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戦姫編
討伐隊の選別
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「だけど討伐隊を募集すると言っても相手は伝説の大蛇……生半可な実力者では足手纏いになりますね」
「その点も問題はない。事前に志願した冒険者には試験を与えている。もちろん、ワルキューレ騎士団の方々はお受けする必要はありませんが……」
「試験?どんな試験をするんですか?」
「最近、西側の領土でオークの被害が増加の傾向にあるからな……この際に試験と称してオークの討伐を行わせる予定だ。あ、もちろんゴブリンロードを討伐したレナ殿と3人の仲間は受ける必要はないが……」
「それは楽ですね。あ、だけど気になる事があるんですけど……防衛大臣はどうしてますか?」
「デキン大臣の事か……彼は今までの悪事の報いを受けている」
リノンの話によるとデキンはゴブリンロードの一件で大きく信用を失い、同時にゴブリンロード討伐の最大の功績者であるレナを貶めるような発言を行い、国王から謹慎処分を言い渡される。現在の彼は「レノ」という冒険者がゴブリンロードを討伐を行い、自分が追い出した付与魔術師の人間のはずがないと未だに進言しており、付与魔術師のレナがゴブリンロードを倒せる力を持つはずがないと言い続けていた。
実際にレノとレナが同一人物である事を知っているのは王城内では王女のジャンヌと彼女の側近のリノンしか知らない。王女は国王に彼の事を伝えようとしたが、王城内には大臣の派閥の人間も数多く存在し、彼の正体を知った大臣がレナに逆恨みする可能性もあり、現在は彼の正体を伝えてはいない。
「デキン大臣は昔は素晴らしい御方だったと聞くが、王妃様が他界されてから人が変わられたと私は聞いている。最近では彼の屋敷に妙な男達が出入りしているという情報も入っているので君も気を付けてくれ」
「はあ……」
「大丈夫です。この陽光教会に居る限りはレナ様の安全は我々がお守りします。ですが、これからは外出する時は単独行動は控えてください……用事がある時は修道女に頼めば大抵の事は彼女達が行いますから……」
「分かりました。でも、俺ってそんなに重要人物なんですか?」
「当たり前です!!ヨウカ様……いや、巫女姫様のご友人であり、更にゴブリンロードを討伐した英雄ですよ?自分の功績を自覚して下さい」
「そう言われても……」
確かにレナは陽光教会のヨウカの魔力を回復させる事が出来る唯一の存在であり、更にゴブリンロードの討伐に最も功績を上げた人間である。しかし、彼本人としては自分の功績と言われても彼自身だけで行ったわけではなく、コトミン、アイリィ、ゴンゾウの3人が居なければ現在まで生き残れた保証はない。
付与魔術師の彼がここまで成長できたのは最初にコトミンと遭遇したお蔭であり、彼女のお蔭で効率的に付与魔法の熟練度の向上を行えるようになり、更に魔力容量も拡張できた。また、アイリィのお蔭で彼女の生み出す薬品のお蔭で生活費を稼いだり、魔法が使えない状況で彼女の回復薬が役立ち、ゴンゾウもレナ1人だけではどうしようもない状況を彼の力で乗り越える事が出来た。
ヨウカの件はともかく、ゴブリンロードの件は他の仲間達が居なければレナは圧倒的な力で殺されていたのは間違いなく、自分だけの功績ではないのでミキから自覚しろと言われてもレナ自身は自分の功績を誇る事は出来ない。
「デキン大臣はレナ様の存在を知っているのですか?」
「いや……そこまでは分かりません。ですが、既に教会にも諜報員を送り込んでいる可能性があります。お気を付けください」
「分かりました。レナ様に関しては我々が護衛を行いますのでご安心ください」
「お願いします……ゴブリンロードを打ち倒した「光の砲撃」を期待しているぞ」
「え?あ、はい……」
最後にリノンはレナに握手を求め、彼は戸惑いながら掌を握り返すと彼女は退出する。だが、リノンが最後に告げた「光の砲撃」という単語にレナは首を傾げ、すぐにゴブリンロードを打ち倒した時に利用した全属性の付与魔法を発動した攻撃魔法だと気づき、リノンがバジリスクの討伐の際にも彼がゴブリンロードを倒した時の魔法を期待している事に気付く。
「もしかしてこいつを期待されてるのかな……」
「どうしました?」
「あ、いや……何でもないです」
レナは元の世界の硬貨を取り出し、これを利用して全ての付与魔法を施せば彼は魔法同士を反発させる攻撃魔法を扱えるが、身体に負担が大きいのでアイリィからは二度と使用しないように注意されている。しかも現在の彼はゴブリンロード戦よりも成長しており、前回の比ではない程の威力を引き出す事が出来るだろう。
だが、魔法の威力が高い程に肉体の負担も大きくなり、今度は右腕だけの負傷では済まない可能性がある。下手をすれば腕が消し飛ぶ可能性があり、その場合だとアイリィの蘇生薬でも完全に修復できるとは限らない。
「バジリスクか……」
「伝説の大蛇……石化の魔眼の対抗策を考えねばなりませんね」
ミキはレナの不安を察したように彼の肩に手を置き、彼女も超級危険種との戦闘に不安を抱いており、帝国領土内では最強と呼ばれているワルキューレ騎士団であろと確実に討伐する自信はない。
「その点も問題はない。事前に志願した冒険者には試験を与えている。もちろん、ワルキューレ騎士団の方々はお受けする必要はありませんが……」
「試験?どんな試験をするんですか?」
「最近、西側の領土でオークの被害が増加の傾向にあるからな……この際に試験と称してオークの討伐を行わせる予定だ。あ、もちろんゴブリンロードを討伐したレナ殿と3人の仲間は受ける必要はないが……」
「それは楽ですね。あ、だけど気になる事があるんですけど……防衛大臣はどうしてますか?」
「デキン大臣の事か……彼は今までの悪事の報いを受けている」
リノンの話によるとデキンはゴブリンロードの一件で大きく信用を失い、同時にゴブリンロード討伐の最大の功績者であるレナを貶めるような発言を行い、国王から謹慎処分を言い渡される。現在の彼は「レノ」という冒険者がゴブリンロードを討伐を行い、自分が追い出した付与魔術師の人間のはずがないと未だに進言しており、付与魔術師のレナがゴブリンロードを倒せる力を持つはずがないと言い続けていた。
実際にレノとレナが同一人物である事を知っているのは王城内では王女のジャンヌと彼女の側近のリノンしか知らない。王女は国王に彼の事を伝えようとしたが、王城内には大臣の派閥の人間も数多く存在し、彼の正体を知った大臣がレナに逆恨みする可能性もあり、現在は彼の正体を伝えてはいない。
「デキン大臣は昔は素晴らしい御方だったと聞くが、王妃様が他界されてから人が変わられたと私は聞いている。最近では彼の屋敷に妙な男達が出入りしているという情報も入っているので君も気を付けてくれ」
「はあ……」
「大丈夫です。この陽光教会に居る限りはレナ様の安全は我々がお守りします。ですが、これからは外出する時は単独行動は控えてください……用事がある時は修道女に頼めば大抵の事は彼女達が行いますから……」
「分かりました。でも、俺ってそんなに重要人物なんですか?」
「当たり前です!!ヨウカ様……いや、巫女姫様のご友人であり、更にゴブリンロードを討伐した英雄ですよ?自分の功績を自覚して下さい」
「そう言われても……」
確かにレナは陽光教会のヨウカの魔力を回復させる事が出来る唯一の存在であり、更にゴブリンロードの討伐に最も功績を上げた人間である。しかし、彼本人としては自分の功績と言われても彼自身だけで行ったわけではなく、コトミン、アイリィ、ゴンゾウの3人が居なければ現在まで生き残れた保証はない。
付与魔術師の彼がここまで成長できたのは最初にコトミンと遭遇したお蔭であり、彼女のお蔭で効率的に付与魔法の熟練度の向上を行えるようになり、更に魔力容量も拡張できた。また、アイリィのお蔭で彼女の生み出す薬品のお蔭で生活費を稼いだり、魔法が使えない状況で彼女の回復薬が役立ち、ゴンゾウもレナ1人だけではどうしようもない状況を彼の力で乗り越える事が出来た。
ヨウカの件はともかく、ゴブリンロードの件は他の仲間達が居なければレナは圧倒的な力で殺されていたのは間違いなく、自分だけの功績ではないのでミキから自覚しろと言われてもレナ自身は自分の功績を誇る事は出来ない。
「デキン大臣はレナ様の存在を知っているのですか?」
「いや……そこまでは分かりません。ですが、既に教会にも諜報員を送り込んでいる可能性があります。お気を付けください」
「分かりました。レナ様に関しては我々が護衛を行いますのでご安心ください」
「お願いします……ゴブリンロードを打ち倒した「光の砲撃」を期待しているぞ」
「え?あ、はい……」
最後にリノンはレナに握手を求め、彼は戸惑いながら掌を握り返すと彼女は退出する。だが、リノンが最後に告げた「光の砲撃」という単語にレナは首を傾げ、すぐにゴブリンロードを打ち倒した時に利用した全属性の付与魔法を発動した攻撃魔法だと気づき、リノンがバジリスクの討伐の際にも彼がゴブリンロードを倒した時の魔法を期待している事に気付く。
「もしかしてこいつを期待されてるのかな……」
「どうしました?」
「あ、いや……何でもないです」
レナは元の世界の硬貨を取り出し、これを利用して全ての付与魔法を施せば彼は魔法同士を反発させる攻撃魔法を扱えるが、身体に負担が大きいのでアイリィからは二度と使用しないように注意されている。しかも現在の彼はゴブリンロード戦よりも成長しており、前回の比ではない程の威力を引き出す事が出来るだろう。
だが、魔法の威力が高い程に肉体の負担も大きくなり、今度は右腕だけの負傷では済まない可能性がある。下手をすれば腕が消し飛ぶ可能性があり、その場合だとアイリィの蘇生薬でも完全に修復できるとは限らない。
「バジリスクか……」
「伝説の大蛇……石化の魔眼の対抗策を考えねばなりませんね」
ミキはレナの不安を察したように彼の肩に手を置き、彼女も超級危険種との戦闘に不安を抱いており、帝国領土内では最強と呼ばれているワルキューレ騎士団であろと確実に討伐する自信はない。
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