最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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崩壊地球編

星を滅ぼす生物

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「……そろそろ時間ですね、では研究施設を爆発させましょう」
「ねえ、本当に島内のクオを全部捕まえたのかな……一匹でも逃すと壊裂が止まらないんでしょ?」
「大丈夫ですよ、島内は隈なく探しましたし、それにこちらの世界の最新鋭のレーダーも利用しましたから」
「映画だと、全部が終わった後に1匹だけ生き残ったクオがエンドロールの後に現れるパターンだよね」
「不吉なことを言わないでくださいよ!!」


リーリスは研究施設の爆破装置と連動するスイッチを取り出し、これを押せば研究施設が爆発を引き起こし、隔離されているクオも焼却される。事前に何度も調査を行い、この星に存在するクオの捕獲は完了しているはずだった。だが、不安は完全には覆い隠せない。

研究施設の爆破予定時間は次の壊裂が発生する直前だと取り決め、既に全員が準備を整えていた。爆破するのはリーリスが行い、彼女は最後の確認を行う。


「それでは皆さん、準備はいいですか?」
「うん、いいよ」
「……どきどきしてきた」
「頑張ろう……それだけしか言えないや」
「筋肉、筋肉!!」
「ちょっと、この馬鹿を止めなさいよ!!戦う前になんで筋トレしてんのよこいつ!?」


若干何名か準備が整ったとは言えない状態ではあったが、もう時間に余裕がないため、リーリスはスイッチを作動させる。これで数十秒後には研究施設が跡形もなく爆破し、壊裂に何らかの現象が起きるはずだった。

もしもクオの存在が壊裂の原因だとした場合、クオが全て滅びれば壊裂は消え去り、地球に魔物が送り込まれる事態はなくなるはずである。だが、未来の地球から持ち帰った新聞が白紙になった以上、クオを倒した後に地球が崩壊するような事態が待ち構えているのは間違いない。


「……そろそろ時間ですね」
「あっ……空を見て!!罅割れが!?」
「……小さくなっていく?」
『おおっ!!』


研究施設の爆破の時間が訪れた瞬間、東京の上空に広がっていた壊裂が縮小化を始め、徐々に罅割れが元通りに戻っていく。その光景を見て多くの人間が歓声を上げるが、ルノとナオは嫌な予感が収まらない。


「何だろう、この感覚……まるで初めて魔物と出会ったときと同じ嫌な気分だ」
「僕もだよ……何かが、現れる?」
「戦闘準備!!決して油断しないでください!!」


二人の言葉を聞いてリーリスは皆に戦闘の準備を行わせ、ここは英雄と勇者の勘を信じて戦闘体勢に入らせる。その直後に縮小化を始めていた壊裂に異変が発生し、あと少しで完全に消え去る寸前、亀裂から巨大な生物の一部が出現した。



――オオオオオオオッ……!!



大地の底まで響くかのような生物の唸り声が響き渡り、まるで亀裂の内側から巨大な何かが出現しようとしているかのように途轍もない大きさの足が出現した。その大きさは足だけでも100メートルは軽く超え、罅割れを無理やりに広げて徐々に姿を現していく。

足の形は像や亀と似ており、最初は巨大な地竜でも現れたのかとルノは思ったが、すぐにそれが間違いだと思い知る。足の次に現れたのは亀のような顔をした顔であり、それを見てルノは魔王を討伐した後に偶然にも海で見かけた巨大生物の事を思い出す。


「こいつは……!?」
「星を滅ぼす生物……まさか、実在したなんて!?」
「リーリスさん、知ってるの!?」
「私達の世界では伝説上の生物ですよ!!竜種をも圧倒し、大陸の形を大きく変化させたと言われる伝説の魔獣です!!まさか、本当にそんなのがいたなんて……!!」
『こ、攻撃開始!!あの巨大生物を東京へ降りさせるな!!』


ルノ達の合図も待たずに東京に配置していた自衛隊が動き出し、高層ビルからはミサイルや光学兵器が放たれ、戦闘機も攻撃を開始する。既に巨大生物は身体の半分近くが露出しており、この状態でも大きさは1キロに迫る。仮に巨大生物が完全に出現した場合、地上に存在するルノ達も押し潰されるだろう。

どうにか巨大生物が出現する前に仕留めようと自衛隊は攻撃を開始するが、ミサイルによる爆破も光線も銃弾も巨大生物はものともせずに姿を現す。あまりにも質量の差が存在し、このままでは東京の街が押しつぶされてしまう。


「おい、どうすんだ!?こんなでかいのを相手に戦う方法なんてないぞ!!」
「儂等ではどうにもできんのか……!!」
「落ち着いてください!!皆さんは魔導大砲で牽制してください!!何もしないよりはマシです!!」
「ちょ、ちょっと!!こんなの、白竜よりやばいんじゃないの!?」
「白銀龍辺りをテイムして連れてくるべきでしたね……!!」


リーリス達も遅れて自衛隊の攻撃へ加勢しようとするが、魔導大砲もドリアの砲撃魔法を撃ち込んでも巨大生物の出現は食い止められず、最後の希望はルノとナオだけだった。
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