最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

カトレア参戦

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「……どうします?教会がこの状態では助けを求められませんね。かと言って警備兵に助けを求めるのも難しそうですし……」
「くそっ……ゴブリンキングも入り込んでいるかな?」
「いえ、仮にゴブリン達が地下水路に入り込んだとしたらあの隠し通路にゴブリンナイトやゴブリンキングは入り込めません。幾ら何で外壁を乗り越えるとは考えにくいですし……あっ!?」
「どうしたっ!?」
「いや、まさか……だけど、もしかしたら……ゴブリン達は街中で騒ぎを起こした事で外壁の警備を行っていた兵士も城下町に移動します。という事は外壁の警備が薄くなる事に……」
「……まさか、この隙にあいつらは入り込む気か?」


アイリィの予測にレナ達は動揺し、これまでのゴブリン達の行動が計画的だとしたら、彼女の考え通りにゴブリンキングやゴブリンナイト達が帝都の外壁に迫っている可能性が高い。もしも内部に侵入したゴブリンが内側から外壁を開いた場合、帝都の外部からゴブリンキングとゴブリンナイトが乗り込んでくるだろう。

レナの脳裏に炭鉱で現れたゴブリンの王を思い返し、脅威的な戦闘力を誇るゴブリンキングが城下町に侵入を果たした光景を想像するだけで背筋が凍り、一刻も早く外壁に向かう必要がある。


「だけど……入り込むとしても何処の門から?」
「可能性が高いのは北門でしょうね。ゴブリン達が存在したのは北側でしたし、私達が抜け出した地下水路の抜け道も北側に存在しましたし……どうします?」
「教会は気になるけど……結界石が発動している限りは安全なんだよね?」
「防護壁がどれほどの時間を保てるのかは分かりませんけど、少なくとも見た限りではゴブリンが入り込む様子はありませんね。それにこの数の敵は私達にはどうしようもありませんし……」
「どうするんだレノ?」
「……ちょっと待って……何か、大切な事を忘れてる気がする」


これまでの話を思い返しながらレナは心の中で何かが引っ掛かり、自分が重要な事を見下ろしている気分に陥る。王城、地下水路、ゴブリンの単語を思い返し、地下牢に存在した金髪の少女を思い出す。


「カトレアは!?あいつ、まさかこの騒動に紛れて抜け出してるんじゃないのっ!?」
「えっ?」
「あっ」
「カトレア……誰だ?」


地下水路の出入口である地下牢にはカトレアが1人だけ監禁されており、仮にゴブリン達が地下水路を通じて帝都内に侵入していた場合、必然的に彼女とも遭遇しているだろう。もしもゴブリンの登場い乗じてサキュバスのカトレアが王城の地下牢から抜け出していた場合、事体は更に最悪な状況に陥る。


「やっぱり王城に向かった方がいいかな……?」
「だけど仮にゴブリンが王城から出現していたとしたら大変な事態に陥ってますよ?」
「でも王城なら兵士も居るでしょ?もしかしたら今頃は鎮圧されているかも知れないけど……サキュバスのあいつが抜け出していた大変なことになる」
「確かにゴブリンキングよりも厄介な敵かも知れませんね。コトミンさんにもう一度倒して貰う訳にもいきませんし……」
「なに?コトミンはサキュバスを倒した事があるのかっ……!?」
「余裕だった」
「……それはどうだったかなぁ~」


アイリィの発言にゴンゾウが驚愕し、調子に乗ったコトミンが偉そうに胸を張って頷くと、レナ達の上空から不機嫌そうな少女の声が掛けられる。全員が上空を見上げると、そこには蝙蝠の翼を生やした金髪の美少女が浮揚しており、彼女は地面に降り立つとレナ達と向かい合い、両手と両足に鎖の拘束具を身に付けながらも話しかけてきた。


「やっほ~数時間ぶりかなぁっ?お・に・い・さ・ん!!」
「げっ……もう来たのか」
「最悪な時に……」
「……ぷるぷる、私は無害なスライム」
「いや、いまさら言っても遅いですよ!!」
「なんだ……こいつは?」



――サキュバスのカトレアが4人の前に現れ、彼女は妖艶な笑みを浮かべながらゆっくりと歩み寄る。瞳を決して真面に見ないように気を付けながらレナは白銀拳を構え、ゴンゾウも危険を察したのか両腕を構え、アイリィとコトミンは2人の背後に隠れる。この状況下のカトレアとの遭遇は予想外であり、全員が戦闘態勢に入るが彼女の方は両手を上に向けた状態で話しかける。


「待って待ってぇっ……今はお兄さん達と戦う気はないからぁっ」
「えっ?」
「面倒だけどサキュバス一族は恩がある人間は襲わないき掟があるのぉっ……お兄さんには一応は捕まっていた時に魔力を分けて貰ったから見逃してあげるぅっ」
「そ、そうなの?」


意外な申し出にレナは安堵の息を吐き、まさかカトレアの方から戦闘を行う意思がない事を伝えられるとは予想外であり、他の人間も安心しかけたが彼女は唐突に真顔になってコトミンに視線を向ける。


「……でもそっちの女の子は許さないから、ここで殺すね」
「……!?」


次の瞬間、彼女の両手の爪が刃物のように研ぎ澄まされ、コトミンを睨み付けた。
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