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戦姫編
魔法書の買い取り
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――特に問題もなく馬車を隠してる場所にまで辿り着き、レナ達は転移石を使用して帝都に移動を行う。まだ時間帯は昼前なのでレナはアイリィに馬車を任せて魔道具店に向かい、ホノカの執事であるコウから付与魔法の魔法書が存在しないのか問い質すと、彼は事前に予想していたかのようにレナを店の奥に案内して大量の魔法書を渡す。
「どうぞこちらを……事前にホノカ様からレナ様が必要とする物は全てお聞きしておりましたのでご用意致しました」
「おおっ……」
机の上に山積みされた各属性の付与魔法の魔法書を目の当たりにしてレナは冷や汗を流し、まさかホノカが自分の為に商品的には大きな価値はない付与魔法の魔法書を用意してくれているとは彼も思わなかった。また、気を使ってくれたのか既に限界値まで到達している属性の魔法書は存在せず、風、雷、土、闇属性の4つの魔法書だけが用意されていた。
「あの値段は……」
「そちらに関しましてはレナ様にお任せするようにとホノカ様のご命令です。ですが、通常ならば金貨3枚程度でしょうが……」
「あ、そうですか……」
流石に只で貰うのは良心の呵責があり、レナは袋から金貨を取り出してコウに渡す。彼から許可を貰って魔法書の確認をこの場で行い、こういう時は彼の「思考加速」が非常に役立つ。発動条件はレナ自身も完全には把握していないが、これまでの発動時は彼が命の危機に陥った時、あるいは一つの行為に集中している時に発動しており、レナは久々に読書を楽しむ。
魔法書と内容は魔術師を主人公とした物語の短編小説であり、翻訳スキルのお蔭で彼は本来ならば何回な魔法言語を理解する事が出来る。それにも関わらずにルーン文字が読み取れないのは彼の翻訳スキルの熟練度が低い事が関係しているかも知れず、性能が高い上級魔法の魔法書にはルーン文字が刻まれている事が多く、レナには読み取れない(そもそも付与魔法以外は覚えられないので問題ないが)。
まずは攻撃に有利な雷属性の魔法の熟練度を高めるためにレナは雷属性の魔法書を優先的に読み始め、様々な魔術師の人生を知る。帝国領内では付与魔術師は不遇職として扱われているが、他国では極めて珍しい魔術師の職業として優遇されている国も存在し、彼等の多くはレナのように弓矢等の武器に付与魔法を発動して攻撃を行う戦法を使用していた。
魔法書を読み込みながらレナは魔法の熟練度の向上だけではなく、魔法書の人物達が今後役立ちそうな知識を学ぶことに成功し、この魔法書に描かれている内容は事実を基に書き込まれているので実際に利用出来そうな戦法ならば今後の自分の戦闘手段に追加する事を決める。
「……ふうっ、流石に目が疲れるな」
「こちらをどうぞ、紅茶とお菓子を用意しました」
「あ、どうも……って、何時の間に?」
一旦、レナが読書を止めるとコウが現れて机の上に紅茶とシフォンケーキを置く。彼は一礼してその場を立ち去り、一応はレナも礼を告げて休憩を挟むために紅茶を味わう。
「さてと……お、やっぱり魔法書の方が効率的に上昇するな」
現在、レナが読み込んだ魔法書の数は5冊程度だが、彼のステータスには雷属性の付与魔法の熟練度が「8」まで上昇しており、残された魔法書の数を確認した彼は今日中に熟練度を限界値まで達する事を確信する。
「雷属性が一番使いやすいかな……相性が悪いけど」
レナは肉体的には相性が悪い雷属性を使用する事が多く、彼自身も自覚している。理由としては雷属性は弓魔術に付与すれば速効性という点では土属性よりも高く、反面に飛距離は劣るが威力は高く、しかも大抵の相手は感電すれば身体を麻痺させて動作が鈍る為、早い段階で熟練度を限界まで上昇させておきたかった。
「へえっ……皆、色んな方法で付与魔法を活用してるんだなぁっ」
雷属性の魔水晶を握りしめて自爆覚悟で付与魔法を発動させ、相手に殴り込む方法で自分の命と引き換えに仲間の命を救った付与魔術師の物語を読み終え、レナは右腕を確認する。この魔術師は最後に命を落としたが、元々は高い雷属性と火属性の耐性を持っていたので現在のレナのように腕鉄甲に魔法を纏わせて攻撃を仕掛けた事も有り、彼が装備していた腕鉄甲は魔法耐性が存在しなかったが、それでも腕が火傷を負ったことはなかった。レナ自身も各属性の魔法耐性のスキルを所持しており、もしも熟練度を限界値まで極めたら魔法書の主人公のような戦闘を行える事になる。
「ふうっ……これ、全部読み終えるかな……」
机の上に山積みされた魔法書に視線を向け、どの魔法書もレナ好みの面白い内容だが、流石に1日に何十冊の本も一気に読み解くのは身体に負担が掛かり、もしもの場合は陽光教会に持ち帰る可能性も出て来た。
「どうぞこちらを……事前にホノカ様からレナ様が必要とする物は全てお聞きしておりましたのでご用意致しました」
「おおっ……」
机の上に山積みされた各属性の付与魔法の魔法書を目の当たりにしてレナは冷や汗を流し、まさかホノカが自分の為に商品的には大きな価値はない付与魔法の魔法書を用意してくれているとは彼も思わなかった。また、気を使ってくれたのか既に限界値まで到達している属性の魔法書は存在せず、風、雷、土、闇属性の4つの魔法書だけが用意されていた。
「あの値段は……」
「そちらに関しましてはレナ様にお任せするようにとホノカ様のご命令です。ですが、通常ならば金貨3枚程度でしょうが……」
「あ、そうですか……」
流石に只で貰うのは良心の呵責があり、レナは袋から金貨を取り出してコウに渡す。彼から許可を貰って魔法書の確認をこの場で行い、こういう時は彼の「思考加速」が非常に役立つ。発動条件はレナ自身も完全には把握していないが、これまでの発動時は彼が命の危機に陥った時、あるいは一つの行為に集中している時に発動しており、レナは久々に読書を楽しむ。
魔法書と内容は魔術師を主人公とした物語の短編小説であり、翻訳スキルのお蔭で彼は本来ならば何回な魔法言語を理解する事が出来る。それにも関わらずにルーン文字が読み取れないのは彼の翻訳スキルの熟練度が低い事が関係しているかも知れず、性能が高い上級魔法の魔法書にはルーン文字が刻まれている事が多く、レナには読み取れない(そもそも付与魔法以外は覚えられないので問題ないが)。
まずは攻撃に有利な雷属性の魔法の熟練度を高めるためにレナは雷属性の魔法書を優先的に読み始め、様々な魔術師の人生を知る。帝国領内では付与魔術師は不遇職として扱われているが、他国では極めて珍しい魔術師の職業として優遇されている国も存在し、彼等の多くはレナのように弓矢等の武器に付与魔法を発動して攻撃を行う戦法を使用していた。
魔法書を読み込みながらレナは魔法の熟練度の向上だけではなく、魔法書の人物達が今後役立ちそうな知識を学ぶことに成功し、この魔法書に描かれている内容は事実を基に書き込まれているので実際に利用出来そうな戦法ならば今後の自分の戦闘手段に追加する事を決める。
「……ふうっ、流石に目が疲れるな」
「こちらをどうぞ、紅茶とお菓子を用意しました」
「あ、どうも……って、何時の間に?」
一旦、レナが読書を止めるとコウが現れて机の上に紅茶とシフォンケーキを置く。彼は一礼してその場を立ち去り、一応はレナも礼を告げて休憩を挟むために紅茶を味わう。
「さてと……お、やっぱり魔法書の方が効率的に上昇するな」
現在、レナが読み込んだ魔法書の数は5冊程度だが、彼のステータスには雷属性の付与魔法の熟練度が「8」まで上昇しており、残された魔法書の数を確認した彼は今日中に熟練度を限界値まで達する事を確信する。
「雷属性が一番使いやすいかな……相性が悪いけど」
レナは肉体的には相性が悪い雷属性を使用する事が多く、彼自身も自覚している。理由としては雷属性は弓魔術に付与すれば速効性という点では土属性よりも高く、反面に飛距離は劣るが威力は高く、しかも大抵の相手は感電すれば身体を麻痺させて動作が鈍る為、早い段階で熟練度を限界まで上昇させておきたかった。
「へえっ……皆、色んな方法で付与魔法を活用してるんだなぁっ」
雷属性の魔水晶を握りしめて自爆覚悟で付与魔法を発動させ、相手に殴り込む方法で自分の命と引き換えに仲間の命を救った付与魔術師の物語を読み終え、レナは右腕を確認する。この魔術師は最後に命を落としたが、元々は高い雷属性と火属性の耐性を持っていたので現在のレナのように腕鉄甲に魔法を纏わせて攻撃を仕掛けた事も有り、彼が装備していた腕鉄甲は魔法耐性が存在しなかったが、それでも腕が火傷を負ったことはなかった。レナ自身も各属性の魔法耐性のスキルを所持しており、もしも熟練度を限界値まで極めたら魔法書の主人公のような戦闘を行える事になる。
「ふうっ……これ、全部読み終えるかな……」
机の上に山積みされた魔法書に視線を向け、どの魔法書もレナ好みの面白い内容だが、流石に1日に何十冊の本も一気に読み解くのは身体に負担が掛かり、もしもの場合は陽光教会に持ち帰る可能性も出て来た。
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