最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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崩壊地球編

地球人との協力

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「――という事がありまして、色々あって地球の方々は今後は私達に協力する事を約束してくれました」
「……色々と言いたい事はあるが、まあ良かろう」
「ともかく、その地球人とやらはもう邪魔しないってわけだろ?」


2度目の魔物の襲撃を食い止めた後、ルノ達は帝都へ帰還して報告を行う。リーリスの奇策によって拉致した総理大臣と話し合いを行い、とりあえずは自分達の正体は宇宙人である事、そして壊裂に関してこのまま放置すれば地球が滅びる事を伝える。

宇宙人と名乗って総理大臣を説得するなど突拍子もない作戦のように思えたが、自分達が異世界人で地球を守るためにタイムマシンの機能を搭載した転移装置でやってきたなどと説明する方が信じて貰えず、結局は魔法の力を直に見せる事で総理大臣に自分達が地球人を超越した存在だと信じ込ませた。

最初の内は話を聞かなかった総理大臣だったが、ルノが初級魔法を見せつけ、ナオが空間魔法で瞬く間に国会議事堂から北海道まで移動を行った事で彼も信じざるを得ず、今後はルノ達が現れた時は魔物の討伐の邪魔を行いことを約束する。それどころかこれからは共に地球を救うために自衛隊や東京特殊部隊という新設された部隊も強力させる事を誓う。


「これからはルノさんとナオさんだけではなく、私達も出番があるかもしれません。転移装置で移動出来る人間は限られていますが、もしかしたら皆さんの力を借りる事態に陥るかもしれないので覚悟してください」
「それよりも聞きたいことがあるんだけど、本当にその壊裂とやらから古代の魔物が現れるの?その辺の原因はつかめたの?」
「今の所はまだ……ですが、壊裂が発生した原因は間違いなく地球にこちら側の生物が訪れた事が原因でしょう。現に壊裂から魔物が出現する度に規模が拡大化しています」
「ん?という事は壊裂が発生したのはこちらの世界の魔物が入り込んだという事ならば……壊裂が完全に消滅しない理由は地球にはまだ生き残った魔物がいるからではないのか!?」
「そう考えるのが妥当ですね。私たちが壊裂から発生する魔物を討伐する前の時代に誰かがこちらの世界の魔物を連れ込み、壊裂を発生させたんでしょう」


リーリスの言葉に全員が驚愕の表情を浮かべ、壊裂が完全に消えない理由が未だに地球の何処かに討伐されていない魔物が原因の場合、その魔物を倒さない限りは壊裂は閉じる事はないのではないかと不安を抱く。だが、その魔物を地球へ連れて帰った存在に関してはリーリスは心当たりがあるという。


「実は研究施設の資料を調べたところ、転移装置を作り出した科学者はこちらの世界へ地球の動物のサンプルを送り込んで研究していた事は発覚しました。彼は地球では禁止されている技術を利用して全く新しい生物を作り出そうとしたんです」
「地球で禁止されている技術?」
「この科学者、研究意欲の塊のような人だったんですね。地球では禁止された研究法をこちらの世界で実行し、自分の力で未知の生物を生み出そうとしていたようです」
「お前みたいな奴だったんだな……あいてっ!?」
「まあ、私も人の事は言えませんけどやっぱり他人に言われるとイラっとしますね」


茶々を入れてきたダンテに対してリーリスは手元の資料を丸めて頭に叩きつけると、本題に戻る。研究施設と転移装置を作り出した科学者は実験を繰り返し、地球の生物の細胞から全く新しい生物を生み出そうとしたが、その研究は難航したという。


「科学者は地球の生物の遺伝子を組み合わせるだけでは駄目だと考え、この世界の魔物も利用して全く新しい生物を生み出そうとしました。通常ならば誕生するはずがない全く新しい生命体を作り出すという研究は非常に難しく、科学者は幾度も失敗しました」
「リーリス、つまり何が言いたいの?その科学者の人が壊裂と何か関係あるの?」
「……結論から言うと、科学者は生涯を終える前にこの研究を完成させました。そして彼は自分が作り出した生物に殺されてしまいます」
「えっ!?」
「私たちが最初に研究施設に入った時に襲ってきた魔物の事を覚えてますか?あの気味の悪い生物です」


ルノとナオとコトネとデブリは研究施設にて遭遇した「異形の生物」の存在を思い出し、様々な動物の特徴を持っていたあの生物が科学者が作り出した「新しい生命体」だと発覚した。


「あの生物の名前は「クオ」です。異常なまでの知性を持ち、それでいながら動物と魔物の能力を併せ持つ生命体だそうです」
「クオ……」
「……確かにあの生物は不気味だった」
「しかし、もう師匠によって倒されたから安心だな!!」
「いえ、それが違うんです。どうやらクオは1体ではなく、複数の個体が存在するそうです」
『えっ!?』


リーリスの発言にルノ達は驚き、研究施設の内部は調べ尽くしたが他にクオと呼ばれる生物は発見されなかったのであの1体だけしか存在しないと思われていたが、彼女の話によると他のクオは既に別の場所へ移動されているという。
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