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崩壊地球編

ルノとナオの共闘

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「よし、地上が見えてきた!!ナオ君、準備はいい?」
「う、うん……一番高いビルの上に止めてくれる?」


氷飛行機が地上へ接近すると、壊裂を見通せる位置に存在し、尚且つ一番高いビルの上に到着すると、ナオはビルの上に降り立つ。ルノは氷飛行機を解除すると飛翔術を利用して空を飛び、準備を行う。

前回の火竜の出現から反省したのか、壊裂の付近には人の姿は存在せず、完全に隔離されていた。また、ヘリコプターの類も見当たらず、代わりに大量のドローンが浮かんで壊裂のようすを探っていた。ドローンのカメラ映像から上空から突如として現れたルノ達の存在にも気づいたらしく、彼等の周囲にドローンが接近する。


「うわ、凄い数のドローンだね。あれ?でも、このドローンにはプロベラがないけど、どうやって浮かんでるんだろう?」
「あれ、本当だ……今の時代の科学だとプロペラ無しで飛べるようになったのかな?」


ルノ達を監視するように浮かぶドローンにはプロペラ機の類は存在せず、中には指先サイズの大きさのドローンも浮かんでいた。恐らくは自衛隊の専用ドローンだと思われるが、戦闘の邪魔になるかもしれないのでルノは聞こえるかどうかは分からないがドローンに向けて警告を行う。


「すいません、この映像を見ている人に聞こえているのかは分かりませんけど、これから上空の亀裂から化物が出てきます!!俺たちはその化物を倒すためにやってきました!!だから邪魔になるのでドローンは下げてください!!」
「戦闘になればドローンを巻き添えにするかもしれないんです!!どうかお願いします!!」


ドローンに向けてルノ達は警告を行うと、言葉が通じたのかは不明だが、ルノ達を監視するドローンが次々と距離を取る。やがて時刻は壊裂から魔物が出現する時間帯を迎えると、東京の上空に存在する亀裂の規模が再び広がり、黒色の罅割れから大量の生物が出現した。



『グギィイイイッ!!』



ルノ達が知っているゴブリンと酷似した生物が亀裂から出現し、そのまま地上へ向けて落下していく。壊裂から出現したゴブリンは額に一角兎のような角が生えており、しかも普通のゴブリンよりも体格が一回りは大きい。それを見たルノは飛翔術を利用して移動を行い、ナオに合図を行う。


「ナオ君!!今だよ!!」
「分かった!!」


ナオは上空へ向けて掌を翳すと、30メートルの大きさは誇る黒渦を生み出す。この黒渦と繋がっているのは事前に千里眼の能力で宇宙空間に設置しておいた黒渦と繋げる事により、まるでブラックホールのように黒渦が周囲の空気ごと地上へ落下するゴブリンを飲み込んでいく。


「このっ!!」
『ギィアアアアッ!?』


宇宙空間と繋がっている黒渦にゴブリン達は次々と吸収され、当然ながらに魔物とはいえ生物であるゴブリン達は宇宙空間で生き残る術はなく、次々と死亡していく。だが、壊裂の規模を考えると全てのゴブリンを一度に吸収する事は出来ず、取りこぼしたゴブリンに関してはルノが対処を行う。


「黒炎!!」
『アアアアアッ……!?』


地上へ降り立つ前に空中にてルノは両手から広範囲に黒色の火炎を放ち、次々とゴブリンを焼き尽くす。焼死体と化した大量のゴブリンの死骸が地上へと落下していくが、事前に人払いされていた事が功を奏し、地上の人間に被害を与えることはない。

戦闘を開始してから数分が経過する頃には地上には大量の焼死体と化したゴブリンの死骸が散乱し、同時に宇宙空間には数百匹のゴブリンが彷徨う事になる。そして最後の1体が落ちてきたとき、ナオは空間魔法を解除させ、ルノはゴブリンの捕獲を行う。


「よし、捕まえた!!」
「ギギィッ!?ギィイイイッ!!」
「こら、暴れるなっ!!」
「ギャウッ!?」


ゴブリンを捕獲したルノは頭に拳骨を食らわせて気絶させるとナオの元へ戻り、急いで帰還の準備を行う。他の人間が集まる前に避難する必要があるため、ルノ達は場所の移動を行う。


「よし、これで今日も乗り切ったはず……元に戻ろう!!」
「うん、それじゃあ適当な場所に……うわっ!?」


その場を移動しようとしたルノ達の元に大量のドローンが接近し、周囲を取り囲む。ドローンには銃器の類が装備され、更に通信機能も搭載されているドローンも存在するのか、ルノ達に向けて野太い男性の声が響く。


『待ちたまえっ!!我々は東京特殊武装隊だ!!その場を動くなっ!!』
「東京特殊武装隊?」
「自衛隊じゃないんですか?」
『君たちは完全に包囲されている!!そこにすぐに人を送る、抵抗しなければ我々も危害を加えない!!』


特殊部隊を名乗る男性の声にルノとナオは顔を合わせ、自衛隊とは異なる部隊が結成されたのかは分からないが、生憎と彼等の言う事を聞く余裕はない。用事を終えた以上は即刻に立去るようにリーリスから言付かっているため、ルノとナオは転移装置の腕輪を握り締めて頷く。
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