最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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戦姫編

バジリスク対策

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「まあ、今の所はこれぐらいかな……どうだった?」
「中々良いんじゃないかい?」
「ですがバジリスクを相手に何処まで通用するか……いえ、レナ様はあくまでも後方支援ですね。討伐は我々に任せてください……問題は石化の魔眼ですが、一応は対抗策を用意しました」
「ほほう?どんな手段で防ぐんですか?」
「私とテンを含め、ワルキューレ騎士団の団員の中には心眼のスキルを所持する人間がいます。まずは心眼のスキル所持者だけで部隊を作り出し、バジリスクの両目を潰します」
「心眼?」


初めて聞く単語にレナはアイリィに視線を向けると、彼女も知らないのか首を振り、代わりにテンが説明する。


「心眼は高レベルの戦闘職の人間だけが習得できるスキルだよ。名前の通りに視覚じゃなくて「心の眼」で生物の存在を察知する能力さ。気配感知のスキルと違う点は瞼を閉じた状態でも心眼のスキルを発動させれば相手の位置を特定する事もできるのさ」
「私も持っているスキルだよ~」
「ヨウカも!?何で!?」
「代々の巫女姫様は真偽眼と心眼の能力は必ず所持しています。また、ヨウカ様の場合は心眼を発動させると遥か遠方の相手の位置を把握する事も出来ます」
「そうだよ~だからみんなとかくれんぼする時とはすぐに見つけられるんだ」
「そんな事に心眼を使っていいんですか?それならヨウカさんも連れて行けばバジリスクの位置も把握できるんじゃ……」
「そんな事は出来ません!!巫女姫であるヨウカ様を危険にさらすような真似は私が許しません!!」
「冗談ですよ……本気にしないで下さい」


アイリィの提案にミキが即座に否定し、その一方でレナはバジリスクの両目の魔眼を封じる方法を他に考える。ミキの作戦では心眼のスキルの所持者だけで特攻部隊を作り出し、命を賭けてバジリスクの両目を潰すつもりだろうが、心眼の所持者は非常に少なく、この場に存在する人員だけでも10名も存在しない。

バジリスクを直に目撃したジャンヌの情報によればゴブリンロードとは比較にならない程の巨大な大蛇であり、幾らミキやテン、そしてワルキューレ騎士団の団員が腕利きの騎士や魔術師だとしても、伝説の大蛇を相手に確実に両目の魔眼を封じるとは限らない。むしろ失敗する可能性の方が高く、レナは他の方法でバジリスクの視界を防げないかと考えていると自分の腰に差している矢筒と弓矢に気付く。


「……もしかしたら」
「どうしました?」
「いや、上手くいくかは分からないけど……バジリスクの魔眼を一時的に封じる方法を見つけたかも」
「本当ですか!?」
「へえ……何を思いついたんだい?」
「その前に皆に俺の弓魔術の事を説明するね」



――レナはアイリィとコトミンを除いた人間達に自分の生み出した弓魔術の戦法の説明を行い、実際に彼女達の目の前で実演を行い、雷属性を付与した矢を射抜いて案山子を粉々に砕け散らす場面を見せつける。事前に報告を受けていたミキとテンはそれほど驚かなかったが、ヨウカやポチ子は興奮したように彼の弓魔術を褒め称える。

弓魔術の実演を終えた跡、レナは自分が考え出したのは「闇属性」の弓魔術を利用した作戦であり、これまでの戦闘では使用する機会は訪れなかったが、この闇属性の付与魔法から生み出される「黒煙」が重要であり、これを利用すればバジリスクの魔眼を封じ込める可能性が存在し、さらに心眼のスキルを所持していない人間でもバジリスクに接近できる可能性もあり、レナの作戦にミキとテンは考え込む。



「全く……どんな発想力があればこんな事を思いつくんだい」
「ですが、成功する可能性は高いです。この方法なら暗殺者の職業の方も参加できるはず……問題なのは近付いてどうやってバジリスクの眼を破壊するのかですが……一瞬でもいいので相手の動作を止める方法があれば……」
「それなら雷属性の魔法で相手を痺れさせたらどうですか?」
「確かにその方法が一番有効的ですね。ですが、バジリスクの鱗は鋼鉄よりも頑丈と伺っています……仮に両目を封じたとしても我々の武器が通用するのか……」
「それならアイリィの腐敗剤を使えばいいんじゃない?あれなら大抵の生物の皮膚は溶かせると思うし……」
「なるほど……確かにあの薬なら通用するかも知れませんね。材料さえ揃えて暮れれば大量生産できますよ」
「な、なんだってんだい……その腐敗剤というのは?」
「何か嫌な予感します……」


腐敗剤の存在を知らない陽光教会組が薬品の名前の不吉さから不安な表情を抱くが、実際にバジリスクと同じ超級危険種であるゴブリンロードにも腐敗剤は効果的だったのは事実であり、今回の作戦にはアイリィの腐敗剤も役立つ可能性が高かった。
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