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城下町編
第70話 第四階層からの生還
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「……遂にここまで辿り着いたか」
「何度も死ぬかと思った」
「ああ、だが私達は生き残った。後は地上を目指すだけだ」
「そうですね……」
階段を前にしてレイナ達は軽い感動を覚え、犠牲者を一人も出さずにこの場所まで戻る事が出来た事にレイナ達は安堵する。だが、仕事はまだ残っており、早速だがレイナは背中のリュックからアリシアを解放した。
「よいしょっと……アリシアさん、大丈夫ですか?」
「うっ……」
「まだ意識は戻らないか……だが、ここまで辿り着ければ大丈夫だ。後は私が背負おう」
アリシアと彼女が所持していたフラガラッハを取り出すと、リルは剣をチイに任せてアリシアを背負う。これで彼女をダガンに引き渡せばリル達の目的は達成し、後は隙を見てレイナを連れてケモノ国へ向かえば良い。しかし、まずは大迷宮から完全に脱出する事に集中する。
「よし、階段を登り切ったらきっとダガン達が出迎えてくるはずだ。彼等にアリシア皇女を託した後は私達は早急に立ち去る、それで問題ないな?」
「はい。あの、そういえばどうやって抜け出すんですか?」
「君も利用した王都の地下道を利用して外へ抜け出した後、私達が事前に待機させている「騎獣」に乗って早急に王都を立ち去る。後の事は私達に任せてくれ」
「騎獣……?」
リルによると王都からの脱出の手段は整っているらしく、アリシアを帝国に引き渡した後は早急に王都を脱出し、ケモノ国へ向かう。ケモノ国へ辿り着けばリルがレイナの事を父親の国王に報告を行い、手厚く迎え入れる事を約束する。
自分だけがケモノ国へ向かい、他の者達をヒトノ帝国へ残す事に対してレイナは心配だったが、彼等はレイナと違って手厚く保護されているので身の危険に晒される事は無いだろう。また、現状ではヒトノ帝国にレイナが残った所で他の勇者達を救い出す方法はない。正確に言えば文字変換の能力を駆使すれば勇者たちと接触を計る事は出来るかもしれないが、リル達に同行することを約束した手前、今更断る事は出来ない。
(必ず皆をあの大臣から救い出す……)
アリシア皇女の殺害容疑として自分を捕らえたウサンに対してレイナは怒りを抱き、更に召喚された日に毒性の花を部屋の中に仕込まれていた恨みもある。その他に色々と嫌がらせを受けていた事もあり、レイナは決してウサンを許すつもりはなかった。
しかし、ウサンの事が許せなくとも現状のレイナでは彼から他の3人を救い出す力はない。それでもいつかは必ず他の勇者達を救い出す事を誓い、まずはリル達と共にケモノ国へ向かう事を決意する――
――階段を登り、第三階層へ辿り着いたレイナ達を迎え入れたのは包帯を全身に巻き付けた十数名の冒険者と兵士、そして右腕に包帯を巻いたゴイルと、見張り役を行っているダガンとゴオンが立っていた。彼等は階段からレイナ達がアリシアを連れて姿を現すと、全員が驚愕の声を上げた。
「おおっ!?お前たち、無事だったのか!!」
「アリシア皇女!!ご無事ですか!?」
「大丈夫だ、気を失っているだけだ……しばらくは目を覚まさないだろう」
「いやはや、驚いたぞ……お主ら、よく生き残っていたな」
アリシアを担ぐリルの元に全員が集まり、即座にダガンがアリシアを受け取ると彼女が無事である事に安堵の表情を抱く。その一方で他の冒険者達は銀狼隊が生還した事を喜び、しかもアリシアの救出を成し遂げた事に褒め称える。
「お前たち、よくぞ生き残ったな!!それにアリシア皇女を救い出すとは……だが、暴狼団の連中とイヤン達はどうなった?奴等はまだ戻っていないが……」
「……私達以外に誰も戻ってくる事はない。第四階層で奴等全員の死体を見た」
「何だと……!?」
リルはレイナに視線を向けると、彼女は頷いて自分のカバンから冒険者地の「遺品」が入った袋をを取り出してゴオンに手渡す。ゴオンは中身を確認すると、暴狼団の冒険者達とイヤンとマイが所持していた装備品、他にも彼等の身に着けていた冒険者の証であるバッジが入っている事を知ると黙って目を閉じて確認を行う。
「……奴等は死んだのか」
「ああ、私達は「全員」の死体を確認している。死体の損傷を確認した限りでは全員がゴーレムとの戦闘で死亡したと思う」
「そうか……」
リルの「全員」が死亡したという報告を受けてゴオンは深々とため息を吐き出し、他の冒険者達も悲壮感を漂わせる。だが、事前にある程度の覚悟はしていたのかゴオンも他の冒険者達もリルの言葉を聞いても驚きはせず、気を取り直してリル達の帰還を祝う。
「お前たちだけでも無事に戻れて良かった。だが、疲れているところを悪いがすぐに地上へ向かうぞ。皇帝陛下にすぐにアリシア皇女の無事を知らせなければならん。お前達も同行し、陛下から直々に賞与を授かると良い」
「分かった。だが、こちらも疲労が大きい。陛下と謁見する前に少し身体を休ませてほしい、それにこんな汚い恰好で会うわけにはいかないだろう?」
「おお、それもそうだな!!では、地上に戻り次第まずは冒険者ギルドへ立ち寄り、身体を清めた後に陛下と謁見するといいだろう!!では、地上まではこの俺がお前たち全員を守ろう!!安心するがいい!!」
ゴオンはリルの事を聞いて納得し、全員が生き残れなかった事は残念だが、無事にアリシア皇女を救い出すという任務の成功は果たした。彼は銀狼隊の功績を褒め称え、地上へ戻るまでの間の護衛を申し出る。
「何度も死ぬかと思った」
「ああ、だが私達は生き残った。後は地上を目指すだけだ」
「そうですね……」
階段を前にしてレイナ達は軽い感動を覚え、犠牲者を一人も出さずにこの場所まで戻る事が出来た事にレイナ達は安堵する。だが、仕事はまだ残っており、早速だがレイナは背中のリュックからアリシアを解放した。
「よいしょっと……アリシアさん、大丈夫ですか?」
「うっ……」
「まだ意識は戻らないか……だが、ここまで辿り着ければ大丈夫だ。後は私が背負おう」
アリシアと彼女が所持していたフラガラッハを取り出すと、リルは剣をチイに任せてアリシアを背負う。これで彼女をダガンに引き渡せばリル達の目的は達成し、後は隙を見てレイナを連れてケモノ国へ向かえば良い。しかし、まずは大迷宮から完全に脱出する事に集中する。
「よし、階段を登り切ったらきっとダガン達が出迎えてくるはずだ。彼等にアリシア皇女を託した後は私達は早急に立ち去る、それで問題ないな?」
「はい。あの、そういえばどうやって抜け出すんですか?」
「君も利用した王都の地下道を利用して外へ抜け出した後、私達が事前に待機させている「騎獣」に乗って早急に王都を立ち去る。後の事は私達に任せてくれ」
「騎獣……?」
リルによると王都からの脱出の手段は整っているらしく、アリシアを帝国に引き渡した後は早急に王都を脱出し、ケモノ国へ向かう。ケモノ国へ辿り着けばリルがレイナの事を父親の国王に報告を行い、手厚く迎え入れる事を約束する。
自分だけがケモノ国へ向かい、他の者達をヒトノ帝国へ残す事に対してレイナは心配だったが、彼等はレイナと違って手厚く保護されているので身の危険に晒される事は無いだろう。また、現状ではヒトノ帝国にレイナが残った所で他の勇者達を救い出す方法はない。正確に言えば文字変換の能力を駆使すれば勇者たちと接触を計る事は出来るかもしれないが、リル達に同行することを約束した手前、今更断る事は出来ない。
(必ず皆をあの大臣から救い出す……)
アリシア皇女の殺害容疑として自分を捕らえたウサンに対してレイナは怒りを抱き、更に召喚された日に毒性の花を部屋の中に仕込まれていた恨みもある。その他に色々と嫌がらせを受けていた事もあり、レイナは決してウサンを許すつもりはなかった。
しかし、ウサンの事が許せなくとも現状のレイナでは彼から他の3人を救い出す力はない。それでもいつかは必ず他の勇者達を救い出す事を誓い、まずはリル達と共にケモノ国へ向かう事を決意する――
――階段を登り、第三階層へ辿り着いたレイナ達を迎え入れたのは包帯を全身に巻き付けた十数名の冒険者と兵士、そして右腕に包帯を巻いたゴイルと、見張り役を行っているダガンとゴオンが立っていた。彼等は階段からレイナ達がアリシアを連れて姿を現すと、全員が驚愕の声を上げた。
「おおっ!?お前たち、無事だったのか!!」
「アリシア皇女!!ご無事ですか!?」
「大丈夫だ、気を失っているだけだ……しばらくは目を覚まさないだろう」
「いやはや、驚いたぞ……お主ら、よく生き残っていたな」
アリシアを担ぐリルの元に全員が集まり、即座にダガンがアリシアを受け取ると彼女が無事である事に安堵の表情を抱く。その一方で他の冒険者達は銀狼隊が生還した事を喜び、しかもアリシアの救出を成し遂げた事に褒め称える。
「お前たち、よくぞ生き残ったな!!それにアリシア皇女を救い出すとは……だが、暴狼団の連中とイヤン達はどうなった?奴等はまだ戻っていないが……」
「……私達以外に誰も戻ってくる事はない。第四階層で奴等全員の死体を見た」
「何だと……!?」
リルはレイナに視線を向けると、彼女は頷いて自分のカバンから冒険者地の「遺品」が入った袋をを取り出してゴオンに手渡す。ゴオンは中身を確認すると、暴狼団の冒険者達とイヤンとマイが所持していた装備品、他にも彼等の身に着けていた冒険者の証であるバッジが入っている事を知ると黙って目を閉じて確認を行う。
「……奴等は死んだのか」
「ああ、私達は「全員」の死体を確認している。死体の損傷を確認した限りでは全員がゴーレムとの戦闘で死亡したと思う」
「そうか……」
リルの「全員」が死亡したという報告を受けてゴオンは深々とため息を吐き出し、他の冒険者達も悲壮感を漂わせる。だが、事前にある程度の覚悟はしていたのかゴオンも他の冒険者達もリルの言葉を聞いても驚きはせず、気を取り直してリル達の帰還を祝う。
「お前たちだけでも無事に戻れて良かった。だが、疲れているところを悪いがすぐに地上へ向かうぞ。皇帝陛下にすぐにアリシア皇女の無事を知らせなければならん。お前達も同行し、陛下から直々に賞与を授かると良い」
「分かった。だが、こちらも疲労が大きい。陛下と謁見する前に少し身体を休ませてほしい、それにこんな汚い恰好で会うわけにはいかないだろう?」
「おお、それもそうだな!!では、地上に戻り次第まずは冒険者ギルドへ立ち寄り、身体を清めた後に陛下と謁見するといいだろう!!では、地上まではこの俺がお前たち全員を守ろう!!安心するがいい!!」
ゴオンはリルの事を聞いて納得し、全員が生き残れなかった事は残念だが、無事にアリシア皇女を救い出すという任務の成功は果たした。彼は銀狼隊の功績を褒め称え、地上へ戻るまでの間の護衛を申し出る。
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