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ゴブリンキング編
帝都の外へ
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魔道具店で全ての装備を整え、レナ達は陽光教会に向かう。建物の出入口に辿り着くと、既に出発の準備を整えたミキとワルキューレ騎士団の姿が存在した。性格には騎士団と言っても人数は3人であり、面子はテンとポチ子と最後の1人はレナ達は初めて顔を遭わせる少女だった。
「お待ちしていました」
「よ、坊主」
「こんにちは皆さん!!」
「初めまして……」
レナ達が到着するとミキ達が近付き、彼女達の傍には馬車が存在した。この馬車に乗り込んで外に向かうようだが、その前にレナは唯一知らない女性に視線を向け、彼女が何者なのか問い質す。
「こちらの人は?」
「あっ……失礼しました。ワルキューレ騎士団所属のアメリアと申します……」
「うちの期待の新人だよ」
「何だか大人しそうな人ですね」
「ご、ごめんなさい……」
「こら、怖がらせるなっ」
アメリアと名乗った少女はこの世界では珍しい黒髪の女性であり、身長は随分と小さく、ポチ子と肩を並べる大きさであり、外見は黒髪の短髪に茶色の瞳であり、年齢の方もポチ子と同程度だと思われるが、ワルキューレ騎士団はポチ子を除いて成人年齢に達した人間だけで統一されているはずなのでアメリアも成人年齢を迎えているのは間違いない。だが、肉体に関しては完全に幼児体型であり、それにも関わらずに背中には自分の身長よりも高い鋼鉄製の棍棒を抱えていた。
「このアメリアは最近になって入団したばかりですが、実力はテンの折り紙付きです。彼女はドワーフなので力は強いですよ」
「ああ、なるほど……そういう事ですか」
「ドワーフって……あの髭の生えている小さいおじさん」
「その認識も間違ってはいませんけど、人間よりも基本的に体格が小さく、同時に巨人族にも劣らない腕力を持つ種族ですよ。あ、でも女性の場合は髭は生えませんけど」
「ど、どうも……」
「全く……相変わらず初めて会う人間には恥ずかしがるね」
テンの後ろにアメリアは姿を隠し、かなり人見知りが激しい性格のようであり、そんな彼女にテンは溜息を吐き出し、その一方でポチ子の方はアイリィとコトミンに近づき、鼻を引くつかせる。
「すんすん……わぅんっ?今日はお二人から華の臭いがします」
「ふっふっふっ……香水は女性の嗜みですからね」
「……でもちょっとかけすぎ」
今回のアイリィとコトミンは事前に臭いで正体がばれないように香水を肉体に振りかけており、ポチ子の嗅覚を誤魔化す対策を行う。後でレナは知ったがそもそもスライムには体臭が殆ど存在しないのだが、獣人族の中でも犬型の獣人だけはスライムの臭いを嗅ぎ分ける事が出来る。理由は不明だが彼等の鼻は最早嗅覚という領域を超えた力を持っており、本来ならば無臭の生物でも感知する事が出来るという。
「それでは参りましょうか。人数はこれだけですか?」
「ゴンちゃんも誘いたかったけど、今日は依頼で近くで炭鉱の方に向かうらしいから誘えませんでした」
「炭鉱?なるほど……護衛任務ですね」
「なんだい、あの坊主は来ないのかい。今度はあたしが稽古を付けてやろうと思ったけどね」
「う、馬の運転は私がします……」
全員が馬車に乗り込み、アメリアが運転を行う。馬車の大きさはゴンゾウが訪れる事を想定していたのか大人数でも乗れる大きな馬車であり、外に移動するまで馬車の中でそれぞれが準備を行う。
「アイリィは今回は回復魔法を使うの?」
「あんまり使うと身体がだるくなるので嫌なんですけど、いざという時は使いますよ」
「そう言えばコトミンも付いてきたけど、戦えるの?」
「……問題ない。ホノカから弓矢を借りて来た」
「え?弓を使えるんですかっ!?」
「借りただけ……いざという時は相手を捕食する」
『捕食?』
「はいは~い。何でもありませんよ~」
余計な事を口走る前にアイリィがコトミンの口を塞ぎ、一方でレナは白銀拳と魔法腕輪の準備を行い、この日の為に用意した「魔水晶」を取り出す。
「あっ、今回はちゃんと用意してたんですね。というか魔水晶を装着しないと魔法腕輪なんて只の腕輪ですからね」
「随分と金が掛かったよ……まあ、その分に期待してる」
アイリィから受け取った魔法腕輪は魔石や魔水晶の類を装備しないと効果は発揮せず、レナは鍛冶屋に頼んで魔水晶の製作を行う。流石に全属性の魔水晶を作り出して貰うのはかなり資金を消費したが、これからは魔法腕輪を使用して魔法の強化を行える。腕輪の窪みに魔水晶を装着し、レナは左腕に取り付けようとすると腕輪の中にまだ窪みが残っている事に気付く。
「あれ?全部の属性の魔水晶を用意したはずだけど……この最後の窪みは何?」
「それは結界石用の窪みですよ。あの防護壁を生み出す魔法はどの属性にも属しませんからね」
「ああ……ミキさんの魔槍に装着していた奴か」
レナの脳裏にミキがゴンゾウと戦闘を行った時に使用した魔槍が思い浮かび、彼女も戦闘中に結界石を使用して魔法陣を生み出し、彼の攻撃を防いだ事を思い出した。
「お待ちしていました」
「よ、坊主」
「こんにちは皆さん!!」
「初めまして……」
レナ達が到着するとミキ達が近付き、彼女達の傍には馬車が存在した。この馬車に乗り込んで外に向かうようだが、その前にレナは唯一知らない女性に視線を向け、彼女が何者なのか問い質す。
「こちらの人は?」
「あっ……失礼しました。ワルキューレ騎士団所属のアメリアと申します……」
「うちの期待の新人だよ」
「何だか大人しそうな人ですね」
「ご、ごめんなさい……」
「こら、怖がらせるなっ」
アメリアと名乗った少女はこの世界では珍しい黒髪の女性であり、身長は随分と小さく、ポチ子と肩を並べる大きさであり、外見は黒髪の短髪に茶色の瞳であり、年齢の方もポチ子と同程度だと思われるが、ワルキューレ騎士団はポチ子を除いて成人年齢に達した人間だけで統一されているはずなのでアメリアも成人年齢を迎えているのは間違いない。だが、肉体に関しては完全に幼児体型であり、それにも関わらずに背中には自分の身長よりも高い鋼鉄製の棍棒を抱えていた。
「このアメリアは最近になって入団したばかりですが、実力はテンの折り紙付きです。彼女はドワーフなので力は強いですよ」
「ああ、なるほど……そういう事ですか」
「ドワーフって……あの髭の生えている小さいおじさん」
「その認識も間違ってはいませんけど、人間よりも基本的に体格が小さく、同時に巨人族にも劣らない腕力を持つ種族ですよ。あ、でも女性の場合は髭は生えませんけど」
「ど、どうも……」
「全く……相変わらず初めて会う人間には恥ずかしがるね」
テンの後ろにアメリアは姿を隠し、かなり人見知りが激しい性格のようであり、そんな彼女にテンは溜息を吐き出し、その一方でポチ子の方はアイリィとコトミンに近づき、鼻を引くつかせる。
「すんすん……わぅんっ?今日はお二人から華の臭いがします」
「ふっふっふっ……香水は女性の嗜みですからね」
「……でもちょっとかけすぎ」
今回のアイリィとコトミンは事前に臭いで正体がばれないように香水を肉体に振りかけており、ポチ子の嗅覚を誤魔化す対策を行う。後でレナは知ったがそもそもスライムには体臭が殆ど存在しないのだが、獣人族の中でも犬型の獣人だけはスライムの臭いを嗅ぎ分ける事が出来る。理由は不明だが彼等の鼻は最早嗅覚という領域を超えた力を持っており、本来ならば無臭の生物でも感知する事が出来るという。
「それでは参りましょうか。人数はこれだけですか?」
「ゴンちゃんも誘いたかったけど、今日は依頼で近くで炭鉱の方に向かうらしいから誘えませんでした」
「炭鉱?なるほど……護衛任務ですね」
「なんだい、あの坊主は来ないのかい。今度はあたしが稽古を付けてやろうと思ったけどね」
「う、馬の運転は私がします……」
全員が馬車に乗り込み、アメリアが運転を行う。馬車の大きさはゴンゾウが訪れる事を想定していたのか大人数でも乗れる大きな馬車であり、外に移動するまで馬車の中でそれぞれが準備を行う。
「アイリィは今回は回復魔法を使うの?」
「あんまり使うと身体がだるくなるので嫌なんですけど、いざという時は使いますよ」
「そう言えばコトミンも付いてきたけど、戦えるの?」
「……問題ない。ホノカから弓矢を借りて来た」
「え?弓を使えるんですかっ!?」
「借りただけ……いざという時は相手を捕食する」
『捕食?』
「はいは~い。何でもありませんよ~」
余計な事を口走る前にアイリィがコトミンの口を塞ぎ、一方でレナは白銀拳と魔法腕輪の準備を行い、この日の為に用意した「魔水晶」を取り出す。
「あっ、今回はちゃんと用意してたんですね。というか魔水晶を装着しないと魔法腕輪なんて只の腕輪ですからね」
「随分と金が掛かったよ……まあ、その分に期待してる」
アイリィから受け取った魔法腕輪は魔石や魔水晶の類を装備しないと効果は発揮せず、レナは鍛冶屋に頼んで魔水晶の製作を行う。流石に全属性の魔水晶を作り出して貰うのはかなり資金を消費したが、これからは魔法腕輪を使用して魔法の強化を行える。腕輪の窪みに魔水晶を装着し、レナは左腕に取り付けようとすると腕輪の中にまだ窪みが残っている事に気付く。
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「それは結界石用の窪みですよ。あの防護壁を生み出す魔法はどの属性にも属しませんからね」
「ああ……ミキさんの魔槍に装着していた奴か」
レナの脳裏にミキがゴンゾウと戦闘を行った時に使用した魔槍が思い浮かび、彼女も戦闘中に結界石を使用して魔法陣を生み出し、彼の攻撃を防いだ事を思い出した。
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