624 / 657
番外編
筋肉王子の誕生の秘密
しおりを挟む
※時系列はナオがエルフ王国へ召喚されたばかりの頃です。
――エルフ王国の第三王子であるデブリは思い悩んでいた。彼は亡き母に立派な国王へなるという約束をしていたが、今現在の自分は国王には相応しくない事は理解していた。これまでの傍若無人な態度のせいで人望もなく、唯一の自分の味方だと思い込んでいたリディアも魔王軍の幹部である事が発覚し、彼は思い悩む。
「一体僕はどうすればいいんだ……立派な国王になるために必要な事、か」
デブリは自室に引きこもり、そもそも国王とはどんな存在であるべきなのか考える。ここまで真剣に悩んだ事は今までに一度もなく、デブリは何日も閉じこもって考え抜いた。
「デブリ王子、大丈夫ですか?以前よりも大分痩せたように見えますが……」
「痩せた……?この僕が?」
「はい、明らかに痩せています。確かに食べ過ぎは良くないですが、だからと言って何も食べないのは問題かと……」
側近のハヅキの言葉にデブリは鏡で自分の姿を見て見ると、確かに自分でも肥え太ったオークにしか見えない体型だったが、何日も断食した影響か心なしか体つきが細くなっているように感じられた。それを見てデブリはある事を悟る。
「そうだな、考えても何も思いつかないのなら一先ずは痩せてみるか……ハヅキ、僕に鍛錬を指導してくれ」
「お、王子が鍛錬!?あ、すいません……ですが、本気ですか?」
「ああ、僕自身も強くならないと駄目だと思う。あいつの、いや、あの人ように……」
痩せる決心を抱いたデブリはついでに身体を鍛える事も兼ねてハヅキに指導を求め、ダイエットがてらに身体を鍛え始める。しかし、それが全ての切っ掛けだった――
――最初の頃は唐突に鍛錬を初めたデブリ王子を見ても誰もが長続きするはずがないと思い込んでいた。しかし、一か月が過ぎるころにはデブリも大分痩せ、筋肉も身に着けていく。この頃からデブリはナオと交流するようになり、彼から地球に伝わる様々なトレーニングを実地する。
「デブリ王子、加圧トレーニングというのを知ってます?」
「加圧トレーニング?いや、聞いた事はないな。それは地球の兵士の鍛錬法なのか?」
「まあ、似たような感じです。腕や足の付け根の部分に専用のベルトを巻きつける事で……(説明中)」
「ほう、それは少し面白そうだな!!よし、やってみるか!!」
ナオの助言の元、デブリは地球の鍛錬法も行う様になり、色々と助言を行ってくれるナオと信頼関係を築く。やがて本気で身体を鍛えようとするデブリの姿を見て周囲の評価も少し変わっていく。
「何だデブリの奴は……今更鍛錬に取り組み始めるなど、どんな信教の変化だ」
「でもお兄様、デブリも少し格好よくなったと思いませんか?」
「や、ヤミン?」
デブリの兄であるイヤンとヤミンにも最近のデブリの行動が耳に入るようになり、イヤンの方はデブリの行動を訝しむが、ヤミンの方はデブリの行動を素直に感心する。そして国王の元にもデブリの噂が届く。
「ほう、デブリの奴が真面目に鍛錬か……どうやらバルトロス王国に居た間に何かあったようだな」
「ええ、ナオ様も他の兵士の方々もデブリ王子と付き合って鍛錬に励んでいます」
「なるほど、それは良い傾向ではないか。あの子もやっと王子としての自覚が付いてきたようだな」
「そうですね。ですが、最近では鍛錬の方も過激となり、今現在では錘を身に着けた状態で日常生活を送っているとか……」
「ん?錘……?」
鍛錬を開始してから三か月が過ぎるころにはデブリの身体も大幅に筋肉が身に付き、同時に鍛錬に励む時間が日に日に増え続け、最早睡眠や食事の時間帯以外は鍛錬に励んでいた。
「9997、9998、9999……!!」
「デブリ王子、今日の分のぷろていーんが出来上がりました」
「おお、やっとか!!では少し休憩するか……うん、やはりナオの作ったぷろていーんは格別だな!!」
王子というよりは力士のような体型になったデブリはナオのぷろていーんを毎日摂取し、ますます力を身に着けていく。この頃から上半身は常に脱ぐようになり、錘の量も増やしていく。
「ナオ、僕はやっと気づいた!!国王になるためには僕自身が皆を守れる力を持つ必要があると……僕もあの人のように強くなり、一人で竜種を屠れるぐらいの力を身に着けるぞ!!」
「デブリ王子……分かりました、僕も全力で手伝います!!なら、まずはぷろていーんの量産をしないと……!!」
「おお、頼んだぞナオ!!」
こうしてデブリ王子は自分を救ってくれたルノを目標として身体を鍛える事に励み、やがて最終的には素手で昆虫種を仕留める程の戦闘力を得る事になるとはこの時点では誰も知らない……
※明かされたデブリ王子の秘密!!
カタナヅキ「あれ、設定的には森人族は魔法に特化した種族で非力な存在のはずなのに……(;´・ω・)」
デブリ「笑止!!この僕に常識など通用しない!!筋肉こそ至高、筋肉があれば不可能はない!!( ゚Д゚)」
――エルフ王国の第三王子であるデブリは思い悩んでいた。彼は亡き母に立派な国王へなるという約束をしていたが、今現在の自分は国王には相応しくない事は理解していた。これまでの傍若無人な態度のせいで人望もなく、唯一の自分の味方だと思い込んでいたリディアも魔王軍の幹部である事が発覚し、彼は思い悩む。
「一体僕はどうすればいいんだ……立派な国王になるために必要な事、か」
デブリは自室に引きこもり、そもそも国王とはどんな存在であるべきなのか考える。ここまで真剣に悩んだ事は今までに一度もなく、デブリは何日も閉じこもって考え抜いた。
「デブリ王子、大丈夫ですか?以前よりも大分痩せたように見えますが……」
「痩せた……?この僕が?」
「はい、明らかに痩せています。確かに食べ過ぎは良くないですが、だからと言って何も食べないのは問題かと……」
側近のハヅキの言葉にデブリは鏡で自分の姿を見て見ると、確かに自分でも肥え太ったオークにしか見えない体型だったが、何日も断食した影響か心なしか体つきが細くなっているように感じられた。それを見てデブリはある事を悟る。
「そうだな、考えても何も思いつかないのなら一先ずは痩せてみるか……ハヅキ、僕に鍛錬を指導してくれ」
「お、王子が鍛錬!?あ、すいません……ですが、本気ですか?」
「ああ、僕自身も強くならないと駄目だと思う。あいつの、いや、あの人ように……」
痩せる決心を抱いたデブリはついでに身体を鍛える事も兼ねてハヅキに指導を求め、ダイエットがてらに身体を鍛え始める。しかし、それが全ての切っ掛けだった――
――最初の頃は唐突に鍛錬を初めたデブリ王子を見ても誰もが長続きするはずがないと思い込んでいた。しかし、一か月が過ぎるころにはデブリも大分痩せ、筋肉も身に着けていく。この頃からデブリはナオと交流するようになり、彼から地球に伝わる様々なトレーニングを実地する。
「デブリ王子、加圧トレーニングというのを知ってます?」
「加圧トレーニング?いや、聞いた事はないな。それは地球の兵士の鍛錬法なのか?」
「まあ、似たような感じです。腕や足の付け根の部分に専用のベルトを巻きつける事で……(説明中)」
「ほう、それは少し面白そうだな!!よし、やってみるか!!」
ナオの助言の元、デブリは地球の鍛錬法も行う様になり、色々と助言を行ってくれるナオと信頼関係を築く。やがて本気で身体を鍛えようとするデブリの姿を見て周囲の評価も少し変わっていく。
「何だデブリの奴は……今更鍛錬に取り組み始めるなど、どんな信教の変化だ」
「でもお兄様、デブリも少し格好よくなったと思いませんか?」
「や、ヤミン?」
デブリの兄であるイヤンとヤミンにも最近のデブリの行動が耳に入るようになり、イヤンの方はデブリの行動を訝しむが、ヤミンの方はデブリの行動を素直に感心する。そして国王の元にもデブリの噂が届く。
「ほう、デブリの奴が真面目に鍛錬か……どうやらバルトロス王国に居た間に何かあったようだな」
「ええ、ナオ様も他の兵士の方々もデブリ王子と付き合って鍛錬に励んでいます」
「なるほど、それは良い傾向ではないか。あの子もやっと王子としての自覚が付いてきたようだな」
「そうですね。ですが、最近では鍛錬の方も過激となり、今現在では錘を身に着けた状態で日常生活を送っているとか……」
「ん?錘……?」
鍛錬を開始してから三か月が過ぎるころにはデブリの身体も大幅に筋肉が身に付き、同時に鍛錬に励む時間が日に日に増え続け、最早睡眠や食事の時間帯以外は鍛錬に励んでいた。
「9997、9998、9999……!!」
「デブリ王子、今日の分のぷろていーんが出来上がりました」
「おお、やっとか!!では少し休憩するか……うん、やはりナオの作ったぷろていーんは格別だな!!」
王子というよりは力士のような体型になったデブリはナオのぷろていーんを毎日摂取し、ますます力を身に着けていく。この頃から上半身は常に脱ぐようになり、錘の量も増やしていく。
「ナオ、僕はやっと気づいた!!国王になるためには僕自身が皆を守れる力を持つ必要があると……僕もあの人のように強くなり、一人で竜種を屠れるぐらいの力を身に着けるぞ!!」
「デブリ王子……分かりました、僕も全力で手伝います!!なら、まずはぷろていーんの量産をしないと……!!」
「おお、頼んだぞナオ!!」
こうしてデブリ王子は自分を救ってくれたルノを目標として身体を鍛える事に励み、やがて最終的には素手で昆虫種を仕留める程の戦闘力を得る事になるとはこの時点では誰も知らない……
※明かされたデブリ王子の秘密!!
カタナヅキ「あれ、設定的には森人族は魔法に特化した種族で非力な存在のはずなのに……(;´・ω・)」
デブリ「笑止!!この僕に常識など通用しない!!筋肉こそ至高、筋肉があれば不可能はない!!( ゚Д゚)」
0
お気に入りに追加
11,323
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。