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ゴブリンキング編
アイリィの推論
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「最初の頃は特に問題はなかったのに日にちが経過する内に聖水を生み出せる量が減少した……そして今回のレノさんの魔力を受け取った瞬間に大量の聖水を生み出せるようになった。この事から考えるに原因は巫女姫様の魔力容量が小さいのではなく、魔力を使用した後に回復する時間が問題だと思うんです」
「どういう事?魔力は寝ている間に勝手に回復するんじゃないの?」
レナはこれまでにも何度か魔力の使用によって意識を失った事もあり、意識を取り戻した時には完全に魔力は回復しており、この事から彼は魔術師は眠っている間が魔力が最も回復しやすいと考えていたのだが、アイリィは彼の言葉に頷く。
「確かに普通の魔術師ならどれほど魔力を使用しても睡眠を挟めば十分に魔力を回復します。しかし、巫女姫様の場合は何らかの理由で魔力を睡眠だけでは完全に回復できないのでは?だから薬物耐性があるのに無理やり魔力回復薬を飲んで回復しようとしてたのでは?」
「そ、そうなの!?」
「なるほど……その可能性が高いですね。今まで気付けなかった自分を殴りつけたい気分です……!!」
「そういう事か……凄いな嬢ちゃん。よく分かったな」
「レノさんのお蔭で気付けましたよ。だけど、気になるのはどうして魔力の回復が遅いのかですね。普通は魔力容量が大きい人間程、魔力の回復速度も高いはずなんですど……ちなみに巫女姫様のレベルはお幾つですか?」
「えっ?私?えっとね……10だよ」
「10……平均より少し下ぐらいですか?でも、それでも私が影で魔力タンクさんと呼んでいるレノさんをこれ程までに疲弊させる程の魔力を吸い上げられる人なら魔力容量も相当な物のはずですけど……それならどうして魔力の回復速度が遅いんでしょうか」
「ちょっと待って、今の言葉に聞き捨てならない渾名があったように聞こえたけど」
アイリィはレナの突っ込みを無視して腕を組みながら考え込み、彼女はある考えに思い至り、ヨウカと向き合う。
「失礼ですけどヨウカさんは魔力回復速度上昇のスキル所持していますか?」
「え?」
「それって魔術師が身に着けられるスキルだよね?」
「そうですね。普通の魔術師なら魔法の熟練度を上昇させていると自然と発現する能力です。大抵の魔術師はこのスキルを習得しているんですけど、もしかしたらヨウカさんはまだ身に着けていないんじゃ……」
「ちょ、ちょっと待ってね……あ、ううん。そのスキルはあったよ」
自分のステータス画面を確認したヨウカは空中で指を動かす動作を行い、傍目から見れば彼女は虚空に手を伸ばしているようにしか見えないが、彼女の視界には自分自身のステータスを表示した画面が存在する。
「ふむ……それならますます魔力の回復速度が追い付かないのが気になりますね。もしかして何らかの状態異常を患っているのでは……」
「それは有り得ません。我々も何度かヨウカ様の身体を調べましたが、肉体の方は間違いなく健康でした」
「だとしたら……まさか回復が追い付けない程に魔力容量が大きすぎるとか?」
「え、ええっ!?」
アイリィの言葉に全員の視線がヨウカに向けられ、彼女は皆の反応に戸惑うが、ステータス画面では自分の魔力容量は確認できないため、アイリィの推測を確かめることは出来ない。しかし、彼女の推測以外に何か原因があるとは考えにくく、レナは試しにヨウカに最近の出来事を尋ねる。
「巫女姫様」
「あ、ヨウカでいいよ?その巫女姫様というのはまだ慣れてなくて……様も付けなくていいから」
「ならヨウカさん。最近、変わった事はあった?」
「変わった事……う~んっ……あ、そう言えば」
「何か心当たりがあるのですかっ!?」
「えっとね、気のせいかも知れないけど……時々、私の右手の甲が光る事がある気がするんだ」
「右手が……?」
「うん……なんていうか、十字架みたいな紋様が浮かんだ気がする」
「それは何時の話ですか?」
「……聖光石に魔力を送り込んでいる時」
ヨウカの発言にレナ達はミキに視線を向けると、彼女は心当たりがあるのかヨウカに近づき、右手を調べる。だが、今の所は彼女が告げた「十字架」のような紋様は刻まれていない。
「ヨウカ様、本当に聖光石に魔力を送り込んだとき、聖水を生み出す儀式の最中に十字架が浮かんだのですか?」
「う、うん……多分だけど」
「ミキ団長……それってもしかして聖痕なんじゃないですか?」
「聖痕……?」
テンもヨウカの発言に心当たりがあったのか、彼女は驚いた表情でミキに告げると、レナは初めて聞く単語にミキに質問を行う。
「その聖痕というのはなんですか?」
「いえ……実は我々も良く知らないのです。ですが陽光教会では歴代の巫女姫様の中に聖痕と呼ばれる特殊な能力を身に着けた方が居られたと聞いています。この聖痕とは魔法の力を強化させる能力……強化スキルと呼ばれる類の能力だと教会では言い伝えられていますが、実際に私達は見た事がありません。先代の巫女姫様には存在しませんでしたし……」
「聖痕……その単語、何処かで……?」
「どうしたのアイリィ?何か知っているの?」
「あ、いえ……何でもありません。何か思い出しそうになったんですが……」
聖痕という単語にアイリィは頭を抑え、彼女の反応にレナは疑問を抱いたが、今はヨウカの聖痕に関して詳しく尋ねる事にする。
「どういう事?魔力は寝ている間に勝手に回復するんじゃないの?」
レナはこれまでにも何度か魔力の使用によって意識を失った事もあり、意識を取り戻した時には完全に魔力は回復しており、この事から彼は魔術師は眠っている間が魔力が最も回復しやすいと考えていたのだが、アイリィは彼の言葉に頷く。
「確かに普通の魔術師ならどれほど魔力を使用しても睡眠を挟めば十分に魔力を回復します。しかし、巫女姫様の場合は何らかの理由で魔力を睡眠だけでは完全に回復できないのでは?だから薬物耐性があるのに無理やり魔力回復薬を飲んで回復しようとしてたのでは?」
「そ、そうなの!?」
「なるほど……その可能性が高いですね。今まで気付けなかった自分を殴りつけたい気分です……!!」
「そういう事か……凄いな嬢ちゃん。よく分かったな」
「レノさんのお蔭で気付けましたよ。だけど、気になるのはどうして魔力の回復が遅いのかですね。普通は魔力容量が大きい人間程、魔力の回復速度も高いはずなんですど……ちなみに巫女姫様のレベルはお幾つですか?」
「えっ?私?えっとね……10だよ」
「10……平均より少し下ぐらいですか?でも、それでも私が影で魔力タンクさんと呼んでいるレノさんをこれ程までに疲弊させる程の魔力を吸い上げられる人なら魔力容量も相当な物のはずですけど……それならどうして魔力の回復速度が遅いんでしょうか」
「ちょっと待って、今の言葉に聞き捨てならない渾名があったように聞こえたけど」
アイリィはレナの突っ込みを無視して腕を組みながら考え込み、彼女はある考えに思い至り、ヨウカと向き合う。
「失礼ですけどヨウカさんは魔力回復速度上昇のスキル所持していますか?」
「え?」
「それって魔術師が身に着けられるスキルだよね?」
「そうですね。普通の魔術師なら魔法の熟練度を上昇させていると自然と発現する能力です。大抵の魔術師はこのスキルを習得しているんですけど、もしかしたらヨウカさんはまだ身に着けていないんじゃ……」
「ちょ、ちょっと待ってね……あ、ううん。そのスキルはあったよ」
自分のステータス画面を確認したヨウカは空中で指を動かす動作を行い、傍目から見れば彼女は虚空に手を伸ばしているようにしか見えないが、彼女の視界には自分自身のステータスを表示した画面が存在する。
「ふむ……それならますます魔力の回復速度が追い付かないのが気になりますね。もしかして何らかの状態異常を患っているのでは……」
「それは有り得ません。我々も何度かヨウカ様の身体を調べましたが、肉体の方は間違いなく健康でした」
「だとしたら……まさか回復が追い付けない程に魔力容量が大きすぎるとか?」
「え、ええっ!?」
アイリィの言葉に全員の視線がヨウカに向けられ、彼女は皆の反応に戸惑うが、ステータス画面では自分の魔力容量は確認できないため、アイリィの推測を確かめることは出来ない。しかし、彼女の推測以外に何か原因があるとは考えにくく、レナは試しにヨウカに最近の出来事を尋ねる。
「巫女姫様」
「あ、ヨウカでいいよ?その巫女姫様というのはまだ慣れてなくて……様も付けなくていいから」
「ならヨウカさん。最近、変わった事はあった?」
「変わった事……う~んっ……あ、そう言えば」
「何か心当たりがあるのですかっ!?」
「えっとね、気のせいかも知れないけど……時々、私の右手の甲が光る事がある気がするんだ」
「右手が……?」
「うん……なんていうか、十字架みたいな紋様が浮かんだ気がする」
「それは何時の話ですか?」
「……聖光石に魔力を送り込んでいる時」
ヨウカの発言にレナ達はミキに視線を向けると、彼女は心当たりがあるのかヨウカに近づき、右手を調べる。だが、今の所は彼女が告げた「十字架」のような紋様は刻まれていない。
「ヨウカ様、本当に聖光石に魔力を送り込んだとき、聖水を生み出す儀式の最中に十字架が浮かんだのですか?」
「う、うん……多分だけど」
「ミキ団長……それってもしかして聖痕なんじゃないですか?」
「聖痕……?」
テンもヨウカの発言に心当たりがあったのか、彼女は驚いた表情でミキに告げると、レナは初めて聞く単語にミキに質問を行う。
「その聖痕というのはなんですか?」
「いえ……実は我々も良く知らないのです。ですが陽光教会では歴代の巫女姫様の中に聖痕と呼ばれる特殊な能力を身に着けた方が居られたと聞いています。この聖痕とは魔法の力を強化させる能力……強化スキルと呼ばれる類の能力だと教会では言い伝えられていますが、実際に私達は見た事がありません。先代の巫女姫様には存在しませんでしたし……」
「聖痕……その単語、何処かで……?」
「どうしたのアイリィ?何か知っているの?」
「あ、いえ……何でもありません。何か思い出しそうになったんですが……」
聖痕という単語にアイリィは頭を抑え、彼女の反応にレナは疑問を抱いたが、今はヨウカの聖痕に関して詳しく尋ねる事にする。
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