最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

オーク

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「この数は少し不味いね……ミキさん！！３体は引き受けるよ！！おらぁあああっ！！」
「私も行きます！！わぉんっ！！」
「なっ！？待ちなさい……ああ、もう！！」

テンは大剣を振り回しながら大声で怒鳴り散らし、オークの注意を引きながら群れに突っ込み、その後にポチ子も双剣を掲げて彼女に続く。一方でミキはレナ達の前で魔槍を構え、杖を足元に突き刺してゴンゾウとの戦闘の時のように地面を凍結させる。

「フリーズ！！」
『プギィイイイッ！？』
「おおっ！！」

近付いてきたオークの群れが凍り付いた地面に次々と転倒し、すぐに立ち上がろうとするが足元が滑るせいで上手く動けず、その隙にアメリアが戦斧を振り上げ、オークの上空に跳躍した。

「はああっ！！」
「イギャッ！？」

彼女は一番近くのオークの背中に戦斧を振り落し、頭部を叩き割る。更に一回転する要領で頭部から刃を抜き出し、倒したオークを足場にして今度は別の個体に飛び移る。

「せいっ！！」
「ブギィッ！？」
「凄っ！？」

横回転を加えた戦斧をオークの腕に叩きつけ、激しい血飛沫が舞い上がる。絶命までには至らなかったが彼女は氷の地面に着地し、足場が不安定にも関わらずに戦斧を振り翳し、先ほどテンも使用した戦技の斧版を発動する。

「旋風斧！！」
「プギャアアアッ！？」

回転を加えた一撃でオークの首を切断し、残された最後のオークはその光景を見て背中に抱えていた盾を構えるが、人間用に造られた盾はオークの全身を守り抜くほどの大きさはなく、アメリアは戦斧を容赦なく振り下ろす。

「兜割り！！」

上段から振り下ろされた戦斧の刃が頭部に的中し、勢いを吐いた刃が肉体を一刀両断する。外見からは想像できない程の腕力であり、その光景にレナは圧倒されていると、アイリィが彼の肩を叩く。

「呆けている場合じゃないですよ！！あっちに弓矢を構えている奴が居ます！！」
「えっ！？」
「くっ……射手も居たのですか！？」

アイリィの言葉にレナは丘の上に視線を向けると、確かに弓矢を構えた個体が存在し、相手は真っ直ぐにレナに狙いを定めて矢を射る。

「レナさぁああ……！！」
「久々だなっ！！」

射抜かれた矢に対してアイリィがレナに警告の言葉を発したが、彼の耳には彼女の動作が遅行化スローモーションのように減速する。久々に「思考加速」の異能が発動し、レナは迫りくる矢を回避すると懐から吸魔石を取り出し、今回は土属性の吸魔石を用意して距離は遠いが「狙撃」のスキルを発動して投擲を行う。

「土属性エンチャット！！」

土属性の付与魔法を発動して吸魔石に重力を加え、更に魔石内の魔力が呼応するかのように加速する。恐らくは音速の速度まで達した吸魔石が弓矢を構えていたオークの腹部に衝突し、木っ端微塵に吹き飛ばした。

「プギィイイイイッ……！？」
「うわっ……ぐろい！？」
「な、何ですか今の魔法は！？」
「……見えませんでした」
「おおっ……流石はレナさん」
「でも、まだ残っている」

レナの攻撃に全員が驚くが、コトミンの言葉通りに他のオークが射手がやられた事で脅威を感じ取り、標的をレナに定めて動き出す。

『プギィイイイッ！！』
「不味いっ！？」
「逃げてください！！」

残りのオークは５体であり、レナは無詠唱で肉体に聖属性の付与魔法を発動させ、身体能力を上昇させて駆け出す。オークは力は強いが鈍足であり、全力疾走のレナには追い付けず、その間にレナは魔法腕輪と白銀拳を確認し、一番近い個体に視線を向けてその場を反転して攻撃を仕掛ける。

「プギィッ！？」
「うおおおおっ！！」
「レナ様！？」

彼の行動にミキが驚愕するが、レナは右腕を振り翳し、魔法腕輪を発動する。腕輪に取り付けられた雷属性の魔水晶が光り輝き、レナは腕鉄甲に雷属性の付与魔法を発動させると通常よりも電流が迸り、オークの肥え太った腹部に拳を叩き込む。

「弾撃ぃっ！！」

勢いよく地面を踏み込み、足の裏、足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、拳を撃ち込む。レナが唯一覚えている攻撃の戦技であり、オークの巨体に電流を纏った白銀拳がめり込む。

「はああっ！！」
「プギャアァアアアアアアアッ……！？」

オークの巨体に電流が走り込み、更に後方にいる他のオークに吹き飛ばす。その衝撃は凄まじく。その光景にテンが感嘆の声を上げ、ミキは目を見開く。

「へえ……こりゃ凄いね！！」
「そ、そんな……何ですか今の一撃は！？」
「まだ油断しないで下さい！！残ってますよ！！」
「プギィイイイッ……！！」

彼女の言葉通り、残ったオークは仲間の死体を振り払い、怯えた表情を浮かべて逃走を開始する。だが、既に３体のオークを屠ったテンが大剣を握りしめ、満面の笑みで追いかけ回す。

「待てこら！！襲っておいて逃げ出そうなんて許さないからね！！」
「テン！！ああっ……行ってしまいました」

テンはオークを追いかけ回し、そんな彼女にミキは呆れながらも魔槍を地面から引き抜くと凍り付いた地面が元に戻る。

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