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番外編

ゴールドスライム捜索 前編

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※今回だけ前編・後編に分けます。


――ある日、ルノはナオと共にリーリスの研究室へ呼び出され、彼女からある依頼をされる。内容は西の森で「ゴールドスライム」と呼ばれるスライムの希少種の捕獲だった。


「ゴールドスライム……?前にシルバースライムとかいうのはアイラさんから聞いた事があるけど、ゴールドスライムなんてのも居るの?」
「シルバースライムの事はご存じでしたか、それなら話は早いですね」
「僕も聞いた事があるよ。確か、経験値をたくさん保有しているスライムの事だよね」


過去にレナはシルバースライムの存在をアイラか教わったことがあり、莫大な経験値を保有するスライムである事から冒険者達に狙われやすいスライムの希少種だと聞いている。しかし、アイラの語るゴールドスライムはシルバースライムとは根本的に異なる種らしい。


「ゴールドスライムは大量の経験値を保有しているわけではありませんが、外見が黄金のように光り輝くスライムです。このゴールドスライムは川辺に暮らしていたスライムが長い年月を費やして砂金を吸収し、その砂金が体内で練り固まって金塊と化します。ゴールドスライムは体内の金塊が邪魔になったと判断した時に金塊を吐き出す習性を持っています」
「え?という事は……その金塊はゴールドスライムを捕まえた人の物になるの?」
「そうです!!しかもゴールドスライムの生み出す金塊は様々な研究器具の材料に扱えますからね!!御二人にも分けてあげますから3人で捕まえましょう!!」
「もしかして僕が呼ばれた理由って……千里眼で探せと?」


リーリスがルノとナオを呼び出した理由はナオの千里眼の能力で森に隠れているゴールドスライムを見つけ出し、それをルノが捕獲するという作戦だった。仮にゴールドスライムを捕獲した場合は出てきた金塊はリーリスが受け取り、二人には彼女の方から報酬を支払うという


「ゴールドスライムの噂は既に市中にも広まっています!!金の亡者共が森中を探し回っているようですから、私達が誰よりも先に捕まえましょう!!」
「う~ん……まあ、討伐じゃないなら別にいいか」
「でも、千里眼を使って探すとしても時間が掛かると思うけど……」
「大丈夫ですよ。ゴールドスライムは名前の通りに黄金に光り輝いてますからね、目立つ存在なので意外と簡単に見つかるかもしれません」
「なるほど……けど、どうして3人?コトネとか呼んだ方がいいんじゃないの?」
「駄目です、人数が増えると支払う報酬も余分に用意しないといけません。私の安月給ではそんなに人数は雇えないんです」


暗殺者の職業で捜索を得意とするコトネを呼ばなかったのはリーリスの懐の問題らしく、ルノ達は早速だがゴールドスライムの捜索のために動く――




――ルノの氷自動車で西の森に辿り着くと、既に大勢の冒険者の姿が存在し、彼等は血眼になって草の根を掻き分けながらゴールドスライムの姿を探す。


「うおおおおっ!!何処だ、何処にいるぅっ!!」
「探せ!!絶対に居るはずだ!!」
「金塊!!金塊!!」


冒険者達は危険を顧みずに森の奥に向けて進み、ゴールドスライムの捜索を行う。全員がゴールドスライムの吐き出す金塊を得るために訪れたらしく、その光景を空の上からルノ達は見下ろす。


「うわぁっ……金の亡者共が集まってますね」
「醜い光景だね……」
「この森、赤毛熊とか出てくるのに皆よく来たなっ……あれ、あそこにいるのってドルトンさん!?」
「え、嘘っ!?」


ルノは視界の端にドルトンの姿を捉え、普段は温厚で優しい彼だが、今回は虫取り網を握り締めながら従業員であるサキュバスを引き連れて森の中を駆け抜けていた。


「さあ、行きますよ!!ゴールドスライムを何としても捕まえ、うちの店のマスコットキャラクターとして飼育します!!」
「ま、待って!!というか、おじ様そんなに素早く動けたの!?サキュバスのあたしより身軽なんて……!!」


小髭族は人間よりも身長が小さく、代わりに筋肉が付きやすいので森の中でも身軽に駆け抜け、その後を荷物を抱えたサキュバスが必死に追いかける。下手をしたら獣人族や森人族顔負けの身体能力で元気に動き回るドルトンの姿を見てルノ達は唖然とする。


「ドルトンさん……あんなキャラじゃなかったのに」
「どうやらあちらもゴールドスライムが狙いのようですね……」
「まさかドルトンさんが競争相手になるなんて……これは急いで探した方が良さそうかも」


氷自動車で移動しながらもナオは千里眼の能力を発動させ、周囲の捜索を行う。但し、ナオの千里眼の能力は効果範囲は広いが、視点に関してはナオの意思で操作する必要があり、一瞬にして千里眼の能力範囲内の風景を把握出来るわけではない。なので見つけ出すのに苦労するかと思われたが、ナオは千里眼の能力で森の中に存在する大きな滝を見つけ出す。
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