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ゴブリンキング編
職業の選択
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「いや~長話になってすいませんね。あの人、結構商売に関わる事だと容赦ないみたいで……」
「1時間ぐらい話し込んでたね……それより、これからどうしようか。身分証は手に入れたからこの街に拘る必要はないけど……」
「無理に街を離れる必要が無いなら残ってもいいんじゃないですか?腐っても帝国の都なんですから、警備は最高レベルですよ」
「その割には何度も魔人族の襲撃にあってるけどね」
「……確かに」
レナ達は身分証を片手に今後の事を話し合う。これで帝都を離れる事や働く事も可能だが、他の街の事に関しては情報は持っておらず、それならばこの街で働くという手段もあるが、どのような職業に就くのか考えなければならない。
「働くとしたらレナさんは治療院が向いていると思いますよ。あれだけ回復魔法が扱えるんですから、きっと好待遇で受け入れられますよ?」
「でも、この国は付与魔術師は不遇職扱いでしょ?大丈夫かな……」
「治療院は職業差別は行いませんよ。実力がある人間なら元犯罪者でも受け入れる事で有名ですから」
「……私はどうすればいい?」
「コトミンさんは……能力的にはともかく、ちょっと初対面の人とコミュニケーション能力が不安ですね。それに正体がバレたら面倒ですし、これからはレノさんのペットとして生きていくという事で良いんじゃないですか?」
「それはそれで悪くない」
「止めんかい……ペットは1匹で十分だよ」
「え?ちょっと待ってください、その話の流れだと私がペットに聞こえるんですけど」
雑談を行いながら適当に歩いていると、レナは視界に奇妙な建物を発見する。それは元の世界の高層ビルを想像させる外見の建物であり、窓の数から8階建ての大きな建物であり、立て掛けられている看板には「帝国公認 冒険者ギルド」と刻まれていた。
「あれは何?」
「ああ……冒険者ギルドですよ。今までにも何度か耳にした事はあるんじゃないですか?」
「そういえば……あそこに冒険者と呼ばれている人達が働いているの?」
「そういう事ですね。と言っても、昔と比べると冒険者の数も随分と減ってしまいましたけどね」
「どうして?」
「帝国が一般人の志望を禁止したせいですよ」
アイリィの話にレナは以前にホノカから聞いた話を思い出し、現在の冒険者ギルドは一般人による加入は認めず、冒険者を志望する人間は必ずギルド関係者の紹介が必要となり、現在のギルドは帝国の管理下に入っている。後で聞いた話だが有望な冒険者は帝国側が兵士として引き抜きを行い、今では数百名程度の冒険者しか存在しか居ない。
ホノカが冒険者を行っていた時代は帝都には千人を超える冒険者が溢れて活気に満ちていたようだが、現在は帝国の管理下に置かれた事で優秀な人材はどんどんと引き抜かれ、しかも一般人の加入を禁止した事で冒険者志願する人間も激減し、歴代でも最少人数の冒険者しか存在しない。
「レノさんも冒険者に憧れているんですか?」
「いや……まあ、少しは興味あったかな」
「止めて置いた方が良いですよ。冒険者というのはハイリスクハイリターンの仕事ですからね。全ての職業の中でも収入は高い方ですが、反面に危険も大きい仕事です」
「へえ……ていうか詳しいね」
「えっ……いや、別にこれくらいは常識ですよ」
レナ達は冒険者ギルドの建物を通り過ぎようとした時、唐突に扉が開け開かれ、3メートルを超える巨体の人間が姿を現す。その外見は筋骨隆々であり、鬼と見間違う程の強面、それでいながら服装に関してはみすぼらしく、背中には何故か大きな鍬を掲げていた。レナはすぐに彼が「巨人族」と呼ばれる種族と気付き、この世界に存在する六種族の1つであり、人間を遥かに上回る巨躯の種族だと聞いていた。
外見は成人を迎えていてもおかしくはないが、身長的には成人を迎えた巨人族は4メートルを普通に超えており、建物から現れた彼の身長は3メートル弱なので年齢的にはレナと大差ない青年である。
「とっとと出て行きやがれ!!てめえみたいなデカいだけが取り柄の奴なんて有り余ってるんだよ!!」
「むうっ……すまなかった」
「ちっ!!文無しの癖に試験を受けようなんて図々しい奴だぜ!!」
巨人族の青年の後方には外見は豪勢な鎧を着こんだ男性が存在し、恐らくは冒険者なのだろうが随分と横暴な態度にレナは眉を顰めるが、巨人族の青年は大きな溜息を吐きだして立ち去ろうとする。そんな彼の反応を気にくわなかったのか男性が後ろから巨人族の青年の尻を蹴飛ばす。
「おらっ!!家族を養いたいなら真面目に畑でも耕していろっ!!」
「うおっ……」
「あっ!!」
男性に蹴飛ばされた拍子に巨人族の青年が腰に取り付けていた小袋が地面に落ちてしまい、中身の大量の銅貨が地面に落ちる。慌ててレナは彼の元に近寄り、銅貨を拾い上げるのを手伝う。
「大丈夫ですか?」
「ああ……すまない」
「酷い事をしますね……あんな人が冒険者なんて最悪ですね」
「んっ」
レナ達が地面に落ちた銅貨を拾うのを手伝い、巨人族の青年に手渡す。体格の違いもあるせいか彼の大きな指先では細かな銅貨を摘むのは難しいらしく、青年は素直に銅貨を拾い上げてくれたレナ達に感謝の言葉を告げる。
「1時間ぐらい話し込んでたね……それより、これからどうしようか。身分証は手に入れたからこの街に拘る必要はないけど……」
「無理に街を離れる必要が無いなら残ってもいいんじゃないですか?腐っても帝国の都なんですから、警備は最高レベルですよ」
「その割には何度も魔人族の襲撃にあってるけどね」
「……確かに」
レナ達は身分証を片手に今後の事を話し合う。これで帝都を離れる事や働く事も可能だが、他の街の事に関しては情報は持っておらず、それならばこの街で働くという手段もあるが、どのような職業に就くのか考えなければならない。
「働くとしたらレナさんは治療院が向いていると思いますよ。あれだけ回復魔法が扱えるんですから、きっと好待遇で受け入れられますよ?」
「でも、この国は付与魔術師は不遇職扱いでしょ?大丈夫かな……」
「治療院は職業差別は行いませんよ。実力がある人間なら元犯罪者でも受け入れる事で有名ですから」
「……私はどうすればいい?」
「コトミンさんは……能力的にはともかく、ちょっと初対面の人とコミュニケーション能力が不安ですね。それに正体がバレたら面倒ですし、これからはレノさんのペットとして生きていくという事で良いんじゃないですか?」
「それはそれで悪くない」
「止めんかい……ペットは1匹で十分だよ」
「え?ちょっと待ってください、その話の流れだと私がペットに聞こえるんですけど」
雑談を行いながら適当に歩いていると、レナは視界に奇妙な建物を発見する。それは元の世界の高層ビルを想像させる外見の建物であり、窓の数から8階建ての大きな建物であり、立て掛けられている看板には「帝国公認 冒険者ギルド」と刻まれていた。
「あれは何?」
「ああ……冒険者ギルドですよ。今までにも何度か耳にした事はあるんじゃないですか?」
「そういえば……あそこに冒険者と呼ばれている人達が働いているの?」
「そういう事ですね。と言っても、昔と比べると冒険者の数も随分と減ってしまいましたけどね」
「どうして?」
「帝国が一般人の志望を禁止したせいですよ」
アイリィの話にレナは以前にホノカから聞いた話を思い出し、現在の冒険者ギルドは一般人による加入は認めず、冒険者を志望する人間は必ずギルド関係者の紹介が必要となり、現在のギルドは帝国の管理下に入っている。後で聞いた話だが有望な冒険者は帝国側が兵士として引き抜きを行い、今では数百名程度の冒険者しか存在しか居ない。
ホノカが冒険者を行っていた時代は帝都には千人を超える冒険者が溢れて活気に満ちていたようだが、現在は帝国の管理下に置かれた事で優秀な人材はどんどんと引き抜かれ、しかも一般人の加入を禁止した事で冒険者志願する人間も激減し、歴代でも最少人数の冒険者しか存在しない。
「レノさんも冒険者に憧れているんですか?」
「いや……まあ、少しは興味あったかな」
「止めて置いた方が良いですよ。冒険者というのはハイリスクハイリターンの仕事ですからね。全ての職業の中でも収入は高い方ですが、反面に危険も大きい仕事です」
「へえ……ていうか詳しいね」
「えっ……いや、別にこれくらいは常識ですよ」
レナ達は冒険者ギルドの建物を通り過ぎようとした時、唐突に扉が開け開かれ、3メートルを超える巨体の人間が姿を現す。その外見は筋骨隆々であり、鬼と見間違う程の強面、それでいながら服装に関してはみすぼらしく、背中には何故か大きな鍬を掲げていた。レナはすぐに彼が「巨人族」と呼ばれる種族と気付き、この世界に存在する六種族の1つであり、人間を遥かに上回る巨躯の種族だと聞いていた。
外見は成人を迎えていてもおかしくはないが、身長的には成人を迎えた巨人族は4メートルを普通に超えており、建物から現れた彼の身長は3メートル弱なので年齢的にはレナと大差ない青年である。
「とっとと出て行きやがれ!!てめえみたいなデカいだけが取り柄の奴なんて有り余ってるんだよ!!」
「むうっ……すまなかった」
「ちっ!!文無しの癖に試験を受けようなんて図々しい奴だぜ!!」
巨人族の青年の後方には外見は豪勢な鎧を着こんだ男性が存在し、恐らくは冒険者なのだろうが随分と横暴な態度にレナは眉を顰めるが、巨人族の青年は大きな溜息を吐きだして立ち去ろうとする。そんな彼の反応を気にくわなかったのか男性が後ろから巨人族の青年の尻を蹴飛ばす。
「おらっ!!家族を養いたいなら真面目に畑でも耕していろっ!!」
「うおっ……」
「あっ!!」
男性に蹴飛ばされた拍子に巨人族の青年が腰に取り付けていた小袋が地面に落ちてしまい、中身の大量の銅貨が地面に落ちる。慌ててレナは彼の元に近寄り、銅貨を拾い上げるのを手伝う。
「大丈夫ですか?」
「ああ……すまない」
「酷い事をしますね……あんな人が冒険者なんて最悪ですね」
「んっ」
レナ達が地面に落ちた銅貨を拾うのを手伝い、巨人族の青年に手渡す。体格の違いもあるせいか彼の大きな指先では細かな銅貨を摘むのは難しいらしく、青年は素直に銅貨を拾い上げてくれたレナ達に感謝の言葉を告げる。
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