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外伝
スラミン
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――時期はゴブリンロード討伐前に遡り、レナは黒猫亭の宿屋で就寝していると何者かに声を掛けられて目を覚ます。
「レナ……起きて」
「んっ……コトミン?どうしたこんな朝早く……うわあっ!?」
腹部に異変を感じたレナは瞼を擦りながら起き上がろうとすると、いつの間にか自分のベッドの上に球体型の青色のスライムが乗っかっている事に気づいて大声を上げる。すぐにスライムの正体がコトミンだと気付き、彼は驚きながらも両手でコトミンを抱え込む。
「ど、どうしたコトミン……こんなにぷるぷるになって」
「んっ……最近は暑いから油断するとすぐにこの姿になる」
「脱水症状かっ……なら水を飲めば元に戻るのか」
「戻る。だけど、この姿でも愛でてほしい」
「よしよし……気持ちいなお前」
完全にスライム状態のコトミンにレナは顔を埋め、予想以上のひんやりとした感触に夢中になり、枕にすれば気持ちい事は間違いない。だが、流石にこの状態の彼女を他の人間に見られるのは不味いため、水分補給のために宿屋の井戸に向かう事にした。
「忘れていたけどコトミンは人型スライムだったな……という事はコトミンを倒せば経験値が得られるのか」
「ぷるぷる……私は無害なスライム」
「冗談だよ。あれ?そういえばアイリィは何処に……」
「アイリィならこっそり抜け出して次の商売の準備をしてる。売上金を誤魔化して新しい素材の調達を行ってる」
「あの野郎……帰ったらお仕置きだな」
井戸の元に辿り着いたレナは桶に水を溜めて頭の上に乗ったコトミンを放り込む。彼女は水桶の中で忙しなく動き出し、小動物が水浴びを行うようにはしゃぐ。
「どう?気持ちいい?」
「ぶくぶく……溺れる」
「なんでやねん」
水桶の中でスライムの状態でありながら楽し気にはしゃぐコトミンにレナは笑みを浮かべ、自分も水を飲もうとした時にある事に気づく。
「あれ?コトミン……なんか膨らんでない?」
「水を吸収したから」
「いや、吸収したって……どんどんと大きく……!?」
桶の中に収まっていたはずのコトミンの肉体が拡大化を始め、遂には桶を内側から破壊する。それでも彼女の身体の巨大化は止まらず、徐々に規模が拡大する。
「ちょっ!?コトミン!?コトミンさん!?どこまで大きくなるの?」
「おおっ……どんどん大きくなる。人が廃棄物のようだ……!!」
「いや、それ微妙に違う!!」
「なんですかうるさいですね……うわあっ!?」
「ああっ!?アイリィが踏み潰された!?」
外の騒がしさに気付いたアイリィが顔を出すと、彼女は巨大化したコトミンの肉体に潰され、人魂のような存在が空中に浮揚する。その様子を目撃したレナは慌てて人魂を掴み取り、コトミンを見上げる。
「コトミン!!早く元に戻って!?」
『ちょ、どういう事ですかこれ!?というか、私もう手遅れじゃありません!?スケルトンを通り越してゴーストになりましたよ!!』
「はわわっ……止まらない」
コトミンの巨大化が止まる気配はなく、やがてレナの元にもスライムが押し寄せ、慌てて逃げようとするが間に合わずに飲み込まれていく。
「うわあああっ!?こ、コトミンに……コトミンに食べられるぅっ!?」
『ぎゃあああっ!!ちょ、離してください!!私も巻き添えになりますから!?』
「レナと1つになる……悪くない」
しばらくの間は2人の悲鳴が響き渡ったが、やがて聞こえなくなり、黒猫亭に出現した巨大スライムが後の歴史に「スラミン」と呼ばれるようになった――
「――という夢を見た」
「バッドエンドじゃないですか」
「……私、そこまで大きくなれない」
食堂にてレナは昨夜自分が夢見た内容をアイリィとコトミンに話すと二人から呆れられるが、実際に有り得ないとは完全に言い切れず、レナは必要以上にコトミンに水分を与えないように心に決めた。
「レナ……起きて」
「んっ……コトミン?どうしたこんな朝早く……うわあっ!?」
腹部に異変を感じたレナは瞼を擦りながら起き上がろうとすると、いつの間にか自分のベッドの上に球体型の青色のスライムが乗っかっている事に気づいて大声を上げる。すぐにスライムの正体がコトミンだと気付き、彼は驚きながらも両手でコトミンを抱え込む。
「ど、どうしたコトミン……こんなにぷるぷるになって」
「んっ……最近は暑いから油断するとすぐにこの姿になる」
「脱水症状かっ……なら水を飲めば元に戻るのか」
「戻る。だけど、この姿でも愛でてほしい」
「よしよし……気持ちいなお前」
完全にスライム状態のコトミンにレナは顔を埋め、予想以上のひんやりとした感触に夢中になり、枕にすれば気持ちい事は間違いない。だが、流石にこの状態の彼女を他の人間に見られるのは不味いため、水分補給のために宿屋の井戸に向かう事にした。
「忘れていたけどコトミンは人型スライムだったな……という事はコトミンを倒せば経験値が得られるのか」
「ぷるぷる……私は無害なスライム」
「冗談だよ。あれ?そういえばアイリィは何処に……」
「アイリィならこっそり抜け出して次の商売の準備をしてる。売上金を誤魔化して新しい素材の調達を行ってる」
「あの野郎……帰ったらお仕置きだな」
井戸の元に辿り着いたレナは桶に水を溜めて頭の上に乗ったコトミンを放り込む。彼女は水桶の中で忙しなく動き出し、小動物が水浴びを行うようにはしゃぐ。
「どう?気持ちいい?」
「ぶくぶく……溺れる」
「なんでやねん」
水桶の中でスライムの状態でありながら楽し気にはしゃぐコトミンにレナは笑みを浮かべ、自分も水を飲もうとした時にある事に気づく。
「あれ?コトミン……なんか膨らんでない?」
「水を吸収したから」
「いや、吸収したって……どんどんと大きく……!?」
桶の中に収まっていたはずのコトミンの肉体が拡大化を始め、遂には桶を内側から破壊する。それでも彼女の身体の巨大化は止まらず、徐々に規模が拡大する。
「ちょっ!?コトミン!?コトミンさん!?どこまで大きくなるの?」
「おおっ……どんどん大きくなる。人が廃棄物のようだ……!!」
「いや、それ微妙に違う!!」
「なんですかうるさいですね……うわあっ!?」
「ああっ!?アイリィが踏み潰された!?」
外の騒がしさに気付いたアイリィが顔を出すと、彼女は巨大化したコトミンの肉体に潰され、人魂のような存在が空中に浮揚する。その様子を目撃したレナは慌てて人魂を掴み取り、コトミンを見上げる。
「コトミン!!早く元に戻って!?」
『ちょ、どういう事ですかこれ!?というか、私もう手遅れじゃありません!?スケルトンを通り越してゴーストになりましたよ!!』
「はわわっ……止まらない」
コトミンの巨大化が止まる気配はなく、やがてレナの元にもスライムが押し寄せ、慌てて逃げようとするが間に合わずに飲み込まれていく。
「うわあああっ!?こ、コトミンに……コトミンに食べられるぅっ!?」
『ぎゃあああっ!!ちょ、離してください!!私も巻き添えになりますから!?』
「レナと1つになる……悪くない」
しばらくの間は2人の悲鳴が響き渡ったが、やがて聞こえなくなり、黒猫亭に出現した巨大スライムが後の歴史に「スラミン」と呼ばれるようになった――
「――という夢を見た」
「バッドエンドじゃないですか」
「……私、そこまで大きくなれない」
食堂にてレナは昨夜自分が夢見た内容をアイリィとコトミンに話すと二人から呆れられるが、実際に有り得ないとは完全に言い切れず、レナは必要以上にコトミンに水分を与えないように心に決めた。
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