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外伝〈転移石を求めて〉
隠し金庫
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「これは……」
「金庫?」
扉の先に存在したのは冷蔵庫程の大きさが存在する金庫が設置され、ダイヤル式の鍵が設けられていた。金庫の他には特に何も存在せず、ルノ達は金庫を見て中身が何なのか気になった。
「ダイヤル式の金庫とは随分とクラシックですね。でも、やっとまともな隠し部屋っぽくて安心しました」
「中身はなんだろう?開けてみても大丈夫かな?」
「時期的に考えて研究者は死んでいるので開けても問題ないでしょう。ほら、デブリ王子。貴方の怪力で開けてください」
「いいのか?なら、遠慮なく……ふんぬぅっ!!」
デブリは金庫を掴むと力尽くで壊そうとしたが、巨人族顔負けの怪力を誇るデブリの力を以てしても金庫は開く事はなく、しばらくの間は奮闘していたが開く様子はなかった。
「だ、駄目だ……この僕の筋肉も通用しないなんてとんでもなく頑丈な金庫だぞ!?」
「……どいて、それなら私が「開錠」のスキルで開けてみる」
「おおっ、流石は日影の忍頭!!」
コトネが金庫の前に移動すると、鍵を開く「開錠」の技能スキルを発動させて金庫を開こうと試みる。だが、彼女はダイヤル式の鍵を弄ってから数分後、眉を顰める。
「……開かない、そんなに複雑な構造の鍵じゃないなら簡単に開くはずなのに」
「スキルでも駄目ですか……仕方ありません、ここはルノさんの魔法でお願いしましょう」
「といわれても……中身が何か入っているのか分からないのに無茶は出来ないよね」
最後の頼みの綱としてルノは金庫の前に移動すると、どのような手段で開くべきか考える。魔法の力を使えば金庫を破壊する事は容易いと思われるが、中身を壊しかねない可能性を考慮すると慎重に開かねばならない。だが、ここでルノは先に中身を調べる方法を思い出す。
「あ、というかナオ君の千里眼のスキルなら先に中身を調べられるんじゃないの?」
「おおっ、そういえばそうだった!!」
「言われてみれば確かにそうですね。ナオさん、中身はなにが入っているんですか?」
「……どきどき」
「えっと、ちょっと待ってね」
全員に話しかけられたナオは瞼を閉じて千里眼のスキルを発動させて金庫の中身を確認しようとすると、何故かナオは困惑した表情を浮かべた。
「あれ?おかしいな……何も見えない。金庫の中が覗き込めない!?」
「ええっ!?」
「千里眼のスキルでさえも通用しないんですか!?むむむ、これは本当に中身がなにか気になるますね」
開錠も千里眼のスキルを以てしても開く事も中身を覗く事も出来ない金庫にルノ達は興味をそそられ、どうにか鍵を開く事は出来ないのかと考えると、ナオが声を上げる。
「あっ……待って、この金庫の下に何か隠されている!!」
「金庫の下?」
「千里眼の視点を変えてみたら、金庫の下の方に魔法陣みたいなのが光ってる!!」
ナオの言葉を聞いてルノ達は顔を見合わせ、部屋の中に設置されている巨大な金庫を退かすためにデブリとルノは力を合わせて部屋の外まで運び出す。
「よし、外に運び出すよ。デブリ、いいね?」
「はい、師匠!!ふんぬらばぁっ!!」
二人がかりで巨大金庫を研究室の方まで運び出すと、隠し部屋の中には金庫に隠されていた「魔法陣」が刻まれた小さな台座が刻まれている事が判明し、ルノ達が全員乗り込めるほどの規模の魔法陣だった。
「これは……バルトロス王国の召喚の間に存在する転移魔法陣と同じ物ですね。規模は少々異なりますが」
「え、ならこの魔法陣を利用して地球とこっちの世界へ転移出来るんじゃないの!?」
「……この金庫、よく調べたらただの鉄の塊。中身なんてそもそもない、見せかけだけの金庫だった」
外に放り出された金庫にコトネが指を叩きながら耳を押し当てると、どうやら金庫だと思われていた物はただの金属の塊を金庫のように仕立て上げていただけであり、実際は中身は空洞ではない事が判明した。中身が存在しなければ当然だがナオの千里眼のスキルも通用せず、取り付けた鍵の方も偽物なので二人のスキルは通用しなかった事が発覚する。
しかし、見せかけだけの金庫の下に隠されていた台座に関しては本物らしく、リーリスが調べた限りではバルトロス帝国の王城の「召喚の間」に存在する「勇者召喚」を行う際に利用する転移魔法陣の台座と同じ物で間違いないという。しかも転移魔法陣の中央部には六角形の凹みが存在し、底の方には硝子のような破片が散らばっていた。
「この破片は……なんでしょうか、ただの硝子とは違いますね」
「硝子というより、水晶みたいに見えるけど」
「触っても特に何も起きませんね。あ、分かりましたよ。これは魔力を使い切った後の魔水晶の破片ですね。魔力を全て失われた魔水晶はこんな風に色を失ってもう価値はなくなるんです」
リーリスは破片を拾い上げると正体を魔力が失われた魔水晶だと見抜き、そんな物がどうして転移魔法陣尾の台座に存在したのかと考えると、彼女は自分が握りしめている転移石に視線を向けて納得した声を上げる。
「金庫?」
扉の先に存在したのは冷蔵庫程の大きさが存在する金庫が設置され、ダイヤル式の鍵が設けられていた。金庫の他には特に何も存在せず、ルノ達は金庫を見て中身が何なのか気になった。
「ダイヤル式の金庫とは随分とクラシックですね。でも、やっとまともな隠し部屋っぽくて安心しました」
「中身はなんだろう?開けてみても大丈夫かな?」
「時期的に考えて研究者は死んでいるので開けても問題ないでしょう。ほら、デブリ王子。貴方の怪力で開けてください」
「いいのか?なら、遠慮なく……ふんぬぅっ!!」
デブリは金庫を掴むと力尽くで壊そうとしたが、巨人族顔負けの怪力を誇るデブリの力を以てしても金庫は開く事はなく、しばらくの間は奮闘していたが開く様子はなかった。
「だ、駄目だ……この僕の筋肉も通用しないなんてとんでもなく頑丈な金庫だぞ!?」
「……どいて、それなら私が「開錠」のスキルで開けてみる」
「おおっ、流石は日影の忍頭!!」
コトネが金庫の前に移動すると、鍵を開く「開錠」の技能スキルを発動させて金庫を開こうと試みる。だが、彼女はダイヤル式の鍵を弄ってから数分後、眉を顰める。
「……開かない、そんなに複雑な構造の鍵じゃないなら簡単に開くはずなのに」
「スキルでも駄目ですか……仕方ありません、ここはルノさんの魔法でお願いしましょう」
「といわれても……中身が何か入っているのか分からないのに無茶は出来ないよね」
最後の頼みの綱としてルノは金庫の前に移動すると、どのような手段で開くべきか考える。魔法の力を使えば金庫を破壊する事は容易いと思われるが、中身を壊しかねない可能性を考慮すると慎重に開かねばならない。だが、ここでルノは先に中身を調べる方法を思い出す。
「あ、というかナオ君の千里眼のスキルなら先に中身を調べられるんじゃないの?」
「おおっ、そういえばそうだった!!」
「言われてみれば確かにそうですね。ナオさん、中身はなにが入っているんですか?」
「……どきどき」
「えっと、ちょっと待ってね」
全員に話しかけられたナオは瞼を閉じて千里眼のスキルを発動させて金庫の中身を確認しようとすると、何故かナオは困惑した表情を浮かべた。
「あれ?おかしいな……何も見えない。金庫の中が覗き込めない!?」
「ええっ!?」
「千里眼のスキルでさえも通用しないんですか!?むむむ、これは本当に中身がなにか気になるますね」
開錠も千里眼のスキルを以てしても開く事も中身を覗く事も出来ない金庫にルノ達は興味をそそられ、どうにか鍵を開く事は出来ないのかと考えると、ナオが声を上げる。
「あっ……待って、この金庫の下に何か隠されている!!」
「金庫の下?」
「千里眼の視点を変えてみたら、金庫の下の方に魔法陣みたいなのが光ってる!!」
ナオの言葉を聞いてルノ達は顔を見合わせ、部屋の中に設置されている巨大な金庫を退かすためにデブリとルノは力を合わせて部屋の外まで運び出す。
「よし、外に運び出すよ。デブリ、いいね?」
「はい、師匠!!ふんぬらばぁっ!!」
二人がかりで巨大金庫を研究室の方まで運び出すと、隠し部屋の中には金庫に隠されていた「魔法陣」が刻まれた小さな台座が刻まれている事が判明し、ルノ達が全員乗り込めるほどの規模の魔法陣だった。
「これは……バルトロス王国の召喚の間に存在する転移魔法陣と同じ物ですね。規模は少々異なりますが」
「え、ならこの魔法陣を利用して地球とこっちの世界へ転移出来るんじゃないの!?」
「……この金庫、よく調べたらただの鉄の塊。中身なんてそもそもない、見せかけだけの金庫だった」
外に放り出された金庫にコトネが指を叩きながら耳を押し当てると、どうやら金庫だと思われていた物はただの金属の塊を金庫のように仕立て上げていただけであり、実際は中身は空洞ではない事が判明した。中身が存在しなければ当然だがナオの千里眼のスキルも通用せず、取り付けた鍵の方も偽物なので二人のスキルは通用しなかった事が発覚する。
しかし、見せかけだけの金庫の下に隠されていた台座に関しては本物らしく、リーリスが調べた限りではバルトロス帝国の王城の「召喚の間」に存在する「勇者召喚」を行う際に利用する転移魔法陣の台座と同じ物で間違いないという。しかも転移魔法陣の中央部には六角形の凹みが存在し、底の方には硝子のような破片が散らばっていた。
「この破片は……なんでしょうか、ただの硝子とは違いますね」
「硝子というより、水晶みたいに見えるけど」
「触っても特に何も起きませんね。あ、分かりましたよ。これは魔力を使い切った後の魔水晶の破片ですね。魔力を全て失われた魔水晶はこんな風に色を失ってもう価値はなくなるんです」
リーリスは破片を拾い上げると正体を魔力が失われた魔水晶だと見抜き、そんな物がどうして転移魔法陣尾の台座に存在したのかと考えると、彼女は自分が握りしめている転移石に視線を向けて納得した声を上げる。
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