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外伝〈転移石を求めて〉
魔法禁止区域
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「うわ、本当に真っ暗だ……デブリは大丈夫?見えないんじゃないの?」
「ぬう……こんな事なら眼球の筋肉を鍛えるべきでした」
「いや、それは無理だと思うけど……ちょっと待って、まだここは魔法が使えるんだよね?辺りを照らすよ」
ルノは光球の魔法を発動させて周囲を照らした瞬間、予想以上に自分達が存在する地下空間が広い事に気付く。恐らくは直径1キロを超える空間の中に巨大な古代ローマの遺跡を想像させる建物が存在した。試しにルノは光球の魔法で照らしながら遺跡に近付くと、階段の当たりに紋様のような物が刻まれている事を知る。
「これが遺跡か……リーリス!!聞こえたら返事して!!」
「……返事がない、ただの屍になったようだ」
「あれ!?なんでコトネさんが俺達の世界のネタを知ってるの!?」
建物に向けてルノは声を掛けても返事は戻らないが、足元を照らすと確かに人間の足跡が残っており、遺跡の中に誰かが入った事は間違いない。落とし穴の出入口にハッケン君が落ちて居た事も考えてもリーリスである事は間違いないが、声が届かない程に建物の奥に入ったのかもしれない。
「今の所は普通に魔法が使えるけど……あ!?」
光球を操作しながらルノが遺跡の階段に近付いた瞬間、段差に刻まれていた紋様に光球が吸い込まれるように近づき、やがて紋様に触れた瞬間に光が小さくなって消えていく。その様子を見ていたルノ達は建物を見上げると、壁や天井にも同じような紋様が刻まれている事に気付く。
「なるほど……魔法が吸収される仕組みになっているから俺の空間魔法も発動しなかったんだ」
「……正確に言えば発動した瞬間に吸収されて消えてなくなる。一瞬だけなら使えなくもないけど、すぐに吸収されるみたい」
「むうっ……これは困ったな、こんな暗闇の中をどうやって進めばいいんだ?」
「大丈夫、松明を持ってきた」
コトネは収納石を利用して松明を取り出し、火打石で火を灯す。念のために松明の火を遺跡に近づけてみても反応しない事を確認すると、遺跡に刻まれた紋様はやはり魔法にしか反応しない事が判明する。
「ここから先は魔法も魔石の力も使えない。だから収納石も利用出来ないから今の内に回復薬や武器の類は取り出して持ち運んだ方が良い」
「なるほど……けど、参ったな。魔法が使えないとなるといざというときに逃げ出す事も出来ないのか」
「安心しろナオ!!例えどんな相手が現れようと僕と師匠の敵ではない!!」
「そうかな……まあ、一応はコトネから貰った刀もあるし、戦えない事はないかな?」
魔法が使えない以上はルノも戦闘では武器を使って戦うしかなく、ここから先は慎重に進まなければならない。先行しているリーリスを見つけて合流し、全員で脱出の方法を探るためにルノ達は遺跡の中に入り込む。
「……今の所は気配は感じられない」
「という事は近くに魔物はいないのか……逆に言えばリーリスも近くにはいないと」
「この遺跡、思っていたよりも大分広いね。それに暗いせいか千里眼でも上手く把握できないし……」
「あ、師匠!!ここに何か書いてありますぞ!!」
松明を掲げたデブリが先行して建物の内部を調べていると、彼は通路の真ん中に設置されている大きな柱に文字のような物が刻まれている事に気付き、ルノを呼び寄せる。
「どれどれ……あれ、これって日本語じゃない!?」
「あ、本当だ!!これ日本語だよ!!」
「ニ、ニホンゴ……?」
「異世界人の国の言葉だと思えばいい。日の国でも伝わっている言語のひとつ」
柱に刻まれていたのは日本語の文字で間違いなく、内容を確認する限りだとこの建物を作り出した人物が刻んだ文字だと思われた。
『この遺跡に辿り着いた者へ警告する。ここから先は勇者の資格を持つ人間だけが入る事を許可されている。資格無き者は即刻に立去れ』
「なんだこれ……警告文?」
「勇者って……つまり、ここは勇者のために作り出した建物なのかな?」
「裏面にも何か書いてありますぞ!!」
デブリの言葉にルノ達は柱の裏側に移動すると、こちらにも日本語で別の内容が刻まれ、表に書かれていた文章と比べると随分とフランクな感じで記されていた。
『表面の文章を見た方へ注意!!ここから先には次世代の勇者を育成するために過去に召喚された初代勇者たちが残した罠がいくつも張り巡らされています!!ですが、罠を乗り越えると勇者の力を高めるためのお宝が手に入りますよ!!by親愛なる隣の骸骨より』
「……なにこれ?」
「つまり、ここから先には罠があるって事?」
裏面に記された文章を確認してルノ達は首を傾げ、この文章を信じるならばここから先は勇者を育てるために張り巡らされた罠があるという事だが、一体何者がこの文章を書き残したのか疑問を抱く。表面の文章は綺麗に文字が掘り起こされているのに対し、裏面の文章はまるで無理やり硬い物で削り取ったかのような文章だった。
恐らく、ルノ達が訪れる前に何者かがこの遺跡の中に入り込み、柱に文字を刻んで後々に訪れるであろう人物に警告文を書いたのだろう。だが、文章が日本語で記されている辺り、もしかしたらルノ達のように過去に召喚された日本人の仕業である可能性も高かった。
※親愛なる隣の骸骨の正体は不遇職にて判明します。
「ぬう……こんな事なら眼球の筋肉を鍛えるべきでした」
「いや、それは無理だと思うけど……ちょっと待って、まだここは魔法が使えるんだよね?辺りを照らすよ」
ルノは光球の魔法を発動させて周囲を照らした瞬間、予想以上に自分達が存在する地下空間が広い事に気付く。恐らくは直径1キロを超える空間の中に巨大な古代ローマの遺跡を想像させる建物が存在した。試しにルノは光球の魔法で照らしながら遺跡に近付くと、階段の当たりに紋様のような物が刻まれている事を知る。
「これが遺跡か……リーリス!!聞こえたら返事して!!」
「……返事がない、ただの屍になったようだ」
「あれ!?なんでコトネさんが俺達の世界のネタを知ってるの!?」
建物に向けてルノは声を掛けても返事は戻らないが、足元を照らすと確かに人間の足跡が残っており、遺跡の中に誰かが入った事は間違いない。落とし穴の出入口にハッケン君が落ちて居た事も考えてもリーリスである事は間違いないが、声が届かない程に建物の奥に入ったのかもしれない。
「今の所は普通に魔法が使えるけど……あ!?」
光球を操作しながらルノが遺跡の階段に近付いた瞬間、段差に刻まれていた紋様に光球が吸い込まれるように近づき、やがて紋様に触れた瞬間に光が小さくなって消えていく。その様子を見ていたルノ達は建物を見上げると、壁や天井にも同じような紋様が刻まれている事に気付く。
「なるほど……魔法が吸収される仕組みになっているから俺の空間魔法も発動しなかったんだ」
「……正確に言えば発動した瞬間に吸収されて消えてなくなる。一瞬だけなら使えなくもないけど、すぐに吸収されるみたい」
「むうっ……これは困ったな、こんな暗闇の中をどうやって進めばいいんだ?」
「大丈夫、松明を持ってきた」
コトネは収納石を利用して松明を取り出し、火打石で火を灯す。念のために松明の火を遺跡に近づけてみても反応しない事を確認すると、遺跡に刻まれた紋様はやはり魔法にしか反応しない事が判明する。
「ここから先は魔法も魔石の力も使えない。だから収納石も利用出来ないから今の内に回復薬や武器の類は取り出して持ち運んだ方が良い」
「なるほど……けど、参ったな。魔法が使えないとなるといざというときに逃げ出す事も出来ないのか」
「安心しろナオ!!例えどんな相手が現れようと僕と師匠の敵ではない!!」
「そうかな……まあ、一応はコトネから貰った刀もあるし、戦えない事はないかな?」
魔法が使えない以上はルノも戦闘では武器を使って戦うしかなく、ここから先は慎重に進まなければならない。先行しているリーリスを見つけて合流し、全員で脱出の方法を探るためにルノ達は遺跡の中に入り込む。
「……今の所は気配は感じられない」
「という事は近くに魔物はいないのか……逆に言えばリーリスも近くにはいないと」
「この遺跡、思っていたよりも大分広いね。それに暗いせいか千里眼でも上手く把握できないし……」
「あ、師匠!!ここに何か書いてありますぞ!!」
松明を掲げたデブリが先行して建物の内部を調べていると、彼は通路の真ん中に設置されている大きな柱に文字のような物が刻まれている事に気付き、ルノを呼び寄せる。
「どれどれ……あれ、これって日本語じゃない!?」
「あ、本当だ!!これ日本語だよ!!」
「ニ、ニホンゴ……?」
「異世界人の国の言葉だと思えばいい。日の国でも伝わっている言語のひとつ」
柱に刻まれていたのは日本語の文字で間違いなく、内容を確認する限りだとこの建物を作り出した人物が刻んだ文字だと思われた。
『この遺跡に辿り着いた者へ警告する。ここから先は勇者の資格を持つ人間だけが入る事を許可されている。資格無き者は即刻に立去れ』
「なんだこれ……警告文?」
「勇者って……つまり、ここは勇者のために作り出した建物なのかな?」
「裏面にも何か書いてありますぞ!!」
デブリの言葉にルノ達は柱の裏側に移動すると、こちらにも日本語で別の内容が刻まれ、表に書かれていた文章と比べると随分とフランクな感じで記されていた。
『表面の文章を見た方へ注意!!ここから先には次世代の勇者を育成するために過去に召喚された初代勇者たちが残した罠がいくつも張り巡らされています!!ですが、罠を乗り越えると勇者の力を高めるためのお宝が手に入りますよ!!by親愛なる隣の骸骨より』
「……なにこれ?」
「つまり、ここから先には罠があるって事?」
裏面に記された文章を確認してルノ達は首を傾げ、この文章を信じるならばここから先は勇者を育てるために張り巡らされた罠があるという事だが、一体何者がこの文章を書き残したのか疑問を抱く。表面の文章は綺麗に文字が掘り起こされているのに対し、裏面の文章はまるで無理やり硬い物で削り取ったかのような文章だった。
恐らく、ルノ達が訪れる前に何者かがこの遺跡の中に入り込み、柱に文字を刻んで後々に訪れるであろう人物に警告文を書いたのだろう。だが、文章が日本語で記されている辺り、もしかしたらルノ達のように過去に召喚された日本人の仕業である可能性も高かった。
※親愛なる隣の骸骨の正体は不遇職にて判明します。
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