「そうですね……あの、昨日も気になったんですけど、野宿している間に魔物に襲われたりとかしませんか?」
「シロとクロが傍に居る限りはこの地方の魔物は滅多に襲ってこないさ、それに獣人族は感覚が鋭い。仮に私達を狙おうとする存在が現れてもすぐに察知する事が出来る。だから安心して休んでいい」
「「ウォンッ!!」」
自分達に任せろとばかりにシロとクロは鳴き声を上げ、そんな2匹の頭を撫でながらレイナは休憩の間にステータス画面を開いて確認した。
―――ステータス―――
称号:解析の勇者
性別:女性
年齢:15才
状態:健康
レベル:20
SP:69
―――――――――――
技能
・翻訳――あらゆる文字・言語を翻訳できる
・縄抜け――縄や鎖で身体を拘束された状態のみに使用可能。関節を外し、拘束から抜け出す
・暗視――暗闇の中でも周囲の光景を把握できる
・気配遮断――完全に気配を消し去る
・無音歩行――徒歩での移動の際、足音を鳴らさない
・隠密――存在感を消し去り、他物の目から見えにくくなる
・気配感知――他の人間の気配を敏感に感じ取り、位置を特定できる(半径30メートル)
・魔力感知――魔力を持つ生物の位置を特定する(半径100メートル)
・握力――握力を最大限に強化させる
・跳躍――跳躍力が強化される
・剛力――攻撃力が4倍加
・金剛――防御力が4倍加
・神速――速度が4倍加
・経験値倍加――入手する経験値が倍増
・必要経験値削減――レベルアップに必要な経験値を30%減少
・魔法耐性上昇――レベルアップ時の魔法耐性の上昇率が高まる
・地図製作――自分がこれまで歩いた場所を記憶し、地図の画面を表示させる。気配感知や魔力感知を組み合わせると、画面上にマーカーが表示されて自分以外の生物の位置を把握可能
・命中――投擲、弓矢、銃などの武器の使用時の命中力の向上
・連射――弓矢、銃などの武器の連射速度の向上
・自然回復――肉体の治癒力を強化させ、回復力を高める
―――――――――――
固有能力
・解析――あらゆる物体の詳細を画面として表示する。生物の場合はステータスとして表示される
・瞬動術――神速と跳躍を組み合わせた高速移動術
―――――――――――
文字の加護
・文字変換――あらゆる文字を変換できる。1日に変換可能な文字数は10文字のみ、条件は以下の通り
1.文章として成立しない場合は文字の変換は不可能
2.文字の追加や削除は不可能
3.アラビア数字を他の文字や漢数字に変換する事も不可能
4.ステータスの改竄は出来ます
5.文字変換の能力に関する条件の変更は不可能
―――――――――――
改めて自分のステータスの確認を行うとレイナは最初に召喚された頃と比べると随分と技能も覚えている事に気付き、同時にレベルが20に上昇している事を知る。どうやら大迷宮で最後に倒したガーゴイルの経験値が入った事で何時の間にかレベルが上がっていたらしく、これでSPを消費して新しい技能が覚えられた。
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