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戦姫編
盗賊撃退
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「ぬんっ!!」
「「うわぁあああっ!?」」
「えっ……うぎゃあっ!?」
ゴンゾウが両手に掴んでいた男達を放り投げ、投擲の方向に存在した他の盗賊に衝突する。その一方でレナは短剣を構える男と向かい合い、相手は短剣の戦技を発動して攻撃を仕掛けてくる。
「乱れ斬り!!」
「おっと」
「あ、当たらねえっ!?」
短剣を構えた男が不規則な軌道で刃を振り回すが、レナは回避を発動して難なく回避を行い、その光景を見た他の盗賊の男が驚くが、レナは反撃のスキルを発動して足払いを行う。
「よっと」
「うわぁっ!?」
「こ、このっ!!」
戦技の発動中は手元以外の注意が落ちており、その隙を突いて短剣を振り回す男の足元を蹴り飛ばし、地面に倒れこむ。その隙にレナの後方に居た男が短剣を両手で握りしめて彼に短剣を突き刺そうとするが、レナは冷静に掌を地面に翳して水属性の付魔法を発動させて地面を凍り付かせる。
「うわぁああっ!?」
「足元注意っ」
駆け寄ってきた男は凍結した地面にあを滑らせて転倒してしまい、その一方でレナは起き上がるとその場を離れ、アイリィとコトミンに近づこうとする男の背後に向かう。
「くそったれ!!せめて女だけでも……」
「コトミンさん!!」
「んっ……邪魔」
「ふげぇっ!?」
だが、レナが向かうまでもなく、コトミンは正面から近づいてくる男に右腕を伸ばし、レナの白銀拳のように腕を変形させて殴り込む。スライムの形状変化の能力を利用した攻撃であり、実際に本物のような金属の拳に変化するわけではないが、彼女の一撃を受けた男は派手に吹き飛ぶ。コトミンはヴァンパイアのカトレアを一撃で気絶させる程の力を持っており、男は気絶したのか地面に倒れ込んだまま動かなくなる。
「流石だな……けど、少しやばいかな」
「げほげほっ……く、くそがぁっ!!ふざけた真似をしやがって!!」
「ぶっ殺してやる!!」
吸魔石の効果が切れたのか黒煙の役割を果たしていた闇属性の魔力の黒霧が消散し、煙幕を受けて動けなかった残りの盗賊達が咳き込みながら現れ、一斉にレナ達に襲い掛かる。それを見たゴンゾウは棍棒を構え、その一方でレナは魔弓を握りしめ、矢を構えようした瞬間、唐突に地面に振動が走る。
「うおおっ!?」
「な、なんだ!?」
「地震かっ!?」
地面の振動が徐々に強まり全員に動揺が走る中、レナ達は一か所に集まって周囲を見渡す。アラン炭鉱を生き抜いた彼等は今回のような地面の振動に嫌な覚えがあり、この振動の正体が自身ではなく、大型の「魔物」が近づいている事に気付く。
「レナさん……」
「分かってる……あそこだっ!!」
『ウァアアアアアッ……!!』
レナは自分達が通り過ぎた通路に振り返ると、こちらに向けて3体の緑色の皮膚の巨人が近づいている事に気付き、最初彼はゴブリンキングが現れたのかと思ったが、今回の魔物は全身が肥え太っており、しかも顔つきが明らかにゴブリンとは異なり、腰の部分に布切れだけを纏った状態で現れる。すぐに彼の脳裏に「トロール」という単語が思い浮かび、ゴブリン同様に有名な魔物である。
「ウォオッ……オウッ?」
「ゲヘ、ゲヘヘヘッ!!」
「ウォオオオッ!!」
3体のトロールはレナ達に視線を向け、即座に下衆な笑みを浮かべ、ゆっくりと近づいてくる。身長は5メートルを超えており、全員がゴンゾウを上回る巨体であり、何処かの建物から盗み出したのか石柱を握りしめる個体も存在した。その光景に盗賊達は顔色を変え、慌ててレナ達を放置して逃走を行う。
「や、やべぇっ!!トロールだ!!逃げるぞっ!?」
「くそっ……ここら辺はあいつらの領域じゃないはずなのに!!」
「いいから走れ!!あいつらは足が遅くても体力は無尽蔵だっ!!完全に撒かないと……!!」
「オァアアアアアアアッ!!」
逃走を開始した盗賊団に対し、トロールの1体が咆哮を上げると勢いよく地面を踏み込み、跳躍を行う。巨体からは考えられない程の跳躍力であり、レナ達を飛び越えて盗賊団の真上から巨体を利用して押し潰す。
『ぎゃあぁあああああああっ!?』
「お、お前等ぁっ!?」
「ゲヘヘッ……!!」
数人が餌食となり、トロールの巨体に押し潰され、盗賊頭が咄嗟に助けようと近寄るが、トロールは右腕を伸ばして振り払う。
「フゥンッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「頭ぁっ!?」
「に、逃げろっ!!殺されるぞっ!!」
あっさりと自分達の首領が薙ぎ払われた光景に他の盗賊は怖じ気づき、恐怖の表情を浮かべて走り去る。その光景にレナは舌打ちし、トロールに向けて駈け出す。
「「うわぁあああっ!?」」
「えっ……うぎゃあっ!?」
ゴンゾウが両手に掴んでいた男達を放り投げ、投擲の方向に存在した他の盗賊に衝突する。その一方でレナは短剣を構える男と向かい合い、相手は短剣の戦技を発動して攻撃を仕掛けてくる。
「乱れ斬り!!」
「おっと」
「あ、当たらねえっ!?」
短剣を構えた男が不規則な軌道で刃を振り回すが、レナは回避を発動して難なく回避を行い、その光景を見た他の盗賊の男が驚くが、レナは反撃のスキルを発動して足払いを行う。
「よっと」
「うわぁっ!?」
「こ、このっ!!」
戦技の発動中は手元以外の注意が落ちており、その隙を突いて短剣を振り回す男の足元を蹴り飛ばし、地面に倒れこむ。その隙にレナの後方に居た男が短剣を両手で握りしめて彼に短剣を突き刺そうとするが、レナは冷静に掌を地面に翳して水属性の付魔法を発動させて地面を凍り付かせる。
「うわぁああっ!?」
「足元注意っ」
駆け寄ってきた男は凍結した地面にあを滑らせて転倒してしまい、その一方でレナは起き上がるとその場を離れ、アイリィとコトミンに近づこうとする男の背後に向かう。
「くそったれ!!せめて女だけでも……」
「コトミンさん!!」
「んっ……邪魔」
「ふげぇっ!?」
だが、レナが向かうまでもなく、コトミンは正面から近づいてくる男に右腕を伸ばし、レナの白銀拳のように腕を変形させて殴り込む。スライムの形状変化の能力を利用した攻撃であり、実際に本物のような金属の拳に変化するわけではないが、彼女の一撃を受けた男は派手に吹き飛ぶ。コトミンはヴァンパイアのカトレアを一撃で気絶させる程の力を持っており、男は気絶したのか地面に倒れ込んだまま動かなくなる。
「流石だな……けど、少しやばいかな」
「げほげほっ……く、くそがぁっ!!ふざけた真似をしやがって!!」
「ぶっ殺してやる!!」
吸魔石の効果が切れたのか黒煙の役割を果たしていた闇属性の魔力の黒霧が消散し、煙幕を受けて動けなかった残りの盗賊達が咳き込みながら現れ、一斉にレナ達に襲い掛かる。それを見たゴンゾウは棍棒を構え、その一方でレナは魔弓を握りしめ、矢を構えようした瞬間、唐突に地面に振動が走る。
「うおおっ!?」
「な、なんだ!?」
「地震かっ!?」
地面の振動が徐々に強まり全員に動揺が走る中、レナ達は一か所に集まって周囲を見渡す。アラン炭鉱を生き抜いた彼等は今回のような地面の振動に嫌な覚えがあり、この振動の正体が自身ではなく、大型の「魔物」が近づいている事に気付く。
「レナさん……」
「分かってる……あそこだっ!!」
『ウァアアアアアッ……!!』
レナは自分達が通り過ぎた通路に振り返ると、こちらに向けて3体の緑色の皮膚の巨人が近づいている事に気付き、最初彼はゴブリンキングが現れたのかと思ったが、今回の魔物は全身が肥え太っており、しかも顔つきが明らかにゴブリンとは異なり、腰の部分に布切れだけを纏った状態で現れる。すぐに彼の脳裏に「トロール」という単語が思い浮かび、ゴブリン同様に有名な魔物である。
「ウォオッ……オウッ?」
「ゲヘ、ゲヘヘヘッ!!」
「ウォオオオッ!!」
3体のトロールはレナ達に視線を向け、即座に下衆な笑みを浮かべ、ゆっくりと近づいてくる。身長は5メートルを超えており、全員がゴンゾウを上回る巨体であり、何処かの建物から盗み出したのか石柱を握りしめる個体も存在した。その光景に盗賊達は顔色を変え、慌ててレナ達を放置して逃走を行う。
「や、やべぇっ!!トロールだ!!逃げるぞっ!?」
「くそっ……ここら辺はあいつらの領域じゃないはずなのに!!」
「いいから走れ!!あいつらは足が遅くても体力は無尽蔵だっ!!完全に撒かないと……!!」
「オァアアアアアアアッ!!」
逃走を開始した盗賊団に対し、トロールの1体が咆哮を上げると勢いよく地面を踏み込み、跳躍を行う。巨体からは考えられない程の跳躍力であり、レナ達を飛び越えて盗賊団の真上から巨体を利用して押し潰す。
『ぎゃあぁあああああああっ!?』
「お、お前等ぁっ!?」
「ゲヘヘッ……!!」
数人が餌食となり、トロールの巨体に押し潰され、盗賊頭が咄嗟に助けようと近寄るが、トロールは右腕を伸ばして振り払う。
「フゥンッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「頭ぁっ!?」
「に、逃げろっ!!殺されるぞっ!!」
あっさりと自分達の首領が薙ぎ払われた光景に他の盗賊は怖じ気づき、恐怖の表情を浮かべて走り去る。その光景にレナは舌打ちし、トロールに向けて駈け出す。
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