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ゴブリンキング編

ミラの正体

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ミラが拾ったゴブリンは非常に力が弱く、自力では餌を集める事も出来なかった。だから彼女は炭鉱の発掘員として働く一方、残飯を持ち込んでゴブリンの子供に分け与える。雑食性であるゴブリンはどんな食べ物でも喜んで食し、何時しか彼女の事を本当の母親のように従う。

ゴブリンは世間では非常に獰猛で残忍な性格な魔物と思われているが、実際の所は生まれる環境によってゴブリンの性格は大きく変わり、ミラが育てたゴブリンは非常に穏やかな性格に育つ。ミラはゴブリンを本物の子供のように可愛がり、更にアラン炭鉱内の他のゴブリン達を従え、自分が育てたゴブリンの世話を行わせる。



――だが、彼女がゴブリンを拾ってから1年が経過した頃、成長したゴブリンの子供は別の人間に見つかってしまう。彼はミラ以外の人間を見たのは初めてであり、興味を抱いて近づこうとした瞬間、人間達に袋叩きされてしまう。ゴブリンの子供を発見したのは炭鉱の護衛役として赴いていた新人の冒険者達であり、ゴブリンの姿を発見して討伐しようと彼等は殴りつける。



冒険者達に痛めつけられたゴブリンを救ったのは彼の元にいつも通りに残飯を持ち込んできたミラであり、彼女は自分の子供のように可愛がっているゴブリンを集団で叩きのめす冒険者達に怒り狂い、その場で全員を半殺しにしてしまう。結果的にはゴブリンの子供の命は助かったが、この一件以来彼女は魔物を救うために冒険者に手を出した事を炭鉱員に知られ、アラン炭鉱から追放されてしまう。

彼女はゴブリンの子供を連れて一時期はアラン炭鉱を離れた別の山岳地帯に移り住み、魔物使いの職業の能力を行かして数多くのゴブリンを従え、盗賊のように山岳に訪れる人間に襲い掛かり、食料と金銭を奪い続ける生活を送る。様々な武芸者に鍛えられてきたミラはゴブリンに自分の学んだ技術を教え、ゴブリンは武器の使い方を覚えさせる。また、大量のファングを捕獲して飼育を行い、人間が馬に乗る様にゴブリンがファングを従えさせる。

手足が短いゴブリンは剣や槍ではなく、弓矢を扱うのが最適だと考えた彼女はゴブリン達に弓矢の扱い方を重点的に教える。そして自分が一番可愛がっている子供とは一緒に狩猟を行い、様々な魔物を共に討伐し、魔物の肉を食べさせ続けた。その結果、最も力が弱かったはずのゴブリンの子供は立派に成長し、何時の間にか巨人族のような体躯にまで成長を果たし、レッドゴブリンとは別種の進化を遂げた。



ミラは自分の子供が「ゴブリンキング」と呼ばれる伝説の魔物に進化を果たしたのを知ったのは炭鉱を追い出されてから2年後であり、流石に数多くの人間を襲い続けた事で近辺の村や町の人間から冒険者を雇い、山岳地帯に潜むゴブリンの討伐のために高ランクの冒険者が送り込まれる。

最初に送り込まれた冒険者の集団を迎撃した彼女は拠点を移動する必要があると考え、山岳たちを離れて帝都の方面に戻る。彼女は山岳地帯に訪れたドワーフ族の女性の身分証を奪い取り、暗殺者のスキルの1つである「変装」を利用して容姿を変化させ、偶然にも自分と同じ名前である事も有り、彼女は人間社会に戻ることを決めた。

だが、人間の世界に戻る前に自分が使役したゴブリン達は別の住処に移動させ、冒険者の追跡を逃れて彼女は草原地方にゴブリン達を移動させる。彼女はゴブリンキングと進化した自分の「子供」に他のゴブリン達を任せ、帝都に帰還する。

その後のミラはスラム街に戻り、裏の仕事を請け負いながら生活を送るが、ある時に1人の女性が彼女の元に現れる。その女性はミラが別の人間に化けている事、更にゴブリンキングを育て上げた事を知っており、もしも女性が警備兵に彼女の情報を伝えた場合、間違いなくミラは凶悪犯罪者として捕まる事を説明し、正体を晒されたくなければ自分に協力するように脅迫を行う。

ミラは自分の正体を知る女性に恐怖を抱き、彼女の依頼を引き受ける。その依頼内容は陽光教会が隠している「白銀製の道具」を盗み出せと言うあまりにも理不尽な仕事であり、最初は彼女も女性の要求には応えられないと告げたが、どれほど時間が掛かっても良いので女性は陽光教会に忍び込み、教会が隠している白銀製の道具を盗み出すように命令し、あまりにも理不尽な仕事内容の依頼をミラは断れず、彼女はまずは自分と同族のドワーフ族の少女を探す。



スラム街にミラに依頼を頼んだ女性が訪れてから数か月後、遂にミラは「アメリア」という名前の少女を見つけ出し、自分の正体を晒される前に彼女は生まれて初めて何の恨みもない只の一般人を殺害してしまう。彼女の遺体を処理し、新しく得た身分証を利用し、少女の姿に変装した彼女は陽光教会のワルキューレ騎士団に入団した。
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