622 / 657
番外編
ゴールドスライム捜索 前編
しおりを挟む
※今回だけ前編・後編に分けます。
――ある日、ルノはナオと共にリーリスの研究室へ呼び出され、彼女からある依頼をされる。内容は西の森で「ゴールドスライム」と呼ばれるスライムの希少種の捕獲だった。
「ゴールドスライム……?前にシルバースライムとかいうのはアイラさんから聞いた事があるけど、ゴールドスライムなんてのも居るの?」
「シルバースライムの事はご存じでしたか、それなら話は早いですね」
「僕も聞いた事があるよ。確か、経験値をたくさん保有しているスライムの事だよね」
過去にレナはシルバースライムの存在をアイラか教わったことがあり、莫大な経験値を保有するスライムである事から冒険者達に狙われやすいスライムの希少種だと聞いている。しかし、アイラの語るゴールドスライムはシルバースライムとは根本的に異なる種らしい。
「ゴールドスライムは大量の経験値を保有しているわけではありませんが、外見が黄金のように光り輝くスライムです。このゴールドスライムは川辺に暮らしていたスライムが長い年月を費やして砂金を吸収し、その砂金が体内で練り固まって金塊と化します。ゴールドスライムは体内の金塊が邪魔になったと判断した時に金塊を吐き出す習性を持っています」
「え?という事は……その金塊はゴールドスライムを捕まえた人の物になるの?」
「そうです!!しかもゴールドスライムの生み出す金塊は様々な研究器具の材料に扱えますからね!!御二人にも分けてあげますから3人で捕まえましょう!!」
「もしかして僕が呼ばれた理由って……千里眼で探せと?」
リーリスがルノとナオを呼び出した理由はナオの千里眼の能力で森に隠れているゴールドスライムを見つけ出し、それをルノが捕獲するという作戦だった。仮にゴールドスライムを捕獲した場合は出てきた金塊はリーリスが受け取り、二人には彼女の方から報酬を支払うという
「ゴールドスライムの噂は既に市中にも広まっています!!金の亡者共が森中を探し回っているようですから、私達が誰よりも先に捕まえましょう!!」
「う~ん……まあ、討伐じゃないなら別にいいか」
「でも、千里眼を使って探すとしても時間が掛かると思うけど……」
「大丈夫ですよ。ゴールドスライムは名前の通りに黄金に光り輝いてますからね、目立つ存在なので意外と簡単に見つかるかもしれません」
「なるほど……けど、どうして3人?コトネとか呼んだ方がいいんじゃないの?」
「駄目です、人数が増えると支払う報酬も余分に用意しないといけません。私の安月給ではそんなに人数は雇えないんです」
暗殺者の職業で捜索を得意とするコトネを呼ばなかったのはリーリスの懐の問題らしく、ルノ達は早速だがゴールドスライムの捜索のために動く――
――ルノの氷自動車で西の森に辿り着くと、既に大勢の冒険者の姿が存在し、彼等は血眼になって草の根を掻き分けながらゴールドスライムの姿を探す。
「うおおおおっ!!何処だ、何処にいるぅっ!!」
「探せ!!絶対に居るはずだ!!」
「金塊!!金塊!!」
冒険者達は危険を顧みずに森の奥に向けて進み、ゴールドスライムの捜索を行う。全員がゴールドスライムの吐き出す金塊を得るために訪れたらしく、その光景を空の上からルノ達は見下ろす。
「うわぁっ……金の亡者共が集まってますね」
「醜い光景だね……」
「この森、赤毛熊とか出てくるのに皆よく来たなっ……あれ、あそこにいるのってドルトンさん!?」
「え、嘘っ!?」
ルノは視界の端にドルトンの姿を捉え、普段は温厚で優しい彼だが、今回は虫取り網を握り締めながら従業員であるサキュバスを引き連れて森の中を駆け抜けていた。
「さあ、行きますよ!!ゴールドスライムを何としても捕まえ、うちの店のマスコットキャラクターとして飼育します!!」
「ま、待って!!というか、おじ様そんなに素早く動けたの!?サキュバスのあたしより身軽なんて……!!」
小髭族は人間よりも身長が小さく、代わりに筋肉が付きやすいので森の中でも身軽に駆け抜け、その後を荷物を抱えたサキュバスが必死に追いかける。下手をしたら獣人族や森人族顔負けの身体能力で元気に動き回るドルトンの姿を見てルノ達は唖然とする。
「ドルトンさん……あんなキャラじゃなかったのに」
「どうやらあちらもゴールドスライムが狙いのようですね……」
「まさかドルトンさんが競争相手になるなんて……これは急いで探した方が良さそうかも」
氷自動車で移動しながらもナオは千里眼の能力を発動させ、周囲の捜索を行う。但し、ナオの千里眼の能力は効果範囲は広いが、視点に関してはナオの意思で操作する必要があり、一瞬にして千里眼の能力範囲内の風景を把握出来るわけではない。なので見つけ出すのに苦労するかと思われたが、ナオは千里眼の能力で森の中に存在する大きな滝を見つけ出す。
――ある日、ルノはナオと共にリーリスの研究室へ呼び出され、彼女からある依頼をされる。内容は西の森で「ゴールドスライム」と呼ばれるスライムの希少種の捕獲だった。
「ゴールドスライム……?前にシルバースライムとかいうのはアイラさんから聞いた事があるけど、ゴールドスライムなんてのも居るの?」
「シルバースライムの事はご存じでしたか、それなら話は早いですね」
「僕も聞いた事があるよ。確か、経験値をたくさん保有しているスライムの事だよね」
過去にレナはシルバースライムの存在をアイラか教わったことがあり、莫大な経験値を保有するスライムである事から冒険者達に狙われやすいスライムの希少種だと聞いている。しかし、アイラの語るゴールドスライムはシルバースライムとは根本的に異なる種らしい。
「ゴールドスライムは大量の経験値を保有しているわけではありませんが、外見が黄金のように光り輝くスライムです。このゴールドスライムは川辺に暮らしていたスライムが長い年月を費やして砂金を吸収し、その砂金が体内で練り固まって金塊と化します。ゴールドスライムは体内の金塊が邪魔になったと判断した時に金塊を吐き出す習性を持っています」
「え?という事は……その金塊はゴールドスライムを捕まえた人の物になるの?」
「そうです!!しかもゴールドスライムの生み出す金塊は様々な研究器具の材料に扱えますからね!!御二人にも分けてあげますから3人で捕まえましょう!!」
「もしかして僕が呼ばれた理由って……千里眼で探せと?」
リーリスがルノとナオを呼び出した理由はナオの千里眼の能力で森に隠れているゴールドスライムを見つけ出し、それをルノが捕獲するという作戦だった。仮にゴールドスライムを捕獲した場合は出てきた金塊はリーリスが受け取り、二人には彼女の方から報酬を支払うという
「ゴールドスライムの噂は既に市中にも広まっています!!金の亡者共が森中を探し回っているようですから、私達が誰よりも先に捕まえましょう!!」
「う~ん……まあ、討伐じゃないなら別にいいか」
「でも、千里眼を使って探すとしても時間が掛かると思うけど……」
「大丈夫ですよ。ゴールドスライムは名前の通りに黄金に光り輝いてますからね、目立つ存在なので意外と簡単に見つかるかもしれません」
「なるほど……けど、どうして3人?コトネとか呼んだ方がいいんじゃないの?」
「駄目です、人数が増えると支払う報酬も余分に用意しないといけません。私の安月給ではそんなに人数は雇えないんです」
暗殺者の職業で捜索を得意とするコトネを呼ばなかったのはリーリスの懐の問題らしく、ルノ達は早速だがゴールドスライムの捜索のために動く――
――ルノの氷自動車で西の森に辿り着くと、既に大勢の冒険者の姿が存在し、彼等は血眼になって草の根を掻き分けながらゴールドスライムの姿を探す。
「うおおおおっ!!何処だ、何処にいるぅっ!!」
「探せ!!絶対に居るはずだ!!」
「金塊!!金塊!!」
冒険者達は危険を顧みずに森の奥に向けて進み、ゴールドスライムの捜索を行う。全員がゴールドスライムの吐き出す金塊を得るために訪れたらしく、その光景を空の上からルノ達は見下ろす。
「うわぁっ……金の亡者共が集まってますね」
「醜い光景だね……」
「この森、赤毛熊とか出てくるのに皆よく来たなっ……あれ、あそこにいるのってドルトンさん!?」
「え、嘘っ!?」
ルノは視界の端にドルトンの姿を捉え、普段は温厚で優しい彼だが、今回は虫取り網を握り締めながら従業員であるサキュバスを引き連れて森の中を駆け抜けていた。
「さあ、行きますよ!!ゴールドスライムを何としても捕まえ、うちの店のマスコットキャラクターとして飼育します!!」
「ま、待って!!というか、おじ様そんなに素早く動けたの!?サキュバスのあたしより身軽なんて……!!」
小髭族は人間よりも身長が小さく、代わりに筋肉が付きやすいので森の中でも身軽に駆け抜け、その後を荷物を抱えたサキュバスが必死に追いかける。下手をしたら獣人族や森人族顔負けの身体能力で元気に動き回るドルトンの姿を見てルノ達は唖然とする。
「ドルトンさん……あんなキャラじゃなかったのに」
「どうやらあちらもゴールドスライムが狙いのようですね……」
「まさかドルトンさんが競争相手になるなんて……これは急いで探した方が良さそうかも」
氷自動車で移動しながらもナオは千里眼の能力を発動させ、周囲の捜索を行う。但し、ナオの千里眼の能力は効果範囲は広いが、視点に関してはナオの意思で操作する必要があり、一瞬にして千里眼の能力範囲内の風景を把握出来るわけではない。なので見つけ出すのに苦労するかと思われたが、ナオは千里眼の能力で森の中に存在する大きな滝を見つけ出す。
0
お気に入りに追加
11,319
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。