169 / 207
戦姫編
戦技と魔法
しおりを挟む
「何だこれ……射撃?」
レナが新しく覚えたのは「射撃」と呼ばれる矢の威力を強化させる射手の専用スキルであり、今日一日で何十体も魔物を魔弓で倒した事で習得したらしい。彼は魔弓を構え、付与魔法を発動せずに弦を引いて試し打ちするために近くに存在した岩に向けて撃ち込む。
「せいっ……無理か」
放たれた矢は岩に衝突した瞬間に弾かれてしまい、地面に落ちてしまう。幾ら矢の威力を強化されたと言っても頑丈な岩に突き刺さる事はなく、レナは今度は戦技を発動して打ち込んだ。
「強化射撃」
今度の矢は岩に的中した瞬間に先端の部分が見事に突き刺さり、普通の状態で射る時よりも速度と威力が強化されていた。レナは更にこの状態で魔法腕輪と魔石の鏃の矢を利用して弓魔術を発動した場合はどうなるのか気にかかり、レナは皆を起こさないようにその場を離れ、魔弓に火属性の鏃の矢を番える。
「音を立てないように……火属性」
魔弓に矢を番え、鏃に火属性の付与魔法を発動させ、更にレナは戦技を発動させて射抜く。
「強化射撃!!」
次の瞬間、弦から放たれた矢が勢いよく飛び出し、火柱のように空中に放たれる。その火力と移動速度は通常通りに矢を射る時よりも上昇しており、射程距離も大幅に延びていた。それを確認したレナは満足気に頷き、魔法と戦技(戦闘系)の組み合わせが予想以上の効果を生みだした事に驚く一方、他の戦技も魔法と組み合わせられないのかを考え、一先ずは焚火の場所に戻り、見張り役を行いながらステータス画面を開き、レナはこれまでに覚えた戦技を全て確認する。
「弾撃、回避、反撃……全部使用した事もあったな」
カトレアとの戦闘では相手との力量差を埋めるために全てのスキルを同時に使用し、更に暗殺者の技能スキルの「不意打ち」を利用して攻撃を強化させた事も有り、この時は身体に負担を掛け過ぎたせいで身体が倒れたが、今のレナのレベルと体力ならば耐え切れるだろう。
「弾撃は魔装術と利用出来たな……そういう意味ではもう俺は組み合わていたのか」
弓魔術も魔装術もレナが生み出した攻撃法であり、どちらも戦技と魔法の組み合わせと言える。但し、戦技同士の組み合わせでも十分に役立つ場合もあり、実際に回避と反撃のスキルは格上との戦闘では大きく活躍しており、レナは未修得のスキル一覧を開いてSPを使用して新しい戦技を覚える事にした。
「格闘系の戦技はもういいかな……あ、これなら役立ちそうだな」
戦技の中には条件を必要とする戦技も存在し、例えばレナの回避や反撃のスキルも相手側から攻撃を実行しなければ発動しない。そして彼が見つけ出したのは「見切り」と呼ばれるスキルであり、相手の攻撃動作を見抜く戦技であり、発動に成功すると相手側の攻撃を予測する事が出来る。
レナはSPを消費して「見切り」を習得し、反撃や回避とは相性が良さそうなスキルであり、発動条件は相手が攻撃を仕掛けた時に低確率で発動するらしく、彼の「幸運」のスキルならば発動の確率を上昇させる事が出来る。更に熟練度を上昇させれば確率は上昇するらしく、これからの戦闘に役立つ事を期待して彼は他のスキルを調べる。
「う~ん……今の所はこれぐらいかな」
「さっきから何をしてるんですか?」
後方からアイリィがレナに声を掛け、彼女の手元には薬瓶が握りしめられており、どうやら薬品の調合を行っていたらしく、彼の隣に座り込む。
「寝てなかったの?」
「私は睡眠は必要としませんよ。だからいつもは薬品の調合に没頭してるんですけど……」
「そうなのか……コトミンは?」
「馬車の中で眠ってますよ。ゴンゾウさんもぐっすり眠ってますから今起きているのは私達だけですね」
「そうか……」
レナは焚火に薪を加えながら体を温め、この世界の冬が近づいているのか冷える日が続き、彼は身体を温めようと掌を構えていると、アイリィは溜息を吐きだす。
「……どうしたの?」
「いえ……温かいですか?」
「まあ、一応は……」
「自分の肉体がある方は羨ましいですね……早く、私も取り戻したいです」
「えっ?」
「ちょっとあっちの方で薬の調合を行いますね……しばらく1人にさせてください」
アイリィはその場を立ち上がり、少し離れた場所に移動する。その後姿にレナは寂しさを覚え、咄嗟に声を掛けようとしたが何も言葉に出来ず、黙って見送る事しか出来なかった――
レナが新しく覚えたのは「射撃」と呼ばれる矢の威力を強化させる射手の専用スキルであり、今日一日で何十体も魔物を魔弓で倒した事で習得したらしい。彼は魔弓を構え、付与魔法を発動せずに弦を引いて試し打ちするために近くに存在した岩に向けて撃ち込む。
「せいっ……無理か」
放たれた矢は岩に衝突した瞬間に弾かれてしまい、地面に落ちてしまう。幾ら矢の威力を強化されたと言っても頑丈な岩に突き刺さる事はなく、レナは今度は戦技を発動して打ち込んだ。
「強化射撃」
今度の矢は岩に的中した瞬間に先端の部分が見事に突き刺さり、普通の状態で射る時よりも速度と威力が強化されていた。レナは更にこの状態で魔法腕輪と魔石の鏃の矢を利用して弓魔術を発動した場合はどうなるのか気にかかり、レナは皆を起こさないようにその場を離れ、魔弓に火属性の鏃の矢を番える。
「音を立てないように……火属性」
魔弓に矢を番え、鏃に火属性の付与魔法を発動させ、更にレナは戦技を発動させて射抜く。
「強化射撃!!」
次の瞬間、弦から放たれた矢が勢いよく飛び出し、火柱のように空中に放たれる。その火力と移動速度は通常通りに矢を射る時よりも上昇しており、射程距離も大幅に延びていた。それを確認したレナは満足気に頷き、魔法と戦技(戦闘系)の組み合わせが予想以上の効果を生みだした事に驚く一方、他の戦技も魔法と組み合わせられないのかを考え、一先ずは焚火の場所に戻り、見張り役を行いながらステータス画面を開き、レナはこれまでに覚えた戦技を全て確認する。
「弾撃、回避、反撃……全部使用した事もあったな」
カトレアとの戦闘では相手との力量差を埋めるために全てのスキルを同時に使用し、更に暗殺者の技能スキルの「不意打ち」を利用して攻撃を強化させた事も有り、この時は身体に負担を掛け過ぎたせいで身体が倒れたが、今のレナのレベルと体力ならば耐え切れるだろう。
「弾撃は魔装術と利用出来たな……そういう意味ではもう俺は組み合わていたのか」
弓魔術も魔装術もレナが生み出した攻撃法であり、どちらも戦技と魔法の組み合わせと言える。但し、戦技同士の組み合わせでも十分に役立つ場合もあり、実際に回避と反撃のスキルは格上との戦闘では大きく活躍しており、レナは未修得のスキル一覧を開いてSPを使用して新しい戦技を覚える事にした。
「格闘系の戦技はもういいかな……あ、これなら役立ちそうだな」
戦技の中には条件を必要とする戦技も存在し、例えばレナの回避や反撃のスキルも相手側から攻撃を実行しなければ発動しない。そして彼が見つけ出したのは「見切り」と呼ばれるスキルであり、相手の攻撃動作を見抜く戦技であり、発動に成功すると相手側の攻撃を予測する事が出来る。
レナはSPを消費して「見切り」を習得し、反撃や回避とは相性が良さそうなスキルであり、発動条件は相手が攻撃を仕掛けた時に低確率で発動するらしく、彼の「幸運」のスキルならば発動の確率を上昇させる事が出来る。更に熟練度を上昇させれば確率は上昇するらしく、これからの戦闘に役立つ事を期待して彼は他のスキルを調べる。
「う~ん……今の所はこれぐらいかな」
「さっきから何をしてるんですか?」
後方からアイリィがレナに声を掛け、彼女の手元には薬瓶が握りしめられており、どうやら薬品の調合を行っていたらしく、彼の隣に座り込む。
「寝てなかったの?」
「私は睡眠は必要としませんよ。だからいつもは薬品の調合に没頭してるんですけど……」
「そうなのか……コトミンは?」
「馬車の中で眠ってますよ。ゴンゾウさんもぐっすり眠ってますから今起きているのは私達だけですね」
「そうか……」
レナは焚火に薪を加えながら体を温め、この世界の冬が近づいているのか冷える日が続き、彼は身体を温めようと掌を構えていると、アイリィは溜息を吐きだす。
「……どうしたの?」
「いえ……温かいですか?」
「まあ、一応は……」
「自分の肉体がある方は羨ましいですね……早く、私も取り戻したいです」
「えっ?」
「ちょっとあっちの方で薬の調合を行いますね……しばらく1人にさせてください」
アイリィはその場を立ち上がり、少し離れた場所に移動する。その後姿にレナは寂しさを覚え、咄嗟に声を掛けようとしたが何も言葉に出来ず、黙って見送る事しか出来なかった――
0
お気に入りに追加
3,647
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる