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城下町編
第64話 食事
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――数時間後、部屋の中で目を覚ましたレイナは何故か隣で当たり前の様に眠っていたネコミンに抱き着かれている事に気付き、彼女の胸を枕代わりにして自分が眠っている事に気付く。
「うぷっ……何でネコミンさんがここに」
「すぅっ……すぅっ……ZZZ」
「ZZZ!?そんな風に寝言を言う人って本当に居たんだ……ていうか、力強い!?」
意外にも力強いネコミンを引き剥がすのに苦労したが、どうにか抜け出す事に成功したレイナは自分の部屋を見渡した後、鏡で姿を確認してため息を吐き出す。部屋その物は地球で暮らしていた自分の部屋と同じだが、現在の姿と恰好を見れば嫌でもここが地球ではない事を想い知らされる。
だが、眠ったお陰で身体の疲れも抜けたのかレイナは気を取り直し、そして机の上に乗せたカバンに視線を向ける。特に外見は変化はなく、中身を覗き込むと相変わらず落とし穴のように真っ暗な空間が広がっていた。文字変換の能力によって収納制限が解除されたカバンを担ぎ、ネコミンを起こして朝食の準備を行う。
「ほら、ミケ……ネコミンさん起きてください。起きないとモフモフしますよ」
「にゃうっ……何故か別の猫のような名前で呼ばれた気がする」
「気のせいです」
ネコミンを優しく起こすと彼女は眠たそうに瞼を擦り、その間に扉がノックも無しに外側から開かれ、チイが中に入り込む。
「ネコミン、お前ここに居たのか。起きたら姿を消していたから誰かに連れ去られたのかと心配したぞ!!」
「あ、チイ……おはよう」
「あ、おはようございます」
「うん、挨拶は大事だな。二人ともおはよう……じゃないわ!!ほら、もう食事の準備は出来ているぞ。早く降りてこい!!」
「食事?」
チイの言葉にレイナは首を傾げ、この家は電気やガスも通っていないので調理器具程度しか備わっていなのにどうやって食事を用意したのか気になったが、下の階に降りると既にリルが家の中の食器を利用してスープを用意していた。
「おや、おはよう寝坊助さん達。ゆっくりと眠れたようだね」
「リルさん、そのスープは……」
「ああ、悪いと思ったけど家の中の鍋や調理器具を使わせてもらったよ」
「それはいいんですけど、どうやって作ったんですか?」
「家の外で焚火をして作っただけさ。吸水石と燃焼石は無事だったからね、水と火はなんとかなったよ」
「吸水石?燃焼石?」
「これの事」
リルの説明にレナは戸惑うと、ネコミンが青色と赤色の宝石のような物を取り出し、それを見たレイナは魔石かと思ったが、表面に魔法陣のような物が刻まれている事に気付く。
「これは魔石ですか?」
「そうさ、こちらの青色は水属性の魔石の一種で吸水石と言われている。こんなに小さいが、私達全員が風呂に入れるほどの量の水分を吸収して取り出せることができる」
「こっちの赤色の魔石は燃焼石だ。火打石やマッチで軽い火を灯すだけで一気に燃え上がり、魔力が尽きるまで一定の火力で燃え続ける。専用の魔道具を使えば火力は調整も出来るぞ」
「へえ……」
こちらの世界では地球のように科学が発達しているわけではないが、独自の魔法文化によって「魔道具」と呼ばれる便利な道具が存在し、こちらの吸水石と燃焼石は一般人も扱っている日常生活の必需品であるという。リルは外で調理を行い、出来上がったスープを家の中に運び込んだという。
食事の準備が整う間、レイナは家の中の様子を確認して何か役立ちそうな物がないのかを探してみると、台所の奥にしまっていたカップ麺を発見する。冷蔵庫の中身が空だったので食料品の類は残っていなかったと思っていたっが、レイナは丁度良かったのでガスコンロを取り出す。
「あの、こっちも食べてみますか?俺の世界の食べ物なんですけど、お湯をかけて3分待つだけで出来上がる麺料理です」
「何だと!?そんな食べ物があるのか!?」
「お湯だけで出来上がる料理……にわかには信じられないな」
「……これにお湯を掛けるだけでいいの?でも、とても食べられそうには見えない」
「あ、作り方は教えますね」
カップ麺を見て3人は驚いた表情を浮かべ、ネコミンは袋で覆われているカップ麺を覗き込みながら鼻を鳴らす。それを見たレイナは地球の科学の道具を利用してまずはお湯を作り出す。幸いガス缶も残っており、ガスコンロを利用してヤカンを沸かす。
「見ててくださいね、これが地球の科学です」
「ほう、魔石の代わりにこの筒状の道具をはめ込むのか。中身は何だい?」
「ガス……といっても分からないかな、とにかく燃焼する材料が入っています」
「なるほど……」
「これは便利だな。焚火よりも調理するときに安定しやすい」
「にゃにゃにゃっ……(火を見て警戒中)」
レイナはガスコンロを利用すると3人は物珍し気に視線を向け、魔石を使用せずに火を起こせるだけでも彼女達にとっては珍しい道具に見えた。そんな3人の視線を浴びながらもレイナはヤカンを沸かすと、カップ麺作りを行う。
「出来上がるまで3分待ちます。その間、スープを頂きましょうか」
「ああ、そうだな。今回のは自信作だよ」
「リル様が作った料理だ。ちゃんと味わうんだぞ」
「ふぅっ……ふぅっ……(猫舌なので何度もスープを冷ます)」
リルの自信作であるスープを味わいながらレナ達はカップ麺が出来上がるまで待ち続け、やがて3分後にレイナはカップ麺の蓋を開くと、見事に出来上がっている事を確かめて差し出す。
「さあ、どうぞ。これが地球の料理です!!」
「こ、これは……」
「本当にお湯をかけるだけで出来上がっているだと……!?」
「これがチキュウの料理……!!」
レイナの言葉通りにお湯を掛けるだけで本当に出来上がったカップ麺を確認したリル達は震え上がり、特に時間を賭けてスープを作り上げたリルは動揺を隠せない。こんな簡単な方法で料理が出来上がった事に彼女達は信じられず、ゆっくりとフォークを伸ばす。
美少女3人がカップ麺をフォークで同時に食事するという何とも珍妙な光景を目の当たりにしたレイナは無意識に喉を鳴らし、やがて彼女達の口に麺が入り込んだ瞬間、目を見開く。
『……美味しい』
「ほっ……良かった」
特に目立ったリアクションを取らず、3人はカップ麺を黙々と食し、その間にレイナはアリシアの食事も用意しておくか考えておく。冷蔵庫に入れればスープの方は何とかなりそうだが、それだけでは何なのでレイナは文字変換の能力を利用して新しい食材でも用意するべき考える。
(食材とか食料と打ち込めば食べ物の材料は出てくるのかな?その場合だと、どんなのが出てくるんだろう。俺の想像した通りの物が出てくるとしたら……カレーでも作ってみようかな)
こちらの世界の料理は美味しいが、やはり地球でしか手に入らない食材も多く、地球の料理を作るとなると文字変換の能力に頼らなければならない。最も食べたい食べ物の名前を文字変換で打ち込めば調理の必要もないのだが、貴重な文字数を消費するわけにはいかないのでレイナは調理器具が揃っているのならば作れる料理は自分で作る事にした。
「うぷっ……何でネコミンさんがここに」
「すぅっ……すぅっ……ZZZ」
「ZZZ!?そんな風に寝言を言う人って本当に居たんだ……ていうか、力強い!?」
意外にも力強いネコミンを引き剥がすのに苦労したが、どうにか抜け出す事に成功したレイナは自分の部屋を見渡した後、鏡で姿を確認してため息を吐き出す。部屋その物は地球で暮らしていた自分の部屋と同じだが、現在の姿と恰好を見れば嫌でもここが地球ではない事を想い知らされる。
だが、眠ったお陰で身体の疲れも抜けたのかレイナは気を取り直し、そして机の上に乗せたカバンに視線を向ける。特に外見は変化はなく、中身を覗き込むと相変わらず落とし穴のように真っ暗な空間が広がっていた。文字変換の能力によって収納制限が解除されたカバンを担ぎ、ネコミンを起こして朝食の準備を行う。
「ほら、ミケ……ネコミンさん起きてください。起きないとモフモフしますよ」
「にゃうっ……何故か別の猫のような名前で呼ばれた気がする」
「気のせいです」
ネコミンを優しく起こすと彼女は眠たそうに瞼を擦り、その間に扉がノックも無しに外側から開かれ、チイが中に入り込む。
「ネコミン、お前ここに居たのか。起きたら姿を消していたから誰かに連れ去られたのかと心配したぞ!!」
「あ、チイ……おはよう」
「あ、おはようございます」
「うん、挨拶は大事だな。二人ともおはよう……じゃないわ!!ほら、もう食事の準備は出来ているぞ。早く降りてこい!!」
「食事?」
チイの言葉にレイナは首を傾げ、この家は電気やガスも通っていないので調理器具程度しか備わっていなのにどうやって食事を用意したのか気になったが、下の階に降りると既にリルが家の中の食器を利用してスープを用意していた。
「おや、おはよう寝坊助さん達。ゆっくりと眠れたようだね」
「リルさん、そのスープは……」
「ああ、悪いと思ったけど家の中の鍋や調理器具を使わせてもらったよ」
「それはいいんですけど、どうやって作ったんですか?」
「家の外で焚火をして作っただけさ。吸水石と燃焼石は無事だったからね、水と火はなんとかなったよ」
「吸水石?燃焼石?」
「これの事」
リルの説明にレナは戸惑うと、ネコミンが青色と赤色の宝石のような物を取り出し、それを見たレイナは魔石かと思ったが、表面に魔法陣のような物が刻まれている事に気付く。
「これは魔石ですか?」
「そうさ、こちらの青色は水属性の魔石の一種で吸水石と言われている。こんなに小さいが、私達全員が風呂に入れるほどの量の水分を吸収して取り出せることができる」
「こっちの赤色の魔石は燃焼石だ。火打石やマッチで軽い火を灯すだけで一気に燃え上がり、魔力が尽きるまで一定の火力で燃え続ける。専用の魔道具を使えば火力は調整も出来るぞ」
「へえ……」
こちらの世界では地球のように科学が発達しているわけではないが、独自の魔法文化によって「魔道具」と呼ばれる便利な道具が存在し、こちらの吸水石と燃焼石は一般人も扱っている日常生活の必需品であるという。リルは外で調理を行い、出来上がったスープを家の中に運び込んだという。
食事の準備が整う間、レイナは家の中の様子を確認して何か役立ちそうな物がないのかを探してみると、台所の奥にしまっていたカップ麺を発見する。冷蔵庫の中身が空だったので食料品の類は残っていなかったと思っていたっが、レイナは丁度良かったのでガスコンロを取り出す。
「あの、こっちも食べてみますか?俺の世界の食べ物なんですけど、お湯をかけて3分待つだけで出来上がる麺料理です」
「何だと!?そんな食べ物があるのか!?」
「お湯だけで出来上がる料理……にわかには信じられないな」
「……これにお湯を掛けるだけでいいの?でも、とても食べられそうには見えない」
「あ、作り方は教えますね」
カップ麺を見て3人は驚いた表情を浮かべ、ネコミンは袋で覆われているカップ麺を覗き込みながら鼻を鳴らす。それを見たレイナは地球の科学の道具を利用してまずはお湯を作り出す。幸いガス缶も残っており、ガスコンロを利用してヤカンを沸かす。
「見ててくださいね、これが地球の科学です」
「ほう、魔石の代わりにこの筒状の道具をはめ込むのか。中身は何だい?」
「ガス……といっても分からないかな、とにかく燃焼する材料が入っています」
「なるほど……」
「これは便利だな。焚火よりも調理するときに安定しやすい」
「にゃにゃにゃっ……(火を見て警戒中)」
レイナはガスコンロを利用すると3人は物珍し気に視線を向け、魔石を使用せずに火を起こせるだけでも彼女達にとっては珍しい道具に見えた。そんな3人の視線を浴びながらもレイナはヤカンを沸かすと、カップ麺作りを行う。
「出来上がるまで3分待ちます。その間、スープを頂きましょうか」
「ああ、そうだな。今回のは自信作だよ」
「リル様が作った料理だ。ちゃんと味わうんだぞ」
「ふぅっ……ふぅっ……(猫舌なので何度もスープを冷ます)」
リルの自信作であるスープを味わいながらレナ達はカップ麺が出来上がるまで待ち続け、やがて3分後にレイナはカップ麺の蓋を開くと、見事に出来上がっている事を確かめて差し出す。
「さあ、どうぞ。これが地球の料理です!!」
「こ、これは……」
「本当にお湯をかけるだけで出来上がっているだと……!?」
「これがチキュウの料理……!!」
レイナの言葉通りにお湯を掛けるだけで本当に出来上がったカップ麺を確認したリル達は震え上がり、特に時間を賭けてスープを作り上げたリルは動揺を隠せない。こんな簡単な方法で料理が出来上がった事に彼女達は信じられず、ゆっくりとフォークを伸ばす。
美少女3人がカップ麺をフォークで同時に食事するという何とも珍妙な光景を目の当たりにしたレイナは無意識に喉を鳴らし、やがて彼女達の口に麺が入り込んだ瞬間、目を見開く。
『……美味しい』
「ほっ……良かった」
特に目立ったリアクションを取らず、3人はカップ麺を黙々と食し、その間にレイナはアリシアの食事も用意しておくか考えておく。冷蔵庫に入れればスープの方は何とかなりそうだが、それだけでは何なのでレイナは文字変換の能力を利用して新しい食材でも用意するべき考える。
(食材とか食料と打ち込めば食べ物の材料は出てくるのかな?その場合だと、どんなのが出てくるんだろう。俺の想像した通りの物が出てくるとしたら……カレーでも作ってみようかな)
こちらの世界の料理は美味しいが、やはり地球でしか手に入らない食材も多く、地球の料理を作るとなると文字変換の能力に頼らなければならない。最も食べたい食べ物の名前を文字変換で打ち込めば調理の必要もないのだが、貴重な文字数を消費するわけにはいかないのでレイナは調理器具が揃っているのならば作れる料理は自分で作る事にした。
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