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ゴブリンキング編
盗賊捕獲
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「団長!!盗人を捕まえてきたよ!!」
「は、離せ!!この筋肉女!?」
「わうっ!!大人しくしてください!!」
「早かったですね……」
緊急医療室に少女を抱え状態のたテンが現れ、彼女の傍には白銀の鍵を握りしめたポチ子も存在し、ミキの元に駆け付けて彼女に渡し、鍵を本物だと確かめるためにミキはヨウカに手渡す。
「ヨウカ様」
「う、うん……間違いない、この鍵だよ!!」
「良かった……それでは話を聞きましょうか」
「ひぃっ!?」
普段から鍵を取り扱っているのは彼女だけであり、ヨウカは取り返した鍵が本物だと見抜くと、全員が彼女の言葉に安堵の息を吐く。そして盗賊の少女にミキが鋭い視線を向け、先ほどまで暴れていた少女は彼女に瞳を向けられただけで硬直し、テンは彼女を手放して無理やりにその場に正座させる。
「さて……どうしてこの鍵を盗んだのか教えてもらいましょうか?返答によってはこの場で貴女に罰を与えます」
「ふ、ふんだっ!!あんた達は人殺しはご法度なんだろ!?そんな脅しなんて……」
「確かに我等は無益な殺生は好みません。ですが、罪人に罰を与える方法は幾らでも存在します。どれ程の拷問を受けようと回復魔法を施せばどんな怪我だろうと治してみせましょう」
「ちょ、ちょっと待ってよ……冗談だよな?」
「テン」
「あいよ」
後方から少女の肩を掴んでいるテンが右腕を掴み取り、何事もなく雑巾搾りのように握りしめる。彼女は悲鳴を上げ、唐突なテンの行動にレナ達は動揺するが、ミキは無表情で少女に視線を向けた。
「どうですか?彼女は教会の中でも二番目を誇る怪力です。正直に答えなければ反対の腕も同じ結果になりますよ。それとも骨が歪な状態での回復魔法を施した時の激痛を味わいますか?」
「や、止めてぇっ!?いやぁっ……は、話します!!話しますからぁっ……!!」
「ちっ、しょうがないね……ほらよっ!!」
テンは慣れた手つきで捻り込まれた右腕を今度は引き延ばすように動かし、ミキが杖を構えて「治癒」の魔法で治療を行う。瞬く間に少女の右腕は元に戻り、彼女は涙を流しながら自分の右腕を抱きしめる。予想外のミキとテンの予想外の行動にレナ達は若干身体を引くが、彼女の尋問は終わらない。
「質問に答えなさい。どうして貴女はこの鍵を盗んだのですか?」
「め、命令されたんだよ……ゴブリンキングに」
「はあ?何を寝ぼけた事を言ってんだい?魔人族も出ない魔物が人語を話したとでもいう気かい?」
「ほ、本当だよ!!あいつは私の仲間を人質にしてあんた達の教会に存在する鍵を盗み出せと言ってたんだよ!!だから私はこいつらの仲間の1人に化けてあんた達の教会に忍び込んだんだ!!」
「……俄かには信じられませんが」
「でもミキ、この人は嘘を言ってないよ?」
「俺もそう思う」
少女の発言にヨウカが口を挟み、彼女は「真偽眼」の持ち主なのでどんな人物であろうと「嘘」を吐いた場合は見抜く事が出来る。レナも彼女の言葉には「悪意」は感じられず、嘘を言っていない事を確信する。2人の言葉にミキは動揺し、彼女の言葉が真実ならば「ゴブリンキング」が人語を話し、更に陽光教会に忍び込んで鍵を盗むように指示を与えた事になる。
「魔物が人語を理解するどころか教会の重要物の存在を知っていたんですか?しかも冒険者を利用して教会に忍び込む方法まで考えたなんて……」
「ゴブリンキングの知能は人間にも勝るとは聞いたことがありますが、まさか人語まで話せるとは……興味深いですね」
「な、なあっ……頼める立場じゃないのは分かってるけどさっ!!私の仲間を助けてくれよ!!その鍵さえ持っていけばあいつらは……」
「お断りします。この鍵を失えばこちらも大きな損失が生まれます。それに聖水を生みだせなくなれば今後訪れる怪我人の治療も出来なくなります……残念ですが貴女には渡せません」
「そんなっ……それがないと私の仲間も、いや、炭鉱で捕まった奴等も全員殺されちまうんだぞ?」
「捕まった?どういう事だい?まさか、もう他の奴等は全員が捕まったのかい?」
「……わ、分からない。だけどゴブリンの大群が急に現れて護衛の冒険者も兵士もあっと言う間にやられたんだ……あいつら、毒矢なんて使いやがって……」
「だけど中には巨人族も居たんだろう?あいつらは毒の耐性を持っているから、クド草だろうと簡単には倒れないだろ?」
「確かに1人だけ元気な巨人族がいたさ……そいつだけは矢を何本を受けてもゴブリン共を薙ぎ倒していたよ。だが……トロールやオーガ級の体格のゴブリンが現れてそいつも袋叩きにされたよ」
彼女の話によると既に大半の人間がゴブリンの奇襲によって緊急医療室に倒れている冒険者のように毒に身体を侵されたらしく、全員がまともに動けない状態に追い込まれたという。その中で1人だけ居た「巨人族」がゴブリンに善戦していたが、通常のゴブリンよりも大柄な体格の「ゴブリンナイト」の登場により、その巨人族も倒されてしまったという。レナの脳裏にゴンゾウが思い浮かび、彼がゴブリンに倒されたという話に目を見開く。
「は、離せ!!この筋肉女!?」
「わうっ!!大人しくしてください!!」
「早かったですね……」
緊急医療室に少女を抱え状態のたテンが現れ、彼女の傍には白銀の鍵を握りしめたポチ子も存在し、ミキの元に駆け付けて彼女に渡し、鍵を本物だと確かめるためにミキはヨウカに手渡す。
「ヨウカ様」
「う、うん……間違いない、この鍵だよ!!」
「良かった……それでは話を聞きましょうか」
「ひぃっ!?」
普段から鍵を取り扱っているのは彼女だけであり、ヨウカは取り返した鍵が本物だと見抜くと、全員が彼女の言葉に安堵の息を吐く。そして盗賊の少女にミキが鋭い視線を向け、先ほどまで暴れていた少女は彼女に瞳を向けられただけで硬直し、テンは彼女を手放して無理やりにその場に正座させる。
「さて……どうしてこの鍵を盗んだのか教えてもらいましょうか?返答によってはこの場で貴女に罰を与えます」
「ふ、ふんだっ!!あんた達は人殺しはご法度なんだろ!?そんな脅しなんて……」
「確かに我等は無益な殺生は好みません。ですが、罪人に罰を与える方法は幾らでも存在します。どれ程の拷問を受けようと回復魔法を施せばどんな怪我だろうと治してみせましょう」
「ちょ、ちょっと待ってよ……冗談だよな?」
「テン」
「あいよ」
後方から少女の肩を掴んでいるテンが右腕を掴み取り、何事もなく雑巾搾りのように握りしめる。彼女は悲鳴を上げ、唐突なテンの行動にレナ達は動揺するが、ミキは無表情で少女に視線を向けた。
「どうですか?彼女は教会の中でも二番目を誇る怪力です。正直に答えなければ反対の腕も同じ結果になりますよ。それとも骨が歪な状態での回復魔法を施した時の激痛を味わいますか?」
「や、止めてぇっ!?いやぁっ……は、話します!!話しますからぁっ……!!」
「ちっ、しょうがないね……ほらよっ!!」
テンは慣れた手つきで捻り込まれた右腕を今度は引き延ばすように動かし、ミキが杖を構えて「治癒」の魔法で治療を行う。瞬く間に少女の右腕は元に戻り、彼女は涙を流しながら自分の右腕を抱きしめる。予想外のミキとテンの予想外の行動にレナ達は若干身体を引くが、彼女の尋問は終わらない。
「質問に答えなさい。どうして貴女はこの鍵を盗んだのですか?」
「め、命令されたんだよ……ゴブリンキングに」
「はあ?何を寝ぼけた事を言ってんだい?魔人族も出ない魔物が人語を話したとでもいう気かい?」
「ほ、本当だよ!!あいつは私の仲間を人質にしてあんた達の教会に存在する鍵を盗み出せと言ってたんだよ!!だから私はこいつらの仲間の1人に化けてあんた達の教会に忍び込んだんだ!!」
「……俄かには信じられませんが」
「でもミキ、この人は嘘を言ってないよ?」
「俺もそう思う」
少女の発言にヨウカが口を挟み、彼女は「真偽眼」の持ち主なのでどんな人物であろうと「嘘」を吐いた場合は見抜く事が出来る。レナも彼女の言葉には「悪意」は感じられず、嘘を言っていない事を確信する。2人の言葉にミキは動揺し、彼女の言葉が真実ならば「ゴブリンキング」が人語を話し、更に陽光教会に忍び込んで鍵を盗むように指示を与えた事になる。
「魔物が人語を理解するどころか教会の重要物の存在を知っていたんですか?しかも冒険者を利用して教会に忍び込む方法まで考えたなんて……」
「ゴブリンキングの知能は人間にも勝るとは聞いたことがありますが、まさか人語まで話せるとは……興味深いですね」
「な、なあっ……頼める立場じゃないのは分かってるけどさっ!!私の仲間を助けてくれよ!!その鍵さえ持っていけばあいつらは……」
「お断りします。この鍵を失えばこちらも大きな損失が生まれます。それに聖水を生みだせなくなれば今後訪れる怪我人の治療も出来なくなります……残念ですが貴女には渡せません」
「そんなっ……それがないと私の仲間も、いや、炭鉱で捕まった奴等も全員殺されちまうんだぞ?」
「捕まった?どういう事だい?まさか、もう他の奴等は全員が捕まったのかい?」
「……わ、分からない。だけどゴブリンの大群が急に現れて護衛の冒険者も兵士もあっと言う間にやられたんだ……あいつら、毒矢なんて使いやがって……」
「だけど中には巨人族も居たんだろう?あいつらは毒の耐性を持っているから、クド草だろうと簡単には倒れないだろ?」
「確かに1人だけ元気な巨人族がいたさ……そいつだけは矢を何本を受けてもゴブリン共を薙ぎ倒していたよ。だが……トロールやオーガ級の体格のゴブリンが現れてそいつも袋叩きにされたよ」
彼女の話によると既に大半の人間がゴブリンの奇襲によって緊急医療室に倒れている冒険者のように毒に身体を侵されたらしく、全員がまともに動けない状態に追い込まれたという。その中で1人だけ居た「巨人族」がゴブリンに善戦していたが、通常のゴブリンよりも大柄な体格の「ゴブリンナイト」の登場により、その巨人族も倒されてしまったという。レナの脳裏にゴンゾウが思い浮かび、彼がゴブリンに倒されたという話に目を見開く。
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