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崩壊地球編

役割分担

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「……こうなったら仕方ありませんね。これからは役割分担で行動をしましょう」
「どうするのだ?」
「まず、今後の壊裂から発生する魔物の処理、及び第五階層の魔物の討伐の役目はルノさんに任せます。勿論、私達も手が空いた時は協力しますけど、基本的にはルノさん1人にお願いします」
「分かった。別に今までと変わりはないという事だよね?」
「すいません、この役目はルノさんにしか任せられないので……」


壊裂から登場する魔物や第五階層の強力な魔物の対処が出来るのはルノだけであり、他の人間は協力するとしてもあくまでもサポート程度しか出来ない。だが、クオの捜索に関しては他の人間が請け負うという。


「クオの捜索と討伐に関してはナオさんを中心に行います。勿論、私も同行しますし、島に残した研究施設も調べる必要がありますからね。帝国四天王の方々やデブリ王子やリディアさんにも協力して貰います」
「……それがいい」
「まさか別の世界へ訪れる日が来るとは……長生きしてみるもんじゃのう」
「へっ、世界を滅亡させる原因を作り出した化物か。楽しみだな」
「全力は尽くします」
「望むところだ!!前回は油断したが、今回は必ず勝つぞ!!」
「なんでさらっと私も交じってるのよ!?」


戦力的にクオに対抗出来る面子といえば帝国四天王とデブリ王子ぐらいだが、リディアはどうして自分も巻き込まれるのかと驚く。だが、リーリスによると彼女の魔物使いとしての能力に期待しているという。


「クオは様々な動物のDNAをも持つといっても、根幹は魔物のはずです。だからリディアさんの能力で操れるかもしれません」
「ああ、そういう事ね。つまり、私にそいつらを操らせて何か怪しい実験でもする気?」
「どきっ……まあ、それもありますけどクオを操作する事が出来るのならばこの世界へ連れ戻したいんですよ。人間の勝手な研究で作り出されたのに絶滅させるのも可哀想でしょう?」


クオが作り出されたのはあくまでも科学者の研究意欲を満たすためという勝手な理由からであり、もしも保護して連れ帰る事が出来るのならば連れて帰るべきだろう。しかし、あくまでも目的はクオを地球から隔離させるためであり、もしもリディアでも操れない場合は絶滅させなければならない。

リーリスの作戦は理にかなっているため誰も反対はせず、すぐに全員が行動を開始する。当面の間はルノは次の壊裂が発現するまでは第五階層の魔物の討伐に集中し、他の者達はクオの討伐、あるいは隔離に全力を注ぐ――





――それから月日は経過し、第五階層ではルノは遂に世界最強と呼ばれる竜種と相対した。白銀龍の幼体ではあるが、成体と比べても気性は獰猛で自分の縄張りを犯す相手は決して許さず、光線の如き破壊力を誇る吐息を放つ「白竜」と対峙していた。


「ガァアアアアッ!!」
「負けるかぁっ!!」


飛翔術を利用してルノは白竜と空中戦を繰り広げ、白竜の口から放たれる光線を回避しながら接近し、至近距離から魔法を放つ。


「螺旋氷弾!!」
「ガハァッ!?」


白竜の腹部に螺旋状の氷弾が放たれ、そのまま頑丈な鱗を剥ぎ取って内部にまで到達する。だが、白竜の方も尻尾を振り払い、ルノを吹き飛ばす。


「ガアアッ!!」
「うわっ!?このっ……だああっ!!」
「ウガァッ!?」


しかし、自分に向けて振り払われた尻尾をルノは掴むと、空中で白竜の巨体を振り回し、地上へと叩きつける。強烈な衝撃を受けた白竜は苦悶の表情を浮かべるが、即座に目つきを鋭くさせて口内から光線を放つ。


「アガァアアアッ!!」
「黒炎槍!!」


光線に対してルノも負けずに右腕から黒炎で形成した巨大な炎の槍を放ち、光線を正面から食い止めた。結果として魔力が込められた光線と黒炎が衝突した事で反発作用が発生し、光の衝撃波が発生して白竜とルノは吹き飛ばされる。


「ッ……!?」
「うわぁっ!?」


吹き飛ばされた白竜は近くの岩山に衝突し、ルノの方は空中へと弾かれてしまう。岩山に激突した白竜はそのまま崩壊した岩山の残骸に飲み込まれるが、ルノの場合は天井付近でどうにか体勢を持ち直し、岩山の残骸に飲み込まれた白竜に止めの一撃を放つ。


「まだまだぁあああっ!!」


千を超える氷の塊を生み出したルノは、全てを螺旋氷弾へと変形させ、白竜を飲み込んだ残骸の元へ降り注ぐ。残骸の中から白竜の悲鳴が響き渡り、更にルノは右手に「白雷」左手に「黒炎槍」を生み出して解き放つ。


「これで、最後だぁああああっ!!」


次の瞬間、残骸に白色の雷撃と黒炎の槍が衝突した瞬間、複数の属性の魔力同士が反発を引き起こし、強大なエネルギーが爆発して岩山を跡形もなく吹き飛ばす。その威力は第五階層の全体に地震の如く強烈な振動が走り、白竜を跡形もなく消滅させた。





※白竜「こんな化物に勝てるかぁっ(´;ω;`)」
カタナヅキ「つ、強すぎる……(;´・ω・)」
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