最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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外伝

魔王ホネミン

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――レナが異世界に召喚されてから3年後、彼は数々の魔王軍の幹部を打ち倒し、心強い仲間と共に魔王軍の本拠地に到着する。そして彼らを待ち受けていたのは1年前にレナ達を助けるために全身爆弾と化してリバイアサンを巻き込んで爆発したはずのアイリィが存在した。


「アイリィ!?生きていたのか!?」
「わぅんっ!!無事でよかったです!!」
「待ちなっ……様子が可笑しいよ」


魔王の玉座に座り込んでいたアイリィはレナ達を見下ろし、ゆっくりと口を開く。


「カタカタカタッ……」
「あっ……コトミンのスライムが剥がれてるから喋れないのか、コトミン」
「んっ」


骨だけの状態になったアイリィは自力で話す事は出来ず、コトミンが近づいて自分の肉体にスライムを分け与えて人間状態に戻す。


「あ、どうもすいませんね。やっと話せますよ……ふっふっふっ……よくぞ来たな勇者たちよ!!」
「勇者?佐藤君達は半年前の獣人族とのわんにゃん大戦で怪我を負って陽光教会で入院してるけど……」
「そういえばそうでしたね。いや~あの戦争は本当に凄かったですね。実は獣人族のお姫様だったポチ子さんのお陰で和解したんでしたっけ?」
「わふぅ~っ(照れ)」
「それはともかく、よくぞここまで辿り着きましたね。遂に私の正体を明かす時が来たようですね」


玉座からアイリィが立ち上がり、彼女は周囲の人間達を見下ろす。レナ、コトミン、ポチ子、テン、ミキ、ヨウカ、リノン、更に原作未登場の大量のキャラクターが取り囲んでいた。


「あれ!?予想以上に多すぎませんか?普通、ここまで辿り着くのに何人かが犠牲になったりするはずじゃ……」
「あ、ヨウカが蘇生魔法を覚えたから犠牲は最小限に住んだよ」
「えへへ~私も頑張ったよ!!」
「ちょっと!?そんな便利な魔法を覚えていたのなら私も助けようとしてくださいよ!!誰のお陰でリバイアサンを倒せたと思うんですか!?」
「だってリバイアサンと一緒に海底に沈んだから助けようがなかったし……お星さまになって俺達を見守っていると思って頑張ってきたよ」


ヨウカの蘇生魔法は肉体が存在しなければ発動できないため、リバイアサンとの戦闘で海に沈んでしまったアイリィを救う手段はなかった。だが、実際にはレナ達の目の前にアイリィが存在するのは確かであり、どうして彼女が無事だったのかをレナは確かめる。


「というか無事だったんだアイリィ。それならあの時の晩の告白の返事を今ここで……」
「ちょ、ちょっと!?何を考えているんですか!?この状況で変なことを言わないでください!!あの時は人間に戻る手段がないと分かって気弱になっていただけで……べ、別にレナさんの事なんか好きじゃないんですから」
「ツンデレ?」
「いらっ……早く説明して」
「あ、はい」


コトミンの催促にアイリィは頷き、一度大きく咳払いすると彼女は自分の正体を話す。


「ふっふっふっ……私の正体は魔王軍の頂点、魔王ホネミンです!!」
「わ、わうっ!?」
「ええっ!?そうだったの!?」
「ホネミンって……」
「何だか力が抜ける名前だね……他になかったのかい?」
「アイリィさんが魔王ですか……特に意外でもありませんね」
「そうだな……訳の分からない薬を作り出したり、妙に私達の知らない知識を有していたり、今更だが怪しい点はあったな」
「シャラップ!!うるさいですよ!!まだ説明は終わってません!!」
「どうでもいいけど座っていい?」
「あ、どうぞ、汚れないようにハンカチでも敷いてくださいね」



――アイリィはこれまでレナ達と行動を共にしていたのは魔王軍の(以下略)という衝撃的な内容を伝え、レナ達に向き直る。



「という事です。驚きましたか?」
「じゃあ、お前は敵というわけ?」
「あ、はい。そうなりますね」
「よし……コトミン、食べちゃえっ」
「了解」
「えっ……わああっ!?」


1年ほど前にスライムの中でも「クイーンスライム」と呼ばれる種だと判明したコトミンは相手を吸収して消化する能力を所持しており、彼女は魔王ホネミンを取り込む。


『ちょっと!?元仲間に対して攻撃する躊躇いは一切無しですか!?というか、これまじでやばいんですけどっ!?もう骨が溶けかけているんですけどっ!?』
「だってお前敵じゃん。全ての黒幕なんだろ?」
『いや、そうなんですけど!!あの、すいません!!調子に乗りました!!謝るので許してくださいぃいいい~!?』



――仕方なく、レナ達はアイリィを開放してやり、これからは二度と悪事を行わないように約束させて彼女を許した。




※最終回じゃありません。
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