610 / 657
外伝〈転移石を求めて〉
生きていたリーリス
しおりを挟む
「ふうっ……やっと死んだみたい」
「うわぁっ……改めてみると不気味な奴だな」
「師匠!!やりましたぞ!!」
「うん、分かったからとりあえずその舌は手放してくれないかな……」
謎の生物の死骸の元にルノ達は集まり、完全に死亡している事を確かめると改めてその不気味な外見に冷や汗を流す。複数の生物の特徴を併せ持ち、さらに感知スキルには感知されない謎の能力も持っていた。一体この生物がなんなのかは不明だが、ここで死体の様子を見てある事に気付く。
「……見て、この生物の足元。怪我をしてる」
「え?あ、本当だ……体毛が剥がれ落ちてるね」
「焦げてる、というよりは何か薬品のような物で溶かされたような……」
「薬品?それってもしかして……」
生物の左足の部分に怪我をしたような箇所が存在し、体毛が抜け落ちて皮膚がどろどろに溶けていた。その様子を見て何らかの薬品で溶かされたような跡だと思ったルノはここまでの道中で拾い上げた薬品の事を思い出した瞬間、通路の奥側から怒号が鳴り響く。
「おら、待てやぁあああっ!!何処に消えたんですかこのくそ野郎がぁあああっ!!」
「えっ!?リーリス!?」
「無事だったのか!!」
「あれ!?その声は……皆さんもここに来てたんですか!?」
通路の奥から駆け寄ってきたのは両手に薬品をリーリスが姿を現し、彼女はルノ達に気付くと慌てて立ち止まり、そして彼等の足元に転がっている死骸を見つけて大声を上げる。
「あ~!!やっと見つけましたよ、このバイオハザード!!」
「ちょ、落ち着いて!!」
「もうそいつは死んでるぞ!?」
「……何があったの?」
死骸に向けてリーリスが両手の薬瓶を投げつけようとしたが、慌ててデブリとナオが止めた。一体彼女にこれまで何があったのかを尋ねると、リーリスは事情を説明する。
「実は謎の落とし穴を見つけた私が覗き込んだ時、この生物に捕まって私はここまで連れてこられたんですよ!!隙を突いてどうにか皆さんが気付いてくれるように空の薬瓶を置いてきましたが……」
「捕まった!?大丈夫だったの?」
「あ、そこは大丈夫です。こいつに連れ去られた時、私は以前に開発していた竜種のおしっこのような臭いを放つ薬瓶を所持していたのでそれを利用して逃げる事に成功しました……ちょっと、なんで離れるんですか!!生き残るためには仕方ないでしょう!?」
排泄物の臭いを放つ薬品を持ち歩いていた事に全員が引いてしまうが、リーリスとしても生き延びるのに必死だったらしく、どうにか生物を撃退したらしい。
「でも、怪我がなくて良かったよ」
「いや、負傷はしましたよ?どうにか精霊薬(試作)も持ち歩いていたので死ぬ事は免れましたが大変でしたよ。あの生物、容赦なく私の身体を貫いてきましたから……死にかける寸前、どうにか精霊薬で蘇生に成功しました」
「大丈夫だったの!?」
「平気平気、精霊薬のお陰で破損した肉体も完全復活どころか、身体の悪い物は全部治ったせいかお陰で今は元気満々ですから!!」
「……本当だ、確かにお腹と背中に穴が開いてる」
リーリスは持参していた精霊薬のお陰で生き延びる事に成功したが、それでも一時的に気を失って倒れていたという。彼女がナオの千里眼のスキルで探知出来なかったのは目の前の生物に攫われて動き回っていた事が原因かもしれない。
「けど、こいつは何なの?こんな魔物、見た事がないけど……リーリスは知ってる?」
「いえ、私も初めてみる生き物です。ですが心当たりはあります」
「心当たり?」
「私がこいつに連れられた場所へ向かいましょう。そこに行けば分かります」
「え?こいつはどうするんだ?」
「その生物は帰りに死骸を回収しましょう。私が後で解剖して調べてみますから」
生物の正体はリーリスも知らないようだが、彼女はこの生物に誘拐された時に気になる物を見つけたらしく、全員をその場所まで案内した。部屋の場所はルノ達が存在した通路からそれほど遠くはなく、大きな扉の前でリーリスは立ち止まる。
「ここです。この部屋の中にあの生物は私を連れ込みました」
「この部屋か……よし、僕が開けるぞ!!ふんぎぎぎっ!!」
「あ、それ引き戸ですよ」
「それを早く言えっ!?」
デブリが気合を入れて扉を押して開けようとしたが、リーリスに指摘されると慌てて扉を引いて開く。すると中から光が差し込み、ルノ達は目を眩む。
「こ、ここは……」
「見ての通り、この部屋には「電気」が通ってるんですよ。ほら、天井を見てください。照明まで取り付けられてるでしょう?」
「ほ、本当だ!!」
リーリスの言葉にルノとナオは驚きの声を上げ、部屋の天井を確認するとそこには電気が通っている照明が存在し、更に部屋の中を見渡すと、まるでSF映画にでてくるような光景が広がっていた。壁際には巨大なコンピューターが並べられ、部屋の中央部には巨大な培養槽が設置されていた。
「うわぁっ……改めてみると不気味な奴だな」
「師匠!!やりましたぞ!!」
「うん、分かったからとりあえずその舌は手放してくれないかな……」
謎の生物の死骸の元にルノ達は集まり、完全に死亡している事を確かめると改めてその不気味な外見に冷や汗を流す。複数の生物の特徴を併せ持ち、さらに感知スキルには感知されない謎の能力も持っていた。一体この生物がなんなのかは不明だが、ここで死体の様子を見てある事に気付く。
「……見て、この生物の足元。怪我をしてる」
「え?あ、本当だ……体毛が剥がれ落ちてるね」
「焦げてる、というよりは何か薬品のような物で溶かされたような……」
「薬品?それってもしかして……」
生物の左足の部分に怪我をしたような箇所が存在し、体毛が抜け落ちて皮膚がどろどろに溶けていた。その様子を見て何らかの薬品で溶かされたような跡だと思ったルノはここまでの道中で拾い上げた薬品の事を思い出した瞬間、通路の奥側から怒号が鳴り響く。
「おら、待てやぁあああっ!!何処に消えたんですかこのくそ野郎がぁあああっ!!」
「えっ!?リーリス!?」
「無事だったのか!!」
「あれ!?その声は……皆さんもここに来てたんですか!?」
通路の奥から駆け寄ってきたのは両手に薬品をリーリスが姿を現し、彼女はルノ達に気付くと慌てて立ち止まり、そして彼等の足元に転がっている死骸を見つけて大声を上げる。
「あ~!!やっと見つけましたよ、このバイオハザード!!」
「ちょ、落ち着いて!!」
「もうそいつは死んでるぞ!?」
「……何があったの?」
死骸に向けてリーリスが両手の薬瓶を投げつけようとしたが、慌ててデブリとナオが止めた。一体彼女にこれまで何があったのかを尋ねると、リーリスは事情を説明する。
「実は謎の落とし穴を見つけた私が覗き込んだ時、この生物に捕まって私はここまで連れてこられたんですよ!!隙を突いてどうにか皆さんが気付いてくれるように空の薬瓶を置いてきましたが……」
「捕まった!?大丈夫だったの?」
「あ、そこは大丈夫です。こいつに連れ去られた時、私は以前に開発していた竜種のおしっこのような臭いを放つ薬瓶を所持していたのでそれを利用して逃げる事に成功しました……ちょっと、なんで離れるんですか!!生き残るためには仕方ないでしょう!?」
排泄物の臭いを放つ薬品を持ち歩いていた事に全員が引いてしまうが、リーリスとしても生き延びるのに必死だったらしく、どうにか生物を撃退したらしい。
「でも、怪我がなくて良かったよ」
「いや、負傷はしましたよ?どうにか精霊薬(試作)も持ち歩いていたので死ぬ事は免れましたが大変でしたよ。あの生物、容赦なく私の身体を貫いてきましたから……死にかける寸前、どうにか精霊薬で蘇生に成功しました」
「大丈夫だったの!?」
「平気平気、精霊薬のお陰で破損した肉体も完全復活どころか、身体の悪い物は全部治ったせいかお陰で今は元気満々ですから!!」
「……本当だ、確かにお腹と背中に穴が開いてる」
リーリスは持参していた精霊薬のお陰で生き延びる事に成功したが、それでも一時的に気を失って倒れていたという。彼女がナオの千里眼のスキルで探知出来なかったのは目の前の生物に攫われて動き回っていた事が原因かもしれない。
「けど、こいつは何なの?こんな魔物、見た事がないけど……リーリスは知ってる?」
「いえ、私も初めてみる生き物です。ですが心当たりはあります」
「心当たり?」
「私がこいつに連れられた場所へ向かいましょう。そこに行けば分かります」
「え?こいつはどうするんだ?」
「その生物は帰りに死骸を回収しましょう。私が後で解剖して調べてみますから」
生物の正体はリーリスも知らないようだが、彼女はこの生物に誘拐された時に気になる物を見つけたらしく、全員をその場所まで案内した。部屋の場所はルノ達が存在した通路からそれほど遠くはなく、大きな扉の前でリーリスは立ち止まる。
「ここです。この部屋の中にあの生物は私を連れ込みました」
「この部屋か……よし、僕が開けるぞ!!ふんぎぎぎっ!!」
「あ、それ引き戸ですよ」
「それを早く言えっ!?」
デブリが気合を入れて扉を押して開けようとしたが、リーリスに指摘されると慌てて扉を引いて開く。すると中から光が差し込み、ルノ達は目を眩む。
「こ、ここは……」
「見ての通り、この部屋には「電気」が通ってるんですよ。ほら、天井を見てください。照明まで取り付けられてるでしょう?」
「ほ、本当だ!!」
リーリスの言葉にルノとナオは驚きの声を上げ、部屋の天井を確認するとそこには電気が通っている照明が存在し、更に部屋の中を見渡すと、まるでSF映画にでてくるような光景が広がっていた。壁際には巨大なコンピューターが並べられ、部屋の中央部には巨大な培養槽が設置されていた。
0
お気に入りに追加
11,314
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。