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崩壊地球編
第五階層への移動方法
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「そっか……空間魔法って、異空間に物体を収納する魔法だったんだよね。盲点だったよ」
「ええっ……ナオ君、意外と天然だよね」
「何を話してるんですか?」
他の皆の説明が終わったのかリーリスがルノとナオの元に赴くと、丁度良かったのでルノは空間魔法では外部から大迷宮内に入る事や、他の階層へ移動する事は出来ない事を伝える。
「リーリス、ちょっと問題が起きたんだ。空間魔法の事に関してなんだけど……」
「ああ、千里眼の能力が通じないから空間移動が出来ないという話ですか?」
「え?知ってたの!?」
「事前に大迷宮の資料を読んだ時に気付いてはいましたよ。ですけど、とある裏技を使えばこの方法を解決出来ますよ」
二人の話を聞いたリーリスは既に空間魔法の対策を用意していたらしく、彼女はナオにこの場で空間魔法を発動させるように伝える。
「ナオさん、この場所に空間魔法で黒渦を作り出して貰いますか?」
「え?こんな感じ?」
「そうそう、それでこの黒渦をずっと維持とか出来ますか?」
「うん、出来るけど……」
「なら、このままナオさんを第五階層まで移動させて、新しい黒渦を生み出せばこの場所の黒渦と繋がって外にいる人間も第五階層へ招き寄せる事は出来ますよね」
『あ、なるほど!!』
リーリスの話を聞いて二人は納得した声をあげ、要は千里眼を使わずとも事前に黒渦を外部の世界へ設置し、その後に目的地までナオを移動させてから空間魔法を発動させれば問題なく外部と大迷宮内を行き来する事が出来た。だが、この方法の場合はナオは目的地に辿り着くまでの間は千里眼を使用しても空間魔法で別の場所へ移動する事は出来なくなるため、移動の際は時間が掛かってしまう。
「でもさ、リーリス。この方法だと第五階層までナオ君が移動するまで時間が掛かるんじゃないの?第四階層の迷宮から第五階層へ繋がる場所まで移動するだけでも相当な時間が掛かるよね。それにあの迷宮は一定の間隔で迷宮の構造が変化するから地図も作れないんでしょ?」
「その点は大丈夫です、実は第五階層の研究施設へ直接繋がる転移魔法陣がこの塔に存在するんです。ナオさんの千里眼の能力で探しましょう」
「え?でも、この塔の内部は空洞じゃないよ?」
「塔の中ではなく、頂上部を確認してください。その場所に転移魔法陣が刻まれた台座が存在するはずですから」
ナオはリーリスが言われるままに塔の頂上部を確認するために千里眼を発動させた。塔の頂上はかなりの高度が存在し、常に頂上付近は雲が覆っていて見えない程である。だが、千里眼の能力を駆使すれば雲の中だろうと問題なく見渡せるため、ナオは頂上付近を確認して驚愕の声をあげた。
(なんだこれ……大きな魔法陣!?)
塔の頂上部は複雑な紋様の巨大な魔法陣が刻まれ、その中央部には確かにリーリスの言う通りに台座が存在した。だが、外部からの侵入を拒むように塔の頂上部は硝子のような水晶がドーム状に取り囲み、中に入れる入口は見当たらない。
「ナオ君?頂上は見えた?」
「えっと……見えたけど、ちょっと外から入るのは難しいと思う。なんか硝子のドームみたいなので取り囲まれているから、中に入るとしたら空間魔法を使うしかないと思う」
「なら、問題ないですね。そこは正確に言えば研究施設に移動するための場所ではなく、研究施設の方から移動するために作り出された場所なんです」
「どういう事?」
「つまり、そこは入口ではなく出口なんですよ。研究者が研究施設から塔の屋上へ移動するために作り出した台座なんです」
リーリスの説明によると塔の頂上部に築かれた台座は研究施設へ向かうために設計されたのではなく、逆に研究施設から塔へ移動するために築かれた装置だという。研究者は何らかの目的があって塔の頂上部に行き来する装置を作ったらしく、外敵からの侵入を防ぐために塔の頂上部を「防護膜」と呼ばれる特別な硝子で覆いこんだという。
研究者が塔の頂上部へ移動する装置を作り出した理由は判明しておらず、現存されている資料にも理由は記されていなかったという。だが、重要なのは研究施設へ繋がる台座が存在するという点であり、早速ナオの千里眼の能力を活用して塔の頂上部へ空間魔法で移動を行う――
――千里眼を使用すれば特殊な防護膜で覆われた塔の頂上部であろうと侵入する事は容易く、移動を終えたルノ達は硝子越しに見える外の風景に驚かされる。いったいどれほどの高度が存在するのか分からず、雲を見下ろせるほどの高さが存在した。どれほどの建築技術があればこんなに高い建物が作り出せるのかと驚かされるが、今回の目的は台座を使用して研究施設へ向かう事であり、この場所の調査は後回しにした。
「……うん、こちらの方は問題なく発動できるようですね。行先は研究施設へ限定されていますが、起動する分には問題なさそうです」
「本当かよ……よく、そんな得体の知れない台座の起動法が分かるな」
「こ、これに乗れば大迷宮の内部へ入れるのか?とても信じられんな……」
「転移魔法陣か……見たのは初めてだね」
台座の周囲に大勢の人々が集まり、リーリスは特に問題がない事を確認すると、早速彼女は第五階層へ向かう面子を振り返る。
「ええっ……ナオ君、意外と天然だよね」
「何を話してるんですか?」
他の皆の説明が終わったのかリーリスがルノとナオの元に赴くと、丁度良かったのでルノは空間魔法では外部から大迷宮内に入る事や、他の階層へ移動する事は出来ない事を伝える。
「リーリス、ちょっと問題が起きたんだ。空間魔法の事に関してなんだけど……」
「ああ、千里眼の能力が通じないから空間移動が出来ないという話ですか?」
「え?知ってたの!?」
「事前に大迷宮の資料を読んだ時に気付いてはいましたよ。ですけど、とある裏技を使えばこの方法を解決出来ますよ」
二人の話を聞いたリーリスは既に空間魔法の対策を用意していたらしく、彼女はナオにこの場で空間魔法を発動させるように伝える。
「ナオさん、この場所に空間魔法で黒渦を作り出して貰いますか?」
「え?こんな感じ?」
「そうそう、それでこの黒渦をずっと維持とか出来ますか?」
「うん、出来るけど……」
「なら、このままナオさんを第五階層まで移動させて、新しい黒渦を生み出せばこの場所の黒渦と繋がって外にいる人間も第五階層へ招き寄せる事は出来ますよね」
『あ、なるほど!!』
リーリスの話を聞いて二人は納得した声をあげ、要は千里眼を使わずとも事前に黒渦を外部の世界へ設置し、その後に目的地までナオを移動させてから空間魔法を発動させれば問題なく外部と大迷宮内を行き来する事が出来た。だが、この方法の場合はナオは目的地に辿り着くまでの間は千里眼を使用しても空間魔法で別の場所へ移動する事は出来なくなるため、移動の際は時間が掛かってしまう。
「でもさ、リーリス。この方法だと第五階層までナオ君が移動するまで時間が掛かるんじゃないの?第四階層の迷宮から第五階層へ繋がる場所まで移動するだけでも相当な時間が掛かるよね。それにあの迷宮は一定の間隔で迷宮の構造が変化するから地図も作れないんでしょ?」
「その点は大丈夫です、実は第五階層の研究施設へ直接繋がる転移魔法陣がこの塔に存在するんです。ナオさんの千里眼の能力で探しましょう」
「え?でも、この塔の内部は空洞じゃないよ?」
「塔の中ではなく、頂上部を確認してください。その場所に転移魔法陣が刻まれた台座が存在するはずですから」
ナオはリーリスが言われるままに塔の頂上部を確認するために千里眼を発動させた。塔の頂上はかなりの高度が存在し、常に頂上付近は雲が覆っていて見えない程である。だが、千里眼の能力を駆使すれば雲の中だろうと問題なく見渡せるため、ナオは頂上付近を確認して驚愕の声をあげた。
(なんだこれ……大きな魔法陣!?)
塔の頂上部は複雑な紋様の巨大な魔法陣が刻まれ、その中央部には確かにリーリスの言う通りに台座が存在した。だが、外部からの侵入を拒むように塔の頂上部は硝子のような水晶がドーム状に取り囲み、中に入れる入口は見当たらない。
「ナオ君?頂上は見えた?」
「えっと……見えたけど、ちょっと外から入るのは難しいと思う。なんか硝子のドームみたいなので取り囲まれているから、中に入るとしたら空間魔法を使うしかないと思う」
「なら、問題ないですね。そこは正確に言えば研究施設に移動するための場所ではなく、研究施設の方から移動するために作り出された場所なんです」
「どういう事?」
「つまり、そこは入口ではなく出口なんですよ。研究者が研究施設から塔の屋上へ移動するために作り出した台座なんです」
リーリスの説明によると塔の頂上部に築かれた台座は研究施設へ向かうために設計されたのではなく、逆に研究施設から塔へ移動するために築かれた装置だという。研究者は何らかの目的があって塔の頂上部に行き来する装置を作ったらしく、外敵からの侵入を防ぐために塔の頂上部を「防護膜」と呼ばれる特別な硝子で覆いこんだという。
研究者が塔の頂上部へ移動する装置を作り出した理由は判明しておらず、現存されている資料にも理由は記されていなかったという。だが、重要なのは研究施設へ繋がる台座が存在するという点であり、早速ナオの千里眼の能力を活用して塔の頂上部へ空間魔法で移動を行う――
――千里眼を使用すれば特殊な防護膜で覆われた塔の頂上部であろうと侵入する事は容易く、移動を終えたルノ達は硝子越しに見える外の風景に驚かされる。いったいどれほどの高度が存在するのか分からず、雲を見下ろせるほどの高さが存在した。どれほどの建築技術があればこんなに高い建物が作り出せるのかと驚かされるが、今回の目的は台座を使用して研究施設へ向かう事であり、この場所の調査は後回しにした。
「……うん、こちらの方は問題なく発動できるようですね。行先は研究施設へ限定されていますが、起動する分には問題なさそうです」
「本当かよ……よく、そんな得体の知れない台座の起動法が分かるな」
「こ、これに乗れば大迷宮の内部へ入れるのか?とても信じられんな……」
「転移魔法陣か……見たのは初めてだね」
台座の周囲に大勢の人々が集まり、リーリスは特に問題がない事を確認すると、早速彼女は第五階層へ向かう面子を振り返る。
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